時代を問わず女性達は「シンデレラ」の愛を夢見る。『天国の階段』のソンジュが去った後、そのファンタジーを満たしてくれるもう1人の人物がいる。まさにSBS週末ドラマ『バリで起こったこと』(キム・ギホ脚本・チェ・ムンソク演出)の財閥二世チョン・ジェミンだ。

1年ぶりにジェミンとして帰って来て自分の出演作のように火照るように「星を射た」チョ・インソンに会った。午前11時SBSタンヒョンスタジオに到着してみたら、既に撮影が真っ盛りだった。ドラマの中で10秒にもならない場面を繰り返して撮ること40分余り。まじめな演技をしながらも暇さえ出ればスタッフ達と悪戯をする彼から世間知らずなジェミンの姿がふっと覗き見える。

『バリで…』は4人の青春男女が微妙に両天秤をかけたまま愛ゲームをする内容。ここでジェミンは本当に複雑多端な人物だ。裕福な環境のお陰で自信感は生まれついていて、万時に冷笑的だ。しかし自分が愛するスジョン(ハ・ジウォン)と婚約者ヨンジュ(パク・イェジン)の愛を同時に受ける部下職員イヌク(ソ・ジソプ)にひどい劣等感を感じる。スジョンとの愛が思い通りにならなければ雷のように大声を出して嫉妬心に涙も流す「火」のようなキャラクター。ジェミンに向ける母性本能は女性視聴者達をTVの前で引き集める大きな要因だ。

最近ドラマの掲示板にはジェミンとスジョンを結ばせて下さいという文等でいっぱいだが、まず結末から問って見た。「そうですね。ジェミンが死ぬという話が出回っていますが、それが事実かどうかは自分も知らないです。」わざと知らん振りをする。「私がちょっと強く生まれたじゃないですか。それに話し振りも無愛想で、でも一言投げる時、結構笑わせたりするのが可愛く映ったりもするし、そのため「ジェミンととても似ている。」と言う話を聞いたりします。」ところがジェミンとして生きることがただ簡単ではないという。「シナリオをもらって見る度に新しいんですから。」

笑いながら付け加える言葉。「初めには金持ち息子が果してどのように行動するかということも悩みだったんです。我が家が全然そのようではくて…。」意外に率直で堅苦しくない姿に内心驚いたが、自分の魅力が「意外性」だとくさびを刺す。そうだ。意外に、お酒を遠ざけるように見える彼はドラマが終われば一番先に「酒を飲みたい。」と言うほどに愛酒家だ。酒量は焼酒2本。

デビューのきっかけを聞いて見ても、もしか路頭キャスティングかと言ったら、すぐに住んでいる町内の話から取り出す。「私の住む所がチョンホ洞なんですよ。そこではそんなもの想像もできないでしょう。」20年を過ぎて暮しているチョンホ洞は一番親しい友達がいて好きで、ヤンスリの方へドライブに行くにも良いと自慢する。またデビュー話に戻った。「寝てもさめてもスターという言葉信じないです。」彼の口からそんな言葉が出るなんてまた信じられない。それこそ「雷スター」として見えたが。「私の断面だけ見ればそうです。演技学院の登録ひと月だけで運が良く広告モデルに抜擢されたし、99年シートコメディーにキャスティングされたんです。でもひと月だけで演技する事が出来なくて切られたんです。」きらきらするスターではなく俳優にならなければならないという事実を痛切に悟るようになったのもこの時だと言う。

そのためかマドレーン、クラシック、南男北女などぱっとしないスクリーン進出に対しても「失敗だと思ったことがないです。まだ若いから経由する過程だと思います。」と言いながら演技力不足を率直に認めた。

最後に冗談ぽく結婚はいつしたいと聞いたら「28歳です」と言う。まるで待っていたかのように。どうしてよりによって28歳なのか。「マネージャー兄さんがその年が金の値打ちだと言いますよ。」

（元記事：スポーツソウル）２００４年２月