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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367255/1904496
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秘  密
大学講師の深沢潤と人気女優の青山優。                                                実は結婚していることは秘密。                                                       そして、優には誰にも言えないもう一つの秘密が…
No 2 HIT数 8181
日付 2009/04/02 ハンドルネーム aoi32
タイトル 秘密 2 奥さまは二十歳
本文

 
  秘密 2  奥さまは二十歳


   





 

シーツの中から顔を覗かせた優は 悪戯っぽい笑顔を浮かべて潤を見た。

彼女の大きな鳶色の瞳がくるくるっと動き 彼を見つめている。


「ふふ・・。眼鏡を外した潤先生って・・何だか可愛い~!」

優はそう言うと 潤の裸の胸に頬を寄せる。


「・・・可愛い・・って・・大人をからかうんじゃない。」

潤はそう言いながらも楽しげに優の白い肩を抱き寄せる。


「あらっ、わたしも大人よ。」

優は頬を膨らませる。


「優が?」

潤はわざと大げさに驚いてみせる。


「そうよ! だってわたしは潤先生の奥さんだもの。子供は結婚なんてできないわ。」


「・・・優・・・。」


「わたし・・すごく幸せかも・・。」

優は 潤の胸の中でうっとりと目を閉じる。

「・・・眼鏡を外すと可愛い潤先生を知ってるのも

 “潤先生”って呼べるのもわたしだけ。

 先生がどんなに優しくて素敵な人か知ってるのもわたしだけ・・・

 ・・・ん? ・・それは違うかな~・・・。」



「え?」



「・・だって・・最近、深沢先生はすごい人気者だって・・。

 みんな 先生の魅力に気づき始めたみたい・・。

 わたしだけの潤先生じゃなくなっちゃうみたい・・

 何だか嫉妬しちゃうなーー!」



「嫉妬なんてしなくていいよ。僕は優以外の女性には興味がない。」



「本当に?」



「本当に。」



「・・・潤先生 大好きーーー!」

優は嬉しそうに叫ぶと また潤に抱きついた。


彼女のやわらかな胸と彼の逞しい胸が重なり合う。


温かな温もりと胸の鼓動をおたがいに確かめ合う。

 


「僕も大好きだよ 優。」


「本当に?」


「本当に。」


「・・結婚したのに一緒に暮らせなくても?」

優の瞳が微かに揺れる。


「こうして時々会えればいいよ。」

潤は明るく笑う。


「手をつないで歩いたり 映画を一緒に観られなくても?」


「うん。」


「・・結婚したことは秘密なのよ・・それでも・・?」


「うん。 ・・・優は? 優の方こそ 僕でいいの?

 僕は 女優の青山優には何もしてあげられない。」



「・・・わたしは 潤先生がいてくれるだけでいいの。

 先生の奥さんになれただけで夢みたいだわ。」



「・・・優・・。」



「ずっと潤先生を見つめてきたの。・・初めて会った時から・・ずっと。

 初恋も 初めてのキスも 初めての夜も・・みんな潤先生だった・・。」



「・・・・・」



「先生?・・何 赤くなってるの?」



「え・・?」



「やだっ、もう・・潤先生・・かわいいーーー!」



「・・だから・・大人をからかうんじゃない。」



「大好きよ! 潤先生。」

優は嬉しそうに叫ぶと また潤に抱きついた。


潤はあきれたように笑いながら 優の髪をいとおしそうに撫でる。


そして 彼女の髪に顔を埋め綺麗な額にそっと口づけをする。


優はくすぐったそうに笑う。

 

「・・・大好きだよ 優。」

 

「うん・・。・・・わたしも 潤先生のこと・・大好き・・・。」

 

潤の温かくて逞しい胸の中で 優は目を閉じる。

 

「・・・本当に・・好きなの・・・。・・・本当よ・・。」

 

優は潤の胸にキスをしながら小さく呟いた。

 

その時 彼女の長い睫毛にうっすらと涙の粒が浮かんだ事を 

        潤は気がつかなかった・・・。

 

 

 

     ―――――

 

 


優は潤の胸の中で目を覚ました。

大切なものを包み込むように 彼は彼女を抱きしめていた。


優は潤を起こさないように彼の腕をそっと外した。

潤の温もりがなくなって 優は肩先に心細さを感じた。

窓から月明かりが差し込んで部屋の中を照らしている。


静かに眠っている潤の顔に幻想的な月の光が降りそそぐ・・。


優は思わず見とれていた。


規則正しい寝息とともにすやすやと眠っている彼は ため息が出そうなほど美しかった。


深い海のような黒い瞳は閉じられ 長い睫毛が淡い影を落としていた。


穏やかで端正な顔立ちからは想像できないような逞しい胸が 呼吸の度に静かに動く。

 

優は 潤のさらさらとした髪にそっと触れてみた。


聡明な印象をあたえる額 通った鼻筋 やわらかそうな唇


全てが愛しくて、愛しくて、愛しくて たまらなかった。

 

彼の切ない過去も 


悲しみに満ち溢れた瞳も
 

彼の心の中に忘れられない人がいることも

 


優にとっては 大切な人の一部分だった。


その彼の全てを受け入れて 守って 幸せにしてあげたいと思っていた。

 

このままずっと この穏やかな幸せが続いてくれるのなら

他のものは全て失ってもかまわないと 


彼が ずっと自分の傍にいてくれるのなら

他には何もいらないと


いつの頃からか 優は思っていた。

 


   ・・・多くを望んではいけないのに・・・。

    
     今 こうして傍にいられるだけで十分なのに・・。

 


「・・・ごめん・・ね。・・潤先生・・。」

 

優の大きな瞳から涙がこぼれ落ちてきた。


涙が溢れて 愛しい人の顔がかすんで見えない・・・。

 

 

   いつか きっと 潤先生はわたしから離れて行く・・・。

 

   潤先生の優しい笑顔が わたしの前から消える日がくる・・・。

 


優はそれを考えると とてつもなく不安で 夜の暗闇に体中が

沈んでいきそうな恐怖さえ感じて涙を止めることができなかった。 

 


震える彼女の指が 潤の穏やかな寝顔にそっと触れた。

 

それだけで 優の細い肩が儚く小刻みに揺れる。

 


優が涙声で小さく呟いた。

 


    「・・・愛してる・・潤先生・・・。」

 




 


   ―――――






 


    ―― 朝 ――

 

 


「潤先生 起きて~! もう朝よ~~!」

優は明るく言いながら アッパーシーツにくるまって眠っている潤の肩を揺り動かした。


「・・ん・・もう少し・・寝かせて・・。」

ベッドの中で潤が寝返りをうって うつ伏せになった。


シーツの隙間から 彼の大きな背中がのぞいている。


「・・・かわいい・・・潤先生・・・・。・・・・って 違う!

 だめよ、先生。・・・遅刻しちゃうわ。」


優は笑いながら言うと ふざけて潤の肩にチュッとキスをした。


「ね・・潤先生ってば・・。朝ごはん作ったの。」

そして 次に 潤の頬にチュッとキス。


「一緒に食べましょう。」



「・・う・・ん・・。」



「ね、先生ってばーー!  潤先生・・えっ・・???」

優は驚いて声をあげた。


突然 潤が優の腕を引っ張ったのだ。


優の身体は潤に引き寄せられて 彼の胸の中に抱きとめられた。


「せ、せんせーー・・・。」


優は驚いて手をばたばたと動かした。


睫毛が触れそうなほど二人の顔が近づいて 優はドキンとした。



「・・おはよう 優。」

潤はやわらかく笑うと優を見つめた。


そして 優を抱きしめたままゆっくりとベッドから身体を起こした。


その間もずっと 潤の瞳は優を見ていた。


寝起きの潤の顔は いつもよりずっと無防備で少年のように無邪気だった。


「・・・おはよう・・潤先生・・。」


優は眩しそうに潤を見つめると 彼の乱れた髪をいとおしそうに撫でつけた。


大学の講義の時のような 理知的で思慮深い大人のイメージとは違い


子供っぽくて どこか頼りない潤を見ていると心が和んだ。

 


眩しい朝の光の中 二人はおたがいをゆっくりと見つめ合う。


そして また ふわりとした穏やかなキスを何度も繰り返した・・・。

 


 
   ――――――――

 


優は 満開の桜並木の通りを歩いていた。


今日も 薄いピンクの桜の花びらが舞い降りてくる。


同じ色のコットンの帽子を目深にかぶり 度なしの眼鏡をかけた優は
周りの誰にも気づかれなかった。 


優は軽やかに 周りの景色を楽しみながら歩いている。


そして・・


その彼女の数メートル後を 潤が歩いている。


大学までの道を歩く事にした二人は 少し時間をずらしてマンションを出た。


二人は手をつないで歩く事は出来ないが 優は嬉しかった。


・・・時々 さり気なく後ろを振り返る。


潤は 困ったような顔をするが すぐに微笑んでくれる。


優も嬉しそうに微笑んで すぐに前を向く。

 

 

“・・優・・何度も振り返ると誰かに気づかれるよ”


“大丈夫よ。ちゃんと周囲を見回してるんだから・・まかせて潤先生”


二人は携帯電話で話しながら歩いている。

 


“あのね 先生”


“うん?”


“わたしね 仕事の時はいつも周りに誰かついててくれるの。

 ・・・マネージャーの恭子さんとか警備の人とか・・”



“今日は誰もついてないから怖い?”



“ううん、今日は一人で歩いてるけど・・周りに誰もいないけど・・。

 でも・・わたしの ずっと後ろに・・潤先生がいてくれるのよね。

 ・・・だから・・・少しも怖くないし・・不安なことなんてないの”



“そうか。 じゃあ、今日は僕が優のボディーガードってことだね”



“潤先生が?”



“・・・ちょっと頼りないかな?”



“ううん。・・わたし嬉しい・・・ありがとう・・・潤先生・・・”



“優・・・?”



“あっ、先生 右側を見てーーー!”



“え?”


“今、通りにあったケーキ屋さん、とっても美味しいんだって!”



“・・それで?”



“・・わたし・・美味しいケーキを食べたいな・・潤先生と一緒に・・”



“・・わかったよ。 じゃあ、今度 優が来る時には買っておいてあげるよ”



“わあ!・・・だから 潤先生好きーーー!!!”



“優・・声が大きいよ”

 

優は 振り返ると潤にウィンクをした。


潤はまた困ったように微笑んだ。


優は また前を向くと静かに微笑んだ。


彼女は 大好きな人と一緒にいられる幸せを感じていた。

 

 

   ・・・そうよ。 これは 自分で決めたことだった。
 

      わたしは 潤先生が好き・・


      だから・・これから先どうなっても 後悔なんかしない。


    ・・・先生がわたしに手を差し出してくれる限り 


      わたしは先生の傍にいるわ・・・。

 


優は桜の木を見上げた。


淡いピンクの花びらが 朝の光の中で風に揺れている。


静かに 穏やかに 優雅にたたずむ桜の木。


見ているだけで 微かな切なさと優しい気持ちが溢れてくる・・・。

 

   ・・・まるで 潤先生みたいだわ・・・

 

優は小さく呟くと また後ろを振り返った。

 


潤は また困ったように優を見た。

 

そして やっぱり優しく微笑んでくれるのだった・・・。   

 


    
 

 














画像 構成  ゆとゆと







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