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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367516/1904757
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 61 HIT数 9711
日付 2010/02/17 ハンドルネーム aoi32
タイトル 行かないで -9- 北ウイング
本文

行かないで -9- 北ウイング

 


2月になった。


今日のソウルは朝から雪が降っている。


ドンヒョクさんがNYに行ってから、2週間がたった。


わたしは、以前のように仕事に追われる毎日。


今週は ブライダル・ショーとパーティーの予定が入っている。

 


…忙しいほうがいいわ…


今は そのほうが気が紛れる


仕事をしている間は あなたの事を忘れられるもの…

 


太陽が昇る朝が好き


ホテルにいる時が好き
  
   
お客様と 取り留めのない話をしている時が好き


夜勤明けに 昼間 家で眠るのが好き
 
    
みんなと一緒に 夕ご飯を食べるのが好き


休日は嫌い

     
ガレージにある 動かない車は嫌い

     
あなたの物が たくさん溢れている書斎は嫌い

     
あなたが いつも座っているソファは嫌い

     
あなたのマグカップが嫌い

     
あなたの温もりがない大きなベッドは嫌い

     
あなたのいない夜は…大嫌い

 

 

 


―――――

 


受信者 シン・ドンヒョク

発信者 ソ・ジニョン

件名  帰国日は?


ドンヒョクさん

あなたがNYに行ってから、もうすぐ3週間たつのね

予定通り 帰れるのかしら?

今日は 素敵な事があったの

以前、サファイアヴィラにご宿泊になって 
指輪を紛失されたお客様の話をしたわよね

そう、わたしが大泣きした時の事よ

あのお客様 ご年配の女性のお客様なんだけど
今日 わたしに会いに来てくださったの

あの指輪 亡くなったご主人から初めてもらった指輪なんですって

だから なくした時に とてもショックで気が動転してしまったのね

わたしにも その気持ちがよくわかるの

だって わたしも そんな大切な指輪を持ってるから

あの時 きちんとお礼が言えなかったから ずっと気にしてて
それで 今日 わざわざ来てくださったの

大切な指輪を探してくれた事に とても感謝してるって

また来ますって

それを聞いた時 わたしがどんなに嬉しかったかわかる?

わたしって単純だから それだけで 今までのもやもやしてた気持ちが
どこかに 吹っ飛んでしまったわ

その言葉は ホテリアーにとって最高の誉め言葉だったの


ドンヒョクさん

わたしは やっぱりこの仕事が好き

そして それに気づかせてくれたのは あなたなの

あなたが いつも わたしを見守ってくれるから

わたしは ゆっくり 自分のことを考えることができる

あなたは 前からわたしの手を引いてくれるし、
後ろから背中を押してくれるのね

あなたは今 眠っているのね

朝まで待てなかったから こんな長いメールになってしまったわ

ありがとう、ドンヒョクさん

今、わたしは 感謝の気持ちでいっぱいなの

愛してるわ、ドンヒョクさん

何だか ラブレターみたいね

早くあなたに会いたい

もうすぐ 会えるわね

ジニョンより

 


―――――

 

 

 

―― 次の日 ――


ソウルホテル スタッフルーム

 

「どうしたの、ジニョン。 暗いわね。」

イ・スンジョンが 向かい側のデスクから声をかけてきた。


「先輩。」

ジニョンは スンジョンのほうを見ると大きなため息をついた。


「どうしたの? 昨日はあんなにご機嫌だったのに。 顔色も悪いわよ。」


「はあ…」


「また、理事と何かあった?」

スンジョンは興味津々というように聞いてくる。


「違うわ。 彼の ドンヒョクさんの出張期間が延びそうなの。
 いつ、帰れるか わからないって。
 バレンタインデーにも間に合わないみたい。」

ジニョンがどんより暗い。


「まあ、そうなの?」


「ええ、昨夜 連絡があって。 それで、あまり眠れなくて。」


「理事はNYでも忙しいのねえ。」


「ええ。 何でも、今 大きなプロジェクトを起ち上げていて レウォンさんがあちらに行って
 初めての大きな仕事だからって バックアップしてるみたい。」


「レウォンさんって、あの元気で、やたら明るい坊や?」


「ええ。 何だかんだ言って、ドンヒョクさんは レウォンさんのこと期待してるから。」


「ジニョン?」


「…気のせいか ドンヒョクさんも何だか楽しそうで…
 わたし、レウォンさんにやきもち妬いたりして…
 変ね、わたしって。 ばかみたい。」

ジニョンは寂しそうに笑った。


「………」

イ・スンジョンは 黙ってジニョンを見つめた。

そして 少し考えた後 スタッフルームを出て行った。

 

 

 


「え? 今、何て言ったの?」

ジニョンは 驚いてテジュンを見た。

「…だから NYに行って来い。」

テジュンはきっぱりと言った。


「え、でも…」


「ふんっ。 何しろ 最初は3か月間だと思ってたからな。
 おまえに休暇を取らせてやろうと、総支配人と相談してたんだ。」

テジュンはむすっとした顔で言った。


「…テジュンさん。」


「ま、ちょうど 大きなイベントも終わったし、行くなら今しかないと思ってな。
 今から準備すれば 今日の最終便に間に合うだろう?」


「テジュンさん。」


「ドンヒョクに伝えろ。 お詫びとお礼に高級ワインを一年分よこせってな。」


「ありがとう、テジュンさん。」


嬉しそうなジニョンを見て テジュンは照れたように笑った。

 

 

 

 

 

―― NY行き最終便 ――


空港で ドンヒョクの秘書のイ・ヘヨンが用意してくれた航空券を
受け取ったジニョンは飛行機に搭乗した。


ドンヒョクと連絡がとれないため 何も知らせないまま NYに向かう
ジニョンは不安だった。


…やっぱり ファーストクラスなのね…


席はゆったりしてるし 客室乗務員の笑顔とサービスも最高だけど
一人で座るのは やっぱり落ち着かない。


ジニョンは 気を紛らわそうと 窓から外を見る。


夜の闇の中を ジェット機は飛んで行く。


月夜のソウルから 雪降る夜のNYへ…


銀の翼が ジニョンをドンヒョクの元へ運んでくれる。


スーツケースの中には 小さなチョコレートの箱がひとつ…

 


…お願い


わたしを…彼のところへ 早く連れてって

       
早く会いたい  


少しでも 早く 会いたい

 


ヘヨンさんから連絡を受けて あなたは 今ごろ びっくりしてるかしら?


あなたの承諾も取らないまま こんな事をして 怒ってるかしら? 
    

でも…


きっと 喜んでくれるわよね


きっと 笑って許してくれるわよね


「会いたかった」って 言ってくれるかしら


ぎゅっと抱きしめてくれるかしら


ドンヒョクさん …ドンヒョクさん  


あなたの笑顔を見ながら この名前を呼びたいわ


待ってて… もうすぐよ…

 


少しの不安と 幸せの予感に満ちた 夜間飛行


あの 魔法の指輪をはめて


夜の闇と 遥かな海を越えて あなたに会いに行くわ……

 


                 つづく…

 

 








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