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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 20 HIT数 5065
日付 2011/04/12 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -20- …してる
本文 マイガール




-20- …してる

 

 

大学が春休みに入ったその日、永瀬が新作に向けての取材で京都に出かけ マンションに
一人になる彩を心配した母親の美和からの頼みもあって 柚子は泊りがけで遊びに来た。


「ゆずのおかげで鎌倉に帰らなくてすんだけど、叔父ちゃんがいない時に
 遊びに来てもつまらないでしょ?」


二人でマンションに向かう途中、彩は悪戯っぽく笑うと柚子の顔を覗き込んだ。


「そっ、そんなことない」


柚子は慌てて返事をするが すでに頬は赤く染まっている。


「そう? ふふっ… 今夜は夜通しお喋りしようね。あ、そうだ! ねえ、ゆず 
 叔父ちゃんのベッドで寝る? あ、でも一人で寝てもしょうがないかーーー」


「彩っ!」


「きゃっ、真っ赤だよ ゆずったら~!」


「もう知らない!」


彩はきゃ~っと歓声を上げながらマンションのエントランスに駆け込むと メールボックスに
鍵を差し込み 郵便物を取り出した。


ほとんどが永瀬宛のものばかりだったが 一枚ずつ確認していた彩の手が突然止まった。

 

「これ… 奈緒さんから?」


驚いた彩が一枚のハガキを興味深そうに見ている。


「え?」


その名前に 柚子は思わずドキッとして声を上げる。


「レストランの案内状? へえ~、奈緒さんのご主人がお店を出したのね!
 知らなかった~。 叔父ちゃんは知ってるのかな? えっと、場所は… 京都…?」


「え、京都?」

 


柚子と彩は驚いて顔を見合わせた。

 

 

 


「ねえ、ゆず そんなに気にすることないよ。今日、これが届いたってことは叔父ちゃんは
 知らないってことだし、それに、いくら同じ京都だからって 叔父ちゃんが奈緒さんの
 再婚相手のレストランに行くわけないじゃない?」


彩は柚子をなだめるように言うと、明るく笑って見せた。


「そうよね。ただの偶然だよね?」


柚子は何度かうなずくと 大丈夫…と自分に言い聞かせるように呟いた。


彩はそんな柚子をじっと見つめて しばらく考えていたが、何か思いついたのか
ぱっと顔を輝かせた。


「そうだわ、ゆず! いっそのこと京都に行ってみたら?」


「え?」


「叔父ちゃんに会って確かめればすっきりするし、ここで心配しててもしょうがないでしょ?」


「でも京都なんて… それに永瀬さんはお仕事で行ってるんだから迷惑だわ」


「また、素直ないい子になってる! もうっ、ゆずはもっとわがままになってもいいんじゃない?」


「彩…」


「それに、今まで何かあるとすぐに逃げ出してたから それはもうやめる…って 言ってなかった?」


「う…ん」


「だったら逃げないで思い切ってぶつかってみればいいのよ。当たって砕けろ…よ!」


「それって…」


「え?」


「それって以前も聞いたことがある。そうだわ、わたしが初めて永瀬さんに告白する時に
 彩はそう言って励ましてくれた」


「そうだった?」


「そうよ。あの時は 砕けちゃっていいの?って思ったけど、それぐらいの覚悟で告白しなさいって
 ことだったのよね」


「そうよ。 だから 行っておいでよ! ちょうど今日は お泊りセットも持って来てるし…
 これはゆずに 叔父ちゃんを追いかけて行きなさいってことなのよ!」


「え…?」


「お泊りセットを持って京都に行くのよ!」


「え???」


「もう… ゆずは好きな人に会いに行って 大人の階段を上ればいいの!」


「ででっ… でもーーー!」


「ゆずはね、大人の叔父ちゃんに任せておけばいいのよ」


「えっと… それは…」


「きゃ~ん、ゆずのことなのに わたしまでドキドキしちゃう。
 ついに、ゆずもオトナに?ってカンジーーー?」


「あっ、彩ーーー!」


「ゆずはもう逃げないんでしょ?」


「ぅ…」


「ね?」


「そうよね… いじけて悩んでいてもしょうがないのよね」


「そうよ」


「あの時みたいに… お試しでいいから付き合ってくださいって言った時みたいに
 勇気を出さなくちゃね!」


「それでこそ、ゆずよ! 頑張れ~!」


「うん、頑張る!」

 


彩に励まされ 決心した柚子は頬を紅潮させると 両手をぎゅっと握り締めた。


そして ふと顔を上げると そこにはすっかり春めいた水色の空が広がっていた。

 

 

 


*  *  *  *  *

 

 

  
 

京都Mホテル


街が夕闇に包まれる頃 ホテルのロビーは人々のざわめきで溢れていた。


外出から戻った永瀬と編集者の佳奈子は並んで歩ながら 明日も続く取材の打ち合わせを
していた。


「では 明朝は8時に出ますので ここでお待ちしております」


佳奈子はそう言うと フロントで部屋番号を告げてカードキーを受け取り
一枚を永瀬に渡した。


永瀬は軽くうなずいた後、何気なく辺りをゆっくりと見渡し はっとして動きを止めた。


「先生? どうかなさいました」


「あ、いえ 何でもありません。 行きましょうか」


佳奈子は首を傾げたが 永瀬は何もなかったように歩き出したので そのまま後を追った。

 

 

 


大理石の柱に隠れていた柚子は 二人がエレベーターの方に向かって行くのを見て 
力が抜けたようにソファに座り込むと深く息を吐いた。


「…どうしよう…」


彩に励まされ つい、勢いでここまで来てしまった柚子だったが 永瀬の姿を見た途端
怖気づいてしまった。


「絶対怒られるよね… 帰れ、なんて言われたらどうしよう…」


柚子は泣きたい気分になって、うつむくと顔を両手で覆った。

 


「…ここで何してる?」


「!!!」


突然、頭の上で声がして 柚子はビクッとして顔を上げた。


「まさか… 本当にゆずだとは思わなかった」


「永瀬さん???」


いつの間に来たのか 腕を組んで呆れたように見下ろしている永瀬を見た柚子は
慌てて立ち上がった。


「そんな心細げな顔してると どこかに連れて行かれるぞ」


「あっ、あの!」


「どうした? 今日はマンションで彩と一緒だと…」


「はい… 本当はそのつもりだったんですけど。 でも…」


「でも?」


「あの…」


「何?」


なかなか言い出せない柚子に苛立ってきたのか 永瀬の口調が冷たくなったような気がして
柚子はふるふると睫毛を震わせた。


「これを… 」


何とか柚子はバッグからハガキを取り出すと 恐る恐る永瀬の方に差し出した。


永瀬は怪訝な顔をしてそれを受け取りそれをひと目見ると、すぐにはっとして柚子に目を向け
また視線を戻した。


「…そういうことか」


文面を見ていた永瀬は それで納得したように何度かうなずいた。


そして 不安げな柚子の顔を見た永瀬はふっと笑い、彼女の頭をポンポンと軽く叩くと
そのまま柚子を引き寄せて そっと腕の中に包みこんだ。


「永瀬さ…ん」


「ばかだな、ゆずは…」


「………」


「それで心配してここまで来たのか?」


「はい…」


いつものように低く優しい声が頭の上で響いて 思わず柚子は泣きそうになった。


永瀬の大きな胸の中で それまでじっと我慢していた柚子の緊張が解けて
次第に体中が穏やかで温かなものに包まれていくような気がした。


「こんなことして…」


「ごめんなさい…」


「僕が… ゆずに黙って行くわけないのに」


「はい」


「わかってるんだな」


「ホントはわかってるんです。永瀬さんがそんなことするわけないって…
 でも、どんなに信じていても不安になってしまう。永瀬さんのことが好きだから…
 だからよけいに不安なんです」


「ゆず…」


「永瀬さん、わたし…」


「今日は悪い子だな」


「そうです… ホントはわたし、悪い子なんです」


柚子はそう囁くと永瀬の背中に両手を回して、ぎゅっと抱きついた。


しょうがないな… 永瀬は呆れながらも、口元に笑みを浮かべながら柚子を抱きしめた。 

 

 

 

 

 


ライトアップされた咲き誇る桜を見下ろせるホテルの部屋で、それはそっと触れるような
キスから始まった。


ほのかな間接照明の中、まるで柚子が本当にそこにいるのかを確かめるように
永瀬のやわらかな唇が柚子の髪から額に、そして滑らかな頬、小さな唇へと移っていく。


泣きたくなるような優しい感触がいくつか重なり、ゆっくりと目を閉じた柚子は すっぽりと永瀬に
抱きしめられて 甘く震えるような予感を感じていた。


永瀬さん… 胸の鼓動は激しくなるばかりで、柚子は今にも消え入りそうな声で名前を呼んだ。


どうしよう… どんな顔をすればいいのか、この後どうすればいいのかわからない。


柚子の不安な気持ちが伝わっのか 永瀬はふっと笑うと 抱きしめていた腕を解いて
その顔を覗き込みながら、悪戯っぽく微笑んだ。


「とりあえず… シャワーだな」


「え???」


思わず声を上げた柚子に構うこともなく、永瀬は彼女のジャケット そして自分のも脱ぐと
無造作にソファに掛けた。


そして 軽々と柚子をすくい上げ、抱きかかえると バスルームに向かった。


「え??? あっ、あのーーー!!! 永瀬さん???」


突然の出来事に慌てた柚子は 足をバタバタと動かして必死で抵抗する。


「そんなに騒ぐな」


「でも、でも… でもーーー!!!」


「今日は一日中 文化財や老舗呉服店を見て回ったから、さっぱりしたいんだ」


「そっ、それなら お一人でどうぞ!」


「ゆずもずっと新幹線に乗ってて疲れただろう?」


「え?」


「だから一緒に… その方が時間も短くてすむし」


「でもでもっ! いきなり一緒になんてーーー!
 あっ、あの、永瀬さん! もうご存知かと思いますけど、わたし… 初めてなんです。
 知って…ますよね?」


「え?」


「えっ? もしかして、知らない??? 
 きゃ~! もうシャツ脱いでるしーーー!!!」


「知ってるさ。だから一から教えてるんじゃないか。みんな最初はこうするものなんだ」


「きゃ~、すごい腹筋… じゃなくて、ホントに? ホントにみんな、こんなことを?」


「ああ」


「嘘でしょ??? 永瀬さん、笑ってるしーーー!」


「とにかく ゆずは僕の言うとおりにしてればいいんだ」


「そんなの横暴です!」


「いいから ゆずも早く服を脱いで」


「え???」


「しょうがないな、ゆずは。一人で服も脱げないのか? ほら、手を上げて…」


「きゃあ、永瀬さんのエッチ!」


「人聞きの悪いこと言うな。まるで僕が襲ってるみたいじゃないか」


「だだだってーーー! あっ…!」


「まったく世話が焼けるな。 こら、逃げるんじゃない」


「なっ、何するんですか! あっ… えっ? あ…の… …… 」


「これも」


「…ネックレスも… 外すんです…か?」


「今は邪魔だから」


「永瀬さん…」


「あ…」


「な、何ですか?」


「驚いたな… ゆずは着痩せするタイプなんだ」


「そんな嬉しそうな顔しないで… ください」


「もう子供なんて言えないな」


「え…?」


「とても綺麗だ」


「永瀬さぁ…ん」


「そんなに抱きついたら よく見えないじゃないか」


「いいんです、そんなに見ないで… 恥ずかしいから…」


「ゆず」


「眼鏡を外した永瀬さんの顔… 初めて見ました」


「ゆず…」


「はい?」


「… …してる」


「え? …今、なんて? シャワーの音でよく聞こえなかっ… 」


「もう二度と言わな…」


「いじわる… もう一度言って…」


「言わない」


「もう…」


「本当は聞こえたんだろう?」


「え? 何のことですか?」


「………」


「だからもう一度言ってください… ね?」


「嫌だ」


「もう… ホントに意地悪なん… …」

 


柚子のお喋りな唇は塞がれて 濡れた瞳はゆっくりと閉じられていく。


二人だけに聞こえる甘い囁きも シャワーの音にかき消されて もう何も聞こえない……

 












 

 

 

 


                            次回 最終話に続く…

 

 

 

 










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aoi32
pichuuさん、ありがとうございます。>いっきに大人の階段をあがっちゃうんですね。…ほんとですね~、いきなりですね~(笑)ラブラブな二人、頑張りまーす♪ 2011/04/18 17:30
aoi32
mizsakiさん、ありがとうございます。照れちゃいましたか?もっと…とせがんでくれて とても嬉しいです^^いつもありがとう♪ 2011/04/18 17:28
aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。>余裕の永瀬さんと慌てる柚子ちゃんの会話に思わずニンマリです。…柚子が何も知らないと思って、永瀬はやりたい放題?です(笑)幸せな結末までお付き合いしてね^^ 2011/04/18 17:25
aoi32
ヨンkissさん、ありがとうございます。>意地悪な永瀬さんだけど好感度UP。…ホントですか?良かった~^^ちょっと刺激が強かったかなと心配だったので(笑)超ラブラブな二人…頑張ります??? 2011/04/18 17:20
aoi32
かえどんさん、ありがとうございます。>思いっきりラブラブな二人を期待しちゃいます!…はい、思いっきりハッピーな二人をお届けしたいと思っています。いろいろあった永瀬もついに!待っててね♪ 2011/04/18 17:17
pichuu18
いきなり二人でシャワー!いっきに大人の階段をあがっちゃうんですね。ラブラブ期待しちゃいます。 2011/04/17 08:43
mizsaki
おおーーここでこんな展開? いや・・照れちゃうな! なんてね? 次回でおしまい?? あーーもっともっと・・なんてせがんでしまいます。 でも幸せな二人最高です。 ありがとう!! 2011/04/14 18:48
kutauni
きゃ~!ふたりでシャワーですか・・!余裕の永瀬さんと慌てる柚子ちゃんの会話に思わずニンマリです。私も超ラブラブをお願いします。次回が最終回、さびしいです。 2011/04/13 11:06
ヨンkiss
ワォ~~ッ!!いきなり永瀬さんとシャワー??初体験のゆずちゃんは慌てるわよね。意地悪な永瀬さんだけど好感度UP。とうとう最終話で二人は結ばれるのね❤aoiちゃん、超ラブラブな二人を・・・・♪  2011/04/13 01:44
かえどん
うふふ・・・ついに!!でも次で最終回なんですね。楽しみでもあり、残念でもあり・・・思いっきりラブラブな二人を期待しちゃいます! 2011/04/12 22:33
 
 

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