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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 82 HIT数 8126
日付 2010/07/27 ハンドルネーム aoi32
タイトル ドンヒョクさんと呼ばせて 1
本文

ドンヒョクさんと呼ばせて 1

 

 


“ねえ、ドンヒョクさん”

 


君は毎日 僕の名前を呼ぶ

僕はその声がとても好きなんだ

嬉しい時の 弾むような明るい声も

怒った時の 少しとがめるような声も

失敗した時の しゅんとした可愛い声も

そして 僕を誘う時の恥ずかしそうな声も

まるで 遠い昔に キャンディーを口に入れた時のように甘くて

雨上がりの朝のように 瑞々しくて涼やかな声

その声を聞くだけで 僕がどんなに胸がときめくか 君は知ってるだろうか…

 


そして…

僕は 君の 「ドンヒョクさん」という呼び方も好きなんだ


初めて会った時から 僕は君に名前で呼んで欲しかった

“フランク”でもなく“お客様“でもなく“ドンヒョク”と呼んで欲しかった

21年ぶりに 韓国に戻って来た時

僕の事を 初めて“ドンヒョク”と呼ぶのは 君でいて欲しかった


“お客様”から“ドンヒョクさん”へ…

あの時から君は 僕の事をずっと そう呼んでくれるね


僕だけを見て 僕だけの話を聞いて 僕を受け入れて 僕の名前を呼ぶ

それだけで 幸せだった

たったそれだけの事が 幸せなんだと気づかせてくれた…

 

 

 


――――――

 

 

 

 

「…ねえ、ドンヒョクさん」


「うん?」 …これは 何か失敗した時の声?


「ごめんなさい、オムレツ焦がしちゃった…」


…正解


「また失敗しちゃった…」

ジニョンは しょんぼりしたまま ドンヒョクを見る。


口元に持っていった指が…赤い?


「ジニョン、その指は?」


「あ、ううん… 何でもない。 ちょっとフライパンに触っちゃったの。
 でも、もう冷やしたから大丈夫」

ジニョンは 慌てて手を後に隠す。


「火傷?」

慌てたドンヒョクは椅子から立ち上がると ジニョンをキッチンの方へ連れて行った。


そして 水を出すとジニョンの指をもう一度冷やした。 


左手の人差し指…


「ちょっとじゃないよ。 こんなに赤く腫れてるじゃないか!」

ドンヒョクは 声を荒げて 怒ったような顔をする。


「大丈夫よ、ドンヒョクさん」

ジニョンは ドンヒョクの勢いに少し困惑した。

 

 

 

 


火傷した指に薬を塗ると、ドンヒョクはジニョンの肩を抱き寄せた。


「大丈夫?痛くない?」


「平気よ、これくらい。ドンヒョクさんったら大げさね」


心配そうに聞いてくるドンヒョクを見て、ジニョンは困ったように笑った。


「大げさだって? 何を言ってるんだ、ジニョンは。
 本当は病院に連れて行きたいのを 必死で我慢してるんだ」


「え?」


「少しは、成長したと言って欲しいね」

ドンヒョクは じっとジニョンを見つめる。


「……」

 


…成長? 確かに、以前のドンヒョクさんなら
大騒ぎして病院に連れて行かれたかも…

 


「ほら、ジニョンはもう何もしなくていい。後の事は僕がするから座ってて」

ドンヒョクはそう言うと ジニョンの肩を押してリビングルームのソファに座らせた。


「もう大丈夫よ、ドンヒョクさん」

ジニョンはドンヒョクを見上げた。


「いいから ここにいて」


「でも…」

ジニョンが何か言おうとするのを遮るように ドンヒョクは彼女を抱きしめた。


「ドンヒョクさん?」


「…頼むから 僕の言う事を聞いてくれ」


「……」


「これ以上 心配をかけないで、ジニョン。 もう、怪我なんかしないでくれ」


「ドンヒョクさん」


「わかった?」


「ええ、わかったわ」


ジニョンは目を閉じて ドンヒョクの大きな背中に手を回した。


彼女のしなやかな手が 彼のシャツをぎゅっと掴んだ。


「…ドンヒョクさんの言う事を聞くわ」


「いい子だ」


ドンヒョクは 安心したように笑うと ジニョンの額にそっと口づけた。


ジニョンは 目を開けると 困ったような顔で恥ずかしそうに微笑んだ。


ドンヒョクの切ないくらいの優しさに ジニョンは胸の奥がきゅっと痛くなる。

 


…本当に 心配性のドンヒョクさん

でも それは わたしが心配かけるような事ばかりしているから?

もう少し しっかりしないと、いい加減 見放されるかも…

さすがのドンヒョクさんも 呆れてしまうかもしれない

 


そんなジニョンの思いなど打ち消すように ドンヒョクは彼女を胸の中に包みこんだ…。

 

 

 


―――――――――

 

 

 


「以上が 今後の課題といえる…」


ふうっ、やっぱり まだ少し痛いわ…


ソウルホテルのスタッフルームで パソコンを打ちながらジニョンは呟いた。


そして まだ少し赤みが残っている指を見て 思わず笑ってしまう。


その時 電話が鳴った。


「はい、スタッフルームです」


『ソ支配人ですか? フロントですが お客様がお見えです』


「お客様? どなたですか」


『それが…お名前は ソ・ジソプ様とおっしゃってますが…』


「え? ソ・ジソプ?」


ジニョンは驚いて立ち上がった。

 

 

 


「ジソプ!!!」

急いでフロントに来たジニョンが声を上げた。

「ジニョン!!!」

髪の毛はボサボサで無精髭をはやした 長身のがっしりした体の男が近づいて来た。


彼はサングラスを外し、とびきりの明るい笑顔を向けた。


「本当にジソプなの? もうっ、何て人なの 突然、帰ってきて!!!
 ああ、何年ぶりかしら!」

ジニョンは興奮して叫んだ。


「3年ぶりだ、ジニョン。 元気だったか?」

ジソブはジニョンの目の前に立った。


「元気よ。 ジソプは? 何だか痩せたみたいね?
 こんなに髭をはやして まるで別人だわ!」

ジニョンは ジソプの顔を両手で包みこんだ。


「ジニョンは綺麗になったな。 やっぱり、結婚したせいかな。何だか女っぽいぞ!」

ジソプはからかうように笑った。


「や~ね。ジソプったら! そうだわ、そう言えば 結婚式にも来てくれなかったわね?
 もうっ…何て薄情なの!!!」


「ごめん、ジニョン。 あの時は ちょうどアフリカで撮影中で 途中で抜けられなかったんだ。
 だから今日は家に帰る前にここに来たんだ。ジニョンに一番最初に会おうと思ってさ」

ジソプは頭をかいた。


「ジソプ…」


「遅くなったけど…結婚おめでとう、ジニョン」

ジソプは笑うと ごく自然にジニョンを抱き寄せた。


ジニョンは驚いていたが すぐに笑った。


「…ありがとう、ジソプ」

ジニョンは ジソプの大きな体に手を回した。


二人は明るく笑いながら抱き合った。

 

 

 


「………」


ドンヒョクはふらっと目眩がした。


そして 本当にその場に倒れそうな気がして 思わずこめかみを押さえた。


「お、おい、ドンヒョク、大丈夫か?」


傍にいたテジュンは たった今、目の前で起きている光景と
横にいる狼狽したドンヒョクを交互に見た。


「…テジュンさん… あの、むさ苦しい男と嬉しそうに抱き合ってるのは 
 ジニョンに間違いないのか?」

ドンヒョクの声が擦れていた。


「あ、ああ。…あれは、ジニョンと…むさ苦しい男は 確か、ジニョンのいとこだ。
 一度、会った事がある」

テジュンが慌てて応えた。


「いとこ?」

ドンヒョクは繰り返した。

 


いとこだって? 知らないな…


…そうか…


確か 以前、ジニョンに聞いたことがある


写真家で 世界中を飛び回っているいとこがいるって…

 


そして ドンヒョクは少し安心したと同時に 
自分が知らなくて ハン・テジュンが知ってる事に複雑な気分になった。

 


ジニョンは 自分たちを黙って見ている二人の男に気がついた。


「ドンヒョクさん…」

ジニョンは 思わず立ちすくんだ。


ドンヒョクは 少し引きつった笑いを浮かべた。


ジニョンは すぐにドンヒョクの傍に寄って来た。


「ドンヒョクさん、来てたの?」


「あ、ああ。 ハン社長に呼びつけられて…」


「まあ、そうなの?」

ジニョンは軽くテジュンを睨んだ。


「……」

 


…よく言うな… 本当はジニョンを迎えに来たくせに

怪我をしたから心配だとか言ってたな 

怪我? …怪我ってどこに? 

ジニョンはピンピンしてるじゃないか!

 


テジュンは また呆れていた。


「…それより、ジニョン。 彼を紹介してくれないか」

気を取り直したドンヒョクが言った。


「あっ、そうね。 ドンヒョクさんは初めてよね?」

ジニョンは そう言うとジソプを呼んだ。


「ジソプ!」

 


…ジソプ?  呼び捨てか?

 


名前を呼ばれたジソプはゆっくり近づいてくると ドンヒョクの前に立って頭を下げた。


「ジソプ、紹介するわ。 わたしのだんな様よ」

ジニョンが少し照れたように言った。


「初めまして、シン・ドンヒョクです」

ドンヒョクは静かに言った。


「こちらこそ、初めまして。ジニョンのいとこの ソ・ジソプです。 
 あの、どうやら けっこう人気のある俳優と同じ名前らしいんですが、別人ですから」

ジソプはそう言うと にっこり笑い 手を差し出した。


「…?…」

ドンヒョクは 意味がわからないままジソプと握手した。


「ジソプったら、そんな事言っても ドンヒョクさんは俳優さんの名前なんて知らないわ。
 ね? ドンヒョクさん」

ジニョンはくすくす笑いながらドンヒョクを見た。


「そうですか。 いや、僕も韓国に帰って来たのは3年ぶりなので 全然、知らなくて。
 空港で入国の時に 係員にじっと見られまして…」

ジソプは明るく笑い飛ばした。


「そうね~、名前は同じだけど他はあまり似てないわね。ソ・ジソプさんはもっと孤独で
 悲しげな瞳をしてるの。 もっとクールで物静かな感じなのよ…」

ジニョンはうっとりとしたように言った。


「……」


「……」


ドンヒョクとジソプは 黙ったまま顔を見合わせた。


   

…ソ・ジソプがもう一人いるのか? 

誰だ、そいつは!!!

 

      
静かな嫉妬の炎と共に ドンヒョクの脳裏にはその名前が刻まれた……。

 

 


 








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