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IZM CLUB 
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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 33 HIT数 4200
日付 2010/09/23 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 33.約束
本文




 

  


妊娠33週目を迎えたばかりの時、ジニョンの容態が急変した
後1週間待って、検査の結果、胎児の成長を確認した上で
帝王切開の計画が進んでいた


「痛い・・・痛い・・・ドン・・ヒョ・・クssi・・・助けて・・・」

「ジニョン!ジニョン!どこ?何処が痛い?
 セヨンssi!起きて!セヨンssi!」

「どうしたの?!ジニョン・・」

「セヨンssi!病状は良好だって、言ったでしょ?言ったよね!
 こんなに苦しんでる・・どういうこと?ねっ、どういうことだ!」

「落ち着きなさい!まちがい無く問題無かったわ!
 とにかく、あなたは黙ってて!」

執拗に攻め立てるドンヒョクの腕を払いのけると、
セヨンはジニョンの背中をさすりながら言った

「ジニョン・・・ゆっくり息を吐きなさい・・・
 そう・・・ゆっくり・・・大丈夫よ・・・大丈夫・・・」

「オンマ・・・オンマ・・・ドンヒョクssi・・ドン・・ヒョク・・」


病室から処置室に移されるジニョンのその手を、
ドンヒョクは離さないまま、ストレッチャーの後を追った

処置室の前で、セヨンがドンヒョクにここで待つように告げると
ジニョンが不安げな目でドンヒョクを見あげていた
ドンヒョクは後ろ髪を引かれる思いでジニョンの手を離した


「セヨンssi!」

「大丈夫!そんな目をしないで・・・任せなさい!」


セヨンはドンヒョクを廊下に一人残して処置室に消えた


   セヨンssi・・・お願い・・・お願いです・・・

   ジニョンを助けて・・・

   子供を助けて・・・

   二人を・・・僕の・・・愛する・・・二人を・・・

   叶えられるなら・・・僕は何でもする・・・

   僕の命と引き換えてもいい・・・お願いです・・・
   どうか、どうか・・セヨンssi・・・


ドンヒョクの心に、いつのまにかジニョンだけをという思いではなく、
彼女のお腹の中で生きる我が子への愛情をも芽生えていた

 

「ジニョン・・・私を信じなさい・・・ジニョン・・・
 お腹の子が、きっと出たがってる・・・
 少し早いけど、この子を出してあげましょう・・・
 この子がこの世に・・・出たいと、言ってる・・それだけのことよ・・・」

「大丈夫なの?お腹から出しても・・・この子は・・大丈夫?」

「大丈夫よ・・・網膜も完成してる・・・肺もなんとか・・・
 今は医学進んでるのよ・・・小さくても大丈夫・・・安心なさい
 出してあげましょう・・・ね、ジニョン・・・」

「オンマ・・この子だけは・・助けてね・・お願いよ・・この子だけは・・」

「分かってるわ・・・この子だけじゃなく、あなたもよ・・・
 そうでないと、私はドンヒョクに合わせる顔がないわ。」

「オンマ・・・」

「大丈夫よ・・・あなたは安心して、私やここにいる先生方を信じなさい」


セヨンが、処置室から出てきた
ドンヒョクはセヨンに掛けより、神妙な面持ちで言葉を待った

「大丈夫よ・・・もう落ち着いた・・・
 少し早いけど明日、赤ちゃんをお腹から出すわ
 そしてそのまま、手術に入る・・・いい?あなたの承諾がいるわ」

「大丈夫なんだね・・・信じていいんだね!
 二人とも、必ず助かるね!セヨンssi!」

ドンヒョクの言葉が、責め立てるようにセヨンに突き刺さってきた

「ドンヒョク・・・手術に・・・100%の保証は無いわ・・・
 医者として、それは言えない。
 でも、母として・・・私は信じてる・・・必ず・・・成功する          
 今は・・・それだけしか言えない。・・・許して・・・」

「駄目だ。・・・絶対に成功させて!
 ジニョンも・・・お腹の子も・・・必ず僕に返して。
 いい?セヨンssi・・・必ず・・・僕に返して・・・
 そうでないと・・・許さない。・・・例え、あなたでも・・・」

「ドンヒョク・・・」

ドンヒョクの厳しい目と静かな言葉の中に、悲痛な叫びと慟哭が聞こえた

   分かってるわ・・・ドンヒョク・・・

   あなたって・・・本当に・・・どうしようもない人ね

   分かってる・・・私だって・・・二人を死なせてたまるもんですか

「信じて待ちなさい・・・あなたには恨まれたくないわ」


ドンヒョクは状態が落ち着いたジニョンと一緒に病室に戻った

「ジニョン・・・少し休みなさい・・・」

「ううん・・・大丈夫・・・眠くないわ・・・」

「でも、明日に備えて少し休んでいた方がいいって、
 セヨンssiが言ってたよ・・・」

「眠くない・・・ドンヒョクssi・・・何処にも行かないで・・・」

「行かないよ・・何処にも・・・ほら、ここに・・・
 こうして君のそばに・・・ずっといる・・・」

ドンヒョクはそう言いながら、ジニョンの手を両手で包み込んだ

「怖い・・怖い・・・ドンヒョクssi」


“病気なんて怖くない・・・”
そう言って、ずっとドンヒョクを安心させようとしていたジニョンが
明日の手術を前にして、どうしようもない不安を彼の前で曝け出した

   ジニョン・・・代われるものなら・・・

   代われるものなら・・・本当にそうしたい・・・

   どうか、その苦しみや痛みだけでも・・・僕に・・・

   ジニョン・・・僕がここで弱音を吐いたら・・・

   君が動揺する・・・だから・・・僕は・・・

「大丈夫。セヨンssiが・・先生方が必ず助けてくれる。
 僕が今まで嘘をついたこと・・あるかい?」

「ふふ・・・・ある」
ジニョンは涙を浮かべながら、笑った

「そうだった?」

ドンヒョクもまた、ジニョンの手を握っている自分の手に
額を付けて笑った

「でも今度は嘘はつかない。信じる?」

「・・・信じる」

「よろしい・・・ご褒美に何かプレゼントしよう、何がいい?」

「あなたとお話ししていたい・・・」

「そう?今日はじゃあ、何の話しようか・・・」

「そうね・・・私が入院してから、私達、色んな話したわね・・・
 私の子供の頃の話・・・あなたの子供の頃の話・・・
 私の両親の出会いから・・・あ、私の青春時代は、
 まだ話してなかったわね・・・」

「そうだね・・・でも、君の青春時代の話は、しなくていいよ・・・
 きっとかなり、おもしろくないから・・・」

「どうして?」

「そこに僕が存在しないから・・・きっと、他の男が存在してる」


ドンヒョクが俯き加減でそう言った


「やきもち?可愛い!」

「からかうな」

「私の過去にやきもち妬くなんて・・・そんなこと言ったら、
 私はもっとおもしろくない・・・私って、奥手だったから、
 お付き合いした男の人なんて、あまりいなかった・・・
 でも、あなたはきっと沢山の女の人、いたわ、きっと・・・
 あなた、話さないけど・・・」

「あまりいない、ということは・・・何人かいたんだ・・・
 テジュンssi以外に・・・」

「聞きたい?」

「聞きたくない」

「話してあげようか」

「君、僕を怒らせたい?」

「私は、聞きたいわ・・・あなたは・・・どんな人を愛したの?
 ・・・私以外に・・・」

「どうして聞きたい?聞いたってつまらないでしょ?
 それに、前にも言ったよ、愛したのは君だけだと・・・」

「本当かな・・・いたと思うけどな・・・」

ジニョンがいたずらっぽい目でドンヒョクを睨むと、
ドンヒョクはジニョンの仕草に苦笑した

「そんなに聞きたい?」

「聞きたい・・・あなたがどんな人生を送ってきたか・・・
 みんな知りたい・・・私って、欲張り?」

「・・・・・・いつの頃から話す?大学生の頃から?」

ジニョンが黙って頷いた

「学生の頃は、とにかくがむしゃらに勉強してた
 勉強してない時は、働いていたよ・・・
 養父母が学費を出してくれる、そう言ってくれたけど、
 あの頃の僕は頑なだったから・・・
 あの人達の世話にならない、そのことだけを考えてた・・・

 だから、女なんて、頭になかったな・・・
 でも、僕も男だから・・・遊びだけの人はいた・・・
 どちらかというと、僕から声を掛けるというより、
 向こうから近づいてきた・・・でも、少し付き合うと、
 僕が彼女達に関心を示さないことに痺れを切らして、
 向こうから、去ってくれた・・・気が楽だったよ・・・」


「冷たい人・・・」

「そんなこと・・・知ってるでしょ・・・
 僕は君に逢うまで、女を追ったこと無い・・・」

「愛した人、本当にいなかったの?」

「愛してた、のかも・・・そういう人はいた・・・ひとりだけ・・・
 でも、それも後で、錯覚だと分かった・・・」

「どうして?」

「彼女が他の男といるのを見て、なんとも思わなかったから・・・
 彼女は僕の気持ちを確かめたくて、わざと僕に男といるところを見せた・・・
 しかも、ベッドの上で・・・
 そうとも知らないで、僕は彼女の部屋に入って、その現場に遭遇した
 でも、何の感情もわかなかった・・・
 彼女は泣いて僕に訴えた・・・
 どうして、怒らないの!、どうして、そんなに冷たい目をするの
 僕にも分からなかった・・・でも、ひとつだけはっきり言えた
 だから、僕は自分の気持ちを率直に伝えた
 君がいなくても・・・僕は構わない・・・
 彼女はそのまま、僕から去った・・・」

「可哀相・・・」

「可哀相?僕が?」

「彼女がよ」

「どうして?彼女が裏切ったんだ」

「そうじゃないわ・・・彼女はきっと、あなたに愛して欲しくて、
 愛されていることを実感したくて、悩んだ末に、非常手段をとった
 でも、きっと、あなたの冷たい目が、彼女を絶望に追いたてた
 きっと、彼女は裏切ってなかったわ・・・お芝居だった、と思う」

「会ったことも無いのに、どうして、彼女の気持ちがわかるの?」

「わかるわ・・・あなたを愛した人の気持ちは・・・全て・・・
 同じだもの・・・きっと・・・」

「あなたって・・・人の気持ちが本当にわからなかったのね・・・
 若い頃のあなたに出会った人って、みんな可哀相・・・
 その人達が、今のあなたに出会っていたら、きっと違った出会いをしてる・・・
 でも、あなたが・・・若い頃のあなたがそんな人で良かったわ・・・」

「どうして?」

「だって・・・そうでなかったら、そこで、あなたは幸せを掴んでる・・・
 私と出逢ってくれなかったかも知れないわ・・・
 私と出逢う前に・・・運命の人と出逢ってたかも知れないじゃない?」

「ジニョン・・・それはないよ・・・運命の人は・・・半身は・・・
 この世でひとりだけ・・・
 君に出逢うために、僕はそんな青春時代を過ごしてた・・・
 それだけのこと・・・
 君と逢うことしか、僕の人生には課せられてなかった・・・
 そう思わない?」

ドンヒョクは至って真面目にそう言った

「ええ・・・そうね・・・きっとそう・・・」

「だから、思うんだ・・・君が、テジュンssiを愛したのは、
 僕に彼を引き合わせる為・・・
 僕にとって、彼は必要な友人・・・君がその人を連れてきた」

「おもしろい考え方ね・・・フフ・・・そうね、そうかも・・・」

「僕達は・・・出逢うべくして、出逢った・・・
 だから、過去に起こった全てのことが、今の僕達にとって、
 必要不可欠なことだった・・・
 そう思えば、どんなに辛いことだったとしても、
 懐かしくて、愛しい思い出になる
 結果が君だから・・・君が僕のそばにいる、その現実が有るから
 僕は君を離さない・・・どんなことがあっても離さない・・・
 分かった?だから・・僕をひとりにしたら、駄目だよ・・・
 君が離れようとしても、僕は追って行くからね・・・本当だよ・・・」

「うん・・・絶対に離れない・・・あなたを置いて何処にも行かないわ」

「約束だ」

二人はあの教会で交したように指切りをした
そして、二人だけの・・・誓約書のコピー・・・


   ああ、ドンヒョクssi・・・

   愛してる・・・愛してるわ・・・

   あなたと・・・もっともっと・・・話がしたい

   あなたに・・・もっともっと・・・愛されたい・・・

   あなたを・・・もっと・・・もっと・・・愛したい・・・


二人はそれからしばらくの間、言葉も無く、ただ抱き合っていた


   ジニョン・・・愛してる・・・

   この世に生まれてきた幸せを教えてくれた君・・・

   君は僕に幸せをくれるために生まれて来た人・・・

   君の声が・・・君の笑顔が・・・

   そして君の導く愛が・・・

   僕にひとつひとつ・・・幸せの階段を昇らせた

   まだまだ永遠に続くこの階段を

   君と共にずっと昇っていきたい・・・

   時に少しばかり後戻りしたとしても・・・

   君となら・・・それさえ苦にはならない・・・

   君の手を取って・・・君の肩を抱いて・・・

   君を見つめながら・・・僕にこのまま歩かせてくれないか・・・

   君と・・・もうすぐ生まれてくる僕の分身と・・・

   今度は三人で・・・僕達しか昇れない人生の階段を・・・

 

     ・・・手を繋いで

        ・・・昇らせておくれ・・・


           

 

 

 

 

 

 

 

 

 


   


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