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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 21 HIT数 7282
日付 2010/01/06 ハンドルネーム aoi32
タイトル 片思い -5- 涙のキス
本文

片思い -5- 涙のキス

 

 


俺、カン・レウォンが あの人、ジニョンさんに会ってから一週間が過ぎた

俺は、初めてあの人に会った時の事を思い出していた

「おまえがジニョンに会うなんて100年早い!」 と、ボスは言った

でも、それは違うと思う

…100年早かったんじゃなくて、2年遅かったんだ

 


まるで、何もなかったように、毎日がゆっくり過ぎてゆく

ボスは相変わらず冷たい

だが、以前と変わらない

 

 

俺は久しぶりに、恋人のユリとデートをする

いつものように映画を観て、イタリアン・レストランで食事をして、
漢江の夜景をバックにキスをする

俺は、何度も何度もユリにキスをする

その、甘くてやわらかい唇を何度も確かめる


…忘れるんだ…あの人のことは…

恋人のユリは、こんなに綺麗で魅力的じゃないか…


「…レウォン・・どうかした?」


ユリがキスの合い間に言う

俺は、何も答えずにキスを続ける

その一方で、頭の中で考えている

 

…違う、俺がしたいのは こんなキスじゃない
    
ユリとかわす何十回ものキスよりも、

あの人と、たった一度のキスがしたい。


それは、永遠にかなうことのない願いなのか?


あの人に会いたい

あの人と話がしたい

あの人の華奢な体を抱きしめたい

あの人のやわらかな唇に触れてみたい


どうして、あの人はボスの奥さんなんだろう

どうして、あの人の好きな男は俺じゃないんだろう

 

…ごめん、ユリ…

俺は最低の男だ……

 

 


――――――

 

 

― 次の日 ―

 

また、来てしまった…


取引先に行った帰りに、タクシーに乗る

オフィスビルの前を通り越し、ソウル病院の前で降りる


…これじゃ、取引先が近くだったとは言えないな

あなたに会いたくて来ましたって言ってみようか

あの人は、どんな顔をするだろう。

驚くだろうか?

困るだろうか?

 


少し躊躇ったあと、病室をノックする

返事がない

また、迷ったあげく、静かにドアを開けて中に入ってみる

彼女…ジニョンさんは眠っていた

少し開いた窓から風が入り、レースのカーテンを揺らしている

クラッシックピンクの大きなベッドの中で、

彼女は静かにすやすやと眠っている 


部屋中が、色とりどりのバラの花であふれている

この前来た時よりも、確実に増えている

 

「…ん……」


眠っている彼女が、微かに声を出した 

あの、大きな黒い瞳は閉じられ 長い睫毛が影を落としている

頬はほのかなピンク色で…やはりドキッとしてしまう

やわらかそうで、艶やかな唇

…眠り姫…?

バラの花に囲まれて眠る彼女…

眠り姫は王子のキスで目覚めるんだっけ…

 

…何も考えられなかった


先の事など考えられなかった


一瞬、時が止まったんだ…


俺は…静かに、そっと…彼女の唇にキスをした


それだけで 体中が熱くなる


そして、彼女を見つめる


ふいに、彼女が少し微笑んだような気がした


俺の胸は震えた

  
でも、その唇が…俺の最も聞きたくない名前を呼んだ


「…ん… ドンヒョクさ…ん…」


「!!!」


今の俺にとって、最高に悲しい言葉


彼女は幸せな夢の中のままで、眠りから覚めることはない


次の瞬間、俺は病室を飛び出していた。

 

 

 

―――――

 

 


ソウル病院の駐車場に、シルバーのジャガーが滑り込む。

助手席には、黄色とオレンジのバラの花束。


「黄色のバラの花言葉は 『ジェラシー』 なんですけど、
 ビタミンカラーで、元気が出るようにって、
 お見舞いにはいいんですよ」

フローリストの店員がにこやかに言っていた。


ドンヒョクはふっと笑う。


今は「ジェラシー」より、「ビタミン」だ

早く元気になって、家に帰ろう ジニョン


バラの花束を持って、車から出ようとした時、
ドンヒョクは、病院の正面玄関から飛び出して来た男に気がついた。


…カン・レウォン?


そして、もっと信じられない光景に、はっとするドンヒョク。


…レウォン 泣いているのか?

 

 

どうしようもない不安と焦る気持ちで ドンヒョクはジニョンの病室に入る。


「…ジニョン、眠ってるのか?」


ドンヒョクは安心したようにため息をついた。


ドンヒョクはバラの花束を、ジニョンの枕元に置く。

そして、彼女の頬を優しく撫でる。

ジニョンが、ゆっくりと目を開け 彼を見つけて微かに微笑んだ。


「…やっぱり、ドンヒョクさんだったのね?」


「何…? 僕の夢でも見てた?」


ドンヒョクはやわらかく微笑み返すと
ジニョンの手をとって、そっとキスをした。


「…ええ。  今、夢の中で…誰かにキスされたの。
 でも、誰だかわからなくて…
 やっぱり、あなただったのね?
 今、ドンヒョクさんがキスしてくれたんでしょう?」


ジニョンは少し頬を赤くして、ドンヒョクを見つめた。

ドンヒョクの表情が見る見るうちに凍りついた。   

そして、ジニョンの手をぎゅっと握り締めた。

動揺するドンヒョクの視線の先に、黄色のバラの花が

鮮やかに飛び込んできた……。








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