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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 12 HIT数 6938
日付 2011/01/25 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -12- バラ20本の君
本文 マイガール




-12- バラ20本の君

 


車の助手席には可憐なバラの花束が置かれていた。


優しいパールピンクのバラが20本、成人式を迎えた柚子のために用意したものだ。


永瀬は これを受け取った時の柚子の様子を想像して 思わず微笑んだ。


バラの花びらのように 頬をピンクに染めた柚子は 恥じらいながらも
きっと愛らしい笑顔を向けてくれるだろう。


永瀬は 柚子の喜ぶ顔が見たくて あれこれとしてしまう自分に呆れながらも
それも悪くないな、と感じていることに驚いている。


あんな子供を相手にするわけがない… 出会った頃は そう思っていたはずなのに
いつの間にか柚子から目が離せなくなっていた。

 


僕は 本気で彼女のことを… 


その思いは止められず もう、すでに始まってしまった… それは確かだ。

 


だから 思わず、イラついてしまった。


車のライトに浮かび上がった二人が 笑顔を浮かべて、手を取り合っている光景を
目の当たりにして…

 

 

 

 

 


永瀬の車に気づいた柚子は 彼が降りると同時に小走りで駆け寄って来た。

 

そんなに急いだら転ぶじゃないか… そう心配しながらも、永瀬は 柚子と一緒にいた
見知らぬ男の方へ目を向けていた。


男と言っても まだ子供じゃないか…


それでも永瀬は 表情を変えることなく、彼に冷たい視線を投げかける。

 


「永瀬さぁん!」

 


だが、永瀬のそんな異変にまったく気づいていない柚子は いつものように
彼の胸の中に飛び込んできた。

 


えっ…? 


その予想外の出来事に永瀬の視線は一瞬のうちに、男から胸の中にいる
やわらかな柚子に向けられる。

 


「ゆず…?」


「良かったーーー! 間に合いました!」


「え?」


「思ったより遅くなっちゃったから、永瀬さんが先に着いてたらどうしよう…って
 思ってたの」


永瀬の胸の中で顔を上げた柚子の瞳が嬉しそうに輝いている。


驚いて言葉を無くした永瀬は そんな柚子をただ黙って見つめている。


「着物だと走れないし、速く歩けないし… 焦っちゃいました。
 草履も履き慣れてないから大変で…    えっと… 
 …あの、永瀬さん? どうかしました?」


ずっと何も言わない永瀬に気づいた柚子は 不思議そうに見上げた。


「え? あ、ああ 何でもない。
 ただ… ほら、あそこにいる彼が… 呆然とこっちを見てるから
 どうにかしないと…」


「え? あ、いけないっ! 忘れてたーーー!!!」

 


わざわざ自宅まで送ってくれた浩司を置き去りにしていたことを思い出した柚子は
慌てて、今度は彼の方へ戻って行く。


相変わらず、永瀬のこととなると 周りが見えなくなる柚子だった。


子供のように無邪気な柚子に呆れながらも それまで永瀬の体中を包んでいた
ひんやりとした感覚が 彼女によって次第に温かいものに変わっていく。

 


何の邪推もなく、素直に思いをぶつけてくる… それが柚子なのに…


そんなことは 初めて会った時からわかっていたはずなのに…

 


“子供なのは僕の方かもしれないな…”


そう呟く永瀬の口元には やわらかな笑みが浮かんでいた……。

 

 

 

 

 


「まあ、ステキな花束を頂いたのね!
 いつも、すみません」


柚子の家の中に入ると、母親の理沙子がにこやかに迎えてくれた。


「良かったわね、ゆず。こんな豪華なお花を頂くなんて初めてだし… 
 何だか羨ましいわ」


両手でバラの花束を抱えて、嬉しそうな娘を見た理沙子は、からかうように笑った。


「では、次はお母さんにも贈ります」


すかさず永瀬はそう言うと、静かに微笑んだ。


「あっ、あら! いいんですのよ、わたしは…
 ごめんなさい、何だか催促したみたいで」


理沙子は慌てて言うと 困ったように永瀬を見上げた。


「…催促してるじゃない」


柚子が頬を膨らませて理沙子を睨んでいる。


「違うわよ、ゆずったら。
 …あの、それより 永瀬さん?」


「はい?」


「前から気になってたんですけど… その、お母さんっていう呼び方はちょっと…
 あなたとは4歳しか違わないのだし… ね?」


「では、何とお呼びすれば?」


「そうね… 名前で“理沙子”と呼んでくださいな」


「わかりました。 では今日から そう呼ばせていただきます。
 理沙子さん」


「え…」


改めて名前を呼ばれた理沙子は 途端に赤くなってしまった。


「お母さん??? どうして赤くなってるの?
 あのね、わかってると思うけど 永瀬さんとお付き合いしてるのは
 わたしなんだから!」


柚子は慌てて母親に向かって叫んだ。


「わっ、わかってるわよ。
 ただ、こんなステキな声で名前を呼ばれたのは久しぶりだから…
 ちょっとドキッとしただけよーーー!」


「もうっ、信じられない!」


「…永瀬さん、娘より早くお会いしたかったわ…」


うっとりとした顔で言う理沙子に、永瀬は思わず笑ってしまった。


「僕もです、理沙子さん」


「お母さん! 永瀬さんもひどいーーー!!!」


理沙子に調子を合わせてからかう永瀬に 柚子は怒って物凄い叫び声を上げた。


「はいはい、わかりました。
 お母さんは もう少しお料理を運んでくるから、二人は座っててね。
 ゆずは着替えなくていいの? ずっと着物だったから、窮屈でしょ?」


「いいの! このままで」


まだ怒りが収まらない柚子は 素っ気なく答えるとぷいっと横を向いた。


「そう? 今朝は苦しいって叫んでたけど、振袖が気に入ったの?」


「そう、すごく気に入ったの」


柚子はうなずき、そのうちに なぜかぽっと赤くなった。

 


…だって、永瀬さんが綺麗だ…って褒めてくれたから

ホントは窮屈で苦しいから 早く脱ぎたいけど… 我慢するの!

 


柚子は座布団に座ると背筋を伸ばした。


「あらあら珍しい。正座なんかしちゃって…。足、痺れない?」


理沙子はくすくす笑いながら台所に消えて行った。

 


和室の座卓に座った柚子は 斜め隣にいる永瀬を見上げた。


「もう、ひどい! 永瀬さんったら!
 お母さんと二人して わたしのことからかって…」


柚子はほんのりピンクに染まった頬を膨らませると、恨めしそうに言った。


「また妬いてるのか?」


永瀬は笑いながら答えると 柚子の顔を覗き込んだ。


やっぱり子供だな… 永瀬は自分のことは棚に上げて 面白がっている。


「そっ、そんなことありません!」


「そう?」


「そうです! お母さんのことなんて、ぜんぜん気にしてませんから!」


柚子はそう言うと 永瀬から目を逸らしてうつむいた。


「もうオトナなんだから、そんな嫉妬なんかしません。
 正座だって、ちゃんとできるし… 大丈夫です」


まだ、むきになっている柚子を見た永瀬は軽くうなずくと 何を思ったのか
突然、彼女の細い手首を掴んで ぐっと自分の方に引き寄せた。

 


えっ…?

 


声を上げる間もなく 柚子は永瀬に唇を奪われた。


あまりにも驚いた柚子は目を見開いたまま、永瀬のキスを受け止めた。


その後 彼のやわらかな唇が離れても 呆然としている柚子を見て 永瀬は
彼女の耳元で囁いた。

 


“お母さんにはこんなことしない… わかってるだろう?”

 

 

 


「あら、ゆずったら 顔が真っ赤じゃない! 暖房、強すぎた?」

 


涼しい顔をして平然と座っている永瀬とは対照的に 湯気が出そうなほど頬を紅潮させ
力が抜けたように足を斜めに投げ出した柚子がいた。

 


「やっぱり、正座はきつかったのね? しょうがないわね、ゆずは…」


何も知らない理沙子はそんな柚子を見て 呆れたように笑った……。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  *

 

 

 

 

 


「え? 同窓会で会った人に家まで送ってもらったの?」


授業の後の講義室で 彩が叫んだ。


「うん、爽やかで親切な人なの。中学の時と同じ」


柚子は 昔を思い出して 懐かしそうに言った。


「…で、家の前でさと叔父ちゃんとバッタリ会ったって?」


「うん。 それで、永瀬さんに紹介したんだけど、北川君ったら
 何だか逃げるようにして さっさと帰っちゃったの」


「その時のさと叔父ちゃんの様子はどうだった?」


「え? 別に… いつもと同じだったと思うけど?」


「怒ってて怖かったんじゃないの?」


「怒る? やだ、永瀬さんが怒るわけないじゃない!
 それに、怖かったなんて… 
 たまに意地悪な時もあるけど、でもっ いつもすごく優しくて穏やかな人よ」


「…完全に騙されてるね、ゆずは」


「え?」


「いい? 叔父ちゃんは嫉妬したのよ、その北川君に…」


「え???」


「だから、きっとすごく怖い顔で睨みつけたに違いないわ!
 それで 慌てて帰っちゃったのよ」


「やだっ、彩ってば… 永瀬さんが嫉妬なんかするわけないじゃない!
 だって、永瀬さんから見て 北川君はまだまだ子供なのよ?」


「子供でも男でしょ?」


「まさかーーー! 
 それに、永瀬さんはわたしのことで嫉妬したりしないもん」


「ゆずってば… 男ってものを何もわかってないのね。
 いい? さと叔父ちゃんも普通の男なんだから 嫉妬もするの!」


「ふ~ん…?」


「全然、信じてないね?」


「だって、永瀬さんが嫉妬なんて…」


不思議そうに首を傾げる柚子を見て、彩は呆れたようにため息をついた。


「もう、ゆずったら…」

 


…まだお子ちゃまのゆずには 何を言ってもムダね…

 


「まっ、いいか。そのうちわかることだものね。
 それで… ね、ゆず? 話は変わるけど… 叔父ちゃんとはどこまで?
 もうキスぐらいはした?」


諦めた彩は 話題を変えることにした。


「え???」


途端に柚子は真っ赤になって、本を抱えたまま後退りした。


「お試し期間を入れて、二人が付き合って二ヶ月…? 
 だったら そのぐらいは当然よね~」


「そっ、そんなこと!」


「え? まさか、まだしてないの?」


「そっ、そうじゃないけど」


「きゃっ、やっぱりキスしたんだーーー!
 …で? どうだった? やっぱり叔父ちゃんってキスが上手なの~?」


「そ、そんなの わかんないーーー。だ、だ、だって… 二回とも、何が何だか
 わからないうちに チュッって…感じで…」


「え? 大人のキスはしてないの?
 こう… 甘くてとろけそうなディープな感じ?」


「やだっ、彩ったらそんなこと言わないでっ!」


「もうっ、ゆずったら ホントにお子ちゃまねーーー!
 …でも、二回、キスしたんだ。ふふっ、何だか想像できないけど」


「そっ、想像なんて~」


「ねえ、ゆず もしもの時は言ってね。
 その時はじゃましないように わたし、ユーキの所に泊まるから」


「もしもの時って…?」


「だ・か・ら… 初めて… の時よ。ゆずがマンションにお泊りする時」


「え???」


「そうなったら わたしが外泊しても 叔父ちゃんは何も言えないし…
 全てが丸く収まって… ね、いい考えでしょ?」


「知らない! もう、彩のばかーーー!!!」

 

これ以上 赤くはならないと思えるほど頬を紅潮させた柚子は かなり動揺した
様子でその場から駆け出していた……。

 

 

















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aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。永瀬の嫉妬が好き?はい、実は私もです(笑)完璧なのに嫉妬する美しい男性は魅力的です^^  2011/01/30 22:14
aoi32
takitubosanさん、ありがとうございます。もっと前にお会いしたかった… いいでしょう?^m^喜んでいただけて良かったで~す(笑) 2011/01/30 22:09
aoi32
ちのっちさん、ありがとうございます。そうなんです、永瀬は純粋な柚子に あんなことや、こんなことを^m^してもいいのかと躊躇してるのです(笑)何かのきっかけがあれば…う~ん、そうしましょうか♪ 2011/01/30 22:06
aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。虜?いいですね!確かにそうかもしれない(笑) 私は彼の虜~♪(*^_^*) 2011/01/30 22:01
aoi32
pichuuさん、ありがとうございます。そうですよね、嫉妬は年齢に関係ないですよね^^そうして二人の仲は深まっていくので~す(笑) 2011/01/28 23:22
aoi32
ヨンkissさん、ありがとうございます。柚子に対して理性が飛ぶ日? 実は、いろいろ想像してみたのですが、なぜか♥シーンがピンとこなくて。また空白でごまかすかもしれませ~ん♪え、ダメ?(笑) 2011/01/28 23:18
aoi32
mizukyさん、ありがとうございます。そう、この二人はまだプラトニックな関係~。しかも たった二回のキスも韓国語で言うところのポッポ?高校生のチュンサンとユジンのようなものです^^ 2011/01/28 23:13
kutauni
永瀬さんの嫉妬、なぜか好きですよ。ゆずちゃんに振り回されている感もいいですね。この先が楽しみです。 2011/01/28 13:05
takitubosan
こんにちは、aoiさん。「名前で“理沙子”と呼んでくださいな」いいな、いいな~。「永瀬さん、娘より早くお会いしたかったわ」ほんと、ほんと!お目目がしっかり❤❤ (爆) 2011/01/27 10:10
ちのっち
ここまで純真無垢だと、永瀬さんもこの先に行くのがなかなか難しいかも・・・。それとも、何かのきっかけで一気に・・❤❤❤ な~んてこともある、かな?(#^.^#) 2011/01/26 17:43
あきちん
永瀬さん、もうすっかりゆずちゃんの虜ですね(笑)。 2011/01/26 09:56
pichuu18
永瀬さんの嫉妬・・・いくつになっても関係ないし、ちょっとともどってるのもいいです!ゆずちゃんの天然ぶりに思いっきり振り回されそうですね。たのしみ! 2011/01/26 08:29
ヨンkiss
“お母さんにはこんなことしない… わかってるだろう?”って言った大人の永瀬さ~ん・・柚ちゃんに対して理性♥が飛ぶ日はいつなのかな?そんな事しない?んな訳ないわよね!!付き合って2ヶ月そろそろかな♥? 2011/01/26 02:32
mizuky
ああ・・この二人はまだプラトニックな関係だった・・・2か月でキスがたったの2回っ!となると初めての・・・までどのくらいかかるんだろうか(爆) 2011/01/25 20:09
 
 

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