ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1337621/1874862
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 30M/100M
メンバー Total :297
Today : 0
書き込み Total : 957
Today : 0
マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 16 HIT数 6077
日付 2011/02/22 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -16- いつも抱きしめて
本文 マイガール




-16- いつも抱きしめて 

 


習慣とは恐ろしいものだ。


人目も気にせず 抱き合う叔父の永瀬と親友の柚子。


正確に言うと、永瀬が柚子を掴まえて 強引に胸の中に抱き込んでいるのだが…


きゃ~!と顔を真っ赤にして じたばたと手を動かして抵抗する柚子だが、永瀬に
がしっと抱きしめられたら その華奢すぎる身体は どう見ても逃げられそうもない。


初めてその光景を見た時は さすがの彩も“よくやるな~”と呆れたが 何度か見ているうちに
慣れてきて、二人の抱擁シーンを見ても またか、というぐらいにしか思わなくなった。


それに… あれほど恥ずかしがっていた柚子も 永瀬の行動に慣れてきたのか、それとも
無駄な抵抗だと悟ったのか 彼に抱きしめられると おずおずとその大きな背中に手を回して
ゆったりと身を預けるようになった。


柚子の表情は 永瀬の胸に隠れて見えないけれど 多分、うっとりと目を閉じて 幸せそうな
顔をしてるに違いない、と彩は思う。

 

 

 


「…どうしたの? 彩?」


彩がじっと見つめていたので 柚子は不思議そうに訊いた。


「ううん、何でもない」


マンションのエレベーターがゆっくりと上昇していく中、彩はそう言うと笑った。


ただ… ゆずは綺麗になったな、と思う。


ショートカットの黒髪がよく似合っていて 色白で大きな瞳の柚子は透明感があって
それは以前からも感じていたが、今はそれに加えて 花のように可憐な美しさが
内面から溢れ出して 周囲の人を惹きつけるような魅力がある。


空色のタートルネックのカットソーを来た柚子の胸元に光る 星のネックレス。


ほっそりとした白いうなじを飾るプラチナのチェーンは柚子によく似合っていて
彼女を守っているような気さえしてくる。


それは永瀬からのプレゼントで 柚子は肌身離さず、いつも身に着けているので 
彩がからかうと 彼女は大切そうにネックレスに触れ、嬉しそうに笑う。 

 


…ホントに恋してるんだね… 彩はしみじみと呟いた。

 


「今日は永瀬さんに何も言わずに来ちゃったけど、大丈夫かな」


柚子は 突然ここに来たことを気にして言うと、彩はくすっと笑い返した。


「大丈夫よ。今日はわたしと一緒にお勉強~!しに来たんだもん。
 それに… たまには 突然、押しかけて浮気してないか確認しなきゃね」


「うっ、浮気なんて、まさか…」


「わかんないわよ? 部屋に編集者じゃない女の人がいたりして」


「まさか~」


のん気にくすくす笑い出した柚子を見て、彩は呆れたように首を振った。


「そうよね~、今の叔父ちゃんにかぎって そんなことないか…」


彩は 突然、柚子が来て また嬉しそうに抱きしめようとする永瀬を思い浮かべて
もう見慣れたね… と思いながらも、大きなため息をついた。

 

 

 


一緒に部屋に入ってリビングの方に行くと 永瀬が驚いた顔をしてソファから立ち上がった。


彩は いつものように柚子のところに飛んで来て抱き寄せるのだと思ったが なぜか今日は
永瀬はそうしようとはせず ただ小首を傾げて困惑した表情を浮かべている。

 


「何、遠慮してるの? いつものようにすれば~?」


彩はにっと笑うと 柚子の背中を思いっきり押して永瀬の方に近づけた。


あの… 彩に強く押されてよろめいた柚子は 一瞬、恥じらうような表情を浮かべたが 
永瀬を目の当たりにして 思わず、すっと手を伸ばして彼に抱きついてしまった。

 


「そうそう、やっぱり こうでなくちゃね!」


いつもの光景を目にして、彩は満足そうにうなずいた。 …習慣とは恐ろしい…

 


「何が、やっぱり…なの?」

 


突然、背後から声がしたので 彩はびくっとして振り向いた。


まさかっ???  この聞き覚えのあるこの声はーーー!!!


「マッ、ママ???」


彩は真っ青になって声を上げると その場に立ちすくんでしまった。


母親の美和も両手で顔を押さえ、固まってしまっている。


彼女の弟である永瀬が どう見ても彩と同じくらいの年齢にしか見えない少女と
しっかりと抱き合ってるからだ。


正確に言うと、抱きつかれているようにも見えるが……

 


「さっ、さと君???」


美和はかなり驚いた様子で弟の名前を呼んだ。


「…だから、その呼び方はやめてくれないか」


永瀬は 胸の中で呆然としている柚子の肩を押さえながら姉を睨んだ。


「あの…」


柚子は またやってしまったと気づいて 恐る恐る顔を上げたが、あまりのショックで
言葉が出てこない。


「まあ! ゆずちゃんじゃない???」


「おばさん…」


「二人は顔見知りか?」


「そうよ、何度か鎌倉の家まで遊びに来て… 泊まってくれたのよね?」


「はっ、はい あの時はお世話になりました」


「こちらこそ、彩もゆずちゃんの家に泊まらせてもらったりして…
 お母さんはお元気?」


「はい、元気です」


「そう、まだお若いのよね。 お電話でしか話したことないけど…
 今度、ぜひ一緒に遊びに来て… …って、違うでしょ!!!
 さと君、今のはどういうことなの?」


美和は 永瀬に詰め寄り追求すると、彼は反射的に少し身体をよけた。


「ゆずちゃんは彩のお友達なのよ!!! あなた、それを知ってて…
 ちゃんとわかってて 行動してるの???」


「…姉さん、そんな大声を出さないで… 少し落ち着いてくれないか」


永瀬はけたたましい姉の叫び声に眉をひそめた。


「これが落ち着いていられる??? もう、彩をさと君に預けたのは 親元を離れて暮らす
 彩のことを見張ってて欲しかったからなのに… 彩じゃなく、さと君の素行に問題が???
 姉さんは恥ずかしくて ゆずちゃんのお母さんに顔向けできないわーーー!!!」


美和は興奮して叫ぶと顔を両手で覆い、嘆いた。


あまりの騒がしさに 永瀬は言葉を挟むこともできない。


「あ、あの… おばさん…」


それまで永瀬の胸に身を寄せていた柚子は 恐る恐る美和の方に声をかけた。


「違うんです。あの… 永瀬さんは何も悪くなくて… わたしが勝手に好きになって…
 お付き合いしてくださいって、わたしから強引にお願いしたんです。
 そしたら、永瀬さんが いいよって言ってくれて…」


柚子はそう言うとポッと顔を赤らめた。


えっ? と驚いた美和は まじまじと柚子を見て、それから弟の永瀬に目を向けたが
彼も目を丸くして柚子の方を見ている。


「その後 永瀬さんもわたしのこと好きだって言ってくれて… ホントに、今でも
 信じられないんですけど… そしたら お母さんにもちゃんと話してくれて…
 お母さんもすごく喜んでくれて… だから、わたし 毎日すごく幸せで… …」


今までのことを思い出した柚子は 感動でじ~んとして目をうるうるさせている。

 


「かわいい…」


あまりの可愛らしさに、思わず呟いた永瀬は また柚子を抱きしめてしまった。


きゃっ…と声を上げた柚子の華奢な身体は永瀬の腕の中に閉じ込められる。


「………」


あまり感情を表に出さず、どこか冷めていた弟の永瀬が およそ今までに見たことも無い
言動をして 満ち足りた表情を浮かべていることに驚いた美和は 呆然としたまま二人を見た。

 

 
「あ~あ、また始まった… でも、ママ 大丈夫よ。叔父ちゃんたちね、こう見えても 
 まだ深い関係じゃないの。信じられないかもしれないけど…
 ね、ママ 聞いてる? ママ? ママーーー???」


彩の的外れのフォローは耳に入ってこないのか、ショックで固まってしまった美和に気づいた彩は
笑うのをやめると 母親の腕を取り その顔を覗き込んだ。


「あらら… かなりショックだったみたいね。
 でも、ママはさと叔父ちゃんのこと心配しすぎだよ」


彩はそう言うと 性懲りもなくまだ抱き合っている二人を見て 呆れたように
大きなため息をついた。

 

 

 


「…だから 姉さんは何も心配することもないし、必要もないんだ。
 いい加減に放っておいてくれないか」


永瀬はそう言うと 様子を伺うように姉の顔を覗き込んだ。


「でも、さと君 本当に大丈夫なの? あなた、ちゃんと責任取れるんでしょうね?」


「大丈夫だよ」


「ゆずちゃんはまだ若いし、将来もあるんだから…
 浮ついた気持ちだったら許さないわよ」


まだ気がかりな様子で訊いてくる美和に対して、永瀬は黙ったままうなずくと
窓際に視線を向けた。


ガラスウォールの前で、柚子と彩は外の景色を眺めながら 何か楽しそうに笑っている。


ああしてると、柚子も彩と同じ二十歳の若い女の子なのだと実感する。


初めて会った時から変わらない 純粋な少女のままの柚子…

 


「さと君?」


穏やかな目で 愛おしそうに見つめる永瀬の視線の先には柚子がいる。


美和は目を丸くし、そして微笑んだ。

 


…聡ったら… 何て顔してあの子を見るの…?

 


ホッと安心した美和だったが、少し気恥ずかしくなって、ごまかすように紅茶をひと口飲んだ。

 


「…姉さん」


「え?」


「もしかしたら… 僕は自分が思ってるより、あの子に本気なのかもしれない…」

 


永瀬の口から出た思いがけない言葉に 美和は驚いて彼の顔を見た。

 


すると彼は 姉の美和でさえ、思わず赤面してしまうような ふわりとした笑みを浮かべた…。

 

 

 


「永瀬先生、今朝 お電話でお話したとおり 本が出来上がりましたので お持ちしました。 
 それから 今日は編集長も一緒なんですが…」


「永瀬先生、高橋です。 今日は折り入って先生にお願いしたいことがありまして…」


かがみ出版の編集者 結城佳奈子と、編集長の高橋由布子がエントランスからのモニターに映っている。


そうだった… 突然、姉が押しかけて大騒ぎになったせいで 永瀬は二人が来ることを
すっかり忘れていた。


そして 更に予想外の事態が起こる。


「ナガセー! ワタシも来まシタ! 開けてくだサーイ♪」


二人を押し退けるようにして 何とジェシカが顔を出したのだ。


「………」


永瀬は思わず黙り込んでしまった。


柚子は別として ただでさえ、賑やかな姉の美和とお喋りな彩に囲まれて辟易していたのに
この上、パワー全開の3人の女達が加わったら… 永瀬は一気に憂鬱な気分になった。


居留守を使うか… 思い余った永瀬が そんなことを本気で考えていると 彼の背中を
ぐいっと押した美和が明るい声を上げた。


「まあ、出版社の方ですか? それにジェシカちゃんも?
 すぐに開けますね~!」


唖然とした永瀬の耳元で 美和の陽気な笑い声が響き渡った……。

 

 

 


「まあ~、いつも弟がお世話になっております。 姉の美和と申します。無愛想な弟が
 ご迷惑をかけてるんでしょうね。すみません、これからもよろしくお願いしますね。
 ジェシカちゃんも久しぶりね~、いつ 日本へ? ゆっくりしてられるの?」


矢継ぎ早に喋り捲る美和に編集者の二人は顔を見合わせたが、何度か会っているジェシカは
顔を輝かせて美和に抱きついた。


「オー、みわサン おひさしぶりデス! おげんきデシタカ?
 ワタシ、ともだちのカレンの結婚式に出るために ニホンに来マシタ。
 ダカラ、ざんねんですけど あさってにはイタリアにかえりマスネ」


ジェシカはそう言うと美和から離れ、その奥の方で不機嫌そうにしている永瀬に目を留めた。


「ナガセー! あいたかったデスーーー!」


ジェシカはニコニコしながら永瀬に近づき、いつものように抱きつこうと手を伸ばした。


「だっ、だめです!」


隣にいた柚子は 咄嗟に叫ぶと、もの凄い勢いで永瀬の前に立ちはだかり両手を広げた。


「なっ、永瀬さんは もう誰も抱きしめたりしませんから!」


柚子は必死に叫んだ後、身体の向きを変えると まるで永瀬を守るように、自分から
彼に抱きついた。


思い切り飛び込んできた柚子の身体を 永瀬はしっかりと受け止める。

 


「オー!!!」


ジェシカは驚きの声をあげ、その場にいた者は皆 固唾を呑んでその光景を見つめた。

 


ただ一人、彩だけは やった~!と叫び、その後 楽しそうに笑った……。

 

 

 










前の書き込み マイガール -17- 愛される...
次の書き込み マイガール -15- チョコレ...
 
aoi32
ヨンkissさん、ありがとうございます。パワー全開の女性たちも強いし 恋する柚子も強い(*^_^*) 永瀬は大丈夫かな~?(笑)次回もお付き合いくださいね^^ 2011/02/26 22:34
aoi32
まさりんさん、ありがとうございます。そう言っていただくと すごく嬉しい~!(*^_^*) そう、柚子は娘じゃなくて妹ですよね?私にとっても妹です(笑) 2011/02/26 22:30
aoi32
bitaminさん、ありがとうございます。次はもっと賑やかで大騒動になりまーす^^また笑って頂けたら嬉しいのですが♪ 2011/02/26 22:26
aoi32
pichuuさん、ありがとうございます。美和は永瀬と違って おしゃべり好きで賑やかな姉です。6歳離れた弟のことを未だに子ども扱いしています。私も弟が彼だったら きっと世話を焼くだろうな~(*^_^*) 2011/02/26 22:23
aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。柚子も強くなりました^^え?どんどん抱きついて押し倒せって? え~っと、メモメモ^m^ 2011/02/26 22:17
aoi32
hiroさん、ありがとうございます。そうです、6人のパワフルな女性に囲まれて…次回はもう一人増えたりして(笑)果たして永瀬は耐え切れるでしょうか^^ 2011/02/26 22:13
aoi32
mizsakiさん、ありがとうございます。わははっと笑ってくれたなんて嬉しいです!次回はもっと笑えるかと…(笑) よろしくお願いします^^ 2011/02/25 23:13
aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。そうですね、永瀬の周りはみんな美女ばかり… それも強くて賑やかな方が多い?(笑)次回もお付き合いくださいね・ 2011/02/25 23:11
aoi32
BABARさん、ありがとうございます。はい、パワー全開の美女軍団が集まって 次回は賑やかな女子会(?)です^^男性は永瀬一人?大丈夫かな~(笑) 2011/02/25 23:08
ヨンkiss
恋してる女性は強し!ゆずちゃんの行動にジェシカタジタジ?!そして女性パワーにタジタジの永瀬さん・・このあとどうなるのかな?ゆずちゃん可愛い~!!(^^♪ 2011/02/23 02:14
まさりん
ゆずちゃん超可愛い~~(#^.^#)私もこんな彼女・・・じゃない^^;妹欲しい~~ヽ(^。^)ノ続きが早く読みたい・・・読みたい・・。 2011/02/22 21:10
bitamin317
てんやわんやの大騒動! でも微笑ましくて読んでいてつい口元がほころびます この先ますます楽しみですね 2011/02/22 21:10
pichuu18
美和さんもなかなか賑やかな女性ですね。ゆずちゃんもしっかり自分をアピール。恋する女の子はいいですね。 2011/02/22 19:51
あきちん
ゆずちゃん強くなったね。遠慮しないでどんどん抱きついて(笑)。そして永瀬さんを押し倒しちゃえ! 2011/02/22 17:50
hiro305
まぁまぁ~6人の女性に囲まれて、それも柚子を除いてみんなパワフルお口元気!!そんな中で柚子ちゃん、頑張りましたね~^^永瀬さんも本気になっちゃったのね!うーん次が楽しみです。 2011/02/22 15:36
mizsaki
わはっは! って思わず笑っちゃいました。 柚子ちゃんの両手を広げてジェシカを防御?する姿が思い浮かぶようです。 さあ・・次はどう来る??? 2011/02/22 14:38
kutauni
永瀬さんの周りには、なぜか美女が集まってくるんですね。柚子ちゃん、今回はちゃんと守ったね!かわいくて、たまりません。 2011/02/22 12:55
BABAR
は~~@@美女軍団にさすがのさと君もたじたじでしょうか?パワー吸い取られてる彼も可愛いかも^^ 2011/02/22 12:32
 
 

IMX