ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
IZMCLUB別館
IZMCLUB別館(https://club.brokore.com/kurumitom2)
IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1379147/1611829
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 69M/100M
メンバー Total :261
Today : 1
書き込み Total : 1134
Today : 0
D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 32 HIT数 4494
日付 2010/09/18 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 32.私の妹
本文
 



            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






     

   
翌日アナベルが突然、病室を訪ねて来てドンヒョクとジニョンは驚いた

「アナ・・・よく来てくれたわ・・・
 この前、テジュンssiやホテルのみんなが来てくれて、話、聞いたわ・・・
 ホテルの仕事、ありがとう・・・プロジェクトも成功したって
 報告もらったの・・・みんなあなたのお陰ね・・・」

「いいえ、従業員みんなが、あなたの為に成功させようと頑張ってました
 あなたの力です・・・ジニョンssi」

「アナ・・・」

アナベルの言葉は本心からだった
どんなにいい企画を生み出す力があっても、どんなに資金力があっても、
達成できないものがあることを、アナベルはソウルホテルの仕事を通して、
実感していた

「みんなの、ジニョンssiを思う力が、成功に結びついたんです」

それは偽らざる彼女の思いだった


「アナ・・・悪いんだけど、少しジニョンをお願いしていいかな?
 ちょっと、片付けたい仕事があるんだ・・・」

ドンヒョクは、アナベルとジニョンを二人にしたかった

「えっ?ええ・・・」 アナベルは多少困惑気味に頷いた

「じゃあ、頼むね・・・隣の部屋にいるから・・・
 何かあったら声を掛けて・・・」

「あ・・はい・・・」

ドンヒョクはジニョンの頬にキスをして、その場を去った
ふたりのその様子から、少しだけ目を逸らしたアナベルがジニョンに言った

「いつも・・・仲がよろしいんですね・・・
 あっ・・・ごめんなさい・・・決して皮肉じゃないんです・・・」

「分かってるわ・・・ここへ・・・掛けて?」

ジニョンは、ベッド脇に置かれた椅子にアナベルを促した
アナベルは、ジニョンに言われるまま、椅子に腰を掛けたが
しばらくは俯いたまま口を開かなかった
ジニョンもまた無言で、そんなアナベルを愛しそうに見つめていた

しばらくしてやっと、アナベルが口を開いた

「父が・・・父が、心配してます・・・あなたのこと・・・
 でも、行くわけには行かないだろうね・・って・・・」

「ええ・・・来てくださらなくていいわ・・・
 ご心配有難う御座います、と伝えて?あなたから・・・
 私は、大丈夫です・・って」

「はい・・・」

二人の間にしばらく沈黙が続いたが、今度はジニョンから先に口を開いた

「アナ・・・私ね・・・小さい頃、妹か弟が欲しくて、母によくせがんでたの・・
 母は、私ひとりを愛したくて、自分の子供を作らなかったんだって・・・
 私・・・随分残酷なこと言ってたのね・・・母に・・・

 その欲しかった妹が、私の知らないところで人生を送っていた・・・
 そして、その子が心から愛した人と、私は出逢って・・・愛し合った・・・

 不思議な縁ね・・・あなたと私が一緒に生活していて、その中で、
 ドンヒョクssiに出逢っていたら・・・どうだったかしら・・・
 そう考えたことがあったの・・・私は彼をあなたに?・・・いいえ、
 どんな世の中でも、どんな状況でも・・・私は彼を離せない・・・
 あなたが、彼を心から愛してる・・・その気持ちは痛いほど良く分かる・・・
 でも、ごめんなさい・・・私は・・・」


「分かってます・・・ごめんなさい、正直言って・・・まだ、
 時間が掛かります・・・あの人を忘れること・・・簡単じゃないんです
 想い過ぎてしまいましたから・・・

 私・・・あの人だけを・・・心に刻んで・・・生きてきました・・・
 あなたが、姉だと分かったからといって、彼が私を愛せないからといって・・・
 たやすく消せるものではないんです・・・

 でも、大丈夫です・・少しずつ・・・私の心から、
 あの人を切り離していきます
 そうしないと、私の心が壊れそうですから・・・

 不思議なんです・・・
 ホテルの仕事している間、少し彼を想わない時間がありました
 前は、仕事をしていても、頭の片隅に彼がいたんです・・・
 あの人に認められたい・・・いつも、そんな仕事してました・・・

 でも、今回の仕事は、私のため、みんなのため、ジニョンssiのため・・・
 そう思って成し遂げました・・・
 完成した時、何とも言えない達成感を味わうことが出来ました・・・
 アメリカに帰ったら、しばらくは仕事に全力を尽くします・・・」


「いつ、アメリカに?」

「あなたの・・・あなたとドンヒョクssiの赤ちゃんが生まれたら・・・
 赤ちゃんの写真、撮っていく約束なんです・・・父との・・・」

アナベルが、にっこり笑ってジニョンに言った

「そう・・・」

「ジニョンssi、お願いがあります・・・
 いつか・・・いつの日か・・・父に・・・あなたの子供を・・・
 抱かせてやって頂けませんか・・・
 可哀相な人なんです・・・いつまでも愛した人を想って生きてきた
 不器用な人なんです・・・私、父にそっくり・・・
 でも、安心して下さい・・・私は父のようにはなりません・・・
 いつか、きっと、自分に戻ります・・・」

「ロイさんは?・・・」

「ロイ兄さん・・・最近・・・以前の兄さんと違うんです・・・
 私に対して・・・妙に積極的で・・・
 毎日、毎日、顔を合わせる度に言うんです・・・」

アナベルが、思い出したように笑った

「何て?」

「愛してる・・・愛してるって・・・僕の顔をちゃんと見てって
 僕の声を聞いて・・・って・・・真面目な顔して、でも、なんだか
 私、吹いちゃうの・・・照れくさくて・・・だって、小さい頃から
 知ってる、お兄ちゃんなんだもの・・・」

「誰の影響か、わかるわ・・・」

ジニョンも思い出し笑いのようにくすっと笑った


「でも・・・いつか、いつの日か、きっと・・・ロイ兄さんの・・・
 いえ、ロイの顔しか見れない日が、彼の声しか聞こえない日が
 来るような・・・予感がします・・・まだ、遠いですが・・・
 彼が、待っていてくれるなら・・・」

「そう・・・」

「ジニョンssi・・・今日はこれで・・・仕事のご報告に来ただけですから」

「ええ・・・あ、ドンヒョクを呼ぶわ」

「あ・・・いいえ、このまま・・・失礼させてください・・・
 また、来ます・・・お大事に・・・」

「ええ、ありがとう・・・」

アナベルは穏やかな笑顔をジニョンに残して、病室を後にした、
しかしその時、ドンヒョクのいる部屋に視線を向けたアナベルの顔が
一瞬寂しそうに見えたのを、ジニョンは気付いていた

   アナ・・・ドンヒョクssiと会うのが辛いのね・・・

 

アナベルが帰ってしばらくすると、ドンヒョクが仕事部屋から出てきた

「アナは帰ったの?」

「ええ・・・残念?」

「何、それ・・・」

「ヤン氏が、私のこと・・・心配してるんだって・・・」

「そう・・・」

「お見舞いにも来たいらしいわ・・・」

「そう・・・」

「私達の子供にも・・・会いたいらしい・・・」

「そう・・・」

「そう、そう・・って、他に何かないの?言うこと・・・」

「他にって?何言えばいい?」

「いいんじゃない?とか・・・」

「いいんじゃない?」

「ドンヒョクssi!」

「何だよ」

「もういい!」

ジニョンは頬を膨らませてドンヒョクから顔を逸らせた

「ジニョン・・・僕何か悪いこと言った?
 ヤン氏に会いたかったら、会えばいいじゃない」

「会いたくはないわ」

「子供に会わせたかったら、会わせればいい」

「そんなこと思ってない」
                   
「ジニョン?・・僕にそうした方がいいよ、って言って欲しいの?」

「そういうわけじゃないけど」

「君の意思は?」

「・・・・・・」

「お父さんやセヨンssiに申し訳ない気持ちがあるからだろ?
 だから僕に答えを求めてる・・・
 でも、これは君が決めることだ
 君が本当はどうしたいのか・・・よく考えてみたら?」

「・・・・ごめんなさい・・・そうする・・・」

ドンヒョクはジニョンの横に座って、彼女を抱きしめた

「ジニョン・・・親は・・・子供がどんなことをしても・・・
 いつかは許すもの・・・その逆もある
 親がどんなことをしても・・・子供はいつかは許すもの・・・
 君が・・・僕に・・・そう教えたんだよ・・・
 君が、どんな決断をしても・・・お父さんやセヨンssiは、
 笑って、いつも君を抱きしめる・・・そう思わない?」

「ええ・・・そう思うわ・・・」

ジニョンはドンヒョクの胸に顔を埋めて、目を閉じた・・・

「ドンヒョクssi・・・あなたにこうして抱きしめられると
 私、気持ちがとても穏やかになる・・・
 あなたって・・・胎教にいいわ・・・きっと・・・」

「そう?」

「また!」

二人は抱き合ったまま、声をあげて笑った


「ドンヒョクssi・・・」

「ん?・・・」

「アナ・・・あの子・・・まだ、あなたのこと忘れられなくて
 苦しんでる・・・どうしてあげたらいい?」

「どうにもできない・・・」

「冷たいのね・・・」

「冷たい?・・・僕にどうしろと言うの?
 今の僕は君と子供のことで頭がいっぱいなんだ
 僕があの子に何をして上げられる?」

「・・・・・・」

「後は、あの子自身が、解決していくことだ
 君や僕がどうにかできるものじゃない」

「そうだけど・・・私の妹だわ」

「だから?」

「だからって・・・苦しさを隠して、私に笑って見せる
 あの子を見てると・・・」

「僕をあの子に譲りたくなる?」

「そんなこと・・・・
 どうして、そんな意地悪な言い方するの?」

「君が変なことを言うからだ」

「私・・・そんなつもりで言ったんじゃ・・」

「何、喧嘩してるの?」

セヨンがそこへ口を挟んできた

「何でも無いです」「何でも無いわ」
ふたりは互いに顔を背けて同時に言った

「ジニョン・・・少し体調がいいからって、喧嘩は胎教に良くないわよ
 せっかく胎教にいい子守唄聞いても、胎教にいい胸に抱かれても・・・
       

     聞こえてたの?・・・


 パパとママの喧嘩の声、悲しむわよ・・・赤ちゃん・・・

 私、ちょっと、医局に行ってくるわね・・その後、食事してくる」

そう言うと、セヨンは病室を出て行った


「ごめんなさい・・・」

「ごめん・・・」
ドンヒョクとジニョンは背けていた互いの顔に視線を戻して言った

「私って、勝手よね・・・あなたがアナといたら、きっとやきもち妬く癖に・・・
 アナを見てると・・・」

「ジニョン・・・アナは頭のいい子だよ・・・
 自分で必ず生きる術を見付ける・・・
 あの子の周りにも愛はいっぱいあるんだ・・・
 僕達は見守るだけ・・・そうしようって、決めただろ?」

「ええ・・・そうね・・・そうよね・・・」

「ジニョン?」

「・・ん?」

「・・・胎教にいいことする?
 セヨンssi、しばらく帰ってこないし・・・」

「え?」

ドンヒョクは黙ってジニョンの唇を塞いで、彼女を抱きしめた
息が続かないほどの長いキスに、思わずジニョンがドンヒョクの胸を押した

「く・苦しい・・・」

「君、キスの仕方、忘れちゃった?
 鼻で息しなさいって、教えたでしょ・・・」

「ドンヒョクssi・・・苦しいのは、胎教に良くないと思うけど・・」
ジニョンは笑いながらそう言った

「そうかな・・・じゃ、何する?」

「子守唄・・・」

「また?・・・もう僕、君に話す過去無いくらい話したよ」

「いいからいいから・・・はい、一緒にここに入って?」


   あなたのこと・・・

      いっぱいいっぱい・・・

          私に・・・教えて・・・
       



前の書き込み 物語Ⅱ 33.約束
次の書き込み 物語Ⅱ 31.子守唄
 
 
 

IMX