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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1370054/1907295
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 91 HIT数 7958
日付 2010/08/04 ハンドルネーム aoi32
タイトル ひまわり -5- ニアミス
本文
ひまわり -5- ニアミス










   ―― 朝 ――
   

「はい、これでいいわ。」
ジニョンは ドンヒョクの淡いブルーのネクタイを直すと にっこり笑って彼を見上げた。

今日はジニョンの休日なので ゆっくりとドンヒョクのお世話ができる。

「ふふ・・。今日も完璧。こんな涼しげなグレーのスーツも似合ってるわよ、ドンヒョクさん。」
ジニョンは眩しそうにドンヒョクを見上げた後 満足そうに微笑んだ。
彼女はドンヒョクの胸に寄り添って 彼の腰に手を回した。
そして 名残惜しそうに言った。

「・・・もう、お仕事に行く時間ね。」


ドンヒョクも静かに笑いながら ジニョンをやわらかく抱きしめる。
しかし その笑顔はすぐに戸惑いの表情に変わる。


「・・・ジニョン。」

「はい?」

「・・・僕は・・そんなに 野蛮な男・・なのかな。」
ドンヒョクは 出来るだけ平静を装いながらも ストレートに疑問をぶつける。

「え?」
ジニョンは驚いて目を丸くする。

「・・・・・」
ドンヒョクは黙ったまま ジニョンが答えるのを待っている。

「野蛮・・って・・。 ・・・や~ね! ドンヒョクさんが野蛮なわけないでしょう! 」
ジニョンは明るい声で言う。
「ドンヒョクさんは紳士よ。 誰がそんなこと言ったの?」

「・・・・・」 ・・・それは ジニョンさん、あなたです。
ドンヒョクは苦笑いをする。

「わたしのだんな様は とても優しくて誠実な人よ。」
ジニョンはまた明るく笑うと ドンヒョクの背中をポンポンと叩いた。

「・・でも、そうね・。 ・・時々 すご~く強引な時もあるわね。」

「え?」

「我儘で すぐ嫉妬するし・・困っただんな様の時もあるわね・・。」

「・・・・」

「・・でも・・そんなドンヒョクさんも好き・・。」
ジニョンはそう言うと からかうような悪戯っぽい瞳を向けた。















ドンヒョクが落ち込むのも、立ち直るのも ジニョンのひと言で決まる・・。

何てシンプルなドンヒョク・・。 彼のクールなイメージからは想像できないほどのシンプルさだ。


「・・そうか。」

ドンヒョクはふっと笑う。
すでに復活した彼は すぐに ジニョンの好きな“強引なドンヒョク”に変身する。
ドンヒョクは ジニョンを引き寄せて 強引に唇を重ね合わせる。

   ・・・今朝 ジニョンが飲んだ甘いカフェオレよりもずっと、ずっと甘い口づけ・・。

「・・・ん・・・。」
ジニョンは身も心もとろけそうになる・・。

・・・が、すぐに気がついて 慌ててドンヒョクの胸を押した。

「だっ、だめよ ドンヒョクさん! ・・また 遅刻しちゃうわ!」
ジニョンの頬は赤くなっている。

「強引なのは好きだと言っただろう?」
ドンヒョクは楽しそうに言う。

「そ、それは・・。」

「もう一度。」

「あ・・・。」

ドンヒョクはジニョンの頬を両手で包むと また口づけをした。
ばたばたと抵抗していたジニョンの手は 次第に静かになり そのうちにドンヒョクの首にしなやかに回されていった。


ジニョンのやわらかくて、甘美な唇を確かめながら ドンヒョクの脳裏に、ある疑問が浮かぶ。



     ・・じゃあ・・・  “野蛮人”っていうのは誰のことなんだ・・・?

             そいつが ジニョンの夢の中に出て来たって事なのか・・?



       ジニョンの夢の中にまで嫉妬するドンヒョクだった・・・。
















   




一人の長身にがっしりした男が フローリストの中に入って来た。
鋭い眼差しを向けていた男は 色とりどりの花が溢れた店内をくるっと見回すと 少し表情がやわらかくなる。

「いらっしゃいませ。 今日はどの花にしましょうか。」
フローリストの女店長はにこやかに言った。

「うん。・・じゃあ、今日はその黄色いのを・・。」
彼はその花を指しながらそっけなく言った。

「ひまわりですね? 長さはいつもと同じでよろしいですか?」

「ああ。」

「かしこまりました。」
彼女はそれ以上は何も言わずに テキパキとその客のために用意をしていった。




男が花束を抱えて出て行った後 フローリストの若い店員が言った。

「店長。 ・・今のお客様、先週もお花を買いにいらっしゃいましたよね。」

「そうね。 あなたはまだここに来たばかりだから知らないわね。
 あのお客様は 時々いらっしゃって いつも季節のお花を買って行くのよ。
 ・・もう、半年くらいになるかしらね・・。」

「そうなんですか。」

「病院のお見舞いに持っていくみたいなのよ。 でも、あなた よく覚えてたわね。」

「はい。 ・・だって とても素敵なんですもの。・・ワイルドな感じの人って好きなんです。」
若い店員はうっとりしながら言った。



   ――――――


店から出た男はひまわりの花束を肩にのせ 目の前の白い巨塔を見上げた。

   ―― ソウル病院 ――


   ・・・そして 彼は小さくため息をつくと寂しそうに笑った・・・。






   ――――――――――





「・・これは・・美しい! ・・本当に あなたが カン・レウォンの姉上でいらっしゃいますか?」
レオが大袈裟にリアクションをして驚嘆の声をあげた。


「はい。・・弟がいつもお世話になっております。」
レナは美しくしっとりとした笑顔を向けた。
目にも鮮やかな黄色のひまわりとグリーンをアレンジしたフラワーバスケットを持って
レナがドンヒョクのオフィスを訪れたのは その日の午後だった。

「実は・・これから実家の両親の所に行くのですが その前に 弟がお世話になっている皆さんにご挨拶をしようと思いましたの。」
レナがにこやかに言った。


「まあ、そうなんですか。・・あの、確かレナさんは ご結婚して日本に住んでいらっしゃるんですよね?」
秘書のヘヨンが思い出したように言った。


「ええ。でも、先日 主人がドイツへ出張になりまして その間 わたしは韓国に戻って 彼を待とうかと・・。
 昨日、ソウルに着いて 実家に行く前にホテルに一泊したんです。
 ・・・以前から シン社長にお会いしたいと思ってましたので・・。」
レナはそう言うと うつむいた。・・・透き通るように白い頬がほのかに赤く染まっている・・。

レオとヘヨンは顔を見合わせ社長室の方を見た。

    ・・・さすがボス。・・こんな美しい人妻さえも惹かれてしまうほどの何かがあるんだな・・。
      ・・・しかし 何て 罪作りな奴なんだ!
・・・いつものように レオは誤解する。


そんな事も知らずにドンヒョクは 国際電話をしているところだった。

レオの異様な視線に気づいたドンヒョクは ちらっとガラス越しにこちらを見た。

レナがにっこり微笑んでお辞儀をした。

ドンヒョクもやわらかく笑うと 受話器を耳に当てたままうなずいて見せた。











     





   ―― オフィスビルのエントランスホール ――
 

「・・すみません、ドンヒョクさんに、ここまで見送っていただくなんて申し訳ないですわ。
 ・・・あ・・、ごめんなさい。 わたしったら ドンヒョクさんだなんて馴れ馴れしく呼んだりして・・。」
レナは慌てて口を押さえた。


「ドンヒョクでいいですよ。・・それより 何だか顔色が悪いような気がしますが・・。
 オフィスの冷房が強すぎましたか?」
ドンヒョクは静かな口調で言った。


「いいえ、大丈夫です。」
レナの元々透き通るように白い肌が青ざめていた。
「・・いろいろ準備とかで忙しかったので 少し疲れてるだけなんです。」
彼女は微笑んだ。


「そうですか。」


「あの、ドンヒョクさん。 ・・レウォンのこと・・よろしくお願いします。
 ・・あの子・・失敗ばかりしてご迷惑をかけると思いますが・・。」
レナはそう言うと深々と頭を下げた。


「大丈夫ですよ、慣れてますから。」
ドンヒョクは笑った。

「まあ・・・。」
レナも思わず笑った。


「・・・では、失礼します。」

「気をつけて。」

レナはそう言うと ゆっくりと背を向けて歩き出した。

ドンヒョクは そのほっそりとした後姿を見送った。
そして エレベーターの方へ戻ろうとした時だった。
それまで ゆっくりと歩いていたレナは 立ち止まったかと思うと 体を横に揺らし そのまま崩れるように倒れた。

「レナさん!」
突然の出来事にドンヒョクは驚いて 慌てて駆け寄り レナを抱き起こした。

彼女の顔色は真っ青で意識を失っていた・・・。





   ――――――――――――――




ひまわりの花束を肩に乗せた長身の男が ソウル病院の正面玄関から入ってきた。
彼は 通い慣れた廊下を進み病棟の方へ進んで行く。
その時 前方では緊張感が走っていた。
ちょうど救急の患者がストレッチャーで運ばれて来るところだったのだ。

救急隊員と数人の看護師と共に 一人の男がそれを追うように早足でついて来る。

   ・・・すれ違いざまに 二人の男の肩がぶつかり合った・・。


  ひまわりの花束が床に落ちた・・・。


「・・失礼。」
長身の眼鏡をかけた男は 花束を拾うと ぶつかった相手の男にわたした。

「いや。」
もう一人の男は気にもせず 花を受け取った。


二人の男は 一瞬、お互いの顔を見た。 彼らの視線が絡み合う・・。
 

・・・が、すぐに二人は同時に背中を向けて そのまま自分の行くべき方向へ歩き出した・・・。





   ――――――



ひまわりの花を持った男が 病室のドアを開けた。


「・・・ウソンさん。」
ベッドの中に座っていたソヨンは 顔をあげて彼の名前を呼んだ。
そして ウソンが持ってきた 鮮やかな黄色のひまわりを眩しそうに見つめる。
   ・・・彼女は 嬉しい・・という気持ちを隠すように 笑顔を見せる事はしない・・。

青白い頬とほっそりとした体は ソヨンが病人だということを隠せない。

左脇に綺麗なみつ編みにされた絹糸のような黒髪と 神秘的な湖のように愁いを帯びた瞳。

  ・・・ソヨンは悲しいくらい美しかった・・。



「・・・調子はどうだ?」
ウソンは 花束をベッド脇のテーブルの上に無造作に置くと 椅子に座った。

「・・・ええ。 今日は気分がいいわ・・。」
ソヨンは静かに答えた。

「そうか。」
ウソンは安心したように少し笑った。


「・・・ウソンさん。」
ソヨンは思いつめたような声で彼を呼ぶ。

「何だ?」


「・・・わたしと離婚してください・・。」
彼女は唐突に言った。

「・・・・・」
彼は黙っている。

「お願いよ、ウソンさん。」
彼女は悲しそうな瞳を彼に向けた。

「・・・9回目だ・・。」
彼はぼそっと呟いた。

「え?」

「おまえに 離婚してくれ・・って言われたのが 今日で9回目だ。」

「・・じゃあ 10回目も 今、言うわ。 ・・・・わたしと別れてください。」
彼女は強い口調で言った。

「嫌だ。」

「なぜ?」

「おまえが嘘をついてるからだ。」

「嘘なんかついてないわ。」

「じゃあ、何故、俺と別れたいんだ?」

「・・・あなたのことが嫌いになったの。・・もう、顔も見たくないほど嫌いなの。 ・・・だから・・。」
彼女の声は震えて言葉がつまる・・。

「やっぱり ソヨンは嘘つきだ。」
彼はぶっきらぼうに言った。

「・・・・・」
彼女はうつむいた。

「おまえは俺に惚れてるんだろう? 俺と別れたら生きて行けないくせに・・・。
 ・・・だから 俺は別れない!」
彼は大声で叫んでいた。

「でも・・! わたしは・・・こんな体で・・・何一つ、奥さんらしいことができないのよ。
 ずっと入院ばかりして・・一緒に暮らせないし・・。
 ・・・わたし 間違ってた。 ・・・あなたと結婚なんかしなければよかった!
 ・・・・・あなたを愛さなければよかった・・・!」

「馬鹿なことを言うな。」

「・・・ウソンさん。」

「俺はおまえと結婚してよかった。 おまえに惚れてよかった。・・・俺が惚れた女がソヨンでよかった。」

「・・・ウソンさん・・。」
ソヨンは驚いてウソンを見つめた。

「文句あるか?」

「・・・ない・・わ。」
ソヨンの大きな瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。


「・・・じゃあ、もう二度と別れるなんて言うな。」

「・・ウソンさん・・・。」

「わかったか?」

「は・・い。」
ソヨンの透き通るような青白い頬には いく筋もの涙が光っていた。



   ・・・そして 彼女は その日、初めての笑顔を愛する夫に向けた・・・。















  






ドンヒョクは動揺していた。

ソウル病院の 救急患者が運ばれる処置室の前。
そこは まさに 一年前、ジニョンが交通事故で運ばれた場所だった。

あの日 ドンヒョクが駆けつけた時、ジニョンの意識はなかった。
艶やかな黒髪に巻かれた まっ白な包帯・・彼女の細い腕には何本ものチューブがつながれていた。
・・・青白い顔と白くくすんだ唇・・。

・・・あの時 ジニョンはこのまま死んでしまうのではないかと 一瞬だけ思った。

ジニョンが 自分の前からいなくなる・・考えただけでも気が狂うような恐怖がドンヒョクを襲った。

その時は 自分も生きてはいられないだろうと漠然と思っていた・・。


ドンヒョクの脳裏に悲痛な記憶がよみがえってきた・・。





「先生、彼女の具合はどうなんでしょうか?」
ドンヒョクは震えそうな体を必死で抑えて 部屋から出てきた医師に訊ねた。

「・・・あなたは 患者さんのご家族の方ですか?」

「いえ、違います。 ・・今は家族に連絡が取れないので・・。」

「そうですか。 ・・患者さん・・カン・レナさんは妊娠していますね。
 8週目に入ったぐらいだと思います。」

「え?」

「それと疲労が重なって 貧血を起こしたようです。
 大分、辛そうですので今夜はこちらで様子を見ましょう。」

「・・そうですか・・。」
ドンヒョクは戸惑いの表情を浮かべた。

    ・・・“妊娠” という言葉が頭の中を駆け巡った・・・。

彼は 腕を組んで何かをじっと考え込んでいた・・・。




その時 ドンヒョクの脇を通り抜けたのはウソンだった。
彼の耳に “妊娠” という言葉だけが飛び込んできた。

ウソンは振り返ってドンヒョクを見た。


   ・・さっき 救急車で駆け込んできた男だな・・・。


        ・・・妻の妊娠に戸惑っているダンナ・・ってとこだな・・。



      「・・・俺には縁のない話だ・・。」


ウソンはそう呟くと寂しげに笑った・・・。



それが とんでもない誤解で 波乱を招く原因になると彼が知るのは まだ先のことだった・・・。





















         背景・画像・コラージュ  by akke


                          






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