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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 60 HIT数 8267
日付 2010/02/17 ハンドルネーム aoi32
タイトル 行かないで -8- ただ…逢いたくて
本文

行かないで -8- ただ…逢いたくて

 

 

―― ニューヨーク JFK国際空港 ――

 


ボスが来た。


まっすぐ前を見て、颯爽と入国ロビーに入って来た。

濃いサングラスとトレンチコート。

相変わらず無表情で、俺を見つけてもそれは少しも変わる事はなかった。

でも 俺はめげない。


「ボス! お久しぶりです!!」

俺は以前と変わらないボスの様子が嬉しくて、思わず声をかける。


「…だから 2週間前に会ったのは誰だ?」

ボスは冷たい。


「そうでしたっけ?」


「それに、迎えに来るなって言ったはずだ。」

ボスはやっぱり冷たい。


でも、この冷たさがたまらない。

こんな 俺って変だよな。

でも、俺は知っている。


見かけは冷たくて、無表情で、人を寄せ付けない所があっても、
一瞬で 熱くて、感情豊かな男に変わるんだ。


そうだ。


俺のボス シン・ドンヒョクは 超カッコイイ男なんだ。


誇らしげな気分で、ますます元気になった俺は
ボスのスーツケースを手に取った。


「ボス、最初はどこに行きますか? ホテル? オフィス?」


「…オフィス。」


ボスは迷うことなく冷たく言った。

 

 

 


クールなボスが 一瞬で熱い男になるのは ジニョンさんが原因だと決まっている。


俺は時々、後部座席にいるボスを見た。


深くシートに身を沈め、早速、俺が持って来た書類に目を通している。


サングラスのせいで、その表情はよくわからないが、相変わらず無表情だ。


ふいに、ボスが言った。


「…レウォン。」


「はい?」


「おまえは 絶叫マシーンは好きか?」


「は? はい、好きですけど。」


「ソフトクリームは?」


「は? …好きですが…」


「……」


「何ですか? ディズニーランドにでも行くんですか?」


「……」


ボスは黙ってしまった。


何で 突然、不機嫌になるんだ?

 


その時 ボスの携帯電話が、バイブレーターで着信をつげた。


ボスは 携帯の画面を見ると同時に口元が緩んだ。

 


あ~あ……


ボスが一瞬で熱い男になった。


俺は小さくため息をつくしかない。

 


携帯のメールを読むボスは 隠す事もせず 静かな微笑を浮かべていた。

 

 

 


受信者 シン・ドンヒョク

発信者 ソ・ジニョン

件名  わたしのドンヒョクさんへ


ドンヒョクさん もう着いた?

本当は電話で声が聞きたいのだけど、お仕事中だといけないからメールにしたの。

飛行機の中で少しは休めたかしら?

ああ、あなたはあまり眠らないのよね。

覚えてる?

ハネムーンでオーストリアに行った時、わたしはとても疲れてて…

飛行機の中でも眠ってばかりいたわね。

あなたは わたしに毛布を掛けてくれて

わたしは あなたに寄り添って あなたの温もりを感じて とても安心して眠れたの。

そして 時々、目を覚ますと あなたは私を見て笑ってくれたわ。

ずっとわたしの寝顔を見てたのよね? 恥ずかしかったわ。

やだ、何だか思い出しちゃった。

あ、でも大丈夫。

今、ジェニーが美味しい物をたくさん作ってくれてるの。

でも、わたしが手伝うって言ったのに
「お姉さんは座っててくれた方が早く出来るわ。」って言うのよ。

失礼だと思わない?

ま、いいわ。 あ~、いいにおいがしてきた。

さあ、たくさん食べるわよ。ということで、また後でね。

ドンヒョクさん、後で電話してね。 ジニョンより。

 

 

 

 

 


数日後

 

マンハッタンにある カクテル・バー 


一人の男が カウンターに座り ブルー・マルガリータを飲んでいる。 

孤独と憂いを含んだその横顔は 静かにグラスの鮮やかな青い液体を見つめている。


そこへ 黒いドレスを着た美しい女が近づく。


「…隣に座ってもいいかしら?」


「…どうぞ。」

男はその女を見る事もなく言う。


彼女はふっと笑って、美しいブロンドの髪をかき上げる。


「…久しぶりね、フランク。2年ぶりかしら?」


「…今夜は誰かと待ち合わせ?」

ドンヒョクは静かに言う。


「…あなたに会いに来たのよ。 
 あの フランク・シンが帰って来たって 噂で持ちきりよ。」


「……」


「…それで? 今夜はつきあってくれるんでしょう?」

彼女は意味ありげに笑い、ドンヒョクの腕に手を置いた。


ドンヒョクは やっと彼女の方を見た。


そして、何か言おうとした時 突然、声がした。 


「あ! ボス! こんな所にいたんですか?」

レウォンが賑やかに歩いて来た。


「……」


「もう、あちこち探しましたよ! 何で携帯に出ないんですか?」


「おまえからの電話には出たくない。」


「まったく、我儘なんだから。 さっ、行きますよ! 
 今夜は俺と飲み明かしましょう!」

レウォンはドンヒョクの腕を掴んだ。  


「離せ。 仕事以外ではおまえに会いたくない。」


「そんな事言ってると、ジニョンさんに言いつけますよ。」


「………」


「ボスはもう 妻子持ちなんだから、こんな遊びはやめてくださいよ~。」

そう言ってレウォンは、ドンヒョクの隣の彼女をちらっと見た。


ひゃ~! すごい… セクシー美人…


「妻子じゃない。 まだ妻だけだ。」

ドンヒョクは冷たく言う。


「はいはい、わかりました。 さっ、行きますよ。」


レウォンはドンヒョクを強引に外へ連れ出した。

 

 

 


「…あいつと一緒だと、全てがコメディーになるんだ。
 こっちは静かに飲みたいのに…」


『…でも、ドンヒョクさん。 もし、レウォンさんが探しに来なかったら
 その彼女とご一緒に お酒をお飲みになったんじゃないんですか?」


「ご一緒って…」


…ジニョンの丁寧な言葉づかいが不気味だ

受話器の向こうで 彼女は怒っている。

 


「ひどいな、ジニョン。 僕は何一つやましい事がないから 
 こうして電話で話してるのに。」


『………』


「僕を信じてないんだ。」  


『………』


「僕が信じられない?」


『………』


「…わかったよ、もう電話も切る。…これから、寝るところなんだ。」


『………』


「でも…ジニョンに疑われたままじゃ、今夜は眠れそうにないな。」


『ドンンヒョクさん…』


「じゃあ…」


『まっ、待って! ドンヒョクさん!』


「……」


『しっ、信じてるわ! ごめんなさい。わたし、ドンヒョクさんのこと信じてる。』


「ジニョン。」


『ごめんなさい。 ちょっと不安だったの。 だから、安心して眠って。』


「眠れそうもない…」


『わたし…どうすればいいの?』


「…愛してるって言って…」

我儘な子供のようなドンヒョクが動き出す。


『え?』


「僕が眠るまで、愛してるって言って。」


『だっ、だって、今 スタッフルームにいるのよ。そんなこと…』


「誰かいるの?」


『いっ、いないけど。』


「じゃあ、言って。」


『でも…』


「愛してる、ジニョン。」


『…わたしも…』


「わたしも、じゃなくて ちゃんと言って。」


今は抱きしめられないから せめて、言葉だけでも伝えてくれ…

 


『…愛してるわ、ドンヒョクさん。』


「うん。」


『…愛してる… 愛してる… 愛してる…… …』


「うん、僕も 愛してる…」


『ドンヒョクさん 愛してる、愛してる、愛してる……あい…た…い…会いたい…」


「!!!」


ジニョンの切ない声に ドンヒョクの胸が痛み出した。


まずいな…よけいに眠れなくなりそうだ…


   

“会いたい”は“愛してる”よりも 恋しくて切なくて胸に響く言葉……

 

ジニョンの告白は続いている。


『…会いたい、会いたい、会いたい…あっ…』


「?」


突然、ジニョンの声が止まる。


「ジニョン?」


『おい!ドンヒョク! そっちは夜中だろう! 
 こんな アホなことしてないで、さっさと寝ろ!!』


ハン・テジュンはそう叫ぶと、電話をガチャン!と切った。


ドンヒョクは呆然としていた。

しかし、すぐに笑い出した。

 


まだ怒ってるな ハン・テジュン。


ちょっと からかい過ぎたか?


さっさと寝ろ…か。 まるで 父親みたいだな。


わかったよ、ハン・テジュン。


何となく…今夜はよく眠れそうな気がするよ。

 

 

 


ドンヒョクは部屋の明かりを落とすと ベッドに横になった。


そして、目を閉じて静かにつぶやいた。


   

「お休み ジニョン……」

 


               つづく…


 








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