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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 3 HIT数 6641
日付 2010/11/02 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -3- なぜ、ドキドキするの?
本文 マイガール





-3- なぜ、ドキドキするの?

 

 

柚子の自宅前に着くと 永瀬は車から降りて後部座席のドアを開けた。


さり気なくて、どこまでも自然で、スマートな大人の男の仕草だった。


あっ、ありがとうございます… 柚子は一瞬、戸惑ったが 
ちゃんと女性扱いされたような気がして 弾んだ気分で車から降りた。


そして 永瀬の前に立った柚子は やっぱり背が高い!と改めて感じた。


やわらかそうな髪と薄いフレームの眼鏡がよく似合っていて、とても知的な感じがして
やっぱり売れっ子の作家さんなんだわ~としみじみ思った。


なんてステキな人なんだろう… 柚子は間近で永瀬を見上げてポッとしてしまった。


彩ってば、叔父さんが永瀬聡だって教えてくれればよかったのに…


柚子は首を傾げた。


その彩は 相変わらず車の助手席で眠りこけている。

 


「悪かったね、遅くまで彩に付き合ってもらって」


え…? 柚子ははっとして永瀬を見上げた。


無口な永瀬が口にしたのは 彩と一緒にいた柚子への感謝の言葉だった。


それを聞いた柚子は 大事にされている彩が羨ましくなった。


「いえ、わたしの方こそ わざわざ送っていただいて ありが…」


「…赤い…」


「はい?」


「顔が赤い。 …やっぱり君も酔ってるのかな」

 


え??? あのっ、そんなことは…! 


だって、だって… 


梅サワーを半分しか飲んでないし それにもうだいぶ時間も経って…

 


柚子は慌てて自分の頬を両手で覆った。


何でこんなに熱いのぉ~???


永瀬に言われて、見つめられて、顔がますます火照ってくるような気がする。


落ち着かなきゃ、と思えば思うほど胸がドキドキしてくる。


ついには頭がクラクラしてきて 柚子の身体はふらついてしまった。


すぐに永瀬は柚子の腕に手を添えて支えた。


「…大丈夫?」


「すっ、すみません! なんだか頭が…」

 


こっ、こんなに近くで… どっどうしよーーー!!!


ますます混乱してくる柚子だった。

 

 

 


「ちょっと!!! 何してるの???」

 


その時誰かが叫んだかと思うと、つかつかと足早に寄って来て
永瀬の腕をがしっと掴み上に振り上げた。

 


「あなた、うちの娘に何する気???」


彼女はきつい口調で叫ぶと、永瀬を睨みつけた。


「おっ、お母さん???}


柚子はその相手が自分の母親だということがわかって声を上げた。


永瀬は彼女の剣幕に目を丸くしていたが、何も言わないまま首を傾げた。

 

 

 

 

 


「まあーーー! 失礼しました!
 彩ちゃんの叔父さんだったなんて… しかも、あの永瀬聡さんだなんて!
 驚きました! 失礼なことを言ってしまってごめんなさい!」


柚子の母親、相原理沙子はかなり興奮した様子で謝罪した。


「もう、ゆずったら! 何で、すぐに言ってくれないの?
 お母さん、もう少しで通報するところだったわ!
 …それより、どうして今まで教えてくれなかったの?
 永瀬さんと知り合いだなんて… わたしがファンだって知ってたでしょ?
 もう、意地悪なんだから~!」


「ちょっと、お母さん やめてよ。恥ずかしいじゃない!
 わたしだって今日、知ったのよ。
 だからそんなに興奮しないで… 永瀬さんが引いてるじゃない」


「あ、あらーー! ごめんなさい、わたしったら!
 あの… よろしかったら、ちょっとお寄りになりません?」


理沙子はそう言いながらも永瀬の方に擦り寄ってくる。


「いえ、今日はこれで… 姪を連れて帰らないといけませんので」


永瀬はそう言うと まだ助手席でぐっすり眠りこけている彩の方を指した。


「まあ、そうですか。残念だわ。
 じゃあ、また今度 ゆっくりいらしてくださいね」


「やめてよー、お母さんったら!」


もう、この人には遠慮とか、恥じらいってことはないのー???

永瀬さんが苦笑いしてるじゃないの!!!

 


娘よりも舞い上がっている母親を見て、柚子は決まり悪そうに永瀬の方を
ちらっと見た。


永瀬は多少、戸惑った様子を見せながらも どこか楽しげに見える。

 


…無口で無愛想に見えるけど 意外と優しかったりして…?

 


「じゃあ、これで失礼します」


永瀬はそう言うと軽く頭を下げて車車に乗り込んだ。


そして ゆっくりと走り去る車を 姉妹にも見える母子は ぼんやりと見送った。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  *

 

 

 

 

 


「いたた…」


翌朝 彩は頭を押さえるとソファに深く身を沈めた。


「まったく… 親元を離れた途端にこれじゃあ…
 鎌倉に強制送還するぞ」


永瀬は冷たい視線を向けると 彩にミネラルウォーターを注いだグラスを渡した。


「あ~ん、ごめんなさい。 でも、それだけは許して」


彩はそう言うとグラスの水をごくっと飲んだ。


「まだ子供のくせに二日酔いなんて…」


「つい、開放的な気分になって…。お願いだから ママには言わないでね!
 あの、さと叔父ちゃん… わたし、昨夜のこと全然覚えてないんだけど
 友達… ゆずのことも送ってくれたのよね?」


「ほんとうに記憶がないんだな。もう、あんなに飲むんじゃないぞ。
 彼女の家までちゃんと送り届けたから、安心しなさい」


「ありがとう~、だから好きよ! さと叔父ちゃん」


「…まったく、彩は調子いいな」


「ふふ… で、ゆずと何か話した? あの子、男の子みたいだけど可愛いでしょ?
 ゆずのお母さんも綺麗で可愛い感じの人なの。
 まだ40歳で、ゆずと一緒にいると姉妹みたいなの。若いよね~!」


「………」


「やだ、歳はさと叔父ちゃんと大して変わらないね! うけるーーー!」


彩はきゃっきゃっと声を上げて笑うと 永瀬の顔を覗き込んだ。


永瀬はムッとした顔で彩をじろっと睨みつけた。


「ゆずはお母さんと二人暮らしなの。だから大人の男の人を知らなくて…
 さと叔父ちゃんのことを自慢しても、興味がないみたいで。
 だから、さと叔父ちゃんに会わせたかったんだ!」


永瀬は思いがけないことを聞いて、黙ったまま彩を見た。


「だから ゆずには怖い顔しないで優しくしてね」


「………」


「さと叔父ちゃん?」


「そんなことより 昨夜みたいに飲み過ぎないように」


「はあい」


彩は仕方なく返事をすると、いたた…と言いながら頭を押さえた。


ホントにママには内緒ね! 


彩が念を押すと 永瀬は呆れたようにため息をついた。

 

 

 

 

 


*  *  *  *  *

 

 

 

 

 

 

約束の時間 5分前、急ぎ足でカフェに入った佳奈子は キョロキョロと周囲を見回し
まだ来ていないことを確認すると ほっと胸を撫で下ろした。


今日もここで 永瀬と打ち合わせをすることになっている。


永瀬のマンションから徒歩で15分、きっと彼は周りの風景に目を向け あれこれと
思いをめぐらせながらゆっくりとここに向かっているのだろう。


近くに大学もあるこのカフェには、若々しく華やいだ女子学生の客も多い。

 


…近頃の若い子はオシャレだし、自分に何が似合うか知ってるわね…

 


佳奈子は改めて自分の服装を確認してみる。


深いグリーンのタイトスーツ。 …少しはデキる女に見えるかしら…

 


…永瀬先生と会う日には何だか力がはいってしまうのよね…

 

そう思うと、佳奈子は思わず苦笑してしまった。

 


そんなことを考えていると ちょうどカフェに入ってくる永瀬の姿が見えた。


今日は濃紺のウールジャケット。 う~ん、なかなかお似合い!


あんな風に颯爽と歩いていると 本当に周りの目を引くのよね…


そのまま佳奈子のテーブルまで来ると思っていたら、なぜか永瀬は途中で立ち止まった。


そのテーブルには 一人の女性がこっちに背を向けて座っていたが 永瀬に気づくと
すっと立ち上がり、深く頭を下げた。


永瀬は彼女と少しの間、立ち話をした後 今度は佳奈子の方に向かって来た。


彼の顔にはやわらかな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 


「…柑橘系?」


いきなりそう呼ばれた柚子は顔を上げた。


見ると 永瀬が目を細めて立っていた。


「彩の叔父さん!!!」


「………」


「じゃなかった… 永瀬さ…ん?」


眉をぴくっとさせた永瀬を見て、柚子は慌てて言い直した。


「じゃあ、わたしのことも名前で呼んでください。
 “柑橘系”じゃなくて」


「…ゆず?」


「……」


いきなり呼び捨て? …でも、嬉しかったりして~!


「そ、そうです。
 わたしは彩と同じ歳で、あなたから見れば ただの小娘なんですから
 そう呼んでください」


柚子の言葉に 永瀬はぷっと噴き出した。


「何かおかしいですか?」


「小娘… って自分から言うのも珍しい」


「そっ、そうですか?」


「まあ、小娘には違いないが…」


「………」


「今日、大学は?」


「火曜日の3時限目は授業がないので ここで本を読んでるんです」


「そうか。 だから先週も…」


「はい?」


「いや… 学生は気楽でいいね」


「……」


「じゃあ」

 

永瀬の皮肉めいた言葉に 柚子がむっとしていると そんなことには
気にも留めない様子で 彼はさっさと立ち去った。


柚子はキッとした顔で振り返ると、思いっきり永瀬の背中に向かって
イーッと睨みつけた。


すると、どういう訳か不意に永瀬も振り返り タイミング悪く、柚子のその顔を見られてしまった。


…うわぁ!!! 柚子は慌てて顔を戻して どさっと腰を下ろした。


柚子は くっくっと肩で笑う永瀬の気配を背中に感じ 気まずさで真っ赤になった。

 

 

 

 

 


「…先生のお知り合いですか?」


挨拶もそこそこに、彼女のことが気になる佳奈子は すぐに問いかけた。


「ええ、ちょっとした知り合いです」


永瀬は素っ気なく答えると ほんの少しだけ唇の端を上げて笑った。


「…何か楽しいことでも?」  …今日は何だか機嫌良さそう?


佳奈子はかなり興味があるように言葉を続ける。


「いえ、人と人との出会いは面白いということです」


「え?」


「この夏はかなりの猛暑で もしかしたらずっと暑いままで冬になるかもしれないなんて
 思ったことがありましたが、やっぱりこうして ちゃんと秋はやってきて…」


「はい?」


「人生は何が起こるかわからないが、それにはちゃんと理由があるのだということかな」


「???」


一人で納得している永瀬の様子とは反対に 佳奈子は首を傾げている。

 


…この人が何を言いたいのか さっぱりわからない…

 


「あの… 永瀬先生?」


「何か?」


「この夏は猛暑だったけど いつものように秋になって涼しくなったんですよね?」


「………」


「それで… 何か理由があるのは なぜ猛暑だったかってことですか?
 それとも 秋になったってことですか?」


「何、訳のわからないことを…」


「訳がわからないのは先生の方かと…」


「は?」


「いっ、いえ! 何でもありません」


「………」


「じゃあ、わたしが先生の担当編集者になったことにも
 何か理由があるってことですよね?」


「それは…」


佳奈子が永瀬に向かって探りを入れるように言うと、彼はふと首を傾げた。


「それは 大した理由じゃないと思います」


「………」

 


…ひどい… 何も、そんなあっさり言わなくたって!


まあ… 確かに 先生の担当者になったのは わたしが編集長に必死に頼み込んで
拝み倒したようなものだけど… それにしたって…

 


がっかりしている佳奈子をよそに、永瀬は涼しげにコーヒーを味わっている。

 


…ホントに この先生って何を考えてるのか…  


佳奈子はまたいつものように諦めた様子で深いため息をついた。

 

 

 

 

 


さり気なく… 柚子は 永瀬の姿が見えるように席を一つずらした。


斜め向かい側に 永瀬と女性の横顔が見えた。


仕事が出来るキャリアウーマン風の大人の女性… そんな気がした。

 


何を真剣に話してるんだろう?


しっとりと落ち着いた雰囲気の二人だわ…


…永瀬さんの恋人…かな?


そうよね…


あの人は 無愛想で、気難しくて、ちょっと意地悪だけど


やっぱり大人で… 頼りになって とっても素敵な人だもの… 


恋人がいるのは当然よね…

 


…………

 


はっ!!!


わたし 今、何を考えてた?


それに… どうしてこんなに 胸がドキドキするの?

 


柚子は慌てて周りを見回し、そしてなぜか とても恥ずかしくなって

一人で赤くなった……。

 

 






 








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aoi32
今日、4話をUPできなくてすみません。もう少しお待ちくださいね~♪ 2010/11/09 17:57
aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。笑えるラブコメディーにしたいと思っていますので、そう言っていただくと嬉しいです^^これからもお付き合いくださいね♪ 2010/11/09 17:54
aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。…そう思います?そうですねー。案外、こんな何も知らない女の子のほうが永瀬には合ってるのかも~(笑) 2010/11/09 17:52
aoi32
mypiccoloさん、ありがとうございます。実は柚子のことを永瀬に何と呼ばせるのかを考えてます。いろいろ接するうちに変わっていきますので。う~ん(^_^.) 2010/11/09 17:48
aoi32
bitaminさん、ありがとうございます。nimoさんも言ってましたが 熟年から(?)若い女の子まで…幅広い年代層にモテモテの永瀬です(笑) 2010/11/09 17:40
aoi32
takitubosanさん、ありがとうございます。そう、これから柚子の季節ですね。ふふ、それ 頂きますね♪ 2010/11/09 17:32
aoi32
めがねさん、ありがとうございます。そうですね、柚子はけっこう存在感がありますよね。私は柚子味噌の田楽とか好きです(笑) 2010/11/09 17:23
aoi32
mizukyさん、ありがとうございます。ゆずのことを柑橘系と呼ぶのは、永瀬の照れ隠し?(笑) これから二人がどうなるか見守ってね~♪ 2010/11/09 17:13
aoi32
きくりんさん、ありがとうございます。秋の夜長に、どんどん寒くなるこの季節に 少しでもほっこりしていただけたら嬉しいです^^ 2010/11/09 17:10
aoi32
mizsakiさん、ありがとうございます。そうですね、淡~い恋の始まりですね^^遥か遠い昔を思い出しながら 頑張りまーす。でも、記憶が。。。(笑) 2010/11/09 17:07
aoi32
すみません、お返事が遅くなりました。続きの4話も遅れています。準備中ですので もう少しお待ちくださいね~^^ 2010/11/09 17:04
kutauni
永瀬さんとゆずちゃんの会話いいですね。思わず笑ってしまいます。知らず知らずに恋って感じですかね。つぎが楽しみです。 2010/11/09 12:29
あきちん
永瀬さんったら、もうすっかり気に入ってるのね、ゆずちゃんを(笑)。 2010/11/06 13:35
mypiccolo
「…柑橘系?」・・永瀬さんのセリフが最高。明るいラブストーリーにワクワクです♪ 2010/11/04 14:27
bitamin317
佳奈子 彩 そして 柑橘系の 柚子! 今のところは 柚子になりた~~い  です^^; 2010/11/04 08:39
takitubosan
これから柚子の季節ですね~~。あ~~永瀬の傍にいれるなら薬味の柚子でもいいわ~~。いまからあつあつの二人になるのですね♪ 2010/11/03 14:22
めがね2
柑橘系は、好きだけれど何故か柚が苦手です。でも素敵な永瀬先生に逢えるならゆずちゃんになりたいなぁ~ 2010/11/02 22:28
mizuky
あん♪柚子になりたいわぁ~♪ゆずちゃんのことを「柑橘系」と呼ぶ永瀬先生・・うける~爆。 2010/11/02 16:56
きくりん
うんうん、ゆずちゃん可愛らしいです!! 秋ですからゆっくり、ほっこり気分で読めました♪ 2010/11/02 16:51
mizsaki
ゆずちゃん可愛いね! 恋の始まりは・・ こんなドキドキと偶然の出会い。 それが・・大好きです。 これからが楽しみです。 期待していますよ! 2010/11/02 14:02
 
 

IMX