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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367499/1904740
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 70 HIT数 8814
日付 2010/02/24 ハンドルネーム aoi32
タイトル チェジュド恋物語 -2- 愛が足りない
本文

チェジュド恋物語 -2- 愛が足りない


 

 

ホテルのロビーで エレベーターを待っていた パク・ジェウクとソン・ヨンハは
正面玄関から入って来たジニョンに気がついた。


「ジニョンさん?」

彼女を逸早く見つけたのは ジェウクだった。


「あ… ジェウクさん、ヨンハさん。」

ジニョンが驚いて二人を見た。


「ジニョンさん、外出してたんですか?」

ヨンハが何気なく聞いた。


「え? あれからずっと、外にいたんですか?」

ジェウクが驚いた。


「あ… いいえ、ちょっと人に会って来たんです。」

ジニョンはそう言うと頬を赤く染めた。


二人の男は はっとした。

今までのジニョンとは 何か違うような気がした。


心なしか 目が潤んで そこはかとなく艶っぽい美しさが満ち溢れていた。


「…ジニョンさん。 何か いつもと違うと思ったら 髪を下ろしていたんですね?」

ヨンハが 眩しそうにジニョンを見た。


その瞬間 ジニョンはぼわっと顔を赤くして 自分の髪に手をあてたままうつむいた。


研修会の間 ジニョンは髪を小さくまとめ上げ きちんとしたスーツを着ていた。


それが 今は 艶やかに輝く黒髪を肩まで下ろし やわらかな印象を与えている。


ジェウクは ぼんやりとジニョンを見つめ 静かに言った。


「…ジニョンさん。打ち上げは7時からでしたね。
 最後の夜ですから ジニョンさんも出席しますよね?」

 

 

 


ホテルの部屋に戻ったジニョンは そのままベッドの上に横になった。


そして うつ伏せになると まっ白なシーツに顔を押し付けた。


冷たい感触が 火照った頬に気持ち良かった。


ジニョンは目を閉じて思い出していた……。

 

 

 


暗闇でいきなり抱きしめられて その相手が誰かも分からず 
ジニョンはパニックに陥っていた。


…キム会長??? いいえ、違うわ!!!

ドンヒョクさんの知り合いが こんな事するわけない!

 


必死でもがいて その相手の腕から逃れようとした。


「やっ、やめてください!!」

ジニョンは恐怖で涙が出そうだった。


だが その腕の力は少しも緩む事なく ジニョンが身動き出来ないほど
ますます強く しっかりと抱きしめてきた。


混乱の中でジニョンは その相手が長身の男だと言う事がわかった。


ジニョンは無我夢中だった。


そして、不思議な事に ほんの少し 冷静さを取り戻していた。


以前、ホテルで 警察の生活安全課の婦人警官を招いて防犯の指導を受けた事を思い出した。


“セルフディフェンス”…自分の身を守るために…


いざと言う時は 相手を踏みつける、ひっかく、噛み付く…


“急所をねらうと良いでしょう”


今、ねらえるのは 向こう脛か足首…


ジニョンは 思いっきり、相手の足首をヒールのかかとで踏みつけた。


“中途半端にすると相手が逆上する恐れがあるので、やる時は思いっきりやること” 

 


「うっ!」

不意をつかれて 相手の男がひるんだ隙に ジニョンはその腕から逃げ出した。


思ったよりも相手にダメージを与えたらしい…?


「こっ、こんな事して ただじゃすまないわよ!わっ、わたしの夫は強いんだから!
 テッテコンドー5段よ! 跳び蹴りが得意なんだから!
 あっ、あなたなんて 一発で倒せるんだから!!!」

ジニョンは興奮して叫んだ。

そして 外へ逃げようとした。

その時 相手の男が笑い出した。


「え???」

ジニョンは固まった。 …聞き覚えのある笑い声…?


「…テコンドーか。 興味はあるけどやったことないな。今度、道場に通ってみようかな。」


低音で、甘く響く 懐かしい声。


ジニョンは慌てて壁伝いに照明のスイッチを探し 部屋の明かりを点けた。

 


!!!!!


    

たった今、興奮したジニョンの口から思わず出てきた彼女の“夫”シン・ドンヒョクが
床に座り込んで 左足首を押さえていた。

 

「ド、ドンヒョクさん???」


「…さすが、ソ支配人。この踏みつけは効果抜群だ。」


「どっ、どうして!」


「…でも、ひどいなあ、ジニョンさん。 僕がわからないなんて…
 そっちの方がショックだ。」

ドンヒョクは笑いながら言った。


ジニョンは 全身の力が抜け その場に座り込んでしまった…。

 

 

 


「もう!! どうして あなたは いつもそうなの!?
 何も言わずに突然、帰って来て びっくりさせて! そんなにわたしの驚く顔が見たいの?」


ジニョンはぷりぷり怒りながら ドンヒョクの足首に氷水で冷やしたタオルを当てた。

怒った顔が泣きそうになる。


「うん。ジニョンが驚いて目を丸くした顔が好きなんだ。すごく可愛いんだ、これが。」

ドンヒョクは悪びれもせず 軽く答えた。


「そっ、そんな事言っても ごまかされないわよ! すごくびっくりしたんだから!
 こ、怖かったんだから!!!」


「ごめん、ジニョン。 少しやり過ぎたかな。」

ジニョンのあまりの剣幕に ドンヒョクはほんの少し反省した。


「少しじゃないわ!!!」


…ああ、わたしったら ドンヒョクさんの綺麗な足首に傷をつけてしまった

どうしよう… すごく痛そうだわ


「そんなに怒らないで、ジニョン。 僕もこんな事するつもりはなかったんだ。
 ただ、突然帰って ついでにジニョンがいるチェジュドで休もうかと思って。
 今、ヴィラ・スイートにいるからおいでって知らせるつもりだったんだ。」


ドンヒョクがジニョンの頬を撫でながら言う。


「…それだけで十分 驚くと思うけど。」

ジニョンは呆れてため息をついた。


…内出血してるわ 病院に連れて行った方がいいかしら…


そんなジニョンの心配をよそに ドンヒョクは話を続けている。


「…夕方、研修が終わる頃 そんな電話をしようと思って、何気なくそのカーテンを開けて外を見た。」


「え?」


ドンヒョクはソファからゆっくり立ち上がり 床にひざまずいてタオルを当てていたジニョンを
立たせると窓側に連れて行き 後ろから彼女の肩に手を置いた。


「外を見てごらん。」


「え?」


ドンヒョクはカーテンを両側に寄せ 窓を開けた。


同時に 風が部屋の中に入り込んでくる。


波の音と潮の香り…すぐ近くに海岸が広がっている。


まさに夕日が沈むところだった。


紫がかった濃いオレンジ色の太陽が 地平線に沿って一筋の光を放っている。

 


「あの海岸で 夕日に染まる海をバックにデートしてる二人を見かけた。」
    
ドンヒョクがジニョンの耳元で言った。


「え…」


「知ってるかい? 僕は どんな遠くからでもジニョンのことを見つけられるんだ。」


「あの…ドンヒョクさん…」


「だから、ジニョンに少し意地悪したくなった。
 そうだ。 ジニョンの言う通り、相手の男には跳び蹴りしようか?
 僕は 本当は回し蹴りのほうが得意だけどね。」


「ちっ、違うのよ、ドンヒョクさん! あれはデートなんかじゃないのよ! 偶然、会っただけなの。」

ジニョンは慌てて叫んだ。


「わかってるよ…」


「ドンヒョクさん。」


「でも…許せない。」


「なぜ?」


「ジニョン…君は隙だらけなんだ。」


「え?」


「夕日に染まる海をひとりで眺めてるなんて…男が誘ってくるに決まってるだろう?」


「ドンヒョクさんを思い出してたのよ。それも駄目なの?」


ジニョンは振り向いてドンヒョクを見つめた。…その瞳は切ない。


ジニョンの言葉が その悲しげな瞳がドンヒョクの胸に突き刺さる。


「駄目だよ…そんな目を他の男に見せるなんて。」


ドンヒョクはゆっくりと手を伸ばすと ジニョンの髪を結い上げていた黒いピンを抜き取った。


艶やかなシルクのような黒髪が 彼女の肩の上にぱさっと落ちて広がった。


「ドンヒョクさん…?」

ジニョンは戸惑ってドンヒョクを見つめた。


ドンヒョクはジニョンを静かに抱き寄せると その彼女の髪に顔をうずめた。


「…潮の香りがする…」


「ドンヒョクさん。」


「やっと会えたのに また嫉妬してしまった…」


「……」


「離れていても心配だし こうして抱きしめていても不安なんだ…」


「ドンヒョクさん…」


「こんな僕は どうすればいいんだろう。」


「……」


「今までずっと数えきれないほどジニョンを抱きしめてきたのに 今日、君は僕がわからなかった。」


「それは…まさか、あなたがここにいるなんて思わなかったから。」


「僕の愛し方が まだ足りないのかな…?」


「え?」


「どう思う? ジニョン。」


ドンヒョクの低い声がジニョンの耳元で囁きかけてくる。


胸に響く彼の声に ジニョンは何も言えなくなる。


「もっと深く強くジニョンを愛せば こんな嫉妬心もなくなるのかな。」


切ないドンヒョクに ジニョンも泣きたくなってきた。


「そうよ… もっと、もっと わたしを愛して。嫉妬する隙もないくらい…」


ジニョンはドンヒョクの胸に頬を寄せて目を閉じた。


ドンヒョクは 何も言わず ジニョンを強く抱きしめた。

 


「…ジニョン。」


「え?」


「もう一度 部屋の明かりを消してもいいかな?」


「え? あの…」

ドンヒョクの言葉に胸が高鳴る。


その事が何を意味してるのか ジニョンにはわかっていた。


「僕はこのままでもいいんだけど…」


「え? あのね、ドンヒョクさん。 わたし…この後 研修会の打ち上げが…」


「そんなもの出なくていい。」

我儘なドンヒョクが出てきた。


「だっ、だめよ! わたしはここに研修で来てるの、仕事なのよ。」


「でも 今は 僕の奥さんとしてここに来たんだろう?」
 

「でっ、でも…」


「…足首が痛むんだ。 責任取って、ジニョン。」

今度は 子供のようなドンヒョクだ。


「やっぱり痛い?」

ジニョンは不安げな顔をする。


「すごく痛い…」

ドンヒョクはやわらかく笑った。


「もうっ!」

ジニョンは少し睨んだ後 ほっとしたような笑顔を向けた。


ドンヒョクはジニョンをまた抱き寄せると 彼女の額にそっとキスをした。


それだけでジニョンの頬は赤く染まる。


その時 ドンヒョクの胸に抑え切れない熱い思いがこみあげてきた。

 


…ジニョンが欲しい… 今、ここでジニョンを抱きたい……

 


ドンヒョクは ゆっくりとジニョンと唇を重ねた。

そして 静かに優しく彼女の唇を味わっていく。

今まで離れていた空間を埋めるように 何度も何度もキスを重ねていく。


「…ドンヒョクさ…ん。」

しばらくして やっとドンヒョクが唇を離した時、ジニョンがドンヒョクを呼んだ。

声が震えている。


「うん?」

ドンヒョクは返事をしながら 今度はジニョンの首筋に唇を移動させていく。


「あ……」

ジニョンは その熱い唇に陶酔し 何も言えなくなってしまう。


「何? ジニョン。」

ドンヒョクの静かな声が ジニョンの耳元で囁く。


「ドンヒョクさん…わたしは……」

ジニョンは 心が揺れて 軽いめまいを感じていた。


ドンヒョクは ジニョンの頬を両手で包み込んで ゆっくりと見つめた。


彼の深い黒い瞳の奥に 静かな情熱が満ち溢れている。


そして いつものようにジニョンに魔法をかける。

 

       
「…今は 僕だけのジニョンでいて……」

 

 

      
   

 

 

ジニョンは目を開け ベッドから起き上がった。


そして ゆっくりと立ち上がると 鏡の前に座った。


もうすぐ研修会の打ち上げが始まる時間だった。


その時になって ジニョンは 髪をまとめていたピンを忘れてきた事に気がついた。


どこに置き忘れたのか… それはわかっていた。


今はその部屋の大きなベッドの中で

長い、長い時間をかけて ジニョンの元へ帰って来てくれたドンヒョクが眠っているはずだった。

 


出来ることなら ジニョンはずっと傍にいて その愛してやまないドンヒョクの 

子供のように無防備な寝顔を見つめ 静かな寝息を耳で聴き

さらさらの髪を優しく撫でて 深く閉じた瞼に口づけをしていたかった……。

 


           








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