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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 67 HIT数 8340
日付 2010/02/20 ハンドルネーム aoi32
タイトル 行かないで -15- やさしいキスをして
本文

行かないで -15- やさしいキスをして

 


 

ジニョンがNYに来て 10日が過ぎた。


すっかり9時から5時までの男に成り下がったドンヒョクは 
夢のような時間を過ごしていた。


5時ジャストに仕事を半ば強引に終わらせると、レウォンのため息などは気にもせず
さっさとオフィスを出て 足早に歩き ホテルへまっしぐら…


その時間は日毎に短縮されて、記録を塗り変えていた。


ドンヒョクがが毎朝のジョギングを欠かさないのは 
このためだったのではないかと思えるほどだった。


この日も 歩いているとは言えない速さでホテルに着くと 
ドンヒョクは一応フロントに寄ってみた。


「お帰りなさいませ、ミスター・シン。 
 奥さまも もうお帰りになってらっしゃいますよ。」

顔なじみのフロント係が いつものようににこやかに言った。


「ありがとう。」


かつて 冷酷で、鋭くて、狙った獲物は逃さないハンターで
ウォール街でもその名を轟かせていた フランク・シン。


その男が 今は「奥さま」という言葉ひとつで 
信じられないほどのやわらかな微笑を浮かべていた。

 

 

 


「お帰りなさい、ドンヒョクさん!」


スイートルームのドアが中から開くと同時に 
ジニョンが嬉しそうに抱きついてきた。


「ただいま、ジニョン。」


お帰りなさいのキスと ただいまのキスは 別唇…


それが終わるとドンヒョクは ジニョンを思う存分、抱きしめる。


「…今日はどこへ行って来たの?」


「今日は アッパーイーストの方に行ってホテル巡りをしたの。
 それから美術館に行って…」


「それは ジニョンにとっては有意義な過ごし方だったね。」


「そうね。色々、勉強になったわ。 でも キョロキョロ見回していたから
 不審者と間違えられたかも…」


「ジニョンが?」


「ええ。」


「こんな かわいい不審者なんているもんか。」


「ドンヒョクさんったら」

 


ドンヒョクは また好きなだけジニョンを抱きしめる。


…甘すぎると 呆れられてもかまわない。

      
何を言われてもかまわない。

    
それは大した事じゃない。


今のドンヒョクにとってジニョンは 世界でいちばんの宝物。


他の全てを無くしても ジニョンだけは絶対に失えない。


ジニョンはドンヒョクの逞しい腕の中から うっとりした瞳を彼に向けた。


「ねえ、ドンヒョクさん。」


「うん?」


「…何だか ハネムーンみたいね。」


「そう?」


「こんなに長い時間… 二人きりで過ごすなんて、今までなかったもの。」


「ジニョン…」


ソファに座ったまま ドンヒョクはジニョンを抱きしめた。


ドンヒョクとジニョンは 以前にも増してお互いを離そうとしない。


できるだけ 一緒に過ごそうとしている。


何も言わなくても その理由はわかっていた。


もうすぐ、ジニョンの休暇が終わる。


ジニョンがソウルに帰る日… その日は確実に近づいていた……。

 

 

 


NYでも ドンヒョクのジョギングのスタイルだけは変わらなかった。


前夜、どんなに遅くなっても 朝になると彼はジョギングに行った。


歩いて20分の所にあるセントラルパークまで走り 公園の中を駆け抜け 
ホテルまで戻ってくるコース。


部屋に戻ったドンヒョクは シャワーを浴び、ミネラルウォーターを飲む。


そして まだベッドの中で眠っているジニョンを起こす。


窓から入る明るい日差しを浴びて ドンヒョクの低く、静かな声がジニョンの耳元で囁く。


「ジニョン。朝だよ、起きて。」


ジニョンは 石けんの匂いのするドンヒョクも 彼の低くて甘い声も大好きだった。


だから それで目を覚ます事は無く かえって夢見心地になってうっとりしてしまう。


その後 ドンヒョクの大きな手がジニョンの白い肩を揺する。


「ジニョン、起きて。」


また ドンヒョクの声がする。


ジニョンは まだ目を開けない。


彼女にはわかっていたのだ。


いつまでも起きないジニョンに呆れて ドンヒョクがふざけてキスをしてくる事を…


ジニョンは そのドンヒョクの優しいキスも大好きだった。

 

 

 


―― 翌日 ――

 


“ジニョンへ

 今夜は ブロードウェイでミュージカルを観ませんか

 6時に 下のロビーで待ってます

 また お洒落をしてきて欲しいな

                 ドンヒョクより”

 

 

 


ルームサービスで届いた箱の中には 美しい光沢のある淡いピンクのドレスと一緒に
カードとミュージカルのチケットが添えられていた。

 


「ドンヒョクさんったら…」


ジニョンは 少し困ったように笑った。

 

  
…また、わたしを甘やかすのね

“オペラ座の怪人”?

このミュージカルって かなり有名よね…

確か…ロングランの…

どうして こんなチケットが手に入ったのかしら?

突然、来たから ミュージカルは観られないって諦めてたのに…


それに…

 


ジニョンは そのパールピンクのドレスを手に取って広げてみた。

   
…素敵なドレス!


普段から そういうものに見慣れているジニョンにとって、
そのドレスがかなり高価なものだという事がわかった。


ジニョンは 鏡の前に立って自分の体に当てて見た。


この前のルビー色のドレスもそうだったが ジニョンの体のラインがそのまま出そうな 
シンプルなデザインのドレスだった。


…どうして ドンヒョクさんはいつも わたしのサイズにぴったり合うのを
選んでくれるのかしら?


「………」

ジニョンは少し考えて なぜか恥ずかしくなった。

頬が赤く染まっている。


…ふっ、深く考えるのはよそう…

 


もうすぐ、わたしの休暇が終わる

その時は ソウルに帰らなくてはいけない

わたしは…先に帰って、一人であの広い家で暮らして行けるのかしら? 

 


ドンヒョクさんは とても優しくしてくれたわ

わたしの事を 信じられないくらい大切にしてくれたわ

前よりもずっと…


いろいろな所へ連れて行ってくれたわ

ガイドブックに載ってるような場所へも連れて行ってくれた

ロックフェラーセンターも、エンパイアステートビルも、クライスラービルも
タイムズスクエアにも行ったわ

マンハッタンも一緒に歩いたし フェリーにも乗って夜景を眺めたわね

セントラルパークでは 雪だるまも作ったわ

昔、見たドラマみたいだったわね…

 


毎晩 わたしの髪をシャンプーしてくれた

バスタブにお湯をはって一緒に入り 大きな手で足をさすってくれたわ


最初は恥ずかしくて ドンヒョクさんの顔も見られなかったけど
あなたは わたしをゆっくり見つめ 綺麗だと囁いてくれた

バスルームの中で あなたの声はわたしの耳元で優しく響いた


温かい湯気が立ちこめる中で
ドンヒョクさんは わたしに何度もキスをしてくれたわ


情熱的に激しく…わたしの唇を求めてくれたわ


わたしはそのキスに溺れて 頭がくらくらしそうだった…


ミルク色のお湯の中で わたしはドンヒョクさんの美しい彫刻のような胸に 
頬をぴったりとくっつけるのが大好きだった


温かくて 逞しくて あなたの鼓動が聞こえてきて とても安心できたの


あなたの大きな手が わたしの髪、頬、肩を撫でて
その後 体を優しく包み込んでくれた…


温かいお湯も ドンヒョクさんの体も気持ちよくて
わたしは つい眠くなってしまうの


そんなわたしを見てあなたは「まだ、寝ちゃだめだよ、ジニョン」って言うのよね


ぴったりと体をくっつけてるのが自然で
わたしの体が まるであなたの体に溶け込んでいきそうな気がしたの


そうよね

わたしたちは半身同士なんだもの


あなたとわたしは 決して離れてはいけないの…

 

 

 


…帰りたくない…

 


気がつくと 涙がぽろぽろ溢れてきた。


魔法のお菓子のように 甘くて幸せだったことを思い出すと
このまま ソウルに帰ることなんてできない。

 


「あなたは わたしを甘やかしすぎるわ。」


「どうして? それはいけない事なの?」


「そうじゃなくて…」


「僕はジニョンを甘やかすよ。 愛してるから…とても大切だから。
 ジニョンは特別なんだ。」


「ドンヒョクさん…」

 


いつかの あなたの言葉

わかってるわ、ドンヒョクさん… あなたの気持ちは

わたしだって あなたに優しくされるのは嬉しいの


でも…

わたしが一人になった時

甘やかしてくれる あなたが傍にいない時

わたしは…どうすればいいの


わたしは…もう、一人では自分の髪を洗う事もできないの…


あなたとの幸福で濃密な日々を知ってしまったから

   
わたしは もう一人では生きていけないの……

 

 








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