番外編 【 koko の Valentine's Day♪ 直呼
(tyoko) 7話
】
不安の中でのつわりの時期も終え、呼子も研究室に復帰した。
お腹も目立つようになり、 たくましいお母さんへと変身しつつある。
定期検診も、 通常、初期は4週間に1回、中期は2週間に1回、
後期は1週間に1回の割合で行われる。
検診日は、 こちらでは決められごとではないが
多くは夫婦同伴で受診する。
両職場も理解があり、 検診日だけではなく2週間に1度程度の
出産へ向けての教室にも揃ってスムーズに参加できている。
出産への準備もふたりの職場の仲間たちが
自分ごとのようにああでもないこうでもないとそつなく用意された。
産み月半ば。
夕食も終えリビングのソファーで二人は読書を
…
いつものことながら、 直は文字を追いながら
時折、 本を手にする呼子に目を配った。
今日の呼子は、本を読みかけると ひざの上に本をおき
すぐに読書し始めるが、何度かそのような行動を繰り返している。
観察していると、
そのような行動と共に目線が掛け時計に行っている
…
「 どうかした? 」
と、 直 が声をかけたが
「
… どうして? 」
「
いいや! 」
直は、 まさか? と頭をかすめたが予定日まではまだ2週間ある。
それから数十分たった頃
「
ねえ~ 陣痛って急に来るのかしら? 」
直は 心臓の位置がはっきりわかるぐらい鼓動を感じ
「
どうして? 始まったの? 痛いの …? 」
「
そうではないんだけれど、 どう表現したらいいのかな~
下腹部というか具体的には陰毛のあたりの奥?
解剖学的に膀胱の奥? 要するに下腹部よね。」
呼子も表現にこまりながら
「
とにかく、 なんだか感じか違うの。 痛みではないのよ。
それが、 さっきから5分おきぐらに
… 」
直は心配そうに呼子の横に移動した。
「
心配ないわよ。 まだ予定日まで2週間あるわ~
今日は、 少し早いけれどもう休む
… 」
そう言いながら、 読みかけの本を閉じ席を立ちかけると
「 あっ! また
… 直さん時間見ててね。
これで終わりかもしれないけれど、 次の時に言うから… 」
すると待っていたかのように5分後に数回。
そうなると直は 心中定かではない。
「
とにかく電話する。」
と、 呼子が痛みではない。 陣痛ではないのだから
もう少し様子を見てからという言葉も聞かず、
受話器を手にとり、 ダイヤルボタンをおした。
予定日は2週間先。
心配はないと思うが、 心配だったら診察にということで
呼子は明日にしようと言ったが、 直は着替えを済ませ
大きな黒い鞄を下げ、 呼子を待った。
大きな鞄は今まで何度も中身の点検をした、
陣痛が始まったらこのかばんを
…
と、 呼子から言われていたものだった。
呼子が着替えを済ませ玄関フロアーに出てきたとき、
「
ちょくさん そのかばんはまだいらないわよ。」
「 車に乗せておくだけ … 」
呼子は今の 直 に
何を言ってもだめだと思い
そのまま階下の駐車場へ
…
病院へ着くとすぐに診察を室に案内された。
結果は、 まだ出産の兆候はないと診断された。
しかし、 直の様子を見ながら笑み医師は
「
心配でしょうから今夜はこのままお泊りになられて
明日、 もう一度診察してから帰られたらいかがでしょ~ 」
と、 呼子は小さな声で ”
えっ! ” ひと晩 ここで
…
と思ったが、 直は手続きをはじめた。
たまたまベットの空きがあったというのもあるが、
こういうのも特例中の特例だ。
私は、ベットの上に用意された寝衣に着替えベットに横になった。
直さんは
ソファーで休むと横になりものの数分で寝息が聞こえてきた。
この数時間でくたびれたのだろ~
直さんの規則正しい寝息を聞きながら呼子もうとうとしかけた時、
足のつけ根あたりが
…
何度も直さんに声をかけたが起きる様子もなく、
枕もとのナースコールを押した。
担当医ではないが医師と看護師が入ってきた。
ナースコールから 「
どうされましたか? 」
と、 返事か返ってきたが、 説明に困り
「
お部屋の方へ来ていただけませんか?」 と つげた。
部屋の明かりがつけられ
「
どうされましたか? 」
ソファーで休んでいた
直 が
状況を把握できないままむくっと起き上がった。
そして呼子に駆け寄り …
「
どうしたの? 生まれるの~? 」 と、 ひとり慌てだした。
医師が 「 先生 まだですよ。 」
あらためて、 医師が 呼子に 「
どうされましたか? 」 と …
「
うとうとしておりましたので、 ひょっとしてということも
あるかもしれませんが、 破水したかもしれません?
もし、 破水でしたら動かない方がいいかな~ と思い
ご連絡をさせていただきました。 」
呼子は、 産み月に入り排尿の回数も増え、 うとうとしている間に
おもらし? と 遠まわしな言い方をした。
ますます
直がうろたえ、
部屋から出るように注意を受け廊下に出され。
診察後看護師が廊下にいる直に声がかかり
呼子 と 直に 説明がされた。
「
少量の破水ですね。
この程度の破水は心配いりませんよ。
破水から始まるお産も、 珍しくはありません。
妊娠10ヶ月に入ってからなら、 破水して数時間以内には
陣痛が始まり、 お産が進んでいきます。
破水は本来、陣痛が始まり、 子宮口が全開に近くなった頃に
起こるものですが、 陣痛が始まる前に破水することもあります。
これを前期破水と呼んでいます。
出産の2割くらいは、 前期破水からお産が始まります。
陣痛が始まったらご連絡してください。
担当の医師には、 ご連絡を入れておきます。」
と言い残し部屋を出て行った。
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