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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 3 HIT数 7741
日付 2009/10/13 ハンドルネーム aoi32
タイトル 雨の降る日はそばにいて ♪
本文

雨の降る日はそばにいて    

 



 

…よく降るわね…


ジニョンは窓から空を見上げてため息をつく。

今日は久しぶりの休日。

でも一人ぼっちの休日。

ため息が出るのは朝から降り続く雨のせいだけじゃない。


…ドンヒョクさん、早く帰って来ないかしら…


時計を見ると、午後2時を過ぎたばかり。


…ばかね…こんな時間に帰れるわけないのに


昨夜、遅番だったジニョンは深夜に帰宅し
眠っているドンヒョクのシャツの袖をいつものように握り、眠りについた。

今朝起きると、ドンヒョクはもう出かけた後だった。

側に眠っていたはずなのに、シーツにはぬくもりさえ
残っていなかった。

 


…会いたい…

 

彼の顔を見ながら話をしたのは、いつだったかしら?

ああ、そうね、2日前の朝だったわ…


一緒に朝ごはんを食べて

たくさん話をして

たくさんキスをして

…遅刻しそうになったわね…


ジニョンは思い出して、自然と微笑んでしまう。

 

…会いたい  …そうだわ!


ジニョンはぱっと思いついてしまった。


…会いに行けばいいんだわ!


話ができなくても、顔を見るだけでいいの

電話だけじゃ嫌なの…

 


   ―

 


ジニョンは白いレインコートを着て、

お気に入りの紫陽花色の傘をぱっと広げた。


憂鬱な気分はどこかに飛んで行き、

雨に濡れた紫陽花のように

明るくて清楚な水色の世界が広がっていった。

 

…あなたに会いに行こう。

ジニョンは軽やかに歩き出した。

 


   ―

 

久しぶりにバスに乗る。

結婚してから、ほとんどバスに乗ることがなくなった。

ドンヒョクはどこでも車に乗せて連れて行ってくれる。

時間がある限り、ジニョンを大切に助手席に乗せて送ってくれる。


…今度は一緒にバスに乗りましょうね

 なかなか良いものよ

 だって、ずっと手をつないでいられるのよ

 あなたの肩に頭を乗せて、居眠りもできるのよ

 

ジニョンは窓から外を見る。

たくさんの人が歩いている。

みんな色とりどりの傘をさして。

二人でひとつの傘をさしている恋人たちもいる。


ドンヒョクさんと二人で

ひとつの傘をさして寄り添って歩くのもすてき

コートをかざして急いで走るのもすてき

 

あなたと二人なら

雨の日だって最高の気分になるわ

 


   ―

 

 

目の前にそびえる高層ビルのオフィス街。

このビルの最上階にドンヒョクのオフィスがある。


…やっぱり緊張するわ


ジニョンはエレベーターで向かいながら、

胸の鼓動を感じていた。

 

…もう少し、もう少しで着くわ
  
やっとあなたに会える

 


「…奥さま?」 


ドンヒョクのオフィスの前で躊躇っていると、

後ろから声をかけられた。

 

「あ、ヘヨンさん?」


「お久しぶりです。奥さま…お元気でいらっしゃいましたか?」

ドンヒョクの秘書のヘヨンが美しい微笑を向けた。


「ええ、あなたもお元気そうですね」


「今日はボスとお約束ですか?」


「いいえ、顔を見に来ただけなんです。彼には言ってないの」

ジニョンは恥ずかしそうに言った。


ヘヨンは優しく笑った。

 

「今、会議中なんですよ。ボスにお知らせしてきますね」

オフィスに入るとヘヨンが言った。


「あ、いいの。会議の邪魔しちゃ悪いもの。

 それより待たせてもらって良いですか?」


「あ、はい。ではこちらへ」


「ありがとう。あ、これチョコレートなの。

 とっても美味しいんですよ。皆さんで食べてくださいね。」

ジニョンはニッコリ笑うとチョコレートの箱を渡した。


「あ、ありがとうございます。」

ジニョンはまた優しく微笑むと、静かにソファに座った。
  

 

…あら、ここから会議室が見えるのね

ちょうどパソコンに隠れて、あちらからは見えないみたい


ジニョンは空いているデスクの前に座り、

ガラス張りの会議室の方を見た。


今日のドンヒョクは、いつもの彼とは別人のようだ。

会議室の最前列の席に座り、

パソコンの画面を見ながら何か話している。

10人ぐらいのスタッフは、みんな彼の方を見ている。


クールで鋭い目。

あくまでもポーカーフェイスの彼。

ジニョンがあまり見たことのない、仕事をしている時の彼。


「……」

ジニョンはまた自分の夫に見とれてしまっていた。

 

ドンヒョクを見つめる瞳はきらきら輝き、

口元にはやわらかな微笑が浮かんでいた。

 

 

   ―

 

 

「申し訳ありません、奥さま。
 会議の方が長引いてるみたいで…」

秘書のヘヨンが同情するように言った。


「…そうみたいですね」

ジニョンはため息をついた。

「…いいわ。しかたないので、このまま帰ります」


「でも、もうすぐ終わるのではないかと…
 今、コーヒーをお出ししてきますので、
 その時にボスに伝えてきます」


「ありがとう。でも、いいの。
 顔も見られたし元気そうだし…
 帰りますね」


「…では、お車の用意を。」


「ありがとう。
 でも買い物もしたいので、車はいいです」

 ジニョンは微笑んだ。

 


   ―

 


ジニョンは雨が小降りになった街を歩いている。

彼女が持っている紙袋の中には、

お揃いの白いマグカップ、

お揃いのグリーンのランチョンマット。


買った物は、あなたと一緒に使う物…


ねえ、ドンヒョクさん

こんな小さな買い物なのに、

選ぶ時に、とても迷ってしまったわ


このカップでコーヒーを飲んで

あなたは、美味しいと、言ってくれるかしら


このランチョンマットで

楽しく食事をしてくれるかしら


あなたの喜ぶ顔を想像するだけで

わたしも笑顔になるの


あなたの物とわたしの物

なんでも二人分

それだけで、幸せな気分になるの


「…あ…」


あるお店の前で、ジニョンの足が止まった。

 

   ―

 

「いらっしゃいませ」


「すみません。
 あちらにディスプレイしてある服は、どちらにあります?」


ジニョンが指した方を見て、店員がニッコリ笑った。

「はい、こちらです」


シンプルなデザインのシャツ。

ジニョンは思わず微笑む。


「ご主人様のですか?」


「ええ」


「お色がサックスとブルーグレーとラベンダーの3色なんですよ」


「…どれも綺麗な色ですね」


「ご主人様は何色がお似合いですか?」


「…どれでも似合いそう」


「え?」


ジニョンはドンヒョクの顔を思い浮かべた。

「……」


「お客様?」

 


…やっぱり…

我慢しないで、会ってくればよかった

無理しないで、声を聞いてくればよかった

いい奥さんのふりなんかしないで

わがまま言ってくればよかった


わたしは嘘つきだわ


仕事の邪魔はしたくない、ですって?

そんな立派なこと言って、後悔してるのは誰?

 

そう思うと切なくて、涙が出てきた。


…会いたいわ…

 


…その時だった。


後ろから誰かにふわっと抱きしめられた。

スーツのジャケットが雨で濡れている?


…わたしが知っているあなたのぬくもり

…わたしが知っているあなたの香り

 

「…ドンヒョクさん?」


「やっと見つけた。」


「どうして…」


「…僕に会わずに帰るなんて許さない」

 


   ―

 


二人でひとつの傘をさして、寄り添って歩く。

そして、ドンヒョクのオフィスビルの前まで来ると、

二人は立ち止まって、向かい合った。

 

「どうしてわかったの?」


「チョコレート」


「え?」


「あれは君の好きなメーカーのチョコレートだ」


「あ…」


「あのチョコをじっと見てたら、秘書のイ・ヘヨンがすぐに
 教えてくれたよ」


「さすがね…やっぱり、あなたって 
 わたしの事、なんでもわかるのね。
 わたしが会いたいと思ったら、すぐ来てくれた」


「ジニョンの願いならかなえてあげるって、言っただろ?」


「そうね。そうだった。
 でも探すの大変だったでしょう?」


「ちょっとね。携帯にかけても、君、出ないし…」


「ごめんなさい。家に置いてきちゃったみたいで。
 …わたしのせいで濡れちゃったわね」


「スーツ姿で雨の中を走るなんて、ちょっとドラマティックだろ?」


「……」

 


「やっぱり送って行こうか?」


「ううん、大丈夫。タクシーで帰るわ。
 …お仕事がんばってね」


「…わかったよ、ジニョン」


そう言うとドンヒョクはタクシーを止めた。

そして、後ろの席にジニョンを座らせた。


「あと何時間したら、また会える?」


ドンヒョクは腕時計を見て言った。


「ん~、今日中には無理かな?」


「…そう、忙しいのね」


「嘘だよ。あと、3、4時間ってところかな」


「本当? じゃあ、夕ごはん作って待ってる」


「それじゃ、ますます早く帰らないと」

ドンヒョクは嬉しそうに言った。


それを聞いて、ジニョンは雨に濡れた花のように

艶やかにやわらかく微笑んだ。


「!!!」


ドンヒョクはその笑顔を見た瞬間に、

ジニョンの傘をたたんで渡すのをやめた。

そして言った。


「…降りて」


「え?」


「降りて、ジニョン」


ドンヒョクはジニョンの腕をつかんで彼女をタクシーから降ろした。


「すみません、行って下さい」

タクシーは走り去った。


「ド、ドンヒョクさん?」


彼は彼女を抱きしめた。


傘がアスファルトに落ちた。


「やっぱり、このまま帰すなんて出来ない」


「ドンヒョクさん…」


「仕事はあと1時間で終わらせるから、一緒に帰ろう」


「で、でも…」


「だから、待ってて」


「でも…」


「でも、じゃなくて僕を待ってて」


「み、みんな見てるわ。

 ここはあなたのオフィスの前よ」
 

「関係ない。 …僕には君しか見えない」


「…苦しいわ。ドンヒョクさん、はなして」


「君が待ってるって言うまではなさない」


「…わたしの願いは聞いてくれないの?」


「聞かない」


「ずるいわ…」


「……」


「…いいわ。わたしも待ってるなんて言わない。 
 そうすれば、ずっとこうしててくれるんでしょう?」


「!!!」


ドンヒョクは全身の力が抜けていくような気がした。

 


 …ジニョン、君はいつの間に、

 そんなかけ引きができるようになったの?

 

 …僕はこの後、どうすればいいんだろう

 抱きしめるのをやめれば、君は待っててくれるの?

 それとも、ずっと抱きしめていないと君は帰ってしまうの?

 

ドンヒョクは混乱していた。

 

 …どちらにしても、僕の負けなんだね…
     

 

 

 …雨の中、

  二人で抱き合うのもすてき


  あなたと二人なら、

  雨の日だって、最高の気分になるわ…

 

 


雨風に揺れる花のように


紫陽花色の傘が、アスファルトの上でくるっと回った。


 











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aoi32
訪問者さん、ありがとうございます。ごめんなさい、今頃気づきました(^_^.)読んでいただいて嬉しいです^^ 2011/04/07 22:41
訪問者
可愛らしいですね。とっても素敵です☆ 2010/08/15 16:07
 
 

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