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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1370025/1907266
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 93 HIT数 7716
日付 2010/08/05 ハンドルネーム aoi32
タイトル ひまわり -7- お日様レウォンの涙
本文 ひまわり -7- お日様レウォンの涙




   ―― ソウルホテル ――


「姉さん!」
レウォンは駆け寄るとレナを抱きしめた。

「・・レウォン・・帰って来たのね。」
レナは嬉しそうに弟の背中にしなやかに腕を回した。

「そうだよ。空港に着いてオフィスに電話したら “ソウルホテルへ行け”って・・。びっくりしたよ。
 まさか姉さんがソウルに帰ってるなんて・・。どうして知らせてくれなかったんだ?」

「だって・・あなたにそんな事言ったら ますます、ソウルに帰りたくなるでしょう?」
レナはからかうように言った。

「そっ、そんなことないよ。 俺はNYでバリバリ仕事してるんだぜ!
 ホームシックにかかるヒマなんてないよ。」
レウォンは慌てて言い返した。

「そう?」

「そうだよっ。 あっ! それより、姉さん、倒れたんだって? 大丈夫なのか?」

「もう大丈夫よ。ただの貧血なの。
 でも、ドンヒョクさんとジニョンさんに とてもお世話になってしまったの。
 あなたからもちゃんとお礼を言ってね。」

「わかってるよ。 でも姉さん、ボスが近くにいてくれてラッキーだったよ。
 さすが 俺のボスは頼りになるよな~!!」
レウォンはガッツポーズをして叫んだ。

「レウォンは本当に“ボス”が好きなのね。」
レナはくすくす笑いながらレウォンを見上げた。

「うん。 ボスは俺の目標なんだ!」
レウォンは明るく言った。


「・・・お帰りなさい、レウォン。 姉さんはあなたに会えて嬉しいわ。」
レナはそう言うとレウォンを抱きしめた。

「ただいま、姉さん。」
レウォンはお日様のように笑うと ほっそりとしたレナの背中を両手で包みこんだ。











   






レナは客室のドアを開けて にこやかにその二人を迎え入れた。

「レナさん、レウォンさんが帰って来たって・・今 フロントで聞いて。」
ジニョンが笑いながら部屋に入って来た。

「あっ!!ジニョンさ~ん!!」
レウォンの顔がパア~ッと明るくなった。

「あら、レウォンさん お帰りなさい。」

「ジニョンさん!!!」
レウォンは駆け寄るとジニョンをぎゅっと抱きしめた。

ずっとずっと会いたかったジニョン・・。
一年前に初めて会った時から ずっと恋焦がれてきたジニョン。
でも 彼女は憧れのボスの大切なパートナー。
たとえそれが叶わぬ思いでも レウォンの心から消し去る事はできない。


「・・・ジニョンさん 俺・・ジニョンさんに会いたかったです。」
レウォンは 懐かしい甘い香りがするジニョンをきつく抱きしめた。

「レ・・レウォンさん。」
戸惑うジニョンの瞳が揺れている。


その時 レウォンの腕が物凄い力で掴まれた。

「・・・何のつもりだ。」

聞き慣れた 低く響き渡る迫力のある声。
氷のように冷たい視線がレウォンに向けられている。


「あっ!! ・・・ボス~!!!」
レウォンは叫び声をあげると 今度はドンヒョクを抱きしめた。
彼は “恐れる”とか“遠慮する”という言葉を知らない・・。

「・・・・・」
レウォンの性格を見抜いているドンヒョクは 黙っている。

「・・俺・・本当はボスに一番会いたかったです・・。」
レウォンはドンヒョクを抱きしめたまま呟いた。

「・・・どこまでも調子がいい男だな。」
ドンヒョクが冷たく言う。

「ボスだって 俺に会いたいって電話で言ってたじゃないですか・・。」

「あれは冗談だ。」

「またまた照れちゃって・・。ボスって本当に素直じゃないですね。」

「・・・・・」

怖いもの知らずのレウォンには いつものペースが乱されて何も言い返せないドンヒョクだった。














  



「じゃあ、ボス、ジニョンさん。本当にありがとうございました。 俺、姉を実家に送って行きます。」
レウォンはそう言うと頭を下げた。

「気をつけてね、レウォンさん。 お姉さんを乗せてるんだから、あまりスピード出しちゃだめよ。」
ジニョンは心配そうにレウォンを見た。

「そうよ、レウォン。 あなたは、叔父さんになるんだから・・安全運転をしてね。」
レナも楽しそうに弟を見つめた。


「・・・叔父さん・・・。」
レウォンは呆然とした。

それを見たドンヒョクはふっと笑って言った。
「・・・レウォン叔父さん・・。」

レウォンは情けない顔をしてドンヒョクを見た。
「・・・俺はまだ25歳なのに・・・ボスより ず~っと若いのに・・・。」

「・・・・・」
ドンヒョクはぴくっと眉を動かした・・・。

「レ、レウォン・・何て失礼なこと言うの。」
レナが あまりにもやんちゃな弟に慌てふためく。

ジニョンはくすくす笑っている。

レウォンは気にする事もない・・・。

「あっ、そう言えば・・もうすぐボスの誕生日ですね!!」
ドンヒョクのことなら何でも知っているレウォンが叫んだ。

「・・え・・・。」

「俺・・その日までにはソウルに戻って、ボスの誕生日パーティーを仕切りますから!」
レウォンはまたガッツポーズをして叫んだ。

「・・・戻らなくていいし、パーティーもいらない。」
ドンヒョクは冷たく言った。

「何言ってるんですか。・・去年は日本に行っててパーティーが出来なかったから・・今年はパ~ッと派手にやりますよ!」
レウォンの瞳はまぶしいほど輝いている・・・。

「すごいわ、レウォンさん。・・よく覚えてるのね~!!」
ジニョンが感心して言った。

「もちろんですよ、俺はボスの有能な部下ですから。
 そうだな~。普通じゃつまらないから 遊園地とか借り切って・・花火とか打ち上げてもいいな・・。
 そうだ! 確かMワールドの・・。」
お祭好きのレウォンは仕事より張り切っている。

「・・・それだけはやめろ・・。」
ドンヒョクの顔が青ざめている。 ・・・遊園地 → 絶叫マシーン → メリーゴーランド・・・
    ・・それだけは避けたい・・彼は思った。

その時、ジニョンの瞳が輝いた事をドンヒョクは知らない・・・。


「レウォンったら・・。 それなら尚更、今年はお二人だけでお誕生日を迎えたいはずよ。
 だから あなたは遠慮しなさい。」 
レナがあきれたように言った。

「え~!!」
レウォンは姉の言葉にショックを受けた。

「え~、じゃないの。 お二人の邪魔をしちゃだめよ。 わかったわね? レウォン。」
レナは真面目な顔で言った。

レウォンはまだまだ不服そうだったが 姉の言う事は聞く素直な弟だった。


ドンヒョクは安心した。


そして 彼は思っていた。

どうして自分は レウォンの大胆な行動や傍若無人な態度に反発しないのだろう?
レウォンの言動に怒りを覚えないのだろう?

それは多分・・レウォンの根底にあるものが 真直ぐなひた向きさと純粋さだからかもしれない。
そして、それは ジニョンがもってるものと同じもの・・。

以前のドンヒョクなら そういうものに息苦しさを感じて無関心を装っていたはずだし、
明るい太陽はまぶしすぎて 目を背けていたかもしれない。


しかし 今は その純粋さに触れて くすぐったいような、穏やかな感情がドンヒョクの心に芽生えていた。

自分にストレートにぶつけてくる好意を ドンヒョクは戸惑いながらも受け入れられるようになっていた。


   ドンヒョクは 明るい太陽も、ひまわりの花も好きになっていた・・・。















   



もう一度 深く頭を下げた後、レナとレウォンの姉弟は車でホテルから出た。
それを、正面玄関で見送ったドンヒョクとジニョンは またロビーに入って行く。

「ドンヒョクさん。」

「うん?」

「・・・わたし・・ドンヒョクさんのお誕生日はお休みにしてもらったの。」

「え?」

「今年のお誕生日は、初めて一緒に過ごせるんだもの。 ・・・一人にはさせないわ。」

ジニョンの言葉に ドンヒョクは少し照れたように笑った。

「がんばって 美味しい物を作るから期待しててね。」

「・・・大丈夫かな?」

「だっ・・大丈夫よ・・・たぶん・・。」
少し躊躇するジニョン。

「じゃあ、期待してるよ。」
ドンヒョクはふっと笑うと ジニョンの肩をぽんぽんと叩いた。

・・・ジニョンは後悔していた・・・。 

       どっ、どうしよう~!! あまり・・期待されても困るけど・・・。


「・・ジニョン・・。」

「はい?」

「無理しなくていいよ。 その気持ちだけで十分だ。」

「・・ドンヒョクさん。」

「ジニョンが傍にいてくれるのが 最高のプレゼントだ。」

「・・・ドンヒョクさんったら・・。」

  ・・大丈夫よ、ドンヒョクさん。 まだ時間があるもの。 たくさん練習すればどうにかなるはずよ。
      わたしは奥さんなんだから がんばるわ!


       そんな淡い期待も空しく 当日はドンヒョクのクッキングのお手伝いにまわったジニョンだった・・・。









 
 
  






そんな二人の微笑ましい様子を じっと見ている男がいた。

   チェ・ウソンだった。

その時彼は フロントに用事があって来ていたのだ。

ウソンは驚いていた。 
ソ支配人と一緒にいる男には見覚えがあった。

  ・・あの男は・・昨日、ソウル病院に駆け込んできた男だ。


「ソ支配人の隣にいる男は?」
ウソンはフロント係に尋ねた。

すでに顔見知りであるデザイナーのウソンに フロント係は快く答えた。

「あの方は、シン・ドンヒョクさんです。 わたくしどものホテルの理事で、ソ支配人のご主人です。」

「え・・・?」

ウソンはまた驚いた。 ・・あの男が、ソ支配人の・・・?
彼の ドンヒョクに対して持っていたイメージが覆された。

数日前に ソ支配人を車で送ってきた男。そして 公衆の面前で大胆なキスをした男。

   もっと軽くて気障な感じの男だと思っていた・・。


   なかなか 頭の切れそうな男じゃないか・・・。それに 人を寄せ付けないような冷たい雰囲気がある・・。

 

  待てよ・・。 それじゃあ、昨日 病院に運ばれてきたのは ソ支配人なのか?

    ・・・ということは ソ支配人は・・・。


チェ・ウソンは一人で納得していた・・・。





  















 
レウォンの運転する車は すでにソウル市外を走っていた。
辺りはオレンジ色の夕日に包まれている。


   

「レウォン。」
助手席に座っているレナが弟に話しかけた。

「うん?」
レウォンが車の運転をしながら返事をした。

「・・・姉さん、気がついたことがあるの。」

「・・何?」

「レウォンの好きな人って・・ジニョンさんのことね?」

「え・・!!」
レウォンは驚いてレナの方を見た。

「レウォン、よそ見しないで。」

「あっ・・。」
レウォンは慌てて視線を戻した。 そして戸惑ったように言った。

「・・ねっ、姉さん。 ばかなこと言わないでくれよ。」

「あら、当たってるでしょう?」

「・・・違うよ。 ・・・ジニョンさんは・・ボスの奥さんじゃないか・・・。」
レウォンの声は上擦っている。

「そうよ・・。 ジニョンさんは あなたの大好きな“ボス”の奥さまでしょう?」
レナの声が震えている。

「・・・そんなこと・・・わかってるよ・・。」

「レウォン。」

「・・・・・」
レウォンは沈黙した。 ・・そして しばらくして口を開いた。



「・・・ボスは認めてくれたんだ・・・。」

「え?」

「俺がジニョンさんを好きだっていう気持ちは 誰にも止める事はできないって・・。」

「・・・レウォン・・。」

「・・・ボスは・・ジニョンさんをすごく愛していて・・・ジニョンさんは俺のことは弟みたいにしか思ってないけど
 俺は・・・それでいいんだ・・・。」

「・・・あなたは それで辛くないの・・・?」

「・・・・・」

「レウォンは わたしのたった一人の弟だから・・あなたには・・辛い恋をしてほしくないの。」

「・・・・・」

「レウォン・・。」

「・・・姉さん・・・。」
レウォンの顔が一瞬、歪んだ。

「ん?」

「・・・車・・止めてもいいかな。」
レウォンは静かに言った。

「いいわよ。」

レウォンはブレーキをかけると ゆっくりと車を止めた。
ほとんど他の車は見えない通りに入っていた。

静寂の中、レウォンは大きなため息をついた。

レナは 優しくレウォンの頭を撫でた。
彼女は昔、そうしたように弟のやわらかな髪を何度も撫でた。


「・・・姉さん。」

「・・ん?」

「・・・俺・・やっぱり・・辛い時もある・・。
 どんなにジニョンさんのことを好きでも・・ボスにはかなわないんだ・・。」

「・・・・・」

「・・でも、だめなんだ。 忘れようと思っても、どうしても忘れられない・・。
 ソウルから・・あの人から離れて暮らしていれば きっと・・時間とともに忘れられると思ってた。
 ・・でも・・だめなんだ・・。」

「・・レウォン・・。」

「・・俺は・・ボスを愛しているジニョンさんが好きなんだ。
 ボスに愛されているジニョンさんが好きなんだ。」

「・・・・・」

「・・・こんな俺って・・屈折してるよな・・。俺は・・変な奴だよ。」

「・・・ほんとね・・。 本当に困った弟ね・・。」
レナはそう言うと微笑んだ。


    ・・・レウォン・・・。

         あなたは いつも明るくて、元気で、陽気で・・
            お日様みたいに温かい笑顔を向けてくれるわね・・。


      ・・・でも・・・

「・・・無理しないで、レウォン。」

「姉さん。」

「・・・泣きたい時は泣いていいのよ。」

「・・・だめだよ、姉さん。」
レウォンは いつものように人なつっこい笑顔を向ける。


「・・だって・・俺が暗い顔してたら、ボスに会えなくなるじゃないか。」

「・・レウォン。」

「ボスの前では 陽気で、図々しくて、怖いもの知らずのカン・レウォンでいなきゃいけないんだ。」





「・・・・俺・・ジニョンさんと同じくらい ボスのことも好きなんだ・・。」

レウォンはそう言うとうつむいた。




   ・・・少し悲しげな笑顔を浮かべた彼の瞳から 一粒の涙が落ちてきた・・・。











 


















                    背景・画像・コラージュ by akke













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