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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 2 HIT数 6687
日付 2010/10/26 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -2- その呼び方はやめてくれないか
本文 マイガール




-2- その呼び方はやめてくれないか

 


 


「さと叔父ちゃん!」


永瀬のマンションの部屋で、引越しの荷物を片付けていた姪の彩は
様子を見に来た永瀬を元気な声で呼んだ。


「…だから、その呼び方はやめてくれないか」


案の定、永瀬はうんざりしたように彩に言い放つ。


「昔からそう呼んでるのにダメなの?
 …じゃあ、何て呼べばいいの?」


「普通に“叔父さん”でいい」


「やだ、それじゃ ホントに ただのオジサンみたいでイヤ!
 …じゃあ、ママが呼ぶ時みたいに“さと君”っていうのはどう?
 かわいい~♪」


「尚更、嫌だ」


「もう、我儘なんだからーーー!
 だからさと叔父ちゃんには いつまでたってもお嫁さんがこないのよ」


「彩まで姉さんと同じ事を言うのか?」


「だって、こんなに さと叔父ちゃんってカッコイイのに…」


「彩に言われても嬉しくないな」


「わたしね、子供の頃は大きくなったら さと叔父ちゃんのお嫁さんになるって決めてたの。
 それが出来ないって知った時は熱出して寝込んだのよ」


「…それは…彩を嫁さんに出来なくて 残念だったな」


「…そんなこと思ってもないくせに」


彩はそう言うと永瀬を軽く睨みつけた。


さらさらの黒いロングヘアーがよく似合う、弾けるように溌剌とした女子大生の彩は
永瀬の姉の一人娘だった。


それまで 鎌倉の自宅から東京にある大学まで通っていたが 毎日の帰宅時間が徐々に
遅くなる事に心配した両親の頼みで 永瀬のマンションに同居することになったのだった。


「さと叔父ちゃんのマンションに住めるようになって良かった!
 大学まで30分で行けるし、これで終電を気にしなくてすむもの。
 でも…ね、周囲の人が見たら 永瀬聡が若い女の子と同棲してるって思われないかな?」


「二十歳の子供が何を言ってる…」


「あら、潤おじさんだって結婚した時、優ちゃんは二十歳だったでしょ?」


「何年前の話をしてるんだ。 あの時は深沢もまだ若かったからな」


「さと叔父ちゃんだってまだ若いよ!
 うちのお父さんとは違って体を鍛えてるものね。
 それに… 愛があれば歳の差なんてーーー」


「…子供に興味はない」


「なあんだ、つまらない…」


彩はぶつぶつ呟くと頬を膨らませた。


「ほら、さっさと荷物を片付けて… のんびりしてると夜が明けるぞ」


「あ~ん、さと叔父ちゃんも手伝って~」


「甘えるな」


「…その冷たい性格、彩は好きよ」


「それはどうも」


素っ気ない永瀬に 彩はほんのりピンクがかった頬を膨らませると
昔から大好きだった叔父を軽く睨み、そして どことなく嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  *  

 

 

 

 

 

かがみ出版の編集部は 怒涛のような校了も済んで一息ついているところだった。


「…今回もギリギリでしたね」

編集の結城佳奈子は~っと息を吐くとコーヒーをひと口飲んだ。


「毎回、思うのよね。
 余裕たっぷりの校了ってこの業界にあるのかしらって」


編集長の高橋由布子はぼそっと呟くとふ~っとタバコをふかした。


彼女は実際は50を過ぎているはずだが、見かけはかなり若々しく 
そして 誰もが目を引くほどの美貌の持ち主だ。


初めて由布子に会った時は冷やかな印象を受けるが、何度か付き合っていくうちに 
その大らかさと しなやかさ、そしてポジティブな性格に惹かれていくのだった。


編集者としてはまだ駆け出しの佳奈子にとって 由布子は憧れの存在であり目標でもあった。

 


「…話は変わるけど 永瀬先生の方はどう? 原稿は進んでる?」


由布子は灰皿の上で煙草の火を消しながら問いかけてきた。


「あ、はい。 お目にかかる時はいつも不機嫌なんですが、執筆の方は順調です」


「いつも不機嫌なの?」


由布子は笑いを堪えるように佳奈子の顔を覗き込んだ。


「あ、いえ… 元々無愛想な方なので、変わりないと言えばそうなんですけど…
 わたしのことが気に入らないのか いつも冷たい態度で… 
 一度でいいから優しく笑ってくれないかなと思ったりして。
 そんなこと言ったら氷の視線を浴びせられるに決まってますけど…」


「確かに先生のクールな性格はこの業界でも有名な話だけど…
 でも 変ね? 以前 お会いした時は そんなに冷たい感じはしなかったわよ。
 何かを熱く語るっていうタイプじゃないけど 言葉遣いも丁寧だったし… 
 静かな情熱を内に秘めてるっていう気がしたわ」


「それは… 先生が編集長のことを対等な立場だと認めてるからです」


「違うと思うけど…
 多分、永瀬先生って わたしぐらいの年齢の女性には優しいのよ。
 礼儀をわきまえてるっていうか、真面目なのね」


「でも、先生は 編集長みたいに 美人で仕事が出来る女性が好みのタイプだと思います」


「何言ってるの。もうすぐ孫ができる歳だっていうのに…」


「え?」


「いえ、ほら わたしって 孫がいてもおかしくない年齢だってことよ」


「えー! そうですか? そんなふうには見えませんけど」


「結城は幾つだったかしら?」


「今年、28歳になりました」


「…同じだわ」


「え?」


「実は… わたし、今は独身だけど 昔、結婚したことがあって 息子もいるのよ」


「え???」


「…冗談よ。 …さあ、そろそろ仕事に戻るわよ!」


「は、はい!」


由布子は明るく笑うと先に立って歩き出す。


オフタイムからビジネスモードに切り替わる時の彼女の表情は 素早く、しなやかで
見事なものだった。


佳奈子は首を傾げながらも 慌てて由布子の後をついて行った。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  * 

 

 

 

 

 


「…へえ~、それで その叔父さんのマンションに同居して どうなの?
 うるさく言われたりしない?」


相原柚子は大学の同級生である彩にそう言うと 梅サワーをごくっと飲み
すぐに うっと顔を歪めた。


まだお酒を飲むことに慣れてない彼女は、ひと口だけで喉の奥が熱く火照ってくるような
気がした。


大学の近くにあるその居酒屋は 学生はもちろん、仕事帰りの会社員達で賑わっていた。


「ぜんぜ~ん、そんなことないよ。
 ママとは比べものにならないくらい無口だし、落ち着いてるし…
 無愛想だけど、本当はすっごく優しいんだ。
 それに何と言っても すご~くイケてる大人の男なの!」


彩はそう言うと青りんごサワーを飲んだが、彼女は平気な顔をしている。


「いくらイケてても、おじさんでしょ?」


「ゆずったら、わかってないな~。 さと叔父ちゃんはその辺のおじさんとは違うの!
 パパとも全然違うんだから!」


「ふ~ん?わたし、お父さんがいないから よくわかんないけど…」


「そっか… ゆずはお母さんと二人暮らしだったね。
 わかった、さと叔父ちゃんに会わせてあげる!」


「え?会わせるって?」


「これから迎えに来てもらうの! ゆずも家まで送ってあげる」


「え? いいわよ、わたしは一人で帰れるから」


「何言ってるの! …そりゃあ、ゆずはパッと見、男の子に見えなくもないけど…
 でも女の子なんだから危ないでしょ?」


彩はそう言うと、柚子のショートカットの髪と細身のデニムに目を向けた。


しなやかで透明感がある柚子には それがとてもよく似合っていて魅力的だった。

 


「…ゆずって男の子だったらモテまくりだったね!
 もしかしたら、わたしも告白してたかも~!」


「それって…微妙…」


「あれ? 褒めてるのよ。
 あ、でも 今でもけっこう人気あるね… あそこにいる三浦君とか… ね?
 今日は彼のおごりかなあ」

彩はそう言うと その居酒屋でバイトしている三浦雅紀にひらひらと手を振った。


二人に気づいた雅紀はおーっと声を上げて合図を返してくる。


「だめよ、彩。 そんなことしたら、三浦君のバイト代がなくなっちゃう」


「や~ね、ゆずったら! 冗談に決まってるでしょ?
 ホントに真面目なんだから~」


「…彩の言うことは冗談に聞こえないからよ」


「はいはい、ゆずは大人でしっかりしてて… 知的で綺麗な女子大生で~す♪」


「彩ってば酔っ払ってるーーー!」


「酔ってないよ~」


彩はくすくす笑いながら言うと 長い髪をかき上げた。


さらさらと音がしそうな栗色の髪だった。


ちょっと我儘だけど、いつも元気で 甘いお菓子のように可愛くて女の子らしくて… 


柚子にとって彩は 性格も持っている雰囲気も違っていたが、不思議なくらい気が合って
一緒にいても気を使わなくてすむ友人だった。

 

 

 


居酒屋から外に出た柚子は 酔っている彩の体を支えるようにして歩き出した。


「彩、叔父さんはどこにいるの?」


「え? あ、うん… えっとね… あの車… 
 や~ん、ホントに迎えに来てくれたんだ! 
 …さと叔父ちゃーーーん! ここよ~!」


彩は嬉しそうに両手を振りながら ゆらゆらとおぼつかない足取りで歩き出した。


すると、数メートル先に停まっていた車のドアが開いて一人の男が姿を現した。


そして、やはり途中でぐらっとして転びそうになった彩を 足早に駆け寄ってきた
その男が抱き留めた。


「彩? 酔ってるのか?」


「さと叔父ちゃん、来てくれて嬉しい~!」


「しょうがないな。ほら、しっかりしろ」


男は彩の体を支えるように抱えると その背中を軽く叩いた。


長身の彼の胸の中で 彩は甘えるようにその身体に抱きつくと 頬をすり寄せて身を任せた。


柚子はその光景を ただ驚いた顔で見ていた。


そして、その彼が柚子に気づき、また同じように驚いて彼女を見ている。


この時、柚子は 実は彼と会うのが二度目だということには まったく気づいていなかった。

 

 

 


彩の叔父であるその人は 足元がおぼつかない彩を車の助手席に座らせると
今度は柚子の方に振り返った。


「…君も乗って」

彼はそう言うと後部座席のドアを開けた。


「いっ、いえ! わたしは いいです! …まだ電車もありますから…」

柚子は慌てて首を横に振りながら答えた。


「こんな遅くに 彩の友達を一人で帰すわけにはいかないんだ」

やや強めの口調で彼が言った。


「でっ、でも…」


「いいから、乗りなさい」


「はっ、はい!」


静かだが、有無を言わせないような彼の雰囲気に 柚子は思わず返事をしてしまった。

 

 

 


夜の街道を車は緩やかに走っていく。


助手席に座っている彩は すっかり寝入ってしまったようだった。


後部座席に一人で座っている柚子は 心許無い様子で 両手を膝の上で握り締めていた。

 


どうしよう… こんな時、柚子は何を話せばいいのかわからず戸惑っていた。

 


柚子がまだ3歳の時に父親を病気で亡くしてから 彼女は母親と二人だけで暮らしてきた。


だから 彼のように 年上で大人の男の人と どのように接すればいいのか
よくわからなかった。


おまけに… 彼はかなり無口で物静かな性格なのか 車に乗ってからは何も話しかけてこない。

 


そういえば… 柚子ははっとして顔を上げた。


まだ名前も言ってなかった!

 


「あっ、あの! わたしっ… 彩と同じ学部の 相原…」


「…名前を当ててみようか?」


唐突に… 柚子の言葉を遮るように彼が言った。


「はい?」


「…柑橘系、でしょう?」


「え! 柑橘…って ど、どうして わかるんですか???」


「匂いがする…」


「え? ホントですか?」


柚子は慌てて自分の腕に顔を近づけると、くんくんと匂いを嗅いだ。


彼は前を向いたままふっと笑い、そして言葉を続ける。


「…みかん、キンカン、ポンカン… レモン?」


「違います!」


「カボス?」


「カボス、なんて!違います、ゆずです! 相原柚子です!」


柚子がムキになって叫ぶと、その様子に気づいた彼はくっくっと笑い出した。


「失礼… “ゆず”じゃなくて、“ゆずこ”か… 柚子…」


彼は何度かその名前を繰り返すと、なぜか納得したように頷いた。


柚子は思わず、どきっ…とした。


自分の名前を呼ばれて… 正確には呼ばれたわけではないが、彼の口から出た
“ゆずこ”という響きは やわらかく低く、そしてとても優しく柚子の気持ちを包み込んだ。

 


「あのっ… 彩の叔父さん!」


「その呼び方はやめて 名前で呼んでくれないかな」


「え? あの…」


「…永瀬… 永瀬聡です」


「なが…せ…さん?」


「そう…」


「え…? ながせ…さとし…? え?永瀬聡…って…
 え? えーーー???」

 


夜の街道を走る車の中で 柚子の悲鳴に近い声が響き渡った……。

 

 












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aoi32
sepiaさん、ありがとうございます。やっぱり若すぎます?でも、愛があれば年の差なんて~^^ 2010/11/16 17:52
sepia0101
おぉ~~こんな展開でしたか! でも若すぎるでしょ。。。。。永瀬さん。 2010/11/15 01:37
aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。遅くなりました(^_^.) 楽しいお話にしたいと思ってますので これからもお付き合いくださいね。私もゆず、という名前が好きでーす(笑) 2010/11/11 22:12
kutauni
これからどうなるのか、気になりますね。でも楽しい展開になるような気がします。ゆずちゃんの名前かわいいですね。 2010/11/09 12:22
aoi32
いつも読んでいただいて ありがとう~。 他の皆さんも楽しんでいただけてるのならいいのですが^^ 2010/11/01 17:41
aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。はい、二人の再会はすぐにやって来ました(笑) これから どうなるのか見守ってくださいね。 2010/11/01 17:37
aoi32
今回のnimoさんの画像は 優しくて乙女な感じで、コラージュがとっても綺麗なんです^^ これからもお楽しみに♪ 2010/11/01 17:34
aoi32
bitaminさん、ありがとうございます!何て優しいお言葉~♪嬉しくて、励まされまーす(^O^)/  2010/11/01 17:29
aoi32
年上はだめですかー?いいの、いいの 妄想するのは自由ですから(笑) おばかなことを言ってすみません。呆れないで これからもお付き合いくださいね^^ 2010/11/01 17:21
aoi32
ちのっちさん、ありがとうございます!36歳と20歳… けっこう離れてますけど、アリですよね?そう、これに比べれば 彼と私なんて同い年みたいなものだわ。って何を言ってるんだか(笑) 2010/11/01 17:18
aoi32
そうなんです、彩と柚子はお友達^^ さと叔父ちゃんが好きな彩が どんな行動をとるかで これからの展開も変わってきますね。また、次もお付き合いくださいね^^ 2010/11/01 17:11
aoi32
mizukyさん、今回も最初にコメントを入れていただいてありがとう~!何ていい人なんでしょう~(T_T)/~~~最近、周囲が寂しいので身にしみます。じ~ん。。。 2010/11/01 17:05
あきちん
お~さと叔父ちゃんとゆずちゃんの再会ですね。 2010/11/01 14:34
bitamin317
透明感のある物語で スーッと入っていけました 彩と柚子 そこへ永瀬さん!  何かありますねえ どきどきします グラスの画像が引き立ちます 2010/10/28 14:25
ちのっち
とってもとってもいい感じ(#^.^#) 36歳と20歳、うう・・わくわくする~(^◇^) 早く続きが読みたいで~す^^ 2010/10/27 19:52
mizuky
あーーー彩ちゃんと柚子ちゃんが友達だったんだぁ・・なるほど。これできっかけはできたねっ!!!これからが楽しみです。 2010/10/26 16:19
 
 

IMX