ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367342/1904583
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 30M/100M
メンバー Total :297
Today : 0
書き込み Total : 957
Today : 0
ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 84 HIT数 7975
日付 2010/07/27 ハンドルネーム aoi32
タイトル ドンヒョクさんと呼ばせて 3
本文

ドンヒョクさんと呼ばせて 3

 



―― 数日後 ――

 


「ボス、受付にソ・ジソプ様という方がお見えになっているようですが」

秘書のイ・ヘヨンが首を傾げながら言った。


「ああ。通してくれ」

ドンヒョクは それまで見ていた書類から顔を上げて言った。


「わかりました。…あの、ボス… 俳優のソ・ジソプさんではないですよね?」

ヘヨンの表情はどことなく落ち着かない。

いつも冷静な彼女にしては珍しい事だった。


「ああ。僕が知ってるのは写真家のソ・ジソプ氏だけだよ」


「そうですよね…」

ヘヨンが落胆してるのがわかった。


「…イ・ヘヨン」

ドンヒョクが呼んだ。 眼鏡の奥の瞳が光った。


「はい、ボス」

改まって呼ばれて、ヘヨンは緊張した。


…わたしったら、今は仕事中だったわ…


「君は その、俳優のソ・ジソプのファンなのか?」


「いえ、申し訳ありません。仕事中に余計な事を申し上げました」


「彼は とても人気があるようだね」


「はい、そうだと思います」


「……」


ドンヒョクが突然、沈黙した。 


そのことは ずっと秘書をしているヘヨンにとって 何を意味するかわかっていた。


彼女のボスは不機嫌になったのだ……。

 

 

 


――――――――

 

 

 


キチッとしたスーツを着て 不精髭を剃って身なりを整えたソ・ジソプは 
見違えそうなほど端正な容姿で現れ 本来の長身とモデル並みのスタイルの良さもあって
周りの目を引いていた。


ドンヒョクとジソプが並んで歩くと 何とも言いようがない、息を呑むようなオーラを
醸し出していた。

 

 

 


―― 夜のソウル とあるカフェバー ――

 


ドンヒョクとジソプは カウンターに座り グラスを傾けていた。


「写真展の招待状が出来ましたので 持って来たんですよ」

ジソプは少し照れたように言った。


「それはどうも。 自宅かオフィスに郵送してもらっても良かったのに…」

ドンヒョクは 招待状に目を通しながら言った。


「いえ、もう一度 ドンヒョクさんに会いたかったんです。
 先日 言いそびれた事がありまして」


「え?」


「あの… ジニョンのこと よろしく頼みます。 
 あいつ 本当に何も出来なくて… でも 一生懸命で、純粋で…」


「ジソプさん」


「ジニョンが結婚するって 伯父からの、ジニョンの父親からの手紙で知りまして…
 正直言って すごいショックを受けました」


「……」


「アメリカの経済界でも かなり有名な人物で、すごい男だって手紙に書いてありました。
 そんな人と結婚して ジニョンが辛い思いをするんじゃないかと 僕は不安でした」


「…僕も不安でした」


「え?」


「その頃の僕には 何も残っていなかった。 全てを無くして…
 でも、そんな僕を受け入れてくれたのがジニョンでした。 
 彼女は 死ぬまで一緒にいると言ってくれました」


「………」


「だから… 僕は 彼女を失えないんです。 誰にも渡す事はできない。
 たとえ、二十年以上も一緒にいて 彼女を思い続けたあなたにでも…
 僕はジニョンを渡す事はできないんです」

ドンヒョクは ジソプをまっすぐ見つめて言い切った。


「ドンヒョクさん」

ジソプは驚いてドンヒョクを見た。 

そして すぐ目をそらして、ふっと笑った。

「やはり、見破られましたか」


「ええ、見破りました」

ドンヒョクは ジソプを見て笑った。


「参ったな、隠し通せると思ったのに… やはり、駄目でしたか」


「……」


「今回、韓国に帰って来て もし、ジニョンが辛い目にあっていたら 
 奪い返そうと思っていました。
 ジニョンの相手が 彼女の明るさ、純粋さを閉じ込めてしまうような男だったら 
 無理にでも引き離そうと… でも、違っていました。
 ジニョンは今まで見た中で いちばん幸せそうに輝いていました」


「ジソプさん」


「…これで吹っ切れます。
 というか、いとこですから 初めから許されないことでしたが…」


「……」


「ドンヒョクさん、ジニョンの事をよろしく頼みます。幸せにしてやってください」


「全力で…」


ドンヒョクの言葉にジソプは一瞬目を丸くしたが すぐに笑った。

 


「…ジニョンは あなたのことを ドンヒョクさんって呼んでますね」


「え?」


「彼女、昔から言ってました。いつか自分が結婚したら 相手のことを“さん”付けで呼ぶと…
 お互いに歳を重ねても 死ぬまでそう呼ぶのだといってました」


「………」

ドンヒョクは 驚いていた。


「ジニョンの両親がそうなんですよ。今でも名前で呼び合ってるんです」


「ジニョンの両親が…」


ドンヒョクは ジニョンの両親の事を思い出していた。

 


一見、頑固そうだが 信じられないくらい愛嬌のある父親と 
ジニョンとそっくりな明るい母親…

 

 

 


“お義父さん、なんて水くさい。ジニョンと同じようにパパと呼んでくれ、ドンヒョク”


“……”


“ジファンさんったら、ドンヒョクさんが困ってるじゃないの。
 いいのよ、ドンヒョクさん。何て呼んでも。
 お義父さんでも、お父さんでも、好きなように呼んで。 
 でも、私のことは ママって呼んでね”


“………”


“ずるいぞ、シニョン”

 
“ずるい…って、パパもママも何言ってるのよ! 
 恥ずかしいじゃない。ドンヒョクさんがあきれてるわ!”


“何言ってるんだ、ジニョン。 
 パパは少しでも彼の緊張を解そうと、ジョークを言ってるんじゃないか”


“そうよ、ジニョン。 それに ママは昔から憧れてたのよ。 
 息子にママって呼んでもらいたいって。
 こんな素敵な息子ができたんだもの、そう呼んで欲しいわ。ね、ドンヒョクさん?”


“………”

 

 

 


ドンヒョクは思い出して ふっと笑ってしまった。


結局 二人の望むようには呼べなかったが…


「…そうでした。そう呼んでましたね」


ドンヒョクは理解した。…そうだったのか…


「ジニョンは 両親と同じように、信頼できて尊敬できる人を同じように
 呼びたかったのだと思います」


ジソプはドンヒョクを見ると寂しそうに笑った……。

 

 

 


――――――――

 

 

 


「お帰りなさい! ドンヒョクさん」

ドンヒョクが家に帰ると ジニョンが賑やかに迎えた。


「ただいま」


「ねえ、ジソプと会って来たんでしょう? どうだった? どんな話をしたの? 
 あ、まさか また わたしが失敗した時の話じゃないでしょうね?
 ああ、ジソプに口止めしておけば良かった!」

ジニョンが一人で嘆いている。


「そんなに失敗したことがあるの?」

ドンヒョクがからかうように言った。


「え? な、ないわよ。 や~ね、あるわけないでしょう?」

ジニョンは慌てて言った。

 


…これは 相当 失敗談がありそうだ… ドンヒョクは思った。

 


「そんな話はしてないよ」

ドンヒョクはジニョンを引き寄せると ゆっくりと抱きしめた。

その華奢な体は いつものようにやわらかくて温かい・・。


「ほんとに?」

ジニョンが胸の中で ドンヒョクを見上げた。


「うん。 ジニョンがどんなに魅力的で素晴らしい女性か 二人で話してたんだ」


「何か、嘘っぽい…」


「僕は嘘はつかないよ、ジニョン」


「そうね…」

ジニョンは目を閉じると ドンヒョクの胸に頬を寄せた。

そして 少し背伸びをして囁いた。

「ねえ ドンヒョクさん」


「うん?」   


「わたしは 失敗ばかりしてる奥さんだけど、見放さないでね。…幻滅しないでね」


「ジニョン?」


「わたし、頑張るから。 もう少し、しっかりするから …わたしから離れないでね」

ジニョンは切なそうにドンヒョクを見つめた。


ドンヒョクは もう一度ジニョンをきつく抱きしめた。

そして 彼女の甘い香りがする黒髪にそっと口づけた。


「ばかだな、ジニョンは…」


「ドンヒョクさん…」

ジニョンが泣きそうな声で言った。


「そんなこと、絶対ありえないって… 君はまだわからないのかい?」


「ドンヒョクさん…」


もう一度 ジニョンがドンヒョクを呼んだ。 …愛と信頼をこめて…

 


「僕は永遠にジニョンのそばにいる…って 約束したじゃないか…」

 

    
…だから ジニョンも永遠に僕のそばにいて ずっと僕の名前を呼んでくれ……

 

 

 


                               おわり


 








前の書き込み ジニョンが水着にきがえたら 前編
次の書き込み ドンヒョクさんと呼ばせて 2
 
訪問者
このお話ははるか昔に新婚時代を終えたものにはふっと涙が出てくるようなほのぼのとしたお話です。マスター様は本当に感情豊かな方なのだと思います。有難うございます。 2011/01/22 18:22
 
 

IMX