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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 13 HIT数 6952
日付 2011/02/01 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -13- 相思相愛の二人
本文 マイガール




-13- 相思相愛の二人

 


「花天月地」


「…花鳥風月」


「飛花落葉」


「ひゃっ、百花繚乱 !」


「落花流水」


「うっ… 」


「どうした? もう出てこない?」


「はい…」


「まあ そんなところか。 でも、ゆずが“百花繚乱”を知ってるとは
 意外だったな」


「お母さんが好きなフクヤマの歌に出てくるんです。
 わたしもCDを聴いてるうちに覚えちゃいました」


「………」


「でも、こんな問題で… わたしが永瀬さんに勝てるわけないと思います。
 “花”が入った四字熟語なんて…」


柚子は拗ねたように頬を膨らませる。


「そんなことないさ、ゆずは現役大学生なんだから」


永瀬はあっさり言うと柚子の膨らんだ頬を指で突っついた。


「こら、ゆず… そんな顔をするんじゃない、可愛くないぞ」


「え? そうですか? やだっ…」


柚子は焦って頬を両手で押えながら永瀬の顔を見上げると 彼はいつものように
涼しげな笑みを浮かべている。


「………」


…今日もステキ…


つい見とれてしまった柚子のお喋りが止まる。


そして 数日前の彩の言葉を思い出した。

 


“大人のキスはしてないの? 甘くてとろけそうな感じ…”

 


…甘くてとろけそうなキス… それってどんなキスなのかな…


いつか 永瀬さんとわたしも そんな大人のキスをするのかな?


…やだっ! わたし… 何を考えてるの…

 

柚子はそんなことを想像するだけで 顔が赤くなってくる。

 


「ゆず?」


「はっ、はい!」


「どうした? ぼんやりして」


「あ、いえ… えっと… その、さっき永瀬さんが言った らっか…りゅうす…い?って
 どんな意味かな、と思って… ああ、そうか 調べればいいんですね!
 あ、パソコン貸してくださいね」


顔を赤くした柚子は慌ててごまかしながら デスクの上にある永瀬のノートパソコンで
検索する。


「落花流水… 落ちた花が水に従って流れる意で、時がむなしく過ぎ去るたとえ。
 また、男女の気持ちが互いに通じ合う 相思相愛の状態にあること…?」


「散る花は流水に乗って流れ去りたいと思い、流れる水は落下を乗せて流れたいという心情を
 それぞれ男女が互いに慕い合うことに喩えたものなんだ」


柚子が不思議そうな顔をしながら画面を読んでいると、永瀬がその後に続いた。


「水の流れに身をまかせたい落花と、その落花を浮かべて流れたい水…。
 落花と流水は相思相愛なんですね。 なんか… 情緒があってステキ…」


柚子はうっとりとした様子で言うと、ふ~っとため息をついた。


「これだと 男の永瀬さんは落花で 女のわたしが流水なんですね。
 なんだか反対のような気がするけど、相思相愛なのね…」


柚子が夢見るような表情で言ったので 永瀬は思わずふっと笑ってしまった。


「あっ! ちっ、違います!!!
 えっと… その、あの… そう! そうなったらいいな、ということで…
 あくまでも わたしの希望ですからーーー!」


慌てた柚子は、かなり動揺しながら叫んだ。


つい、頭に浮かんだことを口にしてしまった柚子は恥ずかしさで顔が熱くなってきた。


「え? じゃあ、ゆずと僕はまだ相思相愛じゃないのか?」


永瀬は悪戯っぽい笑みを浮かべると 柚子の顔を覗き込んだ。


「え??? あのっ、それは…」


「なんだ、違うのか。 僕はそうだと思ってたけど… 落ち込むな」


永瀬はそうぼやくと 大げさにため息をついた。


「ちっ、違います!」


「やっぱり違うのか」


「そうじゃなくて! あの、わたしは…」


沈んだ顔でうつむいてしまった永瀬を見た柚子は 慌ててソファの彼の隣に座った。


すると まるでそれを待ってたかのように、永瀬の手が伸びてきて あっという間に
柚子は抱きしめられてしまった。


「なっ、永瀬さん?」


「ゆーず…」


「また… からかったんですね?」


「すぐに騙されるな、ゆずは」


「もう、ひどーい!」


柚子は永瀬の胸を叩いて抗議したが 永瀬の大きな胸の中でしっかりと抱きしめられて
身動きできない。


そして 額に永瀬の唇がそっと押し当てられたのを感じた柚子は 思わず動きを止めて
ゆっくりと目を閉じた。


静かになった柚子の髪を 永瀬の大きな手がゆっくり撫でる。


大切な宝物にそうするように 何度も慈しむように撫でられて 柚子はとても安らいだ
気持ちになって 永瀬の胸に顔を埋めた。

 


…永瀬さんとわたし… 相思相愛なの? そう思っていいんですよね…

 


幸せな温もりに包まれて 柚子は恋人の胸の中でそっと呟いた……。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  *

 

 

 

 

 


国際空港のターミナルは やわらかな冬の日差しが溢れていた。


到着ロビーを忙しなく行き交う人々の中で 一人、永瀬は佇んでいた。


そこへ 辺りを見回しながらキャリーケースを引いて歩いて来た一人の女性が
彼を見つけると、たちまち ぱっと顔を輝かせた。

 


「ナガセーーー!!!」


明るいミルクチョコレートのような鳶色の長い髪をふわふわなびかせ、華やかな
笑顔を浮かべた彼女は 永瀬の元に駆け寄ってきた。


モデル並みにすらりとした長身の彼女は 永瀬の前まで来て立ち止まると すっと
手を伸ばし彼の首に両手を回し、抱きついた。


「ヤッパリ、むかえにきてくれましたネ、ナガセー! うれしいデース!!!」


彼女は永瀬の顔に頬をすり寄せ、軽くそこにチュッとキスをした。


「突然、夜中に これから日本に行くから迎えに来いと連絡してきたのは誰だ?」


永瀬は 彼女の派手な行動に動じることもなく冷たく言い放った。


「オー、あいかわらずクールビューティーですネ! デモ、そこがナガセの
 いいところデス。アイシテマース!」


彼女は美しい鳶色の瞳で うっとりと永瀬を見つめると、今度は彼の唇にキスをしようと
背伸びをしたが 永瀬はさり気なくそれをかわし 彼女から離れた。


「あ…ん、ナガセー! キスさせてクダサイ」


「遠慮しておく」


「もう、ナガセったらはずかしがって… カワイイデスねーーー!」


永瀬の冷たい態度に尻込みすることなく、彼女は強引に彼に迫っていく。


だが、当の永瀬は慣れているのか 彼女を軽くあしらうと手元にあった
キャリーケースのハンドルを取って 先に立って歩き出した。


「ア、まってクダサイ!」


「急がないと渋滞にはまる」


「ワタシ、15時間も飛行機に乗ってたので つかれてしまいマシタ。
 ダカラ近くのホテルに泊まりまショウ! そしてふたりの再会を祝って
 ワインで乾杯してアツイ夜をすごしまショウ! ネ? ナガセーー!」


「…泊まりたければ一人でどうぞ。 僕は帰る」


「ワオッ…! その冷たい目、最高にセクシーです!」


どんなに冷たくされても怯まない彼女は 永瀬の腕に両手を回し寄り添った。


「ナガセ… また会えてうれしいデス」


うっとりと目を閉じて呟く彼女を見て 永瀬は諦めたようにため息をつき、笑った。

 


「まったく… 相変わらず騒がしい女だな、ジェシカは…」

 


永瀬とジェシカ… 1年ぶりの再会だった……。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  *

 

 

 

 

 


「あ、北川君からメールがきた…」


学食でサンドイッチを食べていた柚子は 携帯電話を見て言った。


「北川君って… 同窓会の後、ゆずを送ってくれた人?」


向かい側に座っていた彩は おにぎりを持ったまま訊く。 


「うん。 …金曜日に中学の同級生が何人か集まるから来ないかって」


「また会おうって?」


「うん、成人式の時に中学の友達に会って すごく盛り上がっちゃって」


「北川君とメルアド交換したんだ」


「え? うん、北川君だけじゃなく、他のみんなもね」


「ふ~ん」


「何?」


「それで、なんで他の人からじゃなく、北川君からメールが?
 女の子もいたんでしょ?」


「え? それはわかんないけど… 北川君、家まで送ってくれたし
 クラス委員だったから みんなにメールしてるんじゃない?」


「そうかもね。 …で、ゆずは行くの?」


「う~ん、どうしようかな。 またみんなに会いたい気もするけど
 でも…」


「それよりも さと叔父ちゃんとデートしたいって?」


「うん。 …あっ、ち、違う!! そうじゃなくてっ!」


「正直ねーーー、ゆずは」


「だ、だって…」


「そうね、北川君と会ったりしたら また叔父ちゃんが… 
 …あ、でも…  そう、そうだわ!」


ぱっと何かひらめいたのか、彩が顔を輝かせた。


そして わくわくした様子で柚子に顔を近づける。


「ゆずっ、行ったほうがいい。 ううん、行くべきよ!」


「え?」


「だって久しぶりに、ゆっくり友達と会えるんでしょ? わたしも
 そうだけど 成人式の日は ゆっくり話もできなかったもの」


「あ、うん… そうだけど」


「いつも叔父ちゃんと一緒にいないで、たまには同世代の子達とも遊ばなきゃ!」


「いつも一緒… って、そんな…」


「いい? わたしたちはまだ二十歳なのよ。 まだまだ若いんだから いろんな人と
 色々なことして遊ばなきゃ! 来年になったら就活も始まるし… 就職難の今、
 自由なのは今だけなんだからね!」


「……」


「なに驚いてるの?」


「うん、彩ったらしっかりしてるな~と思って。将来のこととか考えてるんだ」


「当たり前よ。ゆずも、今からちゃんと考えなさいよ。
 …あ、そうか。 ゆずは叔父ちゃんに永久就職するとか考えてる?」


「なっ、なに言ってるのーーー???」


「それもいいかもね。 ゆずは若いけど、叔父ちゃんはいい年だし~。
 でも、もしそうなったら ゆずはわたしの叔母さん?になるの???
 きゃあ~、それってウケるーーー!」


「彩ーーー!」


「でも、そのためには早くお泊りしなきゃ… ね?ゆず!」


「もう、知らない! 彩のばかーーー!!!」


散々、からかわれた柚子は また真っ赤になってその場から逃げ出そうと
走り出した。


「あ、待ってよ ゆずーーー!」


今日はさすがにからかい過ぎたと思った彩は 慌てて後を追った。

 

 

 

 

 


その日の講義が終わり帰ろうとすると 彩は祐輝と会うからと言って
じゃあね~と嬉しそうに手を振って去っていった。


その後姿を見ていた柚子は 急に永瀬に会いたくなって携帯を取り出した。


これから行ってもいいですか? ドキドキしながら電話をしたが 永瀬の携帯は
留守電になっていた。

 


なんだー、電話に出られない状態なのね… お仕事中かな?

 


柚子はがっかりして それまでドキドキしていた気分が一気に落ち込んでしまった。


永瀬は執筆に集中している時は電話にも出ない。


柚子が傍にいても嫌がる素振りは見せないが やはり彼の仕事の邪魔をするのは
気が引ける柚子は こんな時には会いに行かないようにしていた。


仕方ないわ、今日は帰ろう、と歩いていた時だった。


ふわふわと… 何か白いものが風に乗って ちらつき始めた。

 


「…雪…?」

 


思わず空を見上げた柚子は声を上げた。

 

 

 

 

 


ちょっとだけ… 永瀬さんと一緒に雪を見たら すぐ帰ろう… 柚子は思っていた。

 


“雪が降っただけで こんなにはしゃぐなんて、ゆずはやっぱり子供だな”

 


永瀬さんは呆れるかもしれないけど、でも、きっと優しく笑ってくれる


だって… わたしたちは相思相愛だもの…


もしかしたら 彼は外出して、留守かもしれないけど…


その時は潔く諦めるから いいよね?

 


柚子はそう自分に言い聞かせ はやる気持ちを抑えながら 永瀬の元へ向かっていた。


永瀬と一緒に初雪を見たい… ただ、それだけだった。


だから 公園の中を通り抜けようとした時 ふと目にした光景に 思わず足を止めた。


そこに これから会いに行こうと思っていた人がいたから。


ふわふわと雪がちらつく中、その二人は抱き合っていた。


黒いコートを着た永瀬の肩に頬を押し当てている彼女の 鳶色の長い髪が彼の胸の中で
しなやかに波打っている。


長身の二人の抱擁は まるで外国映画のワンシーンのように美しかった。

 


…どう…し…て?

 


頭の中が真っ白になった柚子は まるで凍りついたように その場に立ちすくんでいた……。





 

 










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aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。そう、いらっしゃいましたでしょ、あの陽気なジェシカが(笑)ちょっとした混乱ですが、次回もお付き合いくださいね^^ 2011/02/05 23:18
aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。永瀬の行動は早いですよ~^^何しろモデルはあのハンターですから(笑)柚子も頑張ります♪ 2011/02/05 23:15
aoi32
takitubosanさん、ありがとうございます。想像しすぎじゃないかも(笑)同窓会に行って 永瀬にやきもちを妬いてもらいましょう♪ 2011/02/05 23:12
aoi32
pichuuさん、ありがとうございます。ほんとにタイミングが悪いったら~(笑) でも、次回にはすぐに仲直り?待っててね^^ 2011/02/04 22:46
aoi32
ちのっちさん、ありがとうございます。そうですね、柚子は二人に詰め寄るなんてできませーん。でも、次回はちょっとした行動に出ますので またお付き合いくださいね^^ 2011/02/04 22:41
aoi32
ヨンkissさん、ありがとうございます。ご心配をおかけしてすみません。でも、大丈夫ですヨン、永瀬と柚子は相思相愛ですから~♪ 2011/02/04 22:38
aoi32
bitaminさん、ありがとうございます。強敵じゃないってわかっちゃいました?(笑)永瀬はどうやって柚子をなだめるか… それは次回に続きまーす^^ 2011/02/04 22:29
aoi32
mizukyさん、ありがとうございます。はい、永瀬はすぐに行動に出ます。素早いですね~(笑)そして柚子も… 次回もお付き合いくださいね^^ 2011/02/04 22:26
aoi32
hiroさん、ありがとうございます。いえいえ、いつも読んでくださって嬉しいです。次回は柚子も頑張りますので、これからも応援してね♪ 2011/02/04 22:23
aoi32
でも… そうですね(笑) 確かにこれで柚子も、何か行動を起こすはずだから。次回もお付き合いくださいね。 2011/02/04 22:18
aoi32
BABARさん、ありがとうございます。少しメリハリをつけようと ジェシカを登場させたのですが いかがでしたでしょうか。え、これで二人のお泊りデートが早まるかって?きゃ~、なんてことをおっしゃるの~! 2011/02/04 22:15
あきちん
ありゃりゃ・・・現場を押えちゃいましたね。ゆず~固まっちゃった・・・。ジェシカ・・・そういえばいらっしゃいましたね、そんなお方が。それてここで終わるなんて・・・(笑) 2011/02/02 17:07
kutauni
あらま~。どうする柚子ちゃん!ふたりの抱擁シーンはショックだよね。永瀬さんどうホローするのか・・。柚子ちゃん大丈夫?! 2011/02/02 13:23
takitubosan
あ~~あ、彼女がやってきたから一悶着あるとは思ったけど。柚子が同窓会に行くきっかけになるのでしょうか?永瀬の慌てぶり早くみたいです。って想像し過ぎですか?笑 2011/02/02 00:01
pichuu18
タイミング悪い場面に遭遇しちゃったんですね。この後の二人はどうなるのかな・・・。 2011/02/01 19:37
ちのっち
あ~あ~ 永瀬さん、早いとこジェシカに引導渡さないから・・・。早く誤解を解かないと、柚子ちゃんはふたりに詰め寄る、なんてできる子じゃないんだから。泣いて帰っちゃうよ・・・(>_<) 2011/02/01 19:31
ヨンkiss
相思相愛と喜んだ柚ちゃんだったのに・・・永瀬さんの浮気?じゃなければ彼女?永瀬さんは柚ちゃんとジェシカのどちらが好きなの?二人の抱擁を見た柚ちゃん立ち直れないね・・・ 2011/02/01 18:32
bitamin317
さて困りましたね柚子ちゃん! 強敵なのか心配ないのか~ 心配ないでしょうけど柚子ちゃんをどうなだめるのでしょうか 2011/02/01 16:57
mizuky
あらま・・ジェシカとの抱擁を見られちゃったのね・・・さてどう出る?永瀬せんせ!!!こりゃあ早く誤解を解かないとね!!! 2011/02/01 15:59
hiro305
aoiさん、いつも読み逃げですみませ~ん^^;可愛いゆずちゃん、とても純粋で頑張れ!と応援していたのに、あのジェシカが来ちゃったから誤解しちゃいましたね^^;永瀬さん、からかいながら実は本気モードに? 2011/02/01 15:49
BABAR
またまた、お騒がせジェシカちゃんの登場!二人のお泊りデート早まるかな?ゆずちゃん、がんばれ! 2011/02/01 11:53
 
 

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