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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 102 HIT数 8165
日付 2010/09/29 ハンドルネーム aoi32
タイトル 煙が目にしみる 前編
本文














- 前編 -                
                                              

 

 

「…全体のマテリアルは暖色系なんですね」

ドンヒョクはそう言うと 口元に微かな笑みを浮かべた。


「それが 何か?」

ウソンは 煙草を口にくわえたままドンヒョクを見た。


「いえ、意外だったので…
 あなたは もっと、モノトーンか寒色系を使うのかと思ってましたから」


「は… このソウルホテルのコンベンションホールに
 合理的で斬新なデザインが合うと思うか? それに…」


「それに?」


「それに…俺は見かけと違って 暖色系の心優しい男なんだ」


「………」


真面目に答えるウソンの言葉に ドンヒョクは思わず吹き出しそうになった。


「何か、可笑しいか?」

ウソンは 怪訝な顔をして煙草を吸った。


「ニ、三日前に ジニョンが言ってましたよ。 今日も ウソンさんに
 すごい剣幕で怒られたと」

ドンヒョクは ウソンの顔を覗き込むように言った。


「そうか? 覚えてないな」


「あなたに用があって現場に行ったら いきなり怒鳴られたと…」


「ああ! …あれは、ソ支配人がヘルメットも付けずに、現場に
 入って来たからだ。 まったく、何を考えているんだか」


「………」

ドンヒョクの眉がぴくっと動いた。


「…っと、いけない。 あんたの前でソ支配人をけなすのは、まずかったな」

ウソンは大袈裟に自分の口を押さえた。


「回し蹴りをくらいますよ」

ドンヒョクはひんやりと笑う。


「そんな涼しげな顔で言うセリフじゃないな」


「僕も 見かけと違って熱い男なんです。…と言っても
 ジニョンに対してだけですが」

ドンヒョクはあっさりと答えた。


ウソンはニヤッと笑うと 煙草の箱を差し出した。

「面白い男だな。 どうだ? 一本…」


「…いえ、僕は…」

ドンヒョクは首を横に振った。


「煙草…吸わなかったか?」


「ええ …以前は吸っていましたが」


ドンヒョクはそう言うと カクテルグラスに口を付けた。


ウソンは ドンヒョクの静かに笑った横顔を見た。

 
ソウルホテルの理事 シン・ドンヒョクと、建築デザイナーのチェ・ウソンは
カサブランカのカウンターで グラスを傾けていた……。

 

 

 

 

 


――――――――

 

 

 

 

 


―― 二年前の冬 ――

 

 

「…ドンヒョクさん? ええ、わかったわ。  
 急いで行くから、待っててね」

ジニョンはそう言うと やわらかな笑みを浮かべながら受話器を置いた。


「今夜はシン理事とデートなの? ジニョン」

ソウルホテルのスタッフルームで イ・スンジョンが好奇心たっぷりの顔を向けた。


「ええ。 カサブランカで待っててくれるって」

ジニョンは立ち上がると スンジョンに嬉しそうに笑った。


「幸せそうね、ジニョン。 結婚式の日取りは決まったの?」


「ええ。 春になったらお式を挙げるの。
 今、ドンヒョクさんのスケジュールを検討中よ」


「今が一番楽しい時ね。…でも、ジニョン 気をつけなさいよ」


「何が?」


「今の世の中、何が起こるかわからないってことよ」


「え?」


「特に あなたのフィアンセはその辺にはいない、とびきりの男性なんだから」


「先輩ったら」


「帰国して4か月。 韓国ではまだ事業を興したばかりなのに もうすでに業界では有名人。
 やり手の青年実業家。しかも、容姿端麗、最高レベルの。
 そして クールな中にも 最近では少し表情がやわらかくなったと評判の…
 ま、これはジニョンのせいかもしれないけど。 
 …とにかく彼を狙っている女はたくさんいるってことよ」


「え? …だって、ドンヒョクさんはわたしと結婚するのよ」


「だからよ、ジニョン。 まだ、あなた達 結婚したわけじゃないのよ」


「そんな…」


「いいこと? ジニョン。 しっかり、バラ300本をつかまえておくのよ!」


「はいはい、わかりました。 先輩」


「…いまいち 真剣じゃないわね」


ジニョンは 一人で盛り上がっているスンジョンを呆れたように見た。

 


…本当にお節介な先輩なんだから……

 


ジニョンは大騒ぎをするスンジョンを放って、ドンヒョクに会うために
仕事を終わらせようとフロントへ引継ぎに向かった。

 

 


 

 

 

…何も 心配することなんかないわ…

 


退勤したジニョンは カサブランカへ向かう途中で、自分に言い聞かせていた。


確かに アメリカ育ちのドンヒョクは その仕草も身のこなしもエレガントで 
それまで多くのVIPに接してきたジニョンも目を見張るほどのスマートさだった。


二人でいる時の完璧なエスコート、何気なく手を差し出すタイミング。

 
そして 彼は豊富な知識をひけらかす事もなく、さり気なく会話に組み込んでくる。


クールな中にも彼は女性の扱いに慣れていた。

 
それは 鈍感なジニョンも感じでいた。


ソウルに戻って来てからのドンヒョクは いつでも優しかった。


まるで、それまで会えなかった時間を取り戻すかのように 
ドンヒョクはジニョンを包み込むように接してくれた。

 


…わたしはドンヒョクさんにとって そんなに価値のある相手だと言えるの?

 

             
今でも、時々そう思うことがある。

 
…でも…  ドンヒョクさんは言ってくれた。

 


“僕は ジニョンさんでなければ駄目なんです”

 


彼はそう言って 二度目のプロポーズをしてくれた。


ジニョンは 2か月前のクリスマス・イブのことを思い出して、思わず頬を染めた。

 


…大丈夫… 自信を持つのよ、ジニョン


たとえ、高級レストランや豪華なパーティー会場に ドンヒョクさんの婚約者として同伴して
周囲の華やかな女性に 羨望と嫉妬の眼差しを不躾に向けられても…
 

彼が 優しい笑顔を浮かべて見つめてくれるのは わたしだけなのだから…

 


ジニョンは顔を上げると カサブランカの扉を開けた。


 

 

 

 

 

They ask me how i knew my true love was true
        
I of course replied
           
"something here inside cannot be denied"......

 


 

 

静かなスタンダード・ナンバーが流れる中
薄暗い照明の中で 彼は一人、カウンター席に優雅に足を組んで座っていた。


カウンターの上には 鮮やかなブルーの液体の入ったカクテルグラス。


彼の長くてしなやかな指には煙草が添えられている。

 
そして 彼はそれを唇に持っていき、静かに吸い込むと 
ゆっくりと燻(くゆ)らせる。


彼は その煙の行方を眺めている…


思わず息を呑んでしまいそうなほど 端正な横顔。

    
彼の煙草を吸う仕草は 流れるように美しい…

 


ジニョンは 自然と足を止めて その光景を眺めていた。


彼女は その美しい彼に見とれていた。 …そして呟いた。

 


…あそこにいる彼が 本当にわたしの婚約者なの?

 

 
その時だった。


一人の女性がドンヒョクに近づいて来た。


スレンダーな身体にぴったりの黒いドレスを着て ストレートの髪の彼女は 
ドンヒョクに何か話しかけている。

 


突然、ジニョンの胸が痛んだ。

 


ドンヒョクが煙草の箱を差し出すと 彼女はそこから一本取り出し、
彼の方へもっと近づいた。


彼がライターを向けると 彼女は煙草に火を点けて口に含んだ。


鮮やかな赤いルージュの唇と美しい横顔。


彼女は少し顔を逸らして 唇を少し尖らせて煙草の煙を静かに吐き出した。


そして 彼女はドンヒョクの隣に座り、ひと言何か言った後 
彼に微笑みかけた。 


…たぶん、彼女の中では とっておきの最高の笑顔で…


ドンヒョクは微かに首を傾げただけで また 前を向いた。


そして また 何事もなかったように煙草に火を点けた。

 
それでも彼女は ドンヒョクの横顔を見ている。

 


ジニョンは そこに立ち止まったまま動けなくなってしまった。

 


そんな彼女に気づいたのは カウンターの中にいる顔見知りのバーテンダーだった。


彼はジニョンに笑いかけると ドンヒョクにひと言告げた。


ドンヒョクはゆっくり振り向き ジニョンを見つける。


彼は いつものようにジニョンに笑いかけると、煙草の火を消して 
ジニョンの方へ歩いて来る。


ジニョンも微笑み返そうとしたが 顔が強張って出来なかった。

 


「遅かったね…」


ドンヒョクは穏やかな笑みを浮かべると、ジニョンをふわりと抱きしめる。


ジニョンはゆっくりと目を閉じる。


ドンヒョクのやわらかな抱擁に ほっとする自分がいる…


しかし ジニョンはすぐに気がついてしまう。

 


…顔を埋めたドンヒョクのスーツのジャケットから 煙草の匂いがした。


彼の隣にいたのは 煙草を吸う仕草が似合う洗練された大人の女性。

    
彼女は今、彼と同じ香りがするはず…

 

 

 


They said "someday you'll find all who love are blind"

When your heart's on fire You must realise

Smoke gets in your eyes......

 

 

 

 
煙草の煙と切ないメロディー…


ジニョンは居た堪れなくなって ドンヒョクの腕から逃れると
足早にカサブランカを出て行った……。

 

 













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aoi32
mariさん、ありがとうございまーす^^ 確かこの創作は お話を読んで、ゆとゆとさんが このフォトしか思い浮かばない!と言って作ってくれたと記憶しています。素敵ですよね~❤ 2010/10/15 16:59
mari181818
この背景の彼、大好きなフォトのひとつです。ひょっとして、このフォトから生まれたお話かな? 2010/10/12 23:10
 
 

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