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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367516/1904757
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 71 HIT数 8560
日付 2010/02/26 ハンドルネーム aoi32
タイトル チェジュド恋物語 -3- あなたに会いたい
本文

チェジュド恋物語 -3- あなたに会いたい

 

 

・-----------------------・  
                                  
ドンヒョクさん、ごめんなさい
             
やっぱり 打ち上げにちょっとだけ顔を出してくるわ  
    
後でまた お薬をもらってここに来ます
       
あ、でも お泊まりは無しよ
      
明日の朝まで わたしは研修中なんだから
        
じゃあ ゆっくり休んでね             
            
              ジニョンより       
                               
                               
・-----------------------・

  

   


淡いオレンジ色のスタンドの明かりの下で ドンヒョクは目を覚ました。


そして 額に手を当て 少しぼんやりした後 彼はひどく後悔した。


眠っている間に ジニョンはいなくなっていた。


ほんの少し前には ドンヒョクの腕の中にいたはずのジニョンの温もりは消え
微かに彼女の残り香だけが感じられるだけだった。


いつもなら ジニョンと体を重ねた時は彼女より先に眠るなんてありえないのに…

 


…さすがに疲れたか この僕も…

 


ドンヒョクは ふっと笑い 両手で顔を覆った。

 

 

 


予定より2か月も帰国が延びて やっと帰れることになったのが2日前。


すぐにジニョンに知らせようとしたが 彼女はちょうどチェジュドで
支配人の研修会に出席するため ソウルにはいなかった。


ジニョンがいない家に帰ってもしかたがない…


そう考えたドンヒョクは ジニョンの所にやって来た。


ジニョンが来られないのなら ドンヒョクが行くまでだ。


たとえ、それが一日早まるだけだとしても ドンヒョクはジニョンに会いたかった。

 


久しぶりにジニョンを抱きしめた。


彼女の艶やかな黒髪も 大きなくるくるっとした瞳も 甘くやわらかな唇も
透きとおるような白い肌も 「ドンヒョクさん」と呼ぶかわいい声も 
きれいな笑顔もすべて以前と変わらなかった。


それは全部 僕のものだ。

    
誰にもわたすわけにはいかない。


ドンヒョクはまだ夢の中のような、ぼんやりした感覚を振り払おうとゆっくり起き上がった。


その時 ベッドのサイドテーブルの電話が鳴った。


テーブルの上に置いてあるメモに気がついた。


「もしもし… あ、はい。シン・ドンヒョクです。はい、会長のおかげで無事に会えました。
 でも すぐに振られましたが… ええ 年間パスポートも渡せませんでした。
 …そんなに笑わないで下さい。彼女は手強いんですよ …え? 食事ですか?
 はい、わかりました。では、後ほど…」


ドンヒョクは受話器を置くと 小さくため息をつき、ジニョンのメッセージを読んで笑った。


そして ベッドから出ようと 床に足を下ろした時、左足に微かな痛みを感じた。


見ると 足首の部分に赤紫の痣ができていた。


それは確かに 数時間前までジニョンがここにいた証だった。


ドンヒョクはふっと笑った。


そして 熱いシャワーを浴びようと そのままバスルームに向かった……。

 

 

 


「…それでね、ジニョンさん。その人がね すご~く素敵な人だったのよ!
 久々に あんな いい男に会ったわ!」

ワインを飲んで気持ちが高まったコ・イェジンが 少しとろんとした目をして言った。


研修会の打ち上げ会場になったバンケットルームの中は 最終日ということもあって
賑やかに盛り上がっていた。


「そうなの? でも、イェジンさんは 今、お付き合いしてる人はいないの?」

ジニョンはくすくす笑いながら イェジンの顔を覗き込んだ。


「それが、今はいないのよ。 去年の冬に別れたの。」


「そ、そうなの? ごめんなさい、イェジンさん。」


「いいのよ。もう すっかり忘れたから。
 その彼はね、海外赴任することになって わたしに仕事を辞めてついて来てくれって言ったの。」


「え…」


「わたしはまだ支配人になったばかりだったし、この仕事が好きで 
 もっと、もっと頑張ろうって思ってた時だったから プロポーズを断っちゃったのよね。 
 でも、今思うと ちょっと惜しい事をしたかな…なんて思ったりして…」

イェジンは明るく言った。


「イェジンさん…」


「やだっ、わたしったら こんな事話すなんて。少し 酔ったのかも…
 ごめんなさいね。…ねえ、ジニョンさん テーブルの方に行って何か食べましょうよ。」

イェジンは 少し照れたようにジニョンを誘った。


「え? ええ。」


「今度はジニョンさんの話を聞かせて。 ご主人とはどこで知り合ったのか。
 どんな人なのか興味あるのよね~。」


「え?」


「ほら、わたしたちの仕事って時間が不規則じゃない? 休みも合わない事が多いし。
 その辺をどうすれば ジニョンさんみたいにラブラブのままでいられるのか。」


「そんな…」

イェジンの言葉に ジニョンは返事ができない。

   


そんな…わたしは何もしていないわ

ドンヒョクさんが わたしに合わせてくれてるの

ドンヒョクさんが わたしを自由に甘やかしてくれるの


…わたしが行けないから ドンヒョクさんが来てくれた

ホテリアーを辞められなくて ついて行けなかったわたしを許してくれた

我儘なのは わたし…

ドンヒョクさんは いつだって誠実でまっすぐな人だったわ…


  

いつの間にかジニョンはドンヒョクの事を思い出していた。

 


ねえ、ドンヒョクさん わたし…変ね

ほんの少し前に会ったばかりなのに またあなたに会いたくなってしまった
    
あなたが眠っている間に出てきたのはわたしなのに

今すぐあの部屋に戻ろうかしら

きっと…笑って許してくれるわよね

しょうがないな ジニョンは…そう言って抱きしめてくれるわね…

 


ジニョンの顔に穏やかな微笑が浮かんできた。

 


「そうそう! ジニョンさん、話は戻るけど、そのロビーで会った人…
 もしかしたら ホテルの関係者かもしれないの。」


イェジンの言葉に ぼんやりしていたジニョンははっとした。

「え?」


「だって、研修のレポートを見て あなたも支配人の研修に?って言ったのよ。」


「へえ、そうなの?」


「ね? あなたも、ってことは 研修に来てる支配人の中に知り合いがいるか、
 関係者ってことも考えられるでしょう?」


「…そうかもね…」


「このホテルに泊まっている人かしらね。フロントに聞けばわかるかしら?
 でも、お客様の事を教えてくれるわけないし…」

イェジンはぶつぶつ言いながらサンドイッチを食べていた。


ジニョンはそれを見てクスクス笑った。


イェジンが騒いでいる男性が ホテル関係者かもしれないという事に少し興味が出てきたのだ。


「イェジンさん。その人って どんな感じの人だったの。」

ジニョンは イェジンに話しかけた。


イェジンは 待ってました!とばかりに ジニョンに話し出した。


「あのね、背がすらっと高くて眼鏡をかけてるんだけれど…その瞳はクールで吸い込まれそうで
 すごいハンサムだったわ。 それに、仕草がとても優雅で…」


「え……」


「でも、一番ぐっときたのは声かしら。 低くて、甘くて、とにかくいい声なのよ。
 ああいうのを ベルベットボイスって言うのよ…きっと。」

イェジンはうっとりして言った。


ジニョンは ぼんやり考える。

 

     
…ふ~ん…

世の中には とても似た人がいるのね

しかも…ホテル支配人の知り合いで… 関係者…?


……………


   ……………   ………
             

…って、そんなわけないじゃない!

似た人…なんかじゃないわ!


こっ、これは ドンヒョクさんのことよ!!!

 


いつもは鈍感なジニョンも さすがに気がついてしまった。


でもっ、世の中には似た人が三人いるって言うし… もしかして…?

 


「あ、あのイェジンさん。 その人の服装は?…まさか…濃紺のスーツだったりしないわよね?」

微かな期待を胸に ジニョンが恐る恐る聞く。


「え? そうよ、濃紺のブランドスーツ! 仕立てが良くて、高級品ね。
 これがまたぴしっと決まっていてね。 一分の隙もなく着こなしてるのよ。
 ネクタイはブルーグレーの… たぶん、最近NYで人気の新進デザイナーのもので…春の新作?」 


ピンポン!!!  正解ーーー! 


さすが ソウルグランドヒルトンホテル支配人…よくご存知


あのネクタイは バレンタインデーにわたしがプレゼントしたの、NYで…


やっぱり その人はドンヒョクさんに決定~!!!


…って、どうすればいいのーーー?

 


ジニョンは途方にくれて 両手で顔を覆った。

 


「あっ、あのね、イェジンさん。」

ジニョンは 意を決してイェジンに告白することにした。


「え? ジニョンさん、どうかした? 顔色が悪いわよ。あなた、お酒 飲んでないわよね?
 ああ、それにしても あんな素敵な人に会えるなんて ほんとに珍しいことよね。
 まるで…四月に雪が降ったみたいだわーー!」

イェジンが うっとりして言う。


「…四月の雪…?」

まあ、例え方が綺麗ね……  ジニョンは感心した。


「あ~、ごめんなさい、ジニョンさん。 わたし 少し酔ったみたいだから 
 外の風に当たってくるわね。」

そういえば、顔が赤く目がとろんとしている。


「大丈夫? ついて行きましょうか?」


「大丈夫よ、ジニョンさんは皆さんとお話してて。…あのね、パク・ジェウクさんが 
 さっきから あなたのこと見てるわ。 あなたから ちゃんと言ったほうがいいのかも。」

イェジンが真剣な顔をして言い残すと、そのまま外に出て行った。

 


すぐに ジェウクが近づいてきた。

「ジニョンさん。 ここを抜け出して 火山噴水ショーを見に行きませんか?
 9時から始まるみたいですよ。」

ジェウクが にこやかに誘う。


「え?」


「せっかく このホテルに来たんですから。 今夜で最後だし…」


「ジェウクさん、ごめんなさい。 わたし、あなたと行くことは出来ません。」

ジニョンは ジェウクを見上げた。


「え?」


「わたしの夫は かなり嫉妬深いんです。
 こんなことが知れたら あなたが大変な目にあうわ。」


…ドンヒョクさんの回し蹴り…あれは 半分、本気だわ…


「え?」


「我儘で、頑固で、時々 とんでもない事をするけど まっすぐな人なんです。」


「ジニョンさん…」


「わたしのためなら何でもする人なの。だから わたしも彼のためなら何でもしてあげたい。 
 彼の嫌がる事はしたくないんです。」 


「ジニョンさん、あなたは束縛されてるんじゃないんですか?」


「束縛? そんなことないわ。 彼はわたしの事を自由にしてくれるし、大切にしてくれます。」


「でも…」


「だから…ごめんなさい。 失礼します。」


ジニョンはそう言うと 会場を出て行こうとした。


ここを出て、ドンヒョクがいるヴィラ・スイートに行こうと決めていた。


無性にドンヒョクに会いたかった。

   
そして ジニョンはひどく疲れていた。


今日一日で いろいろな事が、突然ジニョンの身に起こり
それが彼女を混乱させていたのかもしれない。


「ジニョンさん!」

諦めきれないジェウクが後を追ってきた。


ジニョンは ゆっくりとバンケットルームの扉を開け、外に出た。


そして ホールを横切り エレベーターの方へ歩き出した。


だが 次の瞬間、ジニョンはふらっとめまいを感じ その場で立ち止まってしまい
体が大きく揺れたかと思うと そのまま崩れるように倒れてしまった。

 


「ジニョンさん!!!」


薄れていく意識の中で ジニョンは、ジェウクの叫び声が聞こえてきた。

 

      
ドンヒョクさん… …助けて……

   
そして、ジニョンはドンヒョクの名前を呼んでいた……。

 

              

 








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