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IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1377349/1610031
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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 24 HIT数 6317
日付 2010/02/28 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 24.ジニョンの凍った心
本文
 



            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi







 

  


ふたりの車がソウルのアパートに着いた時は、とうに0時を回っていた
ドンヒョクが駐車場に車を入れて、エンジンを止めても
ジニョンはいつの間にか本当に眠ってしまったらしく、ドンヒョクの肩に
寄りかかったまま動かなかった

「ジニョン?・・着いたよ」 ドンヒョクが彼女の頬に触れても
彼女は目を覚ます様子がなかった

ドンヒョクがジニョンの顔を覗きこむと、ジニョンは何事もなかったように
無垢な顔で眠っていた
彼は少しの間、このままにさせてあげようと思った

ドンヒョクは背もたれに背中を預け、ジニョンの背中から腕を回すと、
彼女の頭を自分の胸に静かに抱いた

ドンヒョクは疲れ切っていた
そしていつの間にか自分も深く眠ってしまったようだった
気がつくと、胸に抱いていたはずのジニョンの姿がそこになかった
「ジニョン?・・ジニョン!」
ドンヒョクは彼女の名前を叫びながら、慌てて車を降りた

すると、エレベーターホールへ向かう入口から、ジニョンが現れた
ドンヒョクは彼女に向かって走っていくと、突然彼女を抱き寄せた
「何処に行ってたの!」

「く・・苦しい・・わ・・ドンヒョクssi」

「あ・・ごめん」 ドンヒョクは慌てて体を離した

「これ・・取りに部屋に・・」
そう言って、ジニョンは腕に抱えたブランケットを自分の顎で指した
「あなた、気持ちよく寝てるし・・起こすの可哀想かなって・・
 ちょっとの間だけ、ここで休ませてもいいと思ったの・・
 でも風邪引くといけないから・・」

ドンヒョクはまたジニョンを引き寄せ抱きしめた
「そんなことしなくても・・・起こしてくれれば良かったのに・・」

「ん・・・」

「帰ろう・・」

「ん・・・」



家に戻ると、ジニョンは“もう遅いから”と先に床についた

ドンヒョクがシャワーを浴びて寝室に行くと、ジニョンは
既に眠っているようだった

   いつものように君の隣に身体を滑らせ、君に寄り添う

   僕が君を後ろからそっと抱いて包み込むと、
   君は少し体を硬くした

「眠ってなかったの?」

「うん・・・」

「大丈夫?」

「心配しないで・・・ちょっと疲れただけ」

「・・・・ごめん・・・・」

「どうして謝るの?」

「・・・・・」

「謝らないで。」

   君は僕の顔を見ないまま、そう言って黙った


なかなか眠れなかったドンヒョクは、夜中に何度も目を覚ました
その都度、自分の横を見てホッと胸を撫で下ろした
ジニョンが、まだ深い眠りの中にいてくれたからだ

ドンヒョクは彼女を起こさないように注意しながら
そっと抱き寄せその額に何度もくちづけた

   朝方になって、やっとまどろんだ頃、
   隣に君がいないことに気がついて僕はひどく慌てた

   思わず飛び起きて、君の名前を呼びながら、リビングへと走った

   君はキッチンで朝食の用意をしていた


「おはよう・・・」

「おはよう・・・早いね・・・」

   僕は慌てた自分を取り繕った


「今朝は少し早く出掛けるの・・・ごめんなさい
 昨日言い忘れちゃった・・・」

「そう・・・」

「ドンヒョクssi、ジョギングから戻ったら、食べるの忘れないでね・・・
 あなた、見てないと何も食べない時有るから・・・」

「わかった・・・ちゃんと食べる」

「今日はそんなに遅くならないと思うわ」

「ん・・」

「ドンヒョクssiは?」

「僕も早く帰って来る」

「そう、じゃあ、夕飯は一緒に食べられるわね」

  ジニョンはいつもと変らなかった・・・
  よくおしゃべりをして・・・よく笑った

  ・・・いつもの君・・・
  それなのに突然、君はホッとひとつ大きな溜息を吐いた

「ドンヒョクssi・・・私、もう出るわね・・・」

「もう?ちょっと早過ぎない?」

「ううん・・お客様に頼まれていたことがあって・・
 うっかり、申し伝え、忘れちゃったの・・」

「送っていこうか?」

「ううん、大丈夫」

「無理するなよ・・昨日具合が悪かったんだろ?」

「えっ?・・ああ、ジェニーが言ったのね
 あの子ったら、ちょっと大げさなのよ・・大丈夫
 ホテルの先生も軽い過労だろうって・・」

「病院に行った方がいいんじゃない?」

「ドンヒョクssi・・ホテルの医務室の設備、結構診療所並みよ
 そうしたのはあなたでしょう?・・心配いらないわ」

   君はいたずらっぽく笑ってみせてリビングを出て行った
   いつもの屈託の無い笑顔の君・・・

   でも何故かいつもと違う君・・・

   何が違うかわからない・・・


「あ・・じゃあ・・行ってきます」
「ジニョン!」
     
      玄関まで追ってしまった僕に君は少し戸惑っていた
「何?」

「いや・・・具合悪かったら、無理しないで帰っておいで
 今度は、ちゃんと僕にも連絡入れて」

「わかったわ」


   ジニョン・・・

   君の心が・・・捕まえられない・・・

   それは・・・僕の思い過ごし?

 



 

「ソ支配人、お手紙が届いています」

ジニョンがホテルに着くと、ヒョンチョルが手紙を手渡してくれた

「ありがとう」 ヤン・ユソクからだった



ジニョンは、休憩時間に屋上へ上がり、少し渇いた空気を吸った
しばらくして
朝早くにもらっていながら、しまわれたままになっていた
ヤンからの手紙をポケットから取り出した
そして小さな溜息を吐いた後、やっとその封を切った


   ジニョンさん   今になって思えば
   あなたに初めてお会いした時の私の感情と言ったら
   確かに奇妙でした

   懐かしさ・・愛しさ・・そして何故か苦しかった

   あなたが私のジニョンに似ていたから・・・
   最初はそう思っていました

   でも、違っていたんですね・・・
   あなたは私の・・・いいえ、ジニョンの娘だった

   私はあなたに何も望む資格はありません。ただ・・
   あなたのお父様とお母様に、感謝申し上げたい

   あなたをこんなにも心優しく、明るく、
   太陽のような女性に育ててくださったこと

   そして、何より、ジニョンの心をあなたの中に
   残してくださったことへの深い深い感謝を・・・

   ジニョンさん、私はあなたが・・・いいえ、私のジニョンが言うように
   こちらで・・・妻のもとで暮らします
   彼女が生きている間に愛してやれなかったことを詫びながら
   彼女の魂を見守り、生きて行きます


   ジニョンさん、これから先・・・
   私があなたとお目にかかることはきっと無いでしょう・・・

   わかっています・・私には、それ位の罰では足りはしない。

   でもただひとつだけ、お願いがあります

   アナベルをどうか恨まないでやって欲しい
   できるなら、あの子を妹と認めてやって欲しい

   あの子の寂しさを、あなたならきっと理解してくださると信じています

   そしていつの日か
   あの子がフランクのことを整理できたその時に
   あなたの妹として抱いてやって下さい

   私は、結局、誰も・・幸せにしてやれなかった
   このふがいない父に免じて・・・どうか、アナベルを・・・
   最後に我侭をもうひとつ・・・
   この手紙の中だけでいい・・・
   あなたの名前を呼ばせてください


   ジニョン

   ジニョン・・・    元気で・・・

   そしてフランクと共に未来を歩いてください・・・ 

 
                   ヤン・ユソク

 

ジニョンはヤンからの手紙を静かに封筒に戻した
読み終えた後、不思議とヤンへの憎しみが無いことに気がついた

可哀相な人・・・哀れみがそうさせたからかもしれない
その代わり、父への思慕らしいものも生まれなかった

ただ・・・
   アナベル・・
   あなたが、ドンヒョクssiのことを整理できたら・・・

   そんな日が・・・いつの日か訪れるの?

   私があの人を父と呼ぶことはきっと無い

   もしかしたら、もう会うことすらないかもしれない

   でも、アナベルは、私のたったひとりの妹・・

   何の因果か、私と同じ人を愛してしまった・・血を分けた妹

   私だって・・あの子の心は救いたい 

   でも、それは・・私に・・できることなの?・・・

 

その時だった。ドンヒョクからの電話の着信がポケットを振動させた

「どう?具合は・・・」

「大丈夫よ・・・ドンヒョクssi・・・心配しないで・・
 今、接客中なの・・・後から掛け直すから」


   「接客中」・・・嘘をついてしまった

   あなたに・・・私は何を言いたいのだろう・・・

 


後から掛け直す・・・そう言いながら、ジニョンからの電話は無かった

この日、ドンヒョクの頭の中は、ジニョンのことでいっぱいだった
自分の身にどういうことが起きていようとも、仕事は支障無くこなす
それがシン・ドンヒョクのシン・ドンヒョクたる所以でもあった

それなのに一向に仕事が手につかない
ところがドンヒョクは苛立っている自分に気がつかなかった
会議中にも関らず、時折フッと溜息さえ吐いていた

先に、そばに居たスタッフ達が、ドンヒョクの異変に気がついた
いつもなら、それにさえ敏感に反応するドンヒョクが、スタッフの
自分を見る視線にさえ気付いていないことが、奇異だった

そんなドンヒョクにミンアが声を掛けた

「ボス・・・」

「ん?」

「この案件ですが、この内容で進めてもよろしいでしょうか」

ドンヒョクはやっと、差し出された資料に目を通し、OKサインを入れた
同席していたスタッフも何故かホッとして、会議室を後にした

「どうしたらいいんだ・・・」

ドンヒョクが誰に言っているわけでもなく、ポツンと呟いた

退席しようとしていたミンアはそれを聞き逃さず、即座に答えた

「ボス・・・本日は特に重要な打ち合わせも、来客もございません」

「えっ?」 ドンヒョクはミンアの言葉に驚いて、振り返った

「いえ、ただの報告です」

「事務所・・空けてもいいかな」

「はい、問題はないかと」

「レオから重要な連絡が入ることになってる」

「明日までにご報告できるように、まとめておきます
 緊急の場合はご連絡差し上げます」

「ああ、頼む」 ドンヒョクはホッとしたように小さく微笑んだ

「はい、かしこまりました」 



ドンヒョクは事務所を出たその足でホテルに寄ってみた
仕事中のジニョンに気付かれないように彼女をそっと探した
ジニョンは受付で客の相手をしていた

いつものような溢れる笑顔
君のその笑顔で今日もその客は気持ちのいい一日を送れたのだろうね

ジニョンがドンヒョクに気がついて、笑顔を向けて近づいてきた

「どうしたの?ドンヒョクssi・・・お仕事?」

「いや、今日はもうこれから帰る
 君もそろそろ退勤時間じゃないの?迎えに来た」

「ドンヒョクssi・・・仕事のときは余り迎えに来ないでって
 言ったでしょ」 ジニョンは困ったような顔をした

「わかってるよ・・・でも来たかった・・・駄目?」
ドンヒョクもまた困った表情を作って見せた

「車は駐車場?」 結局ジニョンは降参したように首を傾げて言った

「ああ」

「じゃ、10分待ってて、駐車場に直接行くわ」
そう言いながら、ジニョンは少し急ぎ足でフロアを去った

 

   車の中で待っていると、
   君が息咳切って走ってくるのがサイドミラーに写った
 
   慌てるな、ジニョン・・・あぶないよ


「ドンヒョクssi,お待たせ」

「このまま、食事に行かない?」

「ええ、いいわよ・・・何食べる?」

「何でもいいよ・・・君の食べたいもの・・・」

「そうね・・・うーん、でも特にないな・・・
 やっぱり家に帰りましょうよ。家で食べたい」

「そう?じゃあ、そうしようか・・・
 僕が久しぶりにフルコースを・・なんてどう?」

「いい、いい、手伝うわ」

 

ホテルの帰りに食材の買い物をして家に戻り、二人でキッチンに立った
ベランダに皿を並べて料理を乗せ、キャンドルに灯りを灯した
少し夕闇がかった空と、キャンドルとのコントラストがとても美しかった

   君との団欒・・・君の笑顔が僕の活性剤・・・

   いつもの君の笑顔と・・屈託無く笑う声と・・  
   僕を見つめる優しい瞳が目の前でくるくると動く・・・
   いつもと変らない君と僕・・・

   だけど・・・


「ねぇ、ジニョン・・・
 僕に何か言いたいことある?」

「何を?」 ジニョンは目を大きく見開き、きょとんとして見せて言った

「・・・・・」 ドンヒョクは何も答えなかった

「何のこと?ドンヒョクssi・・・」 ジニョンは首を傾げて再度聞いた

「君の心が・・僕にない・・・」

ドンヒョクは足元に視線を落として、ぽつりと言った
ジニョンは彼のその言葉に一瞬顔色を変え、直ぐに作り笑いをした

「何を言ってるの?私はこうして、いつものように
 あなたのそばに居るわ」

「気にしてるんでしょ?」 ドンヒョクは今度はジニョンの目を見て言った

「気にしてるって、何を?」
「・・・・・」 
ドンヒョクはただ彼女の心の声を聞くかのように彼女を見つめていた

「私が何を気にしてると言うの!アナベルこと?あなたのこと?
 それともあなたとアナベルのこと?」

「・・・・・」 
ジニョンの強い言葉にドンヒョクはしばらく返す言葉を失っていた

「妹だもの・・・気にしてるわ」

「・・・・・」

「何が言いたいの?あなたこそはっきり言って!
 あなたが信じろ、と言った・・・だから信じてる。
 あなたの心が例え。アナベルに傾いたとしても。」

「傾いてない!」

「だったら、問題ないでしょ?
 あなたが信じろと言えば信じる!そう言ったはずよ」

「信じていい」

「だったら!どうして気にするの?
 だったら!どうして、謝ったりするの?
 どうして!私の醜い気持ちを、覗こうとするの?

 私が・・・あなたとアナベルを見て一瞬でもあの子を憎んだ気持ち
 あなたには見せたくない、そう思ったのに・・・
 私の・・・醜い心・・
 どうしてこのまま隠させてくれないの!」


   さっきまで笑顔だった君を一瞬にして、
   僕のひとことが悲しく変えた

「ジニョン・・・」

ジニョンはこの時、ドンヒョクに自分の隠した想いをさらけ出して、
激しく泣いた

「ジニョン・・・ごめん・・」 ドンヒョクはそう言うと、
椅子に座ったジニョンにひざまずいて彼女を胸に抱いた

「離して・・・」

「嫌だ」


「離して!」

「嫌だ!」


「あなた・・・ずるい・・・私を・・・何だと思ってるの・・・
 あなたを愛してる・・・どうしようもなく愛してる
 あなたの心がいつも欲しいのは・・・私の方よ・・・」
ジニョンはまるで心を搾り出すようにして言った


「愛してる・・愛してる・・愛してる・・愛してる・・愛してる・・
 僕をひとりにしないで・・・君の心がそばに無いと・・・
 君が例え笑顔を向けてくれていても・・
 君の心に僕の心が敏感に反応するんだ・・・

 それだけで・・・僕は・・・何も・・・できない・・・
 君の心が隣にないと・・・僕の心は死んでしまう・・・
 僕は・・・本当に・・・生きられないんだ・・・
 お願い・・・僕をひとりにしないで・・・」

ジニョンは少し躊躇いがちにドンヒョクの頭を細い腕で包んだ
そして、頬を彼の頭に摺り寄せ、その髪を泣きながら撫でていた


「あなたって・・・・・本当に・・子供・・・」


   あなたって・・・どうしようもなく・・・・

 

       ・・・私だけのもの・・・

  
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


   


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tomtommama
気丈なジニョンが本音を吐露した姿が印象的で、それに反応するドンヒョクの姿にも心臓が掴まれてしまいます。辛いけれどお互い本音でぶつかる姿に脱帽。。。ふぅ~っ。。。 2010/03/04 23:20
tomtommama
ジニョンを愛して 少しずついろいろな感情。いろいろな愛を知ってきている段階なのかしらね。率直に言うのも愛。それを辛く思うのも愛なのね。 2010/03/04 23:15
akanenoai
いつもジニョンの事で心が怯えてるドンヒョクが切ないですね、又別の物語Ⅱを読めて嬉しいです、待ちどうしくて。 2010/03/01 19:04
hiro305
昨日は涙でレスが入れられませんでした。このJとDのお互いへの愛と不安を読んだらアナの一途さも霞んでしまった・・以前のはJが物分りが良すぎるな~と思ったので書き直された方は切なさが一段と増しさすがです。 2010/03/01 15:45

今日もまた・・職場でドンヒョクワールド・・・・・。いくら愛しても・・愛されても・・不安を抱えるのはなぜ・・・・この年(数えたくないほどの)になっても切なさは身にしみる・・。 2010/03/01 12:11
 
 

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