歓声が上がる。

夜空に舞い上がる　色とりどりの花火

「　粋　」
　　
日本語では、こう言うんですって

この前、お客様に教えてもらったの

濃紺の地に薄いグレーの縦縞の浴衣…

長身のあなたにぴったりね

粋…で、かっこいいわ

本当に、何着ても似合うのね

慣れない下駄を履いて、

つまずくところが見たかったのに

一度もないわね

…何だか悔しい…

それに、あなた　目立ち過ぎ

みんな、振り返って見ていくわ

「　大和撫子　」

日本では、こう言うらしいよ

可憐で、しとやかで、たおやかな日本女性のこと…

今はあまり使ってないみたいだけど

大和撫子…には、程遠いけど、

今日の君はいつもと違う

紅色の地に、涼やかな朝顔の模様の浴衣

とてもキュートで、君に似合ってる

結い上げた髪の後れ毛が

何だかとても色っぽい

でも、さっきから　つまずいてばかりいるね

何もない所なのになぜ？

僕は手をつないでいられるからいいけどね

それにしても忙しい

君に熱い視線を送る男たちを

睨みつけるのは…大変だ

「…きれいね」

わたしは感嘆の声をあげる

夜空に舞い上がる色とりどりの花火

手をつないで見ているわたしたち

あなたの方をふと見上げてみる

…目が合った？

わたしを見ていたの…？

「ドンヒョクさん、どうかした？」

「花火より、君の方がきれいだ」

「………」

どうして、そんな台詞を　真面目な顔で言えるの？

わたしは頬が熱くなるのをごまかすように、

また夜空を見上げる。

「ジニョン」

「はい？」

あなたに呼ばれて、また隣を見上げる。

「………」

いきなりキスをするあなた

花火を見に来たんじゃないの？

でも　わたしは目を閉じてしまう…

これじゃ、せっかくの花火が見えないわ

ド－－－ン！！！
　　　パラパラパラ…

　歓声が上がる

…なぜかしら？

目を閉じているのに、

夜空に舞い上がる花火が見えるの

鮮やかな紫色の

ため息が出そうなほど　きれいな花火が……