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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 29 HIT数 5443
日付 2010/03/17 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 29.並んで歩こう
本文


 

 




            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






ドンヒョクは底から湧き上がる不安と闘っていた
その不安は拭っても拭っても消すことなど出来なかった

それでも何んとか落ち着きを取り戻し、そっとジニョンの病室に戻った

ジニョンは部屋に入って来たドンヒョクに、一瞬顔をこわばらせ
直ぐに彼から視線を逸らした

ドンヒョクも、まだジニョンの顔を真直ぐに見ることができなかった
彼は俯いたまま、無言でベッド脇に置かれた椅子に腰を掛けた

枕元に置かれた時計の秒針の音だけが響く静けさの中、
ふたりの沈黙は少しの時を数えた

しばらくしてジニョンの方が先に口を開いた「ドンヒョクssi・・・」

「ごめん・・・ジニョン・・・何も言わないで・・・
 僕がどうかしてた・・・君の気持ちを少しも考えないで・・・」
ドンヒョクはジニョンの言葉を遮って、そう言った

「じゃあ、あなたも認めてくれるのね・・・赤ちゃん、
 助けてくれるのね・・・」 ジニョンの瞳が少しだけ輝きを取り戻した

ドンヒョクは小さく頷いた後、神妙な顔で言った

「でも、君の身体が第一だ。お願い・・それだけは分かって・・・
 子供と引き換えに君に・・・もしもそんなことになったら・・・
 僕はその子を・・・きっと、愛せない。」

「・・・・・・」

「どうして、黙ってる?
 言ったはずだ・・・僕は君がいなかったら、生きていけない・・・
 冗談だとでも思った?」

「わかってるわ・・・」

「だったら・・・」

「ドンヒョクssi・・・私ね・・・自分の病気、不思議と怖くないのよ
 それは、この子がいるから・・・そして、あなたがいるから・・・
 きっと、上手くいく・・・
 だって、この子が私の病気を早く知らせてくれたんだもの
 そう思わない?・・・だから、大丈夫。・・・私・・・絶対に・・・

 テジュンssiがね、前にこう言ったことがあるの・・・
“お前、あいつを置いて先に死ぬわけには行かないな”って・・・
“分かってるわ・・・”私そう答えた
 分かってるわ・・・ドンヒョクssi・・・私、あなたを置いて何処にも行かない・・・
 言ったでしょ・・・あなたが逃げても、何処までも追いかけていくって・・・
 信じて・・・ドンヒョクssi・・・

 父がさっきね、言ってた・・・今のままだと、薬も使えない・・・
 治療も出来ない・・・検査すら、ままならない・・・
 ドンヒョクはお前が苦しむのが辛いんだって・・・
 ドンヒョクssi・・・あなたの気持ち分かってる・・・

 でも、もし・・・もしもよ・・・
 このまま手術してしまったら、私二度と子供生めないかもしれない
 私、あなたの子供、欲しい・・・
 あなたのためだけじゃないの・・・
 私のため・・・私、あなたを愛してる・・・どうしようもなく愛してる
 だから、どうしても欲しい・・・あなたの血の繋がった子供・・・
 事実、ここにいるの・・・既にいるの・・・あなたの子

 この子を・・・守りたい・・・
 きっと、母も・・・こういう想いだったのね・・・
 この子を守りたい・・・そう想って私を生んでくれた
 母は不幸にも逝ってしまったけど、母には愛する人がそばにいなかった
 でも私にはいるわ・・・あなたがそばにいる・・・
 私、どんなに辛くても耐えられる
 あなたの他にこの子もいるんだもの・・・
 私、今、最強の女よ・・・ドンヒョクssi」

そう言って、ジニョンが笑って見せた

「ジニョン・・・」

ドンヒョクはジニョンの手を取って、その掌を自分の頬に当て泣いた
「ジニョン・・・ジニョン・・・ジニョン・・・」

ドンヒョクはただ、ただ、子供のように泣いていた
彼の涙が、彼女の手を熱く濡らし、彼女の心を締め付けた

ジニョンはそんなドンヒョクが愛しくてならなかった
彼女の目にも次第に涙が溢れ、彼女は彼の頭を泣きながら撫でた

   私は、この人を置いて、決して逝かない・・・母とは違う

   神様・・・どうかお願いです・・・どうか・・・
   私を・・・
   この人から取り上げないで・・・

ジニョンはドンヒョクの髪を優しく撫でながら、いつまでもそう祈っていた

 

 

翌日、ジニョンの組織診を執り行なうことになった
セヨンも当然、立ち合せてもらう約束を取り付けていた
セヨンは昨日の内に自分の病院の医師の補充等の手配を行った
そして、自分の時間は、全てジニョンに掛けるつもりでいると
ドンヒョクに告げた

幸いこの病院は院長は、セヨンの古くからの友人であり、
担当の外科医も後輩に頼むことができた
色んな意味で無理の利く環境だったことも手伝って、
セヨンは、ジニョンにつきっきりでこの病気に挑む決心を固めることができた

「ドンヒョク・・・
 私が、医者であったこと、今回ほど良かったと思ったことないわ・・
 私ってね、こう見えても優秀な外科医なのよ
 医者としてはあるまじきことかもしれないけど・・
 私はこれから、数ヶ月、あの子だけの医者になるつもり・・・
 あなたには、何も隠さず、逐一あの子の病状を私が報告する
 だから、安心して・・・決断する必要が生じたら、必ず伝える
 その時、あなたが決断しなさい・・・

 大丈夫よ、腫瘍も小さい、子供のお陰で発見もかなり早かった
 あんな痛みがあったのも不思議なくらいよ・・・
 きっと、あなたの子供が、知らせたのよ・・・早く見つけてって・・・
 私、本当にそう思うわ
 私は全力であの子の身体を守るわ・・・いい?
 でも、心を看るのはあなたよ・・・あなたにしか、それはできない
 しっかりあの子を支えなさい・・・」

ドンヒョクはセヨンの言葉にしっかりと頷いた

「セヨンssi・・・昨日はすみませんでした」

「私も・・・ごめんなさい・・・あなたの気持ち・・・
 分かってるはずなのに・・・痛かった?」

「ええ、とても。」 
ドンヒョクはやっと微笑を浮かべることができた

「あなたと、ヨンスと、私で、守りましょう・・・あの子と、
 そして、必ず生まれてくるあなたの子供を・・・」

 


組織診の結果はセヨンの予測通りⅠa以下・・・まずは、即手術、は免れた
現在、妊娠12週目を過ぎたところ・・・胎児の成長を考えると、少なくとも28週
出来れば34週・・・あと、16週から、22週、月に換算すると約3ヶ月から、4ヶ月・・・
このまま、急激な進行がなければ34週を迎えたところで、帝王切開・・・
そして、そのまま腫瘍の摘出手術
セヨンは、ジニョンのそばで、逐一観察、急に備える構えだった



「それにしても、ドンヒョク・・・この部屋、豪華過ぎない?
 何も、一番高い特別室にしなくても、普通の個室で十分よ」

「他の個室は、別室がなかったんですよ・・・
 ジニョンの部屋でパソコン開くわけにはいかないでしょ・・・」

「えっ?まさか、あなた、ここで仕事する気?」

「ええ、仕事だけではありませんよ、ここで寝泊りもする・・・」

「本気?私がついてるんだから、心配ないでしょ?」

「心配はないけど・・・いいでしょ?僕が居たって・・・
 こっちの部屋にパソコン入れて、僕が使う・・・
 もうひとつの部屋であなたは休んでください・・・
 そうすると、一日中、ジニョンにも逢える・・・あ、セヨンssiにも・・・」
ドンヒョクは付け足したように言った

「いいわよ、気を遣わなくったって・・・」 セヨンは小さく彼を睨んだ

「何、二人で言い争ってるの?」

その時、寝ていると思ったジニョンがふたりに声を掛けた

「言い争ってなんか、いないよ」

「あなたたち、まるで、本当の親子みたい・・・」 ジニョンがそう言った

「ちょっと、こんな大きな子供いる年齢には見えないはずよ、私」

「じゃ、姉弟?・・・にも・・・見えないけど」

「ま、何でもいいわ。とにかく、あなたの旦那様は、
 ここを仕事場にするらしいわよ」

ドンヒョクは憎まれ口をたたくセヨンの横を笑いながら横切り、
ジニョンのベッドに近づいた
そして、ベッドの端に腰を掛けて、ジニョンの頬にキスをした

「おはよう・・・ジニョン」

「その光景も、私は毎日見せられるわけね・・・
 どうぞどうぞ・・・ご勝手に・・・私、食事してくるわ」

「行ってらっしゃい」
ふたりの声を背に、セヨンは後ろ手を振って病室を出て行った

「ドンヒョクssi・・・本当に?仕事をここで?
 不便じゃない?」

「ちっとも・・・もともと、僕の仕事は在宅でも可能だし・・・
 外の仕事は、他のスタッフに委ねる
 外国の仕事もレオ達が完全に引き受けてくれる・・・
 僕はここで、指示を出すだけ・・・お陰で楽できる」

「あなたが、楽な仕事で満足とは思えないけど・・・
 でも、あなたと離れないでいられるなら・・私、素直に喜んでいい?」

「ああ、いいよ・・・それに僕は無理をしているわけじゃない・・
 したいようにしてるんだ・・・
 どうせなら仕事辞めたっていいくらいだけど、
 僕には守らなければならないスタッフもいるからね
 だから、これが皆にとって最善策・・・そして・・・
 君が、この子と戦う期間、僕も一緒に戦う・・・」
そう言いながらドンヒョクはジニョンの腹部に視線を向けた

「ドンヒョクssi・・・今・・・この子・・って?
 この子と戦う?そう言ったの?」

「おかしい?」

「ううん、ううん・・・おかしくない・・・」

ジニョンはドンヒョクの首に腕を回して、滲んだ涙を隠した

   ドンヒョクssi・・・

   あなたがいれば・・・あなたがいれば・・・

   私は本当に頑張れるわ・・・

 


その日の内にテジュンが病室を訪ねて来た

「どうだ、気分は・・・しかし、凄い部屋だな」
そう言いながら彼は、病室を見渡していた

「最高よ・・・ずっと、ドンヒョクssiがそばに居てくれるし・・・」

「それは、それは・・・」

「それより、テジュンssi・・・忙しい時にこんなことになってしまって
 本当にごめんなさい・・・」

「ああ、それは全く心配ない・・・
 お前の代わりを、アナベルとユンヒが動いてる」      

「アナが?あの子、もう仕事から離れたんじゃ・・・」

「ああ、でも、自分から働かせてくれと言って来た
 ジニョンssiの代わりになりませんかってな・・・」

「私の?」

「お前のやりかけのプロジェクトを引き継がせてくれと」

「・・・・・・」

ジニョンは自然と零れる涙を拭うのを忘れていた
傍らに腰掛けていたドンヒョクが自分の掌でそっと拭ってくれた

「とにかく、心配するな・・・二人の方が若くて、優秀でもある。
 だから、お前の復帰はゆっくりでいい・・・といっても
 余り長くは駄目だぞ。期限付・・・そうだな、子供が生まれて
 うちの保育所でも預けられる位になる頃まで、休職扱いにしておく。」

テジュンのおおらかな笑い声が病室に響き、ジニョンもドンヒョクも
テジュンの話しに心が和んでいた

「じゃ、余り長居できないからな、この辺で・・・又来る・・・
 そのうち、アナベルもやってくるだろう・・・」

「ええ、待ってると伝えて・・アナに・・」

「ああ、伝えておくよ」

テジュンを送ってドンヒョクも病室を出た

「テジュンssi・・・ありがとう・・・」

「いや、俺は何もしてない・・・いや、何も出来ないさ・・・
 お前だけだぞ・・・あいつのそばで、あいつを守れるのは・・・
 そうだろ?」

ドンヒョクは黙って彼に頷いた

「それより、テジュンssi、ユンヒは?」

「特に何も・・・今は仕事に慣れるのに忙しいだろう
 しかし、お前の忠告はありがたく聞いておく、とだけ言っとくよ」

「そう・・・」

ドンヒョクは嬉しそうに微笑んだ

 

「疲れた?」

「ううん・・・全然・・・検査終わった後から、不思議と痛みも無くなった
 直ぐにでも、仕事復帰したいくらい・・・」

「何言ってるの・・・仕事は駄目だよ・・・このまま、辞めて、
 僕のそばにずっと居てくれたらいいのに・・・」

「え~またそんなこと・・・仕事今まで以上に楽しくなってるのに・・・」
ジニョンはそう言って唇を尖らせて見せた
ドンヒョクはやっといつもの彼女に戻ってくれたようでホッとした

「分かってるよ・・・分かってる・・・いいよ、続けても」

「ホント?」

「ああ、ホント・・そして僕と一緒に並んで歩くんでしょ?」

「えっ?・・何のこと?」

「何でも無い」

「え~何なの~教えてよ~」

 

   君が甘えて僕の胸に拳をふるう

   僕はそんな君がこよなく愛しい・・・

   ジニョン・・・そうだよ

   セヨンssiが言ったように、一緒に並んで歩こう

   前を向いて・・・しっかり並んで歩こう

   時には君の横顔を眺めながら・・・

   そして時には立ち止まって互いにみつめ合いながら・・・

   いつまでも・・・そうやって、生きていこう・・・


      いつまでも・・・


       ・・・どこまでも・・・


     

 


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hiro305
後ろをついて行くのではなく、同じ方向を向いて並んで歩く・・・私の結婚の理想です。ドンヒョクとジニョンに理想を重ね合わせて、今の苦しみと困難を2人で乗り越えて欲しい!その先にはきっと神様のご褒美が・・・ 2010/03/18 21:51
ヨンkiss
ジニョンが無事赤ちゃんを産めますように・・・ドンヒョクの子が誕生しますようにと、ただ、ただ神様にお願いするだけ・・・・・神様(kurumi様)どうかドンヒョクとジニョンの子供が見れますように・・・☆ 2010/03/18 16:02
 
 

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