ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1359754/1896995
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 30M/100M
メンバー Total :297
Today : 0
書き込み Total : 957
Today : 0
マイガール
恋した彼は親友の叔父さんだった!  クール&スマートな永瀬を取り巻くラブコメディー©
No 5 HIT数 6635
日付 2010/11/23 ハンドルネーム aoi32
タイトル マイガール -5- ゆずの告白
本文 マイガール






-5- ゆずの告白

 


うわぁ… 柚子は思わず息を呑んで見上げた。


11月の茜色の空にまっすぐに伸びた高層マンション。


カードキーを使い、スタイリッシュなエントランスロビーをさっと通り抜けていく
彩の後を 柚子もあたふたとしながらついて行く。

 


「すごい所に住んでるのねーーー!」


柚子はキョキョロと周りを見回しながら 光沢のある大理石のフローリングの上を
滑るように歩く。


きゃっ、つるつるしてて転びそうーーー!


「…さと叔父ちゃんの本って、けっこう売れてるからねーーー」


彩はエレベーターのボタンを押すと、柚子の方を向いて笑った。


「ホントはマンションじゃなくて 一戸建ての家に住みたいらしいんだけど
 マンションの方が機能的で便利だからって…
 でも、将来的には鎌倉に戻りたいって言ってた」


彩は人差し指を立てながら くるくると表情を変える。


「とりあえず、わたしが大学を卒業するまではここにいるって。
 叔父ちゃんが鎌倉に戻る前に引っ越せてラッキーだったわーーー!」


「そうなんだ…」


エレベーターが緩やかに上昇して行く。


「ああ見えても さと叔父ちゃんって、元サーファーなんだよ。
 水泳も得意でバタフライで泳いじゃったりするし スポーツ万能なの!
 だから… 脱ぐと筋肉がすごくて、細マッチョなの~!」


「………」


「きゃ~ん、ゆずったら真っ赤になってる!」


「そっ、そんなこと…」


「可愛いーーー!
 もう、わたし ゆずのこと応援しちゃうから頑張るのよ!」


「え?」


「今まで さと叔父ちゃんのこと誰にも言わなかったのは
 他の女の人に取られたくなかったからなの。
 だって、さと叔父ちゃんが わたしの知ってる人と仲良くしてるところなんて
 見たくないもの」


「彩…」


「でも、ゆずならいいよ」


「でも… 永瀬さん、わたしのこと相手にしてくれるかな。
 いつも子供扱いしてるし」


「今はそうかもしれないけど、ゆずのこと可愛いって言ってたよ」


「ホントに?」


「うん。だから、ゆずは 押して押して押しまくるのよ!
 恋愛が面倒になってる大人には積極的にいかなくちゃね。
 今日はそのために ゆずを連れて来たんだから。
 とにかく、さと叔父ちゃんに近づかないとね!」


「彩ってばすごい…」


「叔父ちゃんみたいに まどろっこしくて、理性のかたまりで出来てる大人には
 ふわふわと可愛い女の子が合うと思うの!」


「…わたし、ふわふわと可愛くないけど…」


「可愛いよ! …わたしには負けるけどね」


あっさりと言う彩に 柚子はぷっと噴き出した。


「とにかく、最初は相手にしてもらえないかもしれないけど
 当たって砕けろ~!って感じでいくのよ!」


「う、うん」 …砕けちゃっていいの?


「それでも諦めずに ぐいぐい若さで突っ走るの!
 そうすれば、いつかきっと さと叔父ちゃんだって落ちるに決まってる」


「…何を根拠にそんなこと…」


「さと叔父ちゃんの友達がそうだったの。
 女優の青山優ちゃんを知ってるでしょ?」


「うん、知ってるけど…」


「優ちゃんはそうして深沢のおじさんと結婚したの」


「けっ、結婚???」


「そうよ。 その時、優ちゃんは二十歳の大学生だったの。
 わたしたちと同じだったんだよ?」


「すごい…」


「だから、ゆずも頑張るのよ!」


「わかった。
 とにかく、当たって砕けろ!でしょ?」


「そうそう」


二人の女子大生はお互いの顔を見て ふふっと笑った。

 


…だから 砕けちゃっていいの???

 

 

 


柚子はドキドキしながら 彩の後から永瀬のマンションに入った。


また長い廊下を滑るように進み、広いリビングルームに行くと
ガラスウォールいっぱいに広がっている夜景に 一瞬で目を奪われた。

 


「わあ、きれいーーー!!!」


柚子は歓声を上げると、窓際に駆け寄って外の夜景を眺めた。


ついさっきまでは 深い茜色の空だったのに いつの間にか外は夕闇が近づき
キラキラと美しいイルミネーションが煌き始めている。


柚子がうっとりとしていると 左のカウンターの奥に人の気配がした。

 


「…彩? 帰ったのか?」


「あ…」


突然の声に驚いて振り向くと、そこには永瀬が立っていた。


「…柑橘系?」


「………」


柚子がむっとすると、それに気づいた永瀬はふっと笑った。


「じゃなくて、ゆず…だったな」


「…こんばんは、お邪魔します」


柚子は顔が熱くなっていくのを感じたが なんとか平静を装って挨拶した。


「今日はどうしてここに?」


「わたしが連れて来たの。一緒に課題をやろうと思って」


彩はそう言うと柚子の腕に手を回して ぴたっと寄り添った。


「そうか、珍しいこともあるんだな。
 …それで、夕食はまだだろう?」


「うん、お腹空いたーーー!」


「ちょうど今 作り始めたところだ」


「え? 今日は何を作るの?」


「エビチリと八宝菜」


「やったあ! 今夜は中華ね!」


永瀬と彩の会話を聞いて 目をパチパチさせている柚子に気づいた彩は
くすくすしながら顔を覗き込んだ。


「ゆずってば、びっくりしてるの?
 さと叔父ちゃんはお料理も上手なんだよーーー!」


「そうだな。 彩よりはずっと上手いかもしれない」


永瀬はそう言うと面白そうに笑った。

 








シャツの袖をまくって、鮮やかに中華鍋を振る永瀬…


その白い袖からすっと伸びた腕を見て 柚子ははっと息を呑んだ。


程好く付いた筋肉が逞しくて、とても美しくて、ぞくっとするほどセクシーで
ドキドキしてしまう。

 


…男の人の腕って こんなに綺麗なの?

 


だから…聞こえなかった。


「…取って」


「………」


「ゆず?」


「…?…」 あ、やっと 名前で呼んでくれた?


「聞こえないのか?」


「はっ、はい! 何でしょう?」


「だから… その皿を取って」


「はっ、はい! お皿ですね! どうぞ! …あっ!」


柚子は慌ててカウンターに置いてあった白い皿を永瀬に渡そうとしたが
気が動転していたせいか つい手が滑ってそれを落としそうになった。


おっと… 永瀬は軽い身のこなしで 素早く皿を受け止めると
びっくりして固まっている柚子の顔を覗き込んだ。


「ごっ、ごめんなさい!!!」


そして 柚子は更に慌てることになる。


身体を屈めて下から覗き込むような永瀬のシャツの襟が開いていて
そこから胸元がちらっと見えたからだ。


綺麗に引き締まって均整のとれた身体…

 

 
“さと叔父ちゃんって脱ぐとすごいんだよ”

 

柚子は さっきの彩の言葉が頭を過ぎって たちまち顔が真っ赤になる。


「…?…」


永瀬は怪訝な顔で首を傾げ、少し考えた後 また柚子の顔を覗き込んだ。


「な、何でしょうか?」


「…ゆずも熟すと赤くなるのか?」


「!!!」


「そんなわけないか」


永瀬はくっくっと笑い出すと、出来上がった八宝菜を盛り付けようと
元の場所に戻った。


「………」


柚子は火照りがおさまらない自分の頬を両手で押さえると
恨めしそうに永瀬の背中を見つめた。

 


…からかってるんだわ…

 


以前、カフェでしたように 柚子は永瀬の背中にイーッと睨みつけると
またその時と同じように 彼も振り返った。


そして柚子は 再び、永瀬に笑われるのだった。

 

 

 


「おいしーーー!
 エビがプリプリして、ピリ辛がちょうどいいです!
 すごーい、永瀬さんってホントにお料理も上手なんですね!」


目を輝かせて興奮している柚子を見て、永瀬はふっと口元を緩めた。

 


…前にも同じようなことがあったな…

 


ふと懐かしい思いが 永瀬の頭を過ぎった。

 


…それにしても また料理を振舞うことになるなんて…

 


「毎日、永瀬さんが食事を作ってるんですか?」


「彩は何もできないから、仕方なくね」


「嘘よ、朝ごはんはわたしが作ってるし
 それに、一日おきに家政婦さんが来て用意してくれるのよ!」


「でも、こんなに美味しく作れるなんてすごいです。
 中華街で食べるのと同じくらい…」


「なかなか正直じゃないか」


「ゆずったら、褒めすぎーーー!」


彩は大げさに声を上げると、柚子にそっと合図した。

 


“ゆず、その調子よ!
 叔父ちゃんもまんざらでもないみたいだし”


“え、そうかなーーー”


“うん、さと叔父ちゃんも意外と単純なところもあったりして”

 

 

 


ガラスウォールの傍に椅子を並べて、外の夜景を眺める。


「はい、ジャスミンティーよ。
 わたし、後片付けしてくるから 二人で飲んでてね」


彩はテーブルの上にティーカップを二つ置くとにっこり笑った。


「あ、わたしも手伝う」


「いいの、いいの。食器洗い機だもん。
 ゆずは叔父ちゃんと話でもしてて!」


まったく鈍いな、ゆずは… 彩は 立ち上がろうとした柚子を慌てて止めた。


「彩? 課題をやるんじゃなかったのか?」


永瀬は怪訝な顔で尋ねる。


「課題? あ、ああ、そうね~!
 提出期限はまだ先だから、また今度やるわ。 ね、ゆず?」


「え?」


「またここで 一緒にやろうね」


「う、うん…」


「………」


永瀬は訝しげに 焦り気味の柚子と 平気な顔をしている彩を交互に眺めた。

 


…何を企んでいるんだ?

 


「あっ、あの! 永瀬さん!」


永瀬が警戒していると 突然 柚子が声を上げた。


「え?」


「あのっ、お願いがあります!」


すでに柚子の顔が赤くなっているのに気づいた彩は 慌ててその場を離れた。


そして、そっとキッチンの壁から二人の様子をうかがう。

 


…ゆずってば いきなり何を???


さすがの彩も驚いて 物陰からそっと柚子を見守った。

 


柚子は頬を紅潮させて 目の前にいる永瀬をじっと見つめ
何か言いたげに口を開きかけたが、すぐに目を逸らし、うつむいてしまった。

 


「何? お願いって…」


どこか慣れた様子で永瀬が答えを促すように訊いてくる。


「あの…」


「うん」


「あのっ、…わたしと… その… わたしとお付き合いしてください!」


「え?」


「わたしを… 永瀬さんの彼女にしてください!」


「………」


突然の告白に さすがの永瀬も言葉を失ってしまった。

 

 

 


驚いたのは壁に隠れて二人の話を聞いていた彩も同じだった。


「うそ~! いきなり告白???」


彩はまるで自分のことのようにドキドキしながら二人を見つめた。

 

 

 


「…まさに衝撃の告白だな」


「………」


「とりあえず落ち着いて… これを飲みなさい」


永瀬はそう言うと、ジャスミンティーのカップを柚子に渡した。


柚子は真っ赤なまま震える手でそれを受け取ると、お茶をごくっとひと口飲んだ。


胸に手を当てると心臓がバクバクしてるのがわかった。


永瀬は今度は柚子の手からティーカップを取り上げる。


「深呼吸して」


永瀬に促された柚子はこくんとうなずくと、言われるままに大きく息を吸って
一気に吐くと それを何度か繰り返した。


「少しは落ち着いた?」


「はい…」


「それで、今言ったことは 衝動的なもので 間違えたんだろう?」


「違います! 今言ったことは本当です!
 わたし… 永瀬さんのことが好きなんです!」


「………」


「初めて会った時から とても気になって
 そして 次に会った時には 気がついたら永瀬さんのことを見つめていました」


「そんなことを言ってもらえるなんて光栄だけど
 多分、君は勘違いしてるんだと思う」


「そんなことないです! 本当に好きなんです!」


「………」


必死に叫ぶ柚子に対して 永瀬は相変わらず冷静だった。


ただ黙って柚子を見ている永瀬に、柚子は思わず叫んだ。


「じゃあ、とりあえず 一ヶ月だけお付き合いしてください!」


「とりあえず?」


「そうです! お試し期間ということで、一ヶ月…
 それで その後どうするかは一ヵ月後に決めてください!」


「…お試し…って まるで通販みたいだな」


「え?」


「気に入らなかったら返品してもいいってこと?」


「……」


「見かけによらず 大胆なことを言うね」


薄く笑う永瀬を見た柚子は その時になって初めて自分がとんでもないことを
言ってしまったのだと気づいた。


「すっ、すみません!、変なこと言って…
 わたし、何言ってるんだろう… いくら何でもこんなこと…
 永瀬さんが承知するはずないのに」


柚子は後悔で 泣きたい気持ちになってうつむいた。


「ごめんなさい。 今言ったことは忘れてください」


「…いいよ」


「そうですよね。こんなふざけたこと… … え?」


「いいよ。…君と付き合う」


「はい?」

 


…あの… 今、何て? …

 


「今日から一ヶ月… 僕はゆずと付き合うよ」

 


永瀬は表情を変えることなく 淡々とした様子で言った。

 


ガタン!!!

 


思わず… 大きな音をたてて 柚子は席を立った……。

 

 

 











前の書き込み マイガール -6- 期間限定の...
次の書き込み マイガール -4- 恋の始まり...
 
aoi32
これから先も楽しい展開にしたいと思っていますので どうぞお付き合いくださいね^^ 2010/11/27 23:17
aoi32
bitaminさん、ありがとうございます。いいでしょ?期間限定でも。短い期間だと燃え上がるかもしれないし~^m^  2010/11/27 23:16
aoi32
でも、確かにOKするのが早すぎましたね。あれ~?(笑) 2010/11/27 23:12
aoi32
kutauniさん、ありがとうございます。はい、一応 永瀬には考えがあるのですが… 果たして上手くいくかどうか、次回もお付き合いくださいね^^ 2010/11/27 23:11
aoi32
めがねさん、ありがとうございます。うっ、多分 今どきの女の子はこういうのもありなんじゃないかと(笑)私も一晩でいいからお付き合いして欲しいです。きゃ~^m^ 2010/11/27 23:05
aoi32
あきちんさん、ありがとうございます。…ドキッ! あきちんさんったら鋭いですね~(笑) でも、永瀬の想定どおりには行かない方が面白いですよね^^彼がこの先どうなるのかお待ちくださいね^^ 2010/11/27 22:59
aoi32
まさりんさん、ありがとうございます。信じられないかもしれないけど、私にもありました!可愛い二十歳の女の子だった時が~(笑) 2010/11/27 22:53
aoi32
これからも若い女の子パワーで迫っていきますので 笑って、いえ、見守ってくださーい♪ 2010/11/27 22:50
aoi32
mizukyさん、ありがとうございます。えへっ、身近に女子大生はいないけど クールな大人の男には 考える暇を与えずに ぐいぐいまっすぐに突き進んだほうがいいのかなと思って~(笑) 2010/11/27 22:49
bitamin317
期間限定のお付き合い? それでもいいです 私も~~なァ~んて…でも柚子ちゃん大胆です 羨ましい゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ- 2010/11/26 09:18
kutauni
そんな簡単にOKしてもいいのですか?なんか考えがあってのことでしょうか・・。展開が楽しみです。 2010/11/25 13:34
めがね2
ゆずちゃん、大胆ね~ いまどきの子なのかしら 永瀬さんに私も云いたい1日でもいいから付き合って下さい。(≧▽≦)ノ 2010/11/24 23:15
あきちん
ちょっとちょっと永瀬さん、少し冷静すぎやしませんか?ゆずちゃんが1ヶ月で諦めるなんて思ってるんじゃないでしょうね。このクールな永瀬さんがどうなっちゃうのか楽しみ~(笑) 2010/11/24 09:56
まさりん
なんと1ヶ月お試し期間・・。私も混ぜてください~♪ゆずちゃん可愛い^^。私にもこんな時代があったわ・・。 2010/11/23 22:38
mizuky
いゃぁぁん♪めっちゃかわいいゆずちゃん。しかし最近の女子大生は大胆なのねぇぇぇ(爆)大人の男の人にはこういうストレートなほうがいいのかもね。φ(..)メモメモメモ 2010/11/23 17:25
 
 

IMX