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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367498/1904739
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 101 HIT数 8338
日付 2010/09/17 ハンドルネーム aoi32
タイトル 秋桜の恋人 ♪
本文 ドンヒョクがジニョンの元に帰って来た日のお話です。
コスモスが咲くこの季節に…



秋桜の恋人













「僕を待っていましたか?」



        
懐かしいドンヒョクの声が静かに響いた。


        
ジニョンは その問いに答える事ができない。 ただ、うなずくだけ…



「僕も待っていました。 …チェックインをお願いできますか?」


ドンヒョクの口元にやわらかな笑みが浮かんだ。

     

「はい… いつまで ご滞在ですか?」

        
ジニョンは震える声で やっと言った。



「…永遠に… 永遠に あなたのそばにいます。」




ドンヒョクの唇から溢れ出す言葉に ジニョンの大きな瞳から涙が零れ落ちた。


ジニョンは迷わずに ドンヒョクの胸に飛び込んだ。


ドンヒョクは ジニョンを両腕でしっかりと抱きとめた。 

  
ずっと、ずっと… 忘れる事がなかったドンヒョクの温かくて逞しい胸の中で 
ジニョンは彼の名前を呼んだ。






「…ドンヒョクさん… ドンヒョクさん…
 わたしも 永遠に あなたのそばにいます。」















美しく晴れ渡った 秋の日の午後だった。

空はどこまでも高く、青く澄みきっている。

暖かな日だまりの中で 頬をくすぐる風が心地よかった。




ドンヒョクとジニョンは サファイアヴィラに向かう坂道を 
並んでゆっくりと歩いて行く。











道の途中には 所々にコスモスの花が咲いている。

眩しい日差しの中で 薄紅色の可憐な花が 
まっすぐに背伸びをするように二人の方に向いている。

まるで まためぐり逢えた二人を祝福しているように 
やわらかな花びらが微笑んでいる。



ドンヒョクは 眩しそうにその花を見ると、ジニョンに笑いかけた。


「…もう 秋なんですね…」


「…そうですね。」


「以前、ここをジニョンさんと歩いた時は まだ春の終わりの頃でした。」


「そうでした。」

ジニョンは短く答えると また言葉が続かなくなった。 胸が苦しかった。

ドンヒョクがアメリカに行ってから ずっと ジニョンの頭から離れなかったこと…



後悔と懺悔の日々。


どんなに謝っても足りない ドンヒョクへの思い。


「あの… ドンヒョクさん。」

ジニョンは やっとの思いで口を開いた。



「僕が 突然、帰って来て 驚きましたか?」


「え? あ、はい。とても…」

ドンヒョクの唐突な言葉に ジニョンはあわてて答えた。


「実は 最初は知らせようと思ったのですが、やめたんです。」


「え? どうして…」


「何も言わずに帰って あなたを驚かせたくて メールを削除しました。」


「ここ一週間、連絡がなかったのも わたしを驚かせるためですか?」


「それは… 帰国の準備で、多忙でしたから。 でも そうです。 
 ジニョンさんを驚かせたかった。
 アメリカに一緒に来てくれなかったあなたへの… 仕返しかな…」

ドンヒョクは からかうようにジニョンの顔を覗き込んだ。


ジニョンは その言葉にビクッとした。



「…やっぱり… 怒ってらっしゃるんですね。」

ジニョンの瞳が暗く沈んでいく。


「…怒ってる…というか、僕には理解できませんでした。 
 その時は ジニョンさんの考えてることがわからなくて 
 それが悲しかった。」


「ドンヒョクさん…」

ジニョンは たまらなくなってうつむいた。



「でも、あの日… あなたが空港まで来てくれたことがわかって嬉しかった。
 その後、あなたから電話をもらって もう、それだけで 
 悲しい気持ちは消えました。」












「…ごめんなさい、ドンヒョクさん。…わたしを 許してください。」


「ジニョンさん…」


「あなたがつらい時に わたしは傍にいてあげられなかった。
 わたし… ずっと傍にいるって約束したのに… わたしは嘘つきです。」

また、ジニョンの瞳から涙が溢れ出してきた。


「…ごめんなさい ドンヒョクさん… ごめんなさ…い…」

ジニョンの白い頬に涙がいく筋も光っている。


「泣かないで ジニョンさん。」

ドンヒョクはジニョンの頬を涙を指で拭うと 彼女をそっと抱き寄せた。





「…あの時の… ジニョンさんの言葉が支えでした。」


「え…?」


「ジニョンさんと出会えたから 僕は幸せになれるって… 
 あなたは そう言ってくれた…」


「ドンヒョクさん。」


「あの時の言葉が僕を励ましてくれました。
 だから つらい時も悲しい時も ジニョンさんを思い出しました。
 たとえ… ジニョンさんが傍にいなくても 僕の心の中には いつも
 笑顔のジニョンさんがいました…」


「…ドンヒョクさん…」


ジニョンを両腕で包み込んだまま 彼女の耳元でドンヒョクが囁く。

彼の低くて静かな声が それまで暗く沈んでいたジニョンの心を
解きほぐしてくれる。




ドンヒョクはゆっくりとジニョンから腕を解くと 今度は肩に手を置いた。


「僕は… もう、とっくにあなたを許している。
 そして 今日 仕返しをしたから・・もう何のわだかまりもありません。」

ドンヒョクはそう言うとやわらかく微笑んだ。

眼鏡の奥の深くて黒い瞳が 穏やかにジニョンを見つめている。


彼の全身から溢れ出す温かさと、優しい笑顔が 
ジニョンを信じられないくらい幸せにしてくれる。



「ドンヒョクさん…。」


「だから… ジニョンさんも 僕が意地悪をして、連絡を取らなかったことを
 許さないといけませんよ。」

ドンヒョクが茶目っ気たっぷりにジニョンの顔を覗き込んだ。



「…それが、ドンヒョクさんの意地悪なんですか?」


これが 彼の意地悪なの? 

だとしたら、何て優しすぎる仕返しなのかしら…



「そうです。 でも、これは 僕の方が不利だったようです。」


「・・・え・・?」


「ジニョンさんの声が聞けなくて、ダメージを受けたのは僕の方ですから。」


「まあ…」

ジニョンは ドンヒョクの言葉に、やっと笑顔を浮かべた。


やっぱりこの人は 誠実で、心優しい・・幸せにならなくてはいけない人…



今度は ジニョンの方からゆっくりとドンヒョクに近づいた。

彼女はドンヒョクの首に両手を回し その大きな胸に顔を深く埋めた。


「ジニョンさん?」


「………」


「…今日は あなたの方から抱きしめてくれるんですか?」


「はい。」


「勤務中なのに?」


「はい。 …だって… ドンヒョクさんは もう、お客様ではありませんから…」


「やっと、お客様ではなくなりましたか?」


「はい。」


「では、僕のことを 他の人には何と紹介してくれるのですか?」


「…ドンヒョクさんは わたしの…」


「…ジニョンさんの?」


「世界でいちばん大切な… 恋人です…」


ジニョンは 思わず言ってしまった言葉に真っ赤になってしまった。

そして その顔を見られたくなくて あわててドンヒョクの胸に顔を隠した。

ドンヒョクは そんなジニョンが愛しくて 彼女を両腕で優しく包みこんだ。

彼は嬉しそうに微笑んでいる。












やわらかく抱き合う恋人たちの傍には 薄紅色のコスモスが風に揺れていた……。










―――――――――










―― 翌日 ――



サファイアヴィラに 来客を知らせるチャイムが鳴り響く。


ドンヒョクが扉を開けると そこには 両手いっぱいにコスモスの花束を抱えた
ジニョンが立っていた。

薄紅色や白い花びらの間から ジニョンの明るい笑顔が覗いている。



「おはよう、ドンヒョクさん。 昨夜は ゆっくりとお休みになれましたか?」

ジニョンが涼やかな声で言った。


「ええ。 でも、ジニョンさん? 珍しく今日は早いですね。」

ジニョンを部屋に迎え入れながら ドンヒョクも嬉しそうだ。


「はい。 何しろ わたしは今日から 一週間もお休みですから。」

ジニョンは得意そうに言った。


「張り切ってますね。」

ドンヒョクは笑いを堪えることができない。


「ええ。 実は、わたし… 行きたい所があるんです。」


「行きたい所?」


「はい。 昨夜、お食事した時に どこでも連れてってくれるって…
 ドンヒョクさんは、おっしゃいましたよね?」


「ええ。 ジニョンさんが行きたい所ならどこでも行きますよ。」


「じゃあ、連れてってください。 後で、やっぱり嫌だなんて言わないでくださいね。」


「どこに行きたいのですか?」


「ずっと前から ドンヒョクさんと一緒に行きたかった場所です。」



ジニョンはそう言うと、少しうつむいて静かに微笑んだ。














 

    










「…お兄さん、怒ってる?」

車の後部座席に座っているジェニーが 運転をしているドンヒョクの背後から聞く。

「怒ってないよ、ジェニー。」

ドンヒョクは前を向いたまま ふっと笑う。

「良かった! …あの… わたしがジニョンさんにお願いしたの。 
 お兄さんと一緒に、お母さんのお墓参りに行きたいって。
 だから… ジニョンさん… お姉さんをしからないでね。」

ジェニーが不安そうに言った。

「大丈夫よ、ジェニー。 ドンヒョクさんはどこでも連れてってくれるって言ってたから。
 …でも、わたしも一緒に行っていいのかしら。」

助手席に座ったジニョンが ドンヒョクの横顔を見つめる。

「だって お兄さんは お母さんに、お姉さんを紹介しなくちゃね。 そうでしょう? お兄さん。」

ジェニーが悪戯っぽい笑顔を向ける。

「…そうだね。」

ドンヒョクは やわらかな微笑を浮かべる。
















「…それでね、お兄さん。…お墓参りが済んだら…」

そこまで明るかったジェニーの表情が曇る。


「わかってるよ、ジェニー。 お父さんの家に行くんだろう?」


「うん。 …お兄さんも お父さんに会ってくれるでしょう? 
 お父さんがお兄さんに会いたがってるの。
 お兄さんが家を用意してくれて、すごく喜んでるのよ。」


「……」

ドンヒョクは黙っている。

変わることのない表情から 彼の気持ちを読み取ることはできない。


「…お兄さん…」

ジェニーが戸惑ったように ドンヒョクの方を見る。


「ドンヒョクさん…」

ジニョンは そっとドンヒョクの腕に手を添える。

彼女の瞳はまっすぐにドンヒョクを見つめている。


ドンヒョクは それに応えるようにジニョンに優しく笑いかける。

「…父にも ジニョンさんを紹介しないといけませんね。」


…二人してそんな目で見られたら・・嫌だなんて言えないな。


弱点をつかれて ドンヒョクは幸せなまま降参する。




「ええ…  それで、ドンヒョクさんは お父様とお母様に 
 わたしのことを、何と紹介してくださるんですか?」

ジニョンの瞳が揺れている。



「そうですね…  ジニョンさんは 僕の…」



「…ドンヒョクさんの…?」



「“世界でいちばん大切な恋人です” …と言いましょうか…」

ドンヒョクは ジニョンの手に自分の手を重ねた。

その横顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。



思わず ジニョンの瞳から涙が一粒、こぼれ落ちた。



きゃあ! やっぱり 一緒に来るのはやめるべきだったわ!!!

からかうように笑うジェニー。


やがて、彼女の瞳からも涙が溢れてきて 膝の上のコスモスの花束を濡らしていく。




…ねえ、お母さん。 この花は 未来の… わたしのお姉さんが選んでくれたのよ…

綺麗でしょう? …お母さんの好きな花だったらいいな…


わずかに残っている古い写真でしか知らない 美しかった母に 
ジェニーは心の中で語りかけていた。







雲ひとつない秋の空の下


三人を乗せた車が コスモスの花が咲き乱れる川岸を通り抜けて行く。














世界でいちばん愛しくて美しい恋人と たった一人の可愛い妹。 



やっと、めぐり逢えた もう手放せない 永遠の宝物…



大切なものをたくさん乗せて 車は走って行く。


 


       
それが 掌からこぼれ落ちないように ドンヒョクは 車のハンドルをしっかりと握った……。


















     背景・画像・コラージュ  by akke 


         


















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aoi32
bitaminさん、ありがとうございます。私もホテリアーを見たくなりました。(本当は俳優としての彼の新作を見たいんですけど・笑)楽しんでいただけて良かった! 2010/09/24 16:47
aoi32
mizsakiさん、ありがとうございます。やっと涼しくなって秋めいたこの頃、なぜかドンヒョクを思い出します^^ 温かい気持ちになっていただけたら嬉しいです。 2010/09/24 16:43
bitamin317
丁度今 ホテリアーをみているところです ホテリアーのその後を読ませていただき私も嬉しくなりました 有難うございます 2010/09/17 21:03
mizsaki
心に沁みわたり・・・ ほっと温かくなりました。 ありがとうございます。 季節は・・秋。 あーーもう一度ホテリアー見たくなりました。 2010/09/17 17:44
 
 

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