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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367229/1904470
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 88 HIT数 9406
日付 2010/08/03 ハンドルネーム aoi32
タイトル ひまわり -2- ジニョンを抱き上げる男
本文
ひまわり -2- ジニョンを抱き上げる男







ソウルホテルの社員通用口に シルバーのジャガーが滑り込む。
ドンヒョクはゆっくりとブレーキをかけて車を静かに止めた。

ジニョンは ぼんやりとうつむいている。

「ジニョン?」
ドンヒョクが声をかけても 彼女には聞こえてないようだ。

「ジニョン 着いたよ。」
もう一度 ドンヒョクが言うと やっとジニョンは気がついた。

「あっ・・はい!」

「・・どうかした? ぼんやりして。」

「あ、ううん! 何でもない。」
ジニョンは あわてて首を横に振った。

   ・・・いけない。 わたしが暗い顔をしてたらドンヒョクさんが心配するわ・・。


「じゃあね、ドンヒョクさん。 送ってくれてありがとう。行って来ます。
 それから・・行ってらっしゃい!」
気を取り直したジニョンはそう言うと ドンヒョクの頬にチュッとキスをした。

「うん。気をつけて。」
ドンヒョクはシートベルトを外すとジニョンにキスを返した・・・今度は唇に・・・。

ジニョンは あわてて両手でドンヒョクの胸を押した。
「もうっ・・ここではだめって・・いつも言ってるでしょう?」
彼女は頬を赤くしてドンヒョクに抗議する。

ドンヒョクはジニョンの細い手首をつかむと やわらかく微笑んだ。
そして からかうようにジニョンをじっと見つめる。 
・・彼女は その瞳から どうしても目をそらすことが出来ない・・。

「もう、みんな見慣れてるよ。 だから ジニョンもいい加減に慣れてくれないか。」
ドンヒョクの声が 彼女の耳から体全体に広がっていく・・。

そして もう一度彼はジニョンに唇を合わせてきた・・・半ば強引に・・。



  ・・・なっ・・慣れないわよ~!!

ジニョンは 真っ赤になりながら叫ぼうとするが 唇を塞がれて声が出なかった・・・。




   









やっと・・車から降りたジニョンは 頬を紅潮させたままドンヒョクの方を振り返った。
彼は まるで・・何もなかったのだと思わせてしまうくらい 憎らしいほど涼しい顔をしてにこやかに笑うと 
軽く手を上げて車で走り去った。

  ・・・ジニョンの足元はふらついていた・・。


    しっ・・静かな生活っていうのは違うかも・・かなり刺激のある生活だわ・・これは・・

ジニョンは 昨夜、思った事を訂正した。




その時だった。



「・・・まったく・・よくやるよな。」

突然の声に ジニョンは驚いて振り向いた。
そこには 一人の長身でがっしりした体格の男が立っていた。

「あんた・・このホテルの従業員だろう? こんな社員が出入りする場所で 
 恥ずかしげもなく よく、あんな事ができるな。」
男があきれたように言った。

  ・・・!!!・・・
ジニョンは 一瞬にして真っ赤になった。

   ・・ああ やっぱり見られてしまった。・・しかも この ちょっと怖そうな見知らぬ人に・・。














「しかも・・外車なんかに乗って・・気障で軽そうな男だな。」

「きっ・・・?」

    ・・・ジニョンの頭の中で 何かがプツンと切れた・・。


  自分の事ならまだしも ドンヒョクの事を悪く言われて つい頭に血が上ってしまった。

「ちょっと! わたしの夫のことを侮辱しないで!
 ・・彼は・・アメリカで育ったからキ・・キスをするのは挨拶みたいなものなのよ。」

「挨拶~?」

「そうよ! 挨拶です。」

「それにしては・・長い・・。」

男の意味ありげな笑いに ジニョンはまた真っ赤になった。

「しっ、失礼な人ね! ずっと見てるなんて、よほど暇なのね!」

「何だと? そっちの方が失礼だろう! 公衆の面前で・・ああ、恥ずかしい・・。」

「何ですって!」

ジニョンは怒りのあまり その男に向かって行った。・・が勢いあまって足がもつれバランスを崩してしまった。

「あ!」

そのまま転倒してしまったジニョンは声をあげた。

「痛っ・・」
ジニョンが足を押さえた。

「おい、大丈夫か?」
男があわてて駆け寄った。

「・・・・。」
ジニョンは何も応えず そのまま立ち上がろうとした。
「うっ・・。」
彼女の顔は苦痛みで歪み またその場にうずくまった。 膝から血が出ていた。


「・・・しょうがないな。」
男はボソッと呟くと身を屈めた。

「・・・え・・?」

ジニョンの体がふわりと浮いた。 男がジニョンを軽々と抱き上げたのだ。

「ちょっ・・ちょっと、何するんですか!」
ジニョンは驚いて 足をバタバタさせた。
「ちょっと! 下ろして! 下ろしてってば!!」

「うるさい!」
男が怒鳴った。

「!!!」

「そんなに暴れると下に落とすぞ!」

「・・・・・」

「少しは静かにしてろ。」

「嫌よ! 下ろして!」

ジニョンが必死で抵抗するのも無視して 男は彼女を抱きかかえたまま早足で歩き始めた。
そして 社員通用口に入って行く。

また この通用口で大変な騒ぎになった。 出社してきた従業員達が驚いて二人を見ている。
・・・そして あのソ支配人を抱き上げているのが シン・ドンヒョクでなく見知らぬ男だということに驚愕する。


「ちょっと! ジニョン、どうしたの!」
騒ぎを聞きつけて イ・スンジョンが駆け寄ってきた。

「せ、先輩~!」
ジニョンが泣きそうな顔で助けを求めた。

「ジニョン? ちょっと、あなた誰なの! ・・ジニョンに何するの!」
スンジョンは 一大事とばかりに 男にくってかかった。

「医務室はどこだ?」

「は?」

「案内してくれ。」

「は? はい!」
その時スンジョンは ジニョンが膝を怪我してる事に気づいた。
そして その男の迫力に押されて 彼女は医務室の方へ案内しようと先に立って歩き出した。

他の従業員達はあっけに取られ どんどん通路をあけて行った。



スンジョンは 時折 心配そうにジニョンの方を振り返った。 ・・ジニョンはひどく困惑していた。
ジニョンを抱き上げている男の様子もうかがった。 彼はそんな事には構っていられない・・という様子だった。

   こ、こんなところを シン理事が見たら・・どうなるかしら!  ・・どうなるの~!!! 


         ・・・・・・・・・・・

スンジョンは興奮していた。 そして、二年前の事を思い出していた・・。

同じこの通用口での あの スンジョンにとっては永遠の憧れの男性 シン・ドンヒョクの情熱的な“監禁キス” 
 ・・めくるめく衝撃的なキス・シーン。 まるで ラブストーリーの映画のワンシーンのような二人。

      ・・・あの後 何度 夢に見たことか・・。しばらくの間 あたくしの頭から離れなかったわ。


   そして また・・。 スンジョンは その男を観察した。

     なかなか・・ハンサムな人ね。 背も高いし 逞しいし ・・ワイルドだわ~!

      ちょっと怖そうだけど・・ちょい不良(ワル)っぽいところがいいかも・・。

         理事とはまた違った魅力があるわね・・。


           ・・まったく どうしてジニョンばっかり こんなに・・ 


   スンジョンは ぶつぶつ文句を言いながら 好奇心たっぷりの目を二人に向けた。












「わたし・・もう大丈夫ですから、下ろしてください。」
ジニョンは また耐え切れずに言った。

「うるさいな。 少し黙ってろ!」
男はまた怒鳴りつけた。

「野蛮人!」
ジニョンは 男を睨みつけた。

男はそんな事には気にせず かえって面白そうに口元に笑みを浮かべた・・・。



   ――――――――――


「軽い打撲と擦傷ね。・・もし、歩くのが辛かったら 今日はデスクワークにしてもらえばいいわ。」
医務室の担当医師 イ・キョンニムは ジニョンの膝の傷口に薬を塗りながら言った。
ジニョンは痛そうに顔をしかめた。
そして ジニョンの膝にはまっ白な包帯が巻かれていく。・・かなり大げさに。

「あ、あの 先生!・・包帯は巻かなくてもいいかと・・。」
ジニョンは困ったように言った。

「そうね。 この程度の怪我なら 包帯なしでもいいわね。
  ・・でも 後で シン理事に抗議されるような気がするの。」
キョンニムはにっこり微笑んだ。

「え・・。」

「ソ支配人のだんな様は あなたの事になると、すご~く心配性になるものね。」

「そんな・・。」

「いつだったか・・あなたが ほんの少し火傷をした時 応急手当はしておいたから もう一度ちゃんと診てくれって 
 わざわざ電話をしてきた事があったわね~。」
 キョンニムは笑いながら言った。

「・・・・・」
ジニョンは真っ赤になった。

   そうだったわ・・。 ドンヒョクさんは いつだってわたしのことを考えてくれている・・。

       あきれるくらい心配性で 泣けちゃうくらい優しくて 

          どうして ここまでしてくれるの?・・っていうくらい大切にしてくれる。
       

     
      それなのに・・・わたしは これ以上 何を欲しがるの ・・彼に何を求めるの・・?


ジニョンは ドンヒョクのちょっとだけ笑った顔を思い出していた。 はにかんだような 静かな微笑・・

  それは 真夏の太陽のような眩しい明るさはなくても ジニョンの心をほのかに照らし、温かくしてくれる。

  
       ・・・ジニョンはひまわりみたいだ・・・


          そうだとしたら ドンヒョクさんは 夕映えの太陽ね・・。

              まるで 夕闇を迎える瞬間に燃え尽きるような鮮やかなオレンジ色の太陽


                切ないくらい美しくて 寂しさが心にしみて ・・でも ずっと見ていたい・・


                     遥かな地平線に沈むまで ずっと見守っていたい・・・




    
     ・・・目の前がぼやけてきた・・。    

    

         ・・やだ・・わたしったら・・・
                       もしかして 泣きそう・・なの?









        











ジニョンが必死で堪えていると そこへ ハン・テジュンがやって来た。
そのおかげで ジニョンの涙は目の奥に消えた・・。

「おい、ジニョン! 怪我したって?」

「テジュ・・社長。」

「おまえな~、気をつけてくれよ。 ホテルでジニョンが怪我をする度に “社員への安全対策がなっていない!”って
 あいつに睨まれるのは俺なんだからな。」

「そんな事言ったって・・。」
ジニョンは また赤くなった。



「・・・おい。」

そこへ 声をかけたのは ジニョンをここまで運んできたあの男だった。
彼は腕を組み 壁にもたれ掛かっていた。


「・・あ・・。」
ジニョンは すっかり彼の事を忘れていた。

「怪我も大した事なさそうだし、俺はもう行ってもいいのかな。」

「あ、あの・・。」

「チェ・ウソンさん、どうしてここに?」
テジュンが驚いて彼を見た。

「え? テジュンさん、この人を知ってるの」
ジニョンがテジュンを見上げた。

「ああ。 今度、新館にコンペティションホールを増築するだろう?
 そのデザインを担当することになった設計事務所のチェ・ウソン氏だよ。」

「コンペティションホールの・・・。」
ジニョンは驚いてウソンを見た。

「・・・よろしく、ソ・・支配人?」
ウソンはニヤッと笑って言った。
「じゃ、俺は失礼しますよ、ハン社長。 オ支配人と打ち合わせがあるんでね。」

「ああ、私も後で顔を出しますよ。」

「あ、あの!」
ウソンが出て行こうとしたので ジニョンはあわてて呼び止めた。
「あの・・ありがとうございました。」
ジニョンは 少し決まり悪そうに言った。

「は?」
ウソンが振り向いた。

「・・ここまで連れてきてもらったので・・一応、お礼を言っておこうと・・。大変だったと思って・・。」
ジニョンの声がだんだん小さくなる。

「は・・。確かに、ここまで運んでくるのは けっこうきつかったな。 でも・・。」
ウソンが真面目な顔で言う。

「・・でも?」

「・・いい事もあったよ。・・あんた、着やせするタイプなんだな。 意外と胸もあったりして・・。」
今度はニヤッとしてジニョンを見た。

「なっ・・!!」
ジニョンはか~っと真っ赤になると あわてて自分のブラウスの胸元を押さえた。
そして興奮してベッドに置いてあった枕をウソンに向かって投げつけた。

「おっ・・!」
ウソンはそれを軽く受け止めるとまた笑った。

「しっ・・失礼な人ね! 最低!」

「はは・・。怒った顔もいいね。」
真っ赤になって怒るジニョンを見て ウソンは笑い飛ばした。
そして ジニョンに枕を投げ返すと医務室から出て行った。

後に残されたジニョンは興奮して叫んだ。

「ちょっと、テジュンさん!! 何なの、あの人は!・・どうして あんな失礼な人に設計を依頼したの?」
ジニョンが怒っている。

ウソンの言った事に唖然としていたテジュンは はっと気がついた。
そして あわててジニョンの剣幕に対応した。
「おいおい。・・ああ見えても 彼は業界では有名なデザイナーなんだ。」

「信じられないわ、あんな野蛮人!・・口は悪いし、乱暴だし、強引だし!」
ジニョンは まだ納得できない。

「・・・めずらしいな・・。おまえがそんなに怒るなんて。」

「だって、失礼なんだもの!」

「落ち着けよ。・・彼は口は悪いが なかなかいい男だよ。」
テジュンは ジニョンをなだめるように言った。

「ふんっ・・。」
ジニョンは頬を膨らましてそっぽを向いた。

    

  ジニョンの怒りはなかなか収まらなかった。

   なぜ、自分がこんなに怒っているのかわからなかった。

       口の悪い男は他にもたくさんいるのに。
  

  ・・・ドンヒョク以外の男に抱き上げられたのは初めてだった。      

       その事が許せないのだろうか?

         ジニョンの言う事を全然聞かずに無視した 強引で乱暴な男・・それを怒っているのだろうか。


 だが その一方で

     久しぶりに思いっきり怒ったので・・気分がすっきりしたのを感じていた。

    
       昨日からの沈んだ気持ちが 少しずつ消えていくのが不思議だった。




     でも・・あんな人・・。 ・・わたしのドンヒョクさんとは大違いだわ! 

        ドンヒョクさんは もっともっと素敵なんだから・・・!

          優しいし 紳士だし 優雅だし 繊細だし それに誠実なんだから・・。




              ・・・・・・・・・・・・・



    ジニョンは ふと 自分の頬を押さえた・・。



              わたし・・何故 こんなにムキになってるのかしら・・・?



  




     




                            背景・画像・コラージュ by akke













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