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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 28 HIT数 5736
日付 2010/03/10 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 28.何もいらない
本文


 

 




            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






ジニョンは病院で検査を受けた

担当はセヨンの後輩の外科医師ソンだったが、彼の話では
やはりジニョンの妊娠は間違いないだろうとのことだった

検査室にジニョンが入ってから一時間が経過した
長引いていることにセヨンは嫌な予感がしていた


    妊娠していた?・・・


その事実を突きつけられて、ドンヒョクの驚きは計り知れず
検査の経緯を待ちながらも、ジニョンの体調の変化に
気づくことすらなかった自分を責めていた

 

一時間が経過した頃、医師がドンヒョクとセヨン、ヨンスを呼んだ

「12週に入ったところです」 
医師はまず妊娠の状態から説明しようとした

「それで、どうなの?」 しかし、セヨンはその先が知りたかった

「はい・・問題が・・あります」

「何?」

「何です?」 ドンヒョクもセヨンにかぶせるように聞いた

「恐らく・・・・・・」 ソン医師は言い難そうにしていた

「何!はっきり言いなさい!」 
セヨンは40近いだろうソン医師を子供のように叱責した

「・・・・恐らく・・・術中八苦、子宮けい癌かと・・・・」

「やっぱり・・・子宮けい癌・・・」 セヨンは納得したように呟いた

「はい・・でも、早期発見かと思われます・・・
 妊娠のお陰で早期発見に繋がったと・・・不幸中の幸いです・・」

「それで!!」

ドンヒョクが医師に噛み付かんばかりに言い寄った

医師はドンヒョクの恐ろしいばかりの形相にたじろいで、思わず後ずさった

「ドンヒョク!・・落ち着きなさい」 セヨンがすかさずドンヒョクを嗜めた

「落ち着く?」 ドンヒョクはセヨンまでも睨み付けた

セヨンは呆れたように溜息をひとつ吐いて、ドンヒョクの肩を押した
「とにかく座りなさい。」

「それで、いつ具体的な検査を?」 セヨンが改めてソン医師に聞いた

「はい、お腹に子供がいるので、慎重を期さなければなりません・・
 取り急ぎ明日、組織診をと考えています」

「そう・・・それで、子供の方は?」

「今のところ、問題ありません。・・が・・・もし・・」

「もし?!」

ドンヒョクは医師のひとことひとことに敏感に反応し、詰め寄った

「もし、組織診の結果次第では、堕胎も・・・・ということね」   

セヨンが先に口を開いた、そして後をソン医師が続けた

「はい・・・結果がⅠa以上だと、早期に手術が必要となるでしょう・・
 それ以下であれば何とか、子供の成長をぎりぎりまで待って・・・
 帝王切開ということもできます・・・」

「そうね・・・」 セヨンは頷き、ソン医師に同意した

      

ドンヒョクの頭の中は真っ白で、ソン医師の話もセヨンの話さえも
どこまで聞いていたのか自分でも分からなくなっていた

どれくらいの時間が経ったのか、セヨンに声を掛けられて、
やっと我に返ることができた

「ドンヒョク・・・ジニョンに・・このこと、知らせないといけないわ
 検査は全身麻酔じゃないし、無理をさせない為にも
 何の検査かはっきり伝えた方がいい」 セヨンがそう言った

「そんなこと・・・言えない・・・そんなこと・・・」 
ドンヒョクは動揺して首を横に振るだけだった

「何を言ってるの!しっかりしなさい!」 
セヨンはドンヒョクに渇を入れるように叱咤した

「ドンヒョク、まだ希望はある。
 お医者さんが言っていただろ?早期発見なんだ・・・
 不幸中の幸い・・・そう思おう
 とにかく結果を待とう・・・何なら・・ジニョンには私から伝えようか?」

ヨンスがドンヒョクに向かって宥めるように、彼の肩に手を置いた

「・・・・・・」

うなだれたままのドンヒョクは、ヨンスの言葉に返事もしなかった

ヨンスとセヨンは顔を見合わせて、いつもと余りに違う
ドンヒョクの様子に困惑していた

少し間を置いて、ドンヒョクがやっと口を開き呟くように言った

「大丈夫です・・・僕が・・・言います・・・」 

「そうか・・・少し落ち着いてからでいい・・・」
ヨンスはホッとしたように、ドンヒョクの背中を撫でた

 


ジニョンが目覚めた時、ドンヒョクはジニョンの手を握ったまま
彼女の顔の横に自分の顔を添わせるように、ベッドに顔を乗せていた

「ドンヒョクssi・・?・・」 ジニョンの少し弱い声が聞こえた

「ん?・・・目が覚めた?」

「うん、ドンヒョクssi・・・ごめんなさい・・・驚かせちゃって」

「僕こそ・・・ごめんよ
 君の体調の変化に気付かなかったなんて・・・本当にごめん・・・」

「私・・赤ちゃんがいるのね・・私の赤ちゃん・・・
 今まで気が付かなくて・・・ごめんなさい・・・」

ジニョンは自分のお腹を優しくさすりながら嬉しそうに言った
    

ドンヒョクは、ベッドに横たわるジニョンに覆いかぶさるように
彼女を優しく抱きしめた

「ドンヒョクssi・・・
 私ね、早く赤ちゃん欲しかったの・・・
 あなたに早く家族を作ってあげたかった
 私、沢山、赤ちゃん生みたい・・・
 そして、あなたにいっぱい、幸せをあげたい・・・」

「僕は君がいれば幸せだ」

「わかってるわ・・・フフ・・・でも、自分と血が繋がった子・・・
 あなた・・もっともっと、幸せになるわ・・・」

「ジニョン・・・僕は君だけでいい・・・」

「ドンヒョクssi・・・どうしたの?子供欲しくなかった?」

「君だけ・・・いてくれれば・・・それでいい・・・」

「・・・・ドンヒョクssi?・・」

ジニョンはさっきから、ドンヒョクの浮かない表情が気になっていた

「ジニョン・・・明日、検査がある・・・」

「検査?何の?」

「君の・・・子宮に腫瘍があるらしい・・・その・・組織を調べるそうだ
 心配はいらないよ・・・さほど大きいものでもないらしいから・・・
 早期発見なんだそうだ」

「それで?その検査って・・赤ちゃんには支障無いんでしょうね」

「検査の結果がどうあれ、そのまま・・・手術する」
そう言ったドンヒョクは青ざめたように無表情だった

「・・・・・・手術って?何の?」 ジニョンの声が動揺していた

「・・・・・」

「ねぇ、何の手術?!・・・ドンヒョクssi」

ジニョンが発した大声に驚いたセヨンとヨンスが、病室に慌てて入って来た

「ジニョン!どうしたの?大きな声出して・・」

「ね、ドンヒョクssi、答えて!何の手術するの?」

セヨンはその言葉に驚いてドンヒョクを見た

「ドンヒョク!あなた、何を言ったの!」

「手術をするといったんです・・・子供はいらない。
 先生には僕が許可して、さっきサインは済ませました
 どんなに小さな腫瘍だとしても、直ぐに彼女の体から
 ひとつ残らず取り除いてもらいます」

「何、言ってるの?・・・まだ・・・そこまで、話すことじゃ・・・」

「嫌よ!絶対嫌よ!この子を・・・この子を・・・あなたの子を・・・
 お願い・・・オンマ・・ドンヒョクssiに言って・・・
 大丈夫だって・・そんなことしなくても・・・大丈夫だって・・・
 言って!・・オンマ!」

「ドンヒョク!」

「さっき、先生に聞いたんだ・・
 手術が早ければ、それだけ転移の心配も少なくなる・・・
 早期発見の今なら・・・・でも・・
 子供がいる間は手術も出来ない。」

「だからって!・・今ジニョンに言うことじゃないでしょ!」

「だから!彼女に僕の本音を言ってるんだ!
 子供なんていらない!」
ドンヒョクが、そう言ったとたん、セヨンの平手がドンヒョクの頬を叩いた

ジニョンはドンヒョクの言葉にただ、呆然として泣いていた

「いいから、こっちへ来なさい!」

セヨンはドンヒョクの腕を引っ張り、ジニョンのいる病室から抜け出した

 


「あなた!何考えてるの!今ジニョンを興奮させて、どうするの!」

ドンヒョクは、壁にもたれかかった自分の身体が脱力していくのを
体全体で感じていた

「いらないんだ・・・子供なんて・・・
 僕にはジニョンだけ・・・
 ジニョンがいなかったら・・・僕は生きていけない・・・
 子供なんて・・・いらない・・・子供なんて・・・」

ドンヒョクはただ繰り返しそう呟いていた

「結果次第で、もしかしたら、ふたりとも助かる道が有るのよ」

「結果次第?もし、結果がそんなに悪くなかったとしても、
 腫瘍があることに変わりない・・・陽性なんでしょ?
 あと三ヶ月以上もお腹に子供を抱えて、
 その間に進行したらどうする!
 あなた、医者でしょ!そんなことがわかっていて
 ジニョンを危険にさらす気か!」
ドンヒョクはセヨンに向かって狂気したかのように食って掛かった

「あの子の気持ちはどうなるの?
 あなたの子供を守りたい・・・そう思ってるあの子の気持ちは
 どう汲んでやるの?」 セヨンはドンヒョクの興奮を抑えようと、
できるだけ静かに諭すように言った

「だから、僕が・・・子供を欲しくないと言ってる!
 子供なんて、いらない!
 あなたにはわからない!
 僕がどれだけ彼女を愛してるか・・・
 まだ見ない子供より、彼女を選ぶのは当然でしょ!
 あなたに何がわかる!
 ジニョンは・・・僕の全てなんだ!
 他に代わるものなんて・・・この世に存在しない!」


ドンヒョクの言葉を聞いたとたん、セヨンの目から大粒の涙が溢れた

「私に・・・わからない?
 どうして・・・そんなことが言えるの?
 あの子がお腹を痛めた子じゃないからとでも言いたいの?
 私が・・・どんな思いであの子を育てたか・・・
 それこそ、あなたなんかに分からないわ!
 あの子に代わるものなんて、私達夫婦にだってないのよ!
 あなただけが・・・あの子を愛してるだなんて・・・
 思いあがらないで!」

セヨンはドンヒョクを強く睨みつけて、その場を去った

ドンヒョクは、ただうなだれて、寄りかかった壁から動けなかった

そばで、二人の話しを聞いていたヨンスが、ドンヒョクの肩に手を置いた

「ドンヒョク・・・
 ジニョンのこと・・・赤ちゃんのこと・・・
 もう少し、先生と相談してみよう・・・
 様子を見る時間はまだある・・・急ぐな、ドンヒョク・・
 お前の気持ちもわかる・・・
 しかし、ジニョンの気持ちも汲んでやりたい・・・
 あの子の母親も、ああやって、“子供を助けて”と懇願した
 そのお陰で・・あの子は存在してるんだ・・・
 そんなあの子の気持ち・・・私達は無視できない

 確かに・・・考える時間が沢山有るわけじゃない
 しかし、性急にことを決めないで
 もう少し、考えようじゃないか・・・
 先生や、セヨンの判断を仰ぎながら・・・
 皆で、考えて、ギリギリまで考えて・・・そして、
 最終的にはお前が決断しなさい

 そうして、決めたことなら、例えその決断が
 ジニョンの意志に反することでも、私もセヨンも
 全力でジニョンを説き伏せる
 ジニョンが第一・・・それは私達も同じ考えだ・・・
 それで・・・いいか・・・」

ドンヒョクは溢れ出る涙を拭いもせず、父の前に頷いた


「いいから、ジニョンが心配してる・・・
 そばへ行って安心させなさい
 明日は、検査だけだと言って、落ち着かせた

 お前の口からも、そう言ってやりなさい
 顔を洗って・・・
 さっきのこと、ジニョンに謝るんだよ
 私はセヨンのそばにいる・・・いいね」


ドンヒョクは黙ってもう一度父に頷いた

父が去った後も、ドンヒョクはしばらく動けなかった
壁に背中を強く押し付けて、脱力する自分の身体を
やっとの思いで支えていた

流れる涙に胸が苦しくて・・・堪えようと宙を仰いだ・・・

でも涙は少しも止まってくれなかった


   僕は・・・今・・・

      何処にいるんだろうか・・・

 


ドンヒョクの哀れな様子を、ロイに抱きかかえられたアナベルが、
廊下の向こうから見守っていた
アナベルの目からも、涙が止めどなく溢れ、嗚咽が止まらなかった


   フランク・・・フランク・・・フランク・・・

   泣かないで・・・泣かないで・・・

   ジニョンssiは・・・大丈夫だから・・・

   お願い・・・そんなに・・・泣かないで・・・

そんなアナベルの肩をロイはしっかりと力強く抱きしめていた
アナベルもまた、ロイの手を掴んで離さなかった・・・

 


   ジニョン・・・

   君がいないと、僕は

   きっと・・食べず・・・寝ず・・・動かない・・・

   そして・・・そのまま屍になる・・・


  
            脅かしてるの?
 
            ふふ・・・あなた・・・本当にやりそうだわ・・・

 


   ジニョン・・・本当だよ・・・

   僕は・・・君がいないと・・・


       本当に・・・


         ・・・生きていけないんだ・・・


                 

    



 


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ヨンkiss
ドンヒョクやジニョン、ヨンスやセヨン・・・み~んなの気持ちが分かるからとても辛いです (@_@。 2010/03/11 14:08
leapleap
うわぁ~~。。。ドンヒョクもジニョンもママもパパも皆んなの気持ちが分かるし悲しい・・・これからお仕事なのにお化粧ボロボロです・・・ 2010/03/11 11:49
 
 

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