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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 37 HIT数 8012
日付 2010/01/19 ハンドルネーム aoi32
タイトル November -2- 抱きしめられない彼女
本文

November -2- 抱きしめられない彼女

 

 


幻想的な光の中で 力のないドンヒョクを抱きとめるジニョン…


熱のせいでぐったりして、
普段のドンヒョクからは想像もできないくらい弱々しいドンヒョク。


そんなドンヒョクを抱きしめ、ぴったりと顔をよせて
必死で彼に語りかけるジニョン。


重なり合う二人のシルエット…

 


“彼女は僕の半身だからだ”

 


いつかのドンヒョクの言葉がよみがえって来た


あの時は“半身”の意味がわからなかった


けれど、今は少しわかったような気がする


あの、パーフェクトなボスにも弱点はある


それを見せられるのはジニョンさんだけなのか?


そして、その時ジニョンさんは強くなる


あの、不安で震えていた彼女はどこにもいない……

 


キズナ…二人の絆…


そういう事なんだろうか……?

 


レウォンはまた目を閉じた……。

 

 

 


広いリビングルーム。

吹き抜けの天井には天窓。

晴れた日には、まぶしいくらい明るい光が差し込むだろう。

白いソファ。

落ち着いたダークブラウンで統一された趣味の良い家具。

そのサイドボードの上には、銀製の写真立てがいくつか並んでいる。


…結婚式の写真…?


純白のウェディングドレスを着たジニョンさんを後ろから抱きしめるボス。


幸福で美しい二人…


そして 写真立ての隣には

クリスタルの花瓶に生けられた あふれるほどのたくさんの白いミニバラ

 


…そういえばジニョンさんの病室にもバラの花がいっぱいだった

そうか…

ボスがジニョンさんのために買ってくるのか……

 


バラの花に囲まれて眠っていたジニョンさん…


…俺はその彼女にキスをした

 


レウォンの胸にまたあの切ない思いがよみがえって来た。


忘れたはずなのに… いや、忘れたふりをしていただけだ


胸のずっと、ずっと奥に閉じ込めていただけだ…

 


レウォンは悲痛な思いでうつむき目を閉じた。

 


「…レウォンさん?」


その時、レウォンは愛しい人の声を聞いた。


静かに振り返ると…


ずっと 抱きしめたかった人…ジニョンがそこにいた……。

 

 

 


夜中になっていた。


外は嵐だった。


横なぐりの激しい雨が二重のガラス窓を叩きつける。


ジニョンがリビングに入って来た。


「ごめんなさいね、レウォンさん。何だかすごい雨になったわね。
 あの…もし良かったら、ドンヒョクさんの車を使って帰っても…」

ジニョンが心配そうに言った。


「大丈夫ですよ、ジニョンさん。
 それより、ボスの具合はどうですか?」

レウォンは自分が引きつった笑いをしてるのに気がついていた。


「ええ、少し熱は下がったみたい。 お薬が効いたのかしらね。
 今はよく眠っているわ」

ジニョンはほっとしたような笑顔を向けた。


その時だった。


突然、家中の明かりが消えた。


「きゃっ!」

ジニョンがびっくりしてレウォンの方へ寄って来た。


「…てっ、停電…?」

暗闇の中、ジニョンが声を上げた。


「大丈夫ですよ、ジニョンさん。 懐中電灯かキャンドルはありますか?」


「あ…ええ、こっちのサイドボードに…」


ジニョンは歩き出そうとして、スリッパが床につまづき転びそうになった。

「あっ!」

ジニョンが声を上げたと同時に、レウォンが 前のめりに倒れかかった
彼女の声だけを頼りに反射的に受けとめた。

レウォンの腕に抱きとめられたジニョンは、彼の腕をつかみ安堵の声を上げた。


「はあ~、びっくりした。ありがとう、レウォンさん」

ジニョンはそう言うと、暗闇の中 レウォンの顔の方を見上げた。


「……」

レウォンは黙っている。


「わたしって 何もない所でも転ぶって、ドンヒョクさんにもよく言われるの」

ジニョンは笑いながら言うとレウォンから離れようとした。


…が、次の瞬間、レウォンはジニョンの腕をつかみ
自分の方に引き寄せ、彼女を胸の中に閉じ込めた。


「…あっ!」

ジニョンが驚いて小さな悲鳴を上げた。


レウォンは黙ったままジニョンをぎゅっと抱きしめた。


「レウォンさん? どうしたの?」

ジニョンは突然の出来事に、何が何だかわからなかった。


「ジニョンさん…」

レウォンはジニョンを抱きしめる事に夢中だった。


彼女の華奢な体を自分の胸の中に閉じ込め
彼女の頭の後ろに手を当てて自分の胸に引き寄せた。


そして、彼女の髪に顔をうずめた。


ジニョンの細い肩、甘い香りのするシルクのような髪

やわらかな頬、そして…体のぬくもり…

暗闇の中で、それらがレウォンを陶酔させた。


呆然としていたジニョンが突然、はっとした。


「やっ、やめて! レウォンさん!!!」


「ジニョンさん」


「はなして!!!」

ジニョンは必死でレウォンの腕から逃れようとするが
力強い男の力にかなうはずもなかった。


「俺、ジニョンさんが好きなんです!」


「!!!」

ジニョンの動きが止まった。


「初めて会った時から…ずっと、好きでした」


「レウォンさん…」


「わかっています、あなたが俺の事なんて何とも思ってないって…
 弟みたいにしか思ってないって、わかってます。
 …でも、だから 少しの間だけ…このまま…」

レウォンが悲痛な声で告白していた。


「だめよ…はなして…」

ジニョンはレウォンの胸に手を押して離れようと必死でもがいた。


レウォンはジニョンを離すまいと、そのままジニョンを壁に押し付けた。


「あっ!」

ジニョンがまた小さい悲鳴を上げた。


レウォンはジニョンの両手をつかみ、引き寄せて、また抱きしめた。

強く、激しく…もう自分の気持ちを押える事はできなかった。


「…お願いです、ジニョンさん。少しの間だけ…
 …5分だけでいいから… このままでいてください」


「!!!」

ジニョンはレウォンの言葉にはっとした。

 


“…5分でいいから誰にも邪魔されずに

 二人だけでいたかったんです


 ジニョンさんを僕の胸に抱いて…

 いえ…僕が抱かれたいと……”

 


ジニョンの目から涙があふれてきた。

惜しげもなく涙がはらはらと流れ、彼女の頬を伝わって落ちた。

彼女の体の震えが抱いているレウォンにも伝わった。


「ジニョンさん?}


「…だめよ、レウォンさん…」


「……」


「わたしが抱きしめて欲しいのは あなたじゃない。
 わたしが抱きしめてあげたいのも あなたじゃない」

ジニョンは言葉につまりながら、声を震わせてやっと言った。


「!!!」


レウォンは体中の力が抜けていくようだった。


彼はゆっくりとジニョンの体を離すと、力なくうつむいた。

 


その時、家中の明かりが戻ってきた。


そのまぶしさに目を細める二人。


二人とも泣いている事に、おたがいに気がついた。


「…レウォンさん…」


「すみません、ジニョンさん 許してください…」


「……」


レウォンの目からも涙が落ちてきた。


「…あなたを…泣かせるつもりはなかったんだ。
 本当に…ごめんなさい……」


レウォンはそう言うと、ジニョンに背を向け部屋を飛び出した。


そして 玄関のドアが閉まる音がした。

 


ジニョンは壁に背中をつけたまま、その場に崩れ落ちた。


体中の震えが止まらなかった。

 


外は、ますます激しい暴風雨になっていた……。

 

 

           つづく…
 


 








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