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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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君が好き
いつも思っていた  映画やドラマのような恋がしたい…                                                     そんな莉子の甘く切ないラブストーリー
No 14 HIT数 5093
日付 2010/06/29 ハンドルネーム aoi32
タイトル 君が好き -14- サプライズ!
本文

君が好き -14- サプライズ!  

 




明日は朝が早いから…そう言って 先に崇史と真山が帰った後、
薫と翔太はカウンター席に移り、カクテルを飲み続けていた。


薫はかなり飲んだのか目をとろんとさせながら翔太を見上げた。


「ふん… 俊さんも崇史も奥さんや彼女ができたから
 付き合いも悪くなったわよね。
 さっさと帰っちゃって… 何よ」

薫はぶつぶつ言いながら鮮やかな深紅のカクテルを飲みほした。


「…今度は完全に酔ってるな」

翔太は微かに怯えた表情で薫の顔を覗き込んだ。


「大体、崇史はあの子のどこがそんなにいいの?
 彼女にあってわたしにないものって何?」


「そんなことわからないよ。
 俺だって莉子さんに会ったのは一度だけなんだから」


「そうよね… 翔太にわかるわけないわね」


「でも俺は薫のいい所を知ってるぞ。もう、長い付き合いだからな」


「わたしの? どこ?」


「うん …美人で、性格は 一緒にいるとゾクゾクするほどきついってとこかな」


「どこがいい所なのよ」


「でも 本当は繊細で傷つきやすい…」


「…何言ってるのよ」


「もしかしたら そこが莉子さんと違う所かもしれないな」


「え?」


「彼女はおとなしくて控え目な感じの人だけど 芯は強いのかもしれない」


「彼女が?」


「崇史に…俺たちが何年かかっても出来なかったことを
 莉子さんがやってくれたのかもな…」


「何よ… それって、崇史の家族のこと?
 だって… 崇史はいつも陽気で元気だったし、平気な顔してたじゃない。
 正直でまっすぐで… 穏やかに笑っていたわ。
 それが嘘だったっていうの? 崇史が無理してたとでも?」


「…そんな気がしただけさ」


「…わかったわ。
 じゃあ、直接 莉子さんに会って確かめてみるわ」


「え?」


「だって、いつか 崇史も言ってたでしょ?
 わたしに恋人ができたら紹介しろって。相手に会ってどんな男か確かめてやるって…
 だからわたしも 彼女がどんな人か会って確かめてやるわ。
 崇史を大切にしてくれるか…ね」


「薫… それって怖いかも…」


「どこが怖いのよ。 崇史の友人として当然のことよ」


「…友人としてか…」


「そうよ」


「………」

 


…女って、やっぱり怖い… 翔太は喉まで出かかったが、それを口に出すと
薫に睨みつけられるとわかっていたので ぐっと堪えて口をつぐんだ。

 


まったく… 薫は崇史のことがずっと好きで でも、鈍感な崇史はちっとも気づかなくて
間に挟まれた俺は苦労が絶えない


…でも、今夜のことはそれとなく崇史に伝えておくのが友情ってものだよな…

 


すっかり酔って眼が据わった薫が 隣でぶつぶつ言ってるのを横目で見ながら
翔太は思っていた……。

 

 

 


-----------

 

 

 


その日 学校から家に帰る途中でコンビニに寄った崇史は お酒コーナーの所で缶ビールを
手に取って眺めている莉子を見つけた。


あれ?… 崇史は いつもの莉子とどこかが違うと感じ、それが彼女のヘアスタイルが
原因だと気づいた。


ふわふわとやわらかそうな髪が肩先で揺れている…そんな莉子だったのに
今、そこにいる彼女はサラサラと音がしそうなストレートのショートヘアだった。

 


髪を切ったのか? …昨夜、電話した時はそんなこと言ってなかったのに…

 


崇史は腑に落ちない気がしたが よく見ると いつもの愛らしい雰囲気と違ったヘアスタイルも
シンプルな紺のパンツスーツ姿もなかなか似合ってる気がして 思わず口元がほころんでしまった。

 


…また新しい魅力を発見!ってとこかな…

 


すっかり嬉しくなった崇史は ビールを選ぶのに気をとられて、こちらに気づかない莉子を
驚かせようとそっと近づくと いきなり彼女の手首を掴んだ。

 

「あっ!」

彼女は驚いて声を上げた。


崇史はくすくす笑いながら彼女の細い手首を掴んだまま自分の方へ引き寄せた。


「だめじゃないか! 僕に隠れてビールなんか飲んでるのかい?」


もしかして、本当は酒好き? 


からかいながら崇史が彼女の肩に手を回そうとした時だった。

 


「何するの!!!」


突然、彼女は叫ぶと崇史の手を振り払い、もの凄い力で崇史の体を押し退けた。


「え?」


「どこ触ってるのよ! このヘンタイ!!!」


呆然としている崇史を後目に、彼女はキッと睨みつけると大声で叫んだ。


「え?」


「真面目そうな顔して… もしかして痴漢なの???」


「…違う…?」


「何が違うのよ!」


「…莉子…じゃない…?」


「え、莉子?」


「莉子じゃない!!!」


「莉子…って あなた… もしかして、莉子の知り合い?」


「え…?」

 


崇史は呆然としたまま、彼の恋人とそっくりな…というよりも 
瓜二つの その彼女を見つめた……。

 

 

 

 

 


「…崇史さん! どうしたの? 明日、来るはずじゃ…」

 


突然、訪ねて来た崇史を見て 莉子はいつもと変わらないやわらかそうな髪を
揺らしながら部屋の扉を開けたまま声を上げた。


「…うん、そのつもりだったんだけど…」


崇史は少しぎこちない笑みを浮かべると照れたように頭をかいた。


「でも、来てくれて嬉しいーーー!」


莉子はぱっと顔を輝かせると崇史の腕を取って嬉しそうに笑った。

 


「……莉子ったら ラブラブじゃなーい?」


突然、声がしたかと思うと 崇史の後ろから さっきの莉子とそっくりな彼女が
ひょっこり顔を出した。


「…まっ、茉莉ちゃん???」


莉子はびっくりして両手で口を押さえた。


「来てくれて嬉しい~、なんて… 甘えた声出しちゃって。
 それに、その顔… 今にもとろけそうじゃない!」


茉莉はにっと笑うと、からかうように莉子の顔を覗き込んだ。


「どっ、どうして 茉莉ちゃんが???
 それに…崇史さんも…?」


莉子はオロオロして、目を大きく見開いたまま 苦笑いをしてる崇史と
双子の姉の茉莉を交互に見つめた。

 

 

 


「研修で東京に来たのよ。せっかくだから莉子の所に泊まろうと…
 お正月以来、会ってなかったから どうしてるかと思って」


「連絡してくれればいいのに。留守だったらどうするつもりだったの?」


「莉子を驚かせようと思ってたの。もし、留守だったら どこかホテルにでも泊まれば
 いいかなと思って…
 それに、莉子はいつも家にいるじゃない。あまり外に遊びに行かないし」


「そうだけど…」


「彼氏ができても、やっぱり“おうちデート”なのね。
 …お料理なんかしちゃったりして… 泊まったりもするとか?」


茉莉にからかわれた莉子は またいつものように顔を真っ赤にして
恥ずかしそうにうつむいてしまった。


茉莉はそんな莉子を見て、やっぱりね!と笑い 今度は崇史の方に目を向けた。

 


「………」


さっきからずっと黙ったまま二人を見ていた崇史は 感心したように頷いた。


「…本当にそっくりなんですね」


「そうでしょう? ヘアスタイルが同じならもっと見分けがつかないわ。
 …あなたはけっこう早く気づいた方ですね」


「もう少し早く気づけば痴漢に間違われずにすんだかな?」


崇史が面白そうに話すと 莉子は驚いて声を上げた。


「痴漢って??? まさかっ、茉莉ちゃんが?」


「あっ、あら! ほほほ… 先程は大変失礼しました。
 可笑しいと思ったんですよね。こんなイケメンの痴漢がいるはずないって…
 すみませんでした!」


「ひどーい! 崇史さんを痴漢と間違えたの?」


「あはは… だから謝ってるじゃない…
 きっとここにはお酒がないと思ったから コンビニでビールを買ってたのよ。
 そしたら彼が莉子と間違えて… かなり積極的に接触してきたから…
 見かけと違って とても情熱的なんですね」


慌てた茉莉は引きつったように笑いながら謝罪すると 崇史は照れたように笑った。


さばさばした口調で物事をはっきり言う茉莉は 莉子と双子だと言っても
性格も違って陽気で行動的だった。

 

「…だからね、強引にここまで連れて来たの。莉子の彼がどんな人か知っておかないとね!」
 

茉莉は崇史をじっと見つめていたが 何かを思いついたのか、はっとして莉子の方を見た。


「そうだわ! あなたのお名前、真山さん…でしたよね?
 やだっ、それって 以前、莉子が話していた憧れの先輩じゃない?
 同じ会社の人で ずっと片思いしてるっていう…」


「あ…」


茉莉の早とちりに、莉子は思わず声を上げて顔を強張らせた。


そして不安そうに崇史を見ると、彼は莉子を安心させるように微笑んだ。


「…それは僕のいとこなんです」


「え?」


「実は… その彼から莉子さんを略奪したんです」


「え?」


「ご存知のように 見かけと違ってかなり情熱的なもので…」


「まあ…」


やわらかな笑みを浮かべながら話す崇史の言葉に 茉莉は驚き
訳がわからないまま莉子の方を振り返って見た。


…違うの… 莉子は困ったように笑うと そっと崇史の手を取った。


思わず泣きそうになった莉子の瞳に映ったのは “大丈夫だよ”とうなずく
崇史の笑顔だった。

 

 

 

 

 


莉子は崇史を見送ろうと マンションのエントランスまで降りてきた。


二人は手を繋いだまま立ち止まり お互いを見つめ合った。

 


「…ありがとう、崇史さん」


「何が?」


「略奪なんて… 本当は違うのに」


「あれ? 僕はそうだと思ってるけど?」


「…違うわ… 崇史さんはわたしの気持ちを大事にして、待っててくれたわ」


「……」


「…ごめんなさい」


「何が?」


「姉が言ったことで気を悪くしたんじゃないかと思って」


「ばかだな、莉子は… そんなことないよ」


「だって…」


「そうだな、俊のことで気を悪くしたというより 少しだけ寂しい気がした…かな」


「え?」


「莉子は お姉さんにもまだ僕のことを話してなかったんだと知って…」


「あ…」


「茉莉さんとは いつも連絡を取り合ってるんだろう?
 でも、僕のことは隠してたんだね」


「隠してたなんて… 違うのよ、崇史さん」


「何が違うの?」


「最近、茉莉ちゃんは忙しくて… 林間学校の下見とか出張も多くて…
 だから、あまりゆっくり電話で話もできなくて。 それに…」


「それに?」


「それに… 恥ずかしかったから…
 お付き合いしてる人がいる…なんて、なかなか言い出せなくて。
 今までそんなことなかったから 茉莉ちゃん、きっとびっくりして 
 実家の方は大騒ぎになるわ」


「………」

 


必死に言い訳をする莉子の前で、なぜか崇史は黙ったまま表情を変えずにいる。


いつもと違った様子の崇史に 莉子は不安がこみ上げてくるのを感じ
戸惑いながら 彼の顔を覗き込んだ。

 


「崇史さん… 怒ってるの?」


不安でたまらない莉子の声は 今にも消え入りそうなほど弱弱しくて悲しげだった。


「怒ってないよ」


崇史はそう答えると、莉子の腕を引き寄せて そのまま抱きしめた。


「ホントに? 本当に怒ってない?」


崇史の胸の中で 今にも泣きそうな莉子の声が震えている。


「怒ってないよ。 …ただ…ちょっと拗ねてるだけ」


崇史はそう言うと莉子の頭を優しく撫でた。


「莉子にはずっと好きだった男がいた。
 そのことはわかってたはずなのに… また思い知らされたというか…
 過去にはこだわらないって言ったのは僕なのに…
 拗ねて、嫉妬して 莉子に意地悪をしてしまった」


「崇史さん…」


「ごめん、莉子。
 どうしようもないね。 僕は…心が狭い男だ」


「そんな、謝らないで…。 それに、崇史さんは心が狭い人じゃないわ。
 いつだってわたしに対して誠実だし、嘘をつかないもの
 今だって、すぐ話してくれたじゃない」


「莉子…」


「それに… 何だか、安心しちゃった」


「え?」


「崇史さんでも 拗ねたり嫉妬することがあるのね?」


「うん、本当はいつも莉子のことが心配で嫉妬してるんだ。
 でも、格好つけて平気な振りをしてる…」


「そうなの?」


「ああ… また正体がばれていく…」

 


大袈裟に嘆く崇史の声が莉子の頭の上で響いている。


莉子はくすくす笑いながら 崇史の胸の中で呟いた。

 

 

「…でも…大好きよ 崇史さん。 今までよりも、ずっと…好き…」

 

 

 

 

 


「ごめんね、莉子。 彼、怒ってなかった?」


崇史が帰った後、二人きりになった部屋で 茉莉がぼそっと呟いた。


「大丈夫よ、崇史さんはとっても大らかな人だから」


莉子はくすっと笑うと、崇史のことを思い出していた。


…でも、時々 拗ねたり意地悪もするけど…

 


「そうね。 さっき莉子が料理してる時、いろいろ話したのよ。
 とっても真面目で優しそうで いい人みたいだから安心したわ。
 先週、二人で彼の実家に行ったんですって?」


「うん。
 崇史さんのお母さんや妹さんとは何度か話をしたことがあったんだけど
 お父さんには初めてお会いしたの。
 …とっても素敵で穏やかそうな人だったわ」


「崇史さんに似て?」


「うん」


「はいはい、良かったわね。
 彼も莉子が一緒に行ってくれて感謝してたみたい。
 ご家族の間で何かあるみたいだけど…莉子に助けられたって」


「そんな… わたしは何もしてないわ。
 本当は崇史さんの中では もうずっと前からわかってたことなの」

 


莉子はそれまでの経緯を茉莉に話し始めた。

 


真山俊に失恋したことも、崇史と付き合い始めたことも、彼の家族のことも
何もかも話し 崇史は莉子をかばってあんなことを言ったのだと知って欲しかった。

 


その日、久しぶりに会った姉妹は 笑い声を上げたり、しんみりとしながら
夜更けまで話し込んだ……。

 

 


















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aoi32
hiyonちゃん、ありがとうございます。またまた ドキッとするようなコメントをいただいて、そうよね~と頷いてしまいました。確かに面白いですよね~〈笑) 2010/07/03 22:21
aoi32
Annaさん、ありがとうございまーす。私も小学校の時に同級生に双子の男の子がいました。二人ともスポーツ万能でかっこよかったわ~(*^_^*)おじさんになった今でも、やっぱり顔はそっくりなのかしら(笑) 2010/07/03 22:17
aoi32
kutauniさんは姉妹でなく兄弟がいらっしゃるか、それとも一人っ子ですか?^^ そうですね、莉子がピンチ!の時は茉莉に助けてもらうっていうのもいいですね(笑)ありがとうございまーす。 2010/07/03 22:13
aoi32
pichuuさん、ありがとうございます。崇史と茉莉は同じ 学校の先生なので話が合うと思います^^ 2010/07/03 22:09
aoi32
yukitanpooさん、ありがとうございます。私にも妹がいますので、会うと話がつきませ~ん。子供の頃はけんかばかりしてましたけど(笑) 2010/07/03 22:06
aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。見かけはそっくりな二人、茉莉は縮毛矯正をしてストレートヘアになってもらいました(笑) 2010/07/03 22:02
hiyon
莉子ちゃんも突飛的な行動することもあったような気もするけど・・茉莉さんって行動的な頼りになる姉貴って感じですね!薫さん、姉の茉莉さんに間違ってイチャモンつけたら面白いだろうなぁ~(笑) 2010/07/03 17:18
AnnaMaria
nimoさん、このサクランボのチョイス、いいわ〜!サクランボの一つになって、崇史に食べられてみたい〜〜♡ 2010/06/30 18:33
AnnaMaria
高校時代、駅でいきなり友だちの背中を叩いたら、怪訝な顔をされました。そ、双子のお姉さんだったの。びっくりしたわ〜〜!何でも打ち明ける仲良し姉妹だって言ってたわ。うらやまし〜♪ 2010/06/30 18:32
kutauni
同じ顔でも性格が違って面白いですね。姉妹のいない私には羨ましいですね。力強い味方になってあげてね~。 2010/06/30 12:34
pichuu18
そっくりでも、中身は違うもの。仲のいい姉妹で、崇史もいいお付き合いができそうですね。 2010/06/29 20:36
yukitanpoo
姉妹って、ホントいいですね・・・二人のおしゃべりにはいりこみたいな・・・ 2010/06/29 20:29
あきちん
ジャスミンの片割れがやってきたのね。(笑)性格は違ってもお互いの気持ちは手に取るように分かるのかな、そんなに似てるなら・・・。 2010/06/29 13:23
 
 

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