ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1369884/1907125
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 30M/100M
メンバー Total :297
Today : 0
書き込み Total : 957
Today : 0
ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 90 HIT数 8560
日付 2010/08/04 ハンドルネーム aoi32
タイトル ひまわり -4- ごめん ジニョン
本文


ひまわり -4- ごめん ジニョン








ソウルホテルの正面玄関にシルバーのジャガーが滑り込む。
そして キキーッと鈍い音をたてて車は止まる。
同時に 一人の長身の男が車から降りてドアを閉める。
顔馴染のドアマンがにこやかに彼を迎える。

「こんばんは。シン理事。」

彼は 立ち止まる事もなくドアマンを確認すると 車のキーを投げるように渡す。

「すまない。 後は頼む。」
彼はそれだけ言うとホテルの中に入って行った。

「承知しました。」
ドアマンは いつものように笑顔で彼の背中を見送った。












ドンヒョクは急いでいた。


彼はロビーを横切り 足早にまっすぐフロントへ進んで行く。

「こんばんは、シン理事。」
ここでも フロント係がにこやかにドンヒョクを迎える。

「ジニョ・・ソ支配人は?」
ドンヒョクは表情を変えることなく言ったが その顔は少し青ざめていた・・。

「あ、はい。 今日はずっとスタッフルームの方に・・。」

ドンヒョクは最後まで聞かずに背を向けると また大股で歩き出した。

フロント係も 笑顔でドンヒョクを見送った。



   ―――――――――



スタッフルームのドアが突然開く。

「ジニョン!」
ドンヒョクが大声で呼びながら中に入って来た。

「ドンヒョクさん!・・どうしたの?」
ジニョンは驚いて立ち上がった。

スタッフルームにいたのはジニョン一人だけだった。

「・・!・・」
ジニョンは思わず顔をしかめる。

「ジニョン!」
ドンヒョクはあわてて駆け寄ると ジニョンの顔を覗き込んだ。
「・・・痛むのか?」

「だ、大丈夫よ。・・急に立ち上がったから、ちょっと痛かっただけ。」
ジニョンは首を横に振ると ドンヒョクを見た。

「こっちに座って。」
ドンヒョクはジニョンの肩を抱くと 支えながらソファの方へ移動した。

二人はソファに並んで座った。


ドンヒョクは まっ白な包帯が巻かれたジニョンの膝を見て、顔を曇らせた。
そして そっと彼女の膝に手を当てた。


「あっ、あのね ドンヒョクさん 大丈夫よ! 大した怪我じゃないの!
 本当は・・包帯も必要ないくらいの怪我なの!」

ジニョンはドンヒョクの腕に手をのせた。

「でも・・医務室のイ先生が ドンヒョクさんに叱られるからって・・わざわざ包帯をしてくれたの。」



「・・・どうして・・すぐに知らせてくれないんだ?」
ドンヒョクはそう言うと 少しとがめるようにジニョンを見た。

「え?」

「テジュンさんが言うには 怪我したのは朝だって聞いたよ。 それなのに 僕が聞いたのは夜になってからだ。」
ドンヒョクは困惑の表情を浮かべている。

「あのね・・本当に大した事ないの。 ドンヒョクさんのお仕事の邪魔するほどの事じゃなかったの。」
ジニョンが泣きそうな顔をしている。

「・・ジニョン。」
ドンヒョクはジニョンの腕を引いて胸の中に閉じ込めた。













「ドンヒョクさん?」
ジニョンは驚いた。 少しの間、そのままドンヒョクに身をまかせていた。 
・・・そして ゆっくりと、彼の大きな背中に両手を回した。
温かくて 大きくて 何もかも包んでくれそうなドンヒョクの胸・・・。



「・・・・ごめん・・。」
ドンヒョクが低い声で囁いた。

「・・ドンヒョクさんが 何故、謝るの?」
ジニョンが小さな声で聞く。

「・・・・・」
ドンヒョクは黙っている。

「・・ドンヒョクさんは 何も悪い事してないじゃない。
 わたし・・わたしが悪いの・・。ごめんなさい。・・また 心配かけてしまって・・。」
ジニョンが涙声になる。

「・・僕がどうかしてたんだ・・。」
ドンヒョクが呟いた。 そして ジニョンをもっと強く抱きしめた。 
彼女のほっそりとした体は ドンヒョクの両腕に閉じ込められていて離れられない。
ドンヒョクの狂おしいまでの情熱が 彼の体から伝わってくるのがわかる・・・。


「・・・ドンヒョクさん・・?」

「・・ジニョン・・。」

「・・ドンヒョクさん・・苦しいわ。 ・・息が・・できない・・。 もう少し・・もう少し・・力を緩めて・・。」
ジニョンは ドンヒョクの逞しい胸の中で言った。


「・・ごめん ジニョン。」
今のドンヒョクには その言葉しか出てこなかった。


「・・ドンヒョクさん、あなたがそんな事を言うと胸が痛むの・・。
 だから・・謝ったりしないで。・・ドンヒョクさんは何も悪くないわ・・。」

今度は ジニョンがドンヒョクを抱きしめた。
















  









「・・ドンヒョクさん。」

「ん?」

「・・恥ずかしいから下ろして。」

「嫌だ。」

「わたし・・一人で歩けるわ。 だから 下ろして。」

「駄目だ。」

頬を赤くして ジニョンがドンヒョクの胸の中で抵抗する。
ドンヒョクはそんな事は気にもせず ジニョンを抱き上げたままホテルのロビーを進んで行く。


   ソウルホテル 午後8時

多くの宿泊客で賑わう 韓国屈指の名門ホテルのロビー。
そこを躊躇することもなく 端正な顔をした長身の男が進んで行く。

彼の逞しい胸の中には 恥ずかしそうに頬を染めた彼女がひとり・・。

周りの驚きの視線に耐え切れず ジニョンは顔を両手で覆い そのままドンヒョクの胸に押し付けて隠す。


    ・・・顔から火が出そうよ・・。

      ドンヒョクさん・・あなたは平気なの・・・?






「・・・やると思ったのよね・・。」

また 同じような光景を目にした イ・スンジョンは呟いた。


  今朝 社員通用口でジニョンを乱暴に抱き上げて強引に運んだ あのワイルドな男 チェ・ウソン。

  そして 今・・

  大切な宝物のように しっかりとジニョンを抱き上げる エレガントな男 シン・ドンヒョク。


    ・・・ジニョンったら あれで抵抗してるつもりなの?
        何だかんだ言って すごく嬉しそうよ・・。 やっぱり 相手によるのね・・。


スンジョンはため息をついた。
そして 自分のお腹に手を当てて言った。

  「・・今夜 あたくしたちも パパに抱っこしてもらいましょうか・・。ね? 赤ちゃん。」

















  





    ―― 夜更けの寝室 ――



「え・・? レウォンさんのお姉さんに会ったの?」
ベッドに座ったジニョンがドンヒョクを見た。

「うん。今日 グランドハイアットで偶然に会った。」
ドンヒョクもジニョンの傍に座った。

「まあ! イェジンさんの? ・・ねえ、レウォンさんのお姉さんってどんな人?・・きっと素敵な人なんでしょうね。」

「うん・・すごい美人だった。」

「え?」

「しっとりと落ち着いてて 聡明で 息を呑むほどの美しい人だった・・。」

「・・・・・」


ジニョンは 思わず黙り込んでしまった。
ドンヒョクが ジニョン以外の女性の事に これほど興味を示すのは初めてだった。

彼女の胸はざわついてきた・・。


「・・・わたし・・もう寝る。」
ジニョンはそう言うと ベッドに潜り込んでドンヒョクに背を向けた。

「ジニョン?・・何か怒ってる?」
ドンヒョクが笑いながらジニョンの顔を覗き込んだ。

「怒ってなんかいないわ。」

「・・もしかして・・妬いてる?」

「ちっ、違うわ!」

「ジニョン?」

「知らない! ドンヒョクさん 意地悪だから嫌い!」
ジニョンはそう叫ぶと シーツを頭の上まで引き上げて顔を隠してしまった。

ドンヒョクはふっと笑うと シーツの上からジニョンの頭を撫でた。

「・・・彼女は・・確かに魅力的な人だけど 僕にとって・・最高の人はジニョンだよ。」

「嘘よっ。」

「嘘じゃないよ。」

「・・・わたしは・・すぐ怒るし、よく泣くし、単純だし、失敗ばかりするし・・それに・・
 今日みたいにあなたに迷惑ばかりかけているもの・・。 ・・・それに・・。」

「それに・・?」

「・・・・・」   ・・・まだ 赤ちゃんも・・・。

    
        ・・・また 目の奥がつんと熱くなった・・・。



「ジニョン?」
ドンヒョクはジニョンの顔を隠していたシーツをゆっくりとめくった。


「・・・ドンヒョクさんには・・わたしよりもっとふさわしい人がいるのよ・・。」
ジニョンの瞳は悲しみに満ちている・・・。


「・・・まだ そんな馬鹿な事を言うのか?」
ドンヒョクの瞳も深い湖の底のように切ない色になっていく・・。

「・・だって・・。」
ジニョンは唇を噛み締める。

「前にも言ったはずだ。・・僕はジニョンじゃなければ駄目なんだって。
 ・・・ジニョンが傍にいればいいって・・。   ・・・忘れたのか・・?」

「ドンヒョクさん・・。」

「それに 今まで ジニョンのことを迷惑だなんて思った事は一度もないよ。」

「・・・・・」

「ジニョンを甘やかす僕の楽しみなんだ。 僕の趣味はジニョン。特技はジニョンを喜ばせること。」
ドンヒョクは きっぱりと言った。


ジニョンは思わずぷっと吹き出した。

「・・ドンヒョクさんったら・・。」

ジニョンは明るい声で笑い出した。


「・・・やっと 笑った。」
ドンヒョクが眩しそうにジニョンを見た。

「え?」

「・・ずっと 困ったような 怒ったような顔をしてた。」

「あ・・・。」
ジニョンは思わず口に手を当てた。


     ・・・そうね・・。 今日は ずっと怒ってばかりいた。

          何だか落ち着かなくて 不安で・・・。

           昨日から 自分に自信がなくなって イライラしてた・・。



「やっぱり ジニョンは笑ってる方がいいよ。」

「ドンヒョクさん。」

「・・忘れないで。 ジニョンは僕にとってかけがえのない半身なんだ。」

「ドンヒョクさん。」
ジニョンは思わずドンヒョクに抱きついた。

「・・・わたし・・忘れてた。 ・・・わたしたちはお互いが半身なんだもの・・ずっと一緒なのよね。」

「うん。」

「ドンヒョクさんはずっと覚えててくれるのに わたしはすぐに忘れてしまうの。 心が揺れてしまうの・・。
  ・・・ごめんなさい、ドンヒョクさん。」


「・・ジニョン。」

「ドンヒョクさん。」

「・・・謝るのは僕の方だ。 ごめん、ジニョン。」

「・・・何が・・?」
ジニョンは首を傾げて不思議そうにドンヒョクを見た。

「本当は 今 僕が言ったことはジニョンだけじゃなく 自分にも言っていたんだ。」

「ドンヒョクさんでも 何か 心が揺れる時があるの?」

「あるよ。 ・・いや、あった・・と言うべきかな。」

「・・・・・」

ジニョンは黙ったまま 真直ぐにドンヒョクを見つめた。

  どこまでも澄んだ大きな黒い瞳が じっと彼を見ている。

    まるで・・時間が止まったようだった・・。



  そして ジニョンは微笑んだ・・。 以前と変わらない 愛と信頼をこめて・・。


   「・・じゃあ わたしと同じね・・。」

   「・・・・・そうだね。」

 
 ドンヒョクもつられて笑った・・。 前よりもずっと大きくなった 愛と信頼をこめて・・。


      

          ・・・なぜなんだろう・・。 ジニョンの前では嘘をつけない。


            なぜ・・こんなにも素直になれるんだろう・・。



        ドンヒョクの胸の中には 後悔と懇願が渦巻いている。

  たとえ一瞬でも ジニョン以外の女性に心が揺れてしまったということ・・それを許して欲しい・・。



               もう見失ったりしない・・・。







    ―――――――――――――――――




目を覚ますと 腕の中にジニョンがいた・・。

彼女は静かに寝息をたて ドンヒョクにぴったりと寄り添い すやすやと眠っていた。

何の不安もなく 安心しきっている寝顔は 胸が痛くなるほど愛しかった。


   可愛くて 純粋で 大切な 僕だけのジニョン。 ・・そう・・僕だけのジニョン・・。


ドンヒョクは ジニョンの艶やかな髪を何度も撫でた。 それだけで 信じられないくらい穏やかな気持ちになれた。 

そして もう一度 そのやわらかな唇に口づけをしようと 少し、体を起こして顔を近づけた・・。





   その時だった・・。

     突然 ジニョンが声をあげた。


       「・・・ 下ろしてよ! ・・この・・野蛮人っ!」



   ・・・!!!・・・

          ドンヒョクは驚いて動けなくなった。



     ジニョンは顔をゆがめて寝言を言った。そして しばらくの間、唇を動かしていたかと思うと

     今度は 「・・ドンヒョクさ・・ん。」と言った。  


     そして またすぐに気持ち良さそうに寝入ってしまった。




     

          え? ・・・???   ・・・・・

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



            “野蛮人”・・・って・・・僕のことなのか・・・?


                そんなに・・嫌だった・・・のか・・?



                    ・・・ジニョン・・。






       ショックを受けたドンヒョクは そのまま仰向けになってベッドに倒れこんだ。



         そして 彼は まるで自分が 底なし沼のようなベッドに 深く、深く沈んでいくような気がした・・・。














                背景・画像・コラージュ by akke












前の書き込み ひまわり -5- ニアミス
次の書き込み ひまわり -3- 美しいひと
 
 
 

IMX