中国奥地を旅する日本人(私が聞いた話では男女のカップル)が、「蛇女」と書かれた見世物小屋に立寄る。
入館料を払って中に入ると、薄暗い檻の中に、
肩から手先がそぎ落とされ、目はくり抜かれ、
上半身は裸、下半身には人魚の衣装のようなスカートを履かされた女がいる。
案内の中国人が、その女に生きた蛙をそばに持って行くと、狂ったように、その蛙にかぶりついた。
その瞬間、日本人観光客の男が、「うゎ、キモっ」と小声を漏らし、
恋人の女も、つかんでいた男の腕を強く握り引き寄せた。
出し物は、生きた蛙にかぶりつくだけで終わり、
案内人はそこを観光客が立ち去るのを急がせるように、
そそくさと先に歩いて、カップルについてくるように手招きした。
自分たちの視線を檻から案内人へ移そうとしたとき、
女の方が、「でも、あんな姿で、閉じ込められてかわいそう」とつぶやく。
すると、さっきまで、獣のような唸り声しか出していなかった「蛇女」が、突然流暢な日本語で話し出す。
「私は、立教大学の学生で、○○といいます。この事実を、日本にいる両親やマスコミに、どうか伝えてください」。
…学生時代に中国の長期留学生から聞いた話です。(ひとり室長)
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