これはある人から聞いた『とあるマンションのお話』です。
関西から東京のとあるマンションに引っ越してきた彼は、当初から部屋の中に何か寒気のようなものを感じていました。
はじめは気のせいに違いないと、ほとんど気にも留めなかったのですが、夜寝る前、カーテンが揺れたり、玄関からリビングに繫がる廊下で人影らしきものが見えたりと次第に普通でないものを強く感じ始めていました。
そこで、念のため、1階の管理人にそうした状況を話してみたのですが、何となくお茶を濁されてしまい、嫌な気持ちだけが残っていました。
彼は「仕事で疲れているからに違いない」と気持ちを切り替え、その場をやり過ごしました。
それからしばらくして、その日は夜中の2時頃仕事を終え、タクシーでマンションまで帰ってきました。
朦朧とした意識の中、エレベーターのボタンを押そうとしたとき、彼は思わず息を呑みました。
実は、彼は15階建てマンションの最上階に住んでいるのですが、その最上階には彼以外に誰も住んでいません。
ところが、エレベーターのボタンを押そうと思った瞬間、最後のエレベーターが15階で止まっているではありませんか!!
この時間に彼以外の誰かが15階に行くことは有り得ず、彼は得体の知れぬ恐怖に襲われました…。(つづく)