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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367532/1904773
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 63 HIT数 8562
日付 2010/02/18 ハンドルネーム aoi32
タイトル 行かないで -11- らいおんハート
本文

行かないで -11- らいおんハート

 

 


エレガントなヨーロピアンスタイルの そのホテルは
降り積もった雪の中でライトアップされ 優雅なたたずまいを見せていた。

美しいフランス製のライムストーンの外観 マホガニー調の正面玄関ドア。

ミッドタウンの真ん中という場所でありながら
そのホテルは静寂につつまれ 贅沢なオアシスのような雰囲気を醸し出していた。

 


「…素敵なホテルね、ドンヒョクさん。」

ジニョンは ホテルを見上げると 大きな瞳を輝かせた。


「気に入った?」


「ええ、とても。…ソウルホテルとは また違ったタイプのホテルね。」


ジニョンは好奇心いっぱいの顔であたりを見回した。

 

 

 


ジニョンの大きな瞳が 驚きのあまり ますます大きくなったのは
部屋に入ってからも同じだった。

そのスイートルームは 深いグリーンとクリーム色の壁で内装され
アンティークなフランス製の家具は 落ち着いたダークブラウンで統一されていた。

オリジナルアートが壁に掛けられ 装飾を施した暖炉やルームライトが
暖かい雰囲気を演出していた。

 


「…ドンヒョクさん …もしかして、お部屋を替えてもらったんじゃない?」

ジニョンはテーブルの上に置いてある赤い薔薇の花束に
顔を近づけ その香りにうっとりしたように言った。


「さすが、ジニョン。 実は、さっき会った総支配人に頼んでね。
 少し広い部屋に替えてもらったんだ。」

ドンヒョクはにっこり笑った。


「…これで 少し…なの?」


「いいじゃないか。 せっかくジニョンが来てくれたんだから
 最高のもてなしをしないとね。」


「もう、なんて贅沢なの。 ドンヒョクさんったら本当にしょうがない人ね。」

ジニョンはドンヒョクを軽く睨みながら言った。


「ジニョンを甘やかすのが趣味なんだ。」


ドンヒョクは軽く言うと スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを解いた。

そして ジニョンの方へ手を差し出した。


「おいで、ジニョン。」


ドンヒョクに見つめられて ジニョンは恥ずかしそうにうつむいた。

 


ソファに座り ジニョンを自分の膝の上にのせたドンヒョクは 彼女を横抱きにした。

そして ジニョンのブーツを脱がせ 彼女の両足をソファの上に持ち上げた。


「…ドンヒョクさん。」


「足が疲れただろう? ジニョン。」


「そうね、少し…」


ドンヒョクの大きな手が ジニョンの足をゆっくり撫で始めた。


「…ドンヒョクさんの手が温かくて気持ち良いわ。」


ジニョンの頬が ほんのり桜色なっていた。


「そう?」


ドンヒョクは やわらかく笑うと ジニョンに唇を重ねてきた。


「…ん…」


「来てくれて嬉しいよ、ジニョン。」


「ドンヒョクさん…」


「愛してる ジニョン。」


何度も熱く 甘い口づけをかわす二人。


キスを重ねるうちに ジニョンの瞳と唇が潤んできた。

そして ドンヒョクの手がジニョンのスカートの中を彷徨い始める。


「…ドンヒョクさ…ん。」

ジニョンが少し震えている。


「ん?」


「…お願い…」


「何? 言ってごらん。」


「…わたし… シャワーを浴びたいの…
 バスタブにつかって 手足をゆっくり伸ばしたいの。
 …だから…ちょっと、離し…て…」

ジニョンの頬は赤くなっていた。


「そうか。 そうだね… ごめん、気がつかなくて。」

ドンヒョクは笑ってそう言うと 自分の腕時計と眼鏡を外し
テーブルの上に置いた。


「…ドンヒョクさん?」


「このまま バスルームまで運んであげるよ。」


「え?」


「一緒に入ろう。」


「ええ!?」

ジニョンは一瞬にして真っ赤になった。


ドンヒョクはそんな事にはかまわず ジニョンをふわっと抱き上げた。


「でっ、でも!」


「さっき 見ただろう?あのバスルーム。」


「え?」


「広すぎるんだ。 一人で入ると迷子になるよ。」


「でっ、でも…」

ジニョンは真っ赤な顔で足をばたばたさせた。


「大丈夫、何もしないから。」


「でもっ!」
 

…何もしないわけないでしょう???


「言っただろう? 最高のもてなしをするって。」


「さっ、最高のもてなしって、何~???」


「僕からジニョンへの気持ちだよ。」


「でっ、でも~!」


「もう…でも、は言わないこと。」

ドンヒョクはジニョンを大股で歩き運んで行く。


「でも、でも……」

 


バスルームの扉が閉まってからも ジニョンの「でも」という言葉が響いていた。


…でも…


やがて、それも聞こえなくなり シャワーの音だけが微かに漏れてくるだけだった……。

 

 

 


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やはり 時差が影響したのか ジニョンは夜中に目を覚ました。


同じベッドですぐ傍に眠っているはずのドンヒョクの方に
手を伸ばしてみたが、シーツには 微かな温もりだけが残っているだけだった。

 


…ほんの 少し前のことは夢だったのかしら?


ううん、違う


わたしは ちゃんと覚えている


ドンヒョクさんの熱い唇も 長くて綺麗な指も


彼の温かい胸も 体の重みも


愛されたことも 全て現実のことだわ……

 


ジニョンは少しだるい体を起こして ぼんやりと隣の部屋の方を見た。


そして、バスローブを羽織るとゆっくりとベッドから降りた。

 


ドンヒョクは ゆったりとした大きな椅子に座っていた。


窓の外を見て、ジニョンには背中を向けている。


「…ドンヒョクさん、眠れないの?」


「…ジニョン?」


「わたしも目が覚めちゃった。時差ボケかしら。」


「ジニョンが疲れて よく眠れるように、最高のもてなしをしたんだけど。」


「もうっ、何てこと言うのよ。」


ジニョンは また自分が赤くなるのがわかった。

 


ドンヒョクの足の間にぴったりと収まったように座るジニョン。


二人は一緒にふかふかの毛布にくるまっていた。


ドンヒョクはジニョンを後ろから抱きしめ そのまま二人で窓の外の夜景を眺めた。


目の前に広がる 摩天楼の壮大なパノラマ。

24時間眠らない街 ニューヨーク。

ビジネス街のビルのイルミネーション。

深夜でも賑わう ブロードウェイの街明かり。

マンハッタンは人々のざわめきで溢れているのに
このホテルの部屋の中は おだやかなオレンジ色のスタンドの明かりと
贅沢な静寂につつまれていた。

 


「…ため息がでそうなほど 綺麗ね……」

ジニョンがうっとりしながら言った。


「うん… 綺麗だ……」

ドンヒョクも静かに答えた。


「ドンヒョクさんは この街でずっと生きてきたのね。
 どこかのビルの最上階で この夜景を眺めてたの?」


「そうだね。…でも、あまりよく覚えてない。
 こんなに マンハッタンの夜景が美しいなんて思わなかったよ。」


「…ドンヒョクさん。」


「ジニョンと一緒だからかな。 ジニョンがいれば いつでも楽しいし
 何を見ても美しいと思うよ…」


「わたしもよ、ドンヒョクさん。 ここに来れて 本当に良かったわ。
 ずっと一緒にはいられなくても こうしてるだけで幸せだわ。」


「週末になれば ずっと一緒にいられるよ。
 そうだ、ジニョンさんは まずは、どこに行ってみたいですか?
 自由の女神? エンパイアステートビル?
 それとも…レオみたいにコリアンタウン?」

ドンヒョクが明るい声で言う。


「…ドンヒョクさん。」

ジニョンの脳裏に悲しい記憶がよみがえってくる。


あの時、あの時は…返事ができなかったわたし

あなたとNYへ行けないと言ったわたし…


「…どこへ行きたい? ジニョン。」

ドンヒョクの声が少し切ない。


「…そうね。 自由の女神もいいけど、タイムズスクエアーにもクライスラービルにも
 行ってみたいし…近代美術館と、五番街でショッピングもいいわね。
 ブロードウェイでミュージカルも観たいし、マンハッタンを手をつないで歩くのも素敵。
 でも、やっぱり…美味しい物をたくさん食べたいわ。」

ジニョンは思いつく事を 何でも言ってみる。

あの時 答えられなかった分まで言ってみる。

ドンヒョクがあきれるくらい無茶な事を言ってみる。


ドンヒョクがジニョンの耳元で くすくす笑い出した。


「わかりました、奥さま。 全て僕におまかせを…」


「…こんなにたくさんは無理でしょう?」


「大丈夫だよ、ジニョン。」


「え?」


「簡単な事さ。週末の休みをもう一日増やすんだ。」


「ドンヒョクさんったら!」

ジニョンが困ったように笑う。


ドンヒョクはジニョンをぎゅっと抱きしめた。

そして 耳元で囁いた。


「…ありがとう、ジニョン…」

 

 

 


ふかふかの毛布とドンヒョクにくるまって ジニョンは少し眠くなってきた。

小さなあくびをしたジニョンを見て、ドンヒョクは言った。


「ジニョン、眠い?」


「少し…」


「このまま眠っていいよ。」


「ええ…」


温かくて、信頼できるドンヒョクの胸の中で 
ジニョンは安心して自分の全てを預ける事ができた。


「…ドンヒョクさん…」


「うん?」


「愛してる…」


「うん。」


ジニョンは ゆっくりと深い眠りに落ちていく。


ドンヒョクは そのあどけない寝顔を見てふっと笑った。


もう、あの時のような悲しい笑顔を浮かべる事はなかった……。

 

 


           つづく…








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