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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141278/418689
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Imagination
Cottage
Private
Congratulations
Gratitude
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Happy Birthday


こちらは1月から12月まで、それぞれの月生まれの方へ、お誕生日のお祝いとして創作したお話のお部屋です。
季節ごとのシンファミリーのお話やら、ソウルホテルへいらしたお客様のお話やら、なにやらいろんな色をした
ビー玉がころころあちこちに転がっているようなお部屋ですが、よろしければ、お付き合いくださいませ。
No 15 HIT数 983
日付 2009/03/06 ハンドルネーム Library Staff
タイトル 2007 6月生まれの人へ 「God bless you」
本文
『 God bless you 』




いらっしゃいませ、ソウルホテルへようこそ・・・




「おや、ソ支配人、いえ、そんな・・・
あらあら、いいんですか?
そうですか?それじゃ、お言葉に甘えて・・・・」

あたしは、忙しい仕事の合間の束の間の休憩時間に、ソ支配人にいざなわれてティールームに案内された。

「おやまぁ・・・あたしなんか、こんな格好で・・・場違いじゃないですか?」

そう躊躇うあたしを、笑顔で席に案内すると、ソ支配人はティーポットから薫り高い紅茶を注いでくれた。

『いつもお世話になっています。ほんの気持ちですが・・・』

そう言うと、ケーキにフォークを添えてテーブルに置き、ソ支配人はにっこりと微笑んだ。

『どうぞ、ごゆっくり・・・』
「ありがとうございます。それじゃ、ゆっくりさせていただきますね。」

せっかくのソ支配人の心づくし・・・・
それでは、休ませていただくとしましょうか

あたしは、ソファーにもたれかかると、紅茶を一口飲んだ。
ああ・・・美味しい

ほわっと優しいダージリンの香りが疲れた体を包んで癒してくれて・・・・

あぁ・・・・やれやれ・・・・

凝った肩を回しながら、あたしはつい大きなため息をついた。



さすがに6月だわね。

大勢のJune brideさんたちで、うちも大忙しってわけだわねぇ・・・


あたしは、さっき美しくお支度させていただいた花嫁さんの姿を思い出して、ちょっと誇らしい思いに浸った。

髪もお化粧もお衣装も・・・・本当に綺麗だったこと・・・・


あたしは、もう一口紅茶を飲むと、ティールームを笑顔で歩き回るソ支配人を目で追った。

そういえば、ソ支配人の花嫁姿も綺麗だったねぇ・・・
こうして目を閉じると、まるで昨日の事のように思い出すわねぇ・・

輝くようなウエディングドレス姿に、着付けているあたしの方までうっとりとしたもんだった。

花婿さんなら尚のこと・・・
シン理事は、さぞかしうれしかっただろうねぇ・・・・

あたしのまぶたの裏に、あの日のお二人の姿が甦ってきて、なんだか目頭が熱くなってくる。

この仕事を始めてもう何十年にもなるけれど、あんな素敵な結婚式はなかなかあるもんじゃないねぇ・・・

そう感慨にふけっていたあたしの耳に突然「シン・ドンヒョク」という名前が聞こえてきた。

おや、通路を挟んだあっちのテーブルには、ビジネスマンらしいグループが座ってなにやら深刻な話の真っ最中らしい。


あの様子じゃ、仕事には偉く厳しいって評判のシン理事に手こずっているようだね・・・


あたしは、仕事柄・・・・美容師って仕事は、どんな人とも話ができなくっちゃ・・
そのためには、いつだってアンテナを広げておかないとね・・・と、つい聞き耳を立てた。



『まったく、こんな条件を突きつけてくるとは!』

『すっかりこっちの手の内はお見通しってわけか・・・』

『うちの実情をここまで調べ上げるとは・・・さすがにウォール街でブッチ&サンダースと言われただけの事はあるな』

『しかし、この条件で契約というのは・・・』

『それもしかたあるまい・・・そのかわり仕事は完璧だ。』





 
                               




おやおや・・・すっかりシン理事に、やられたようだわねぇ・・・

あたしは、苦笑いを浮かべながら、美味しそうなケーキを口にした。

ああ、美味しい

これで、疲れも吹っ飛ぶってもんだね

ソ支配人だって、忙しいのに、いつだってあたしたち裏方の者にまで、心配りを忘れない人だよ。


そういえば・・・・以前ソ支配人が、企画したあのサプライズウェデングパーティーあの心配りもさすがだったね


おめでたで結婚式を挙げていなかったお友達・・キ・リヨンssiだったかしらね・・・
そのお友達の為に、お子様連れの素敵なお式を企画されたっけ・・・


きりっとした美人の花嫁さんが、もうそれはそれはボロボロに泣いちゃってねぇ・・

お化粧に一苦労だったよ・・・
でも、あのお式では花婿さんも負けずに泣いていたっけ・・・

ふふふ・・・


そんな風に、思い出し笑いをしながら、あたしはケーキを食べていた。

ふと、横目でさっきのビジネスマンたちを見てみると・・・


『まったく、嫌になるほど隙のない奴だな・・・』

『いや・・・でも・・こんな話を知っているか?ああ見えて、実は物凄いロマンスの持ち主だとか・・』

『ロマンス?!?』





                               



ビジネスマンたちの意外そうな声を耳にして、あたしも心の中で頷いていた。


そうだねぇ・・・あたしも初めて見た時には、なんて冷たい表情の人だと思ったものね。

ひどく近寄りがたかったしね・・・
それが・・・まさかねぇ・・・


『ああ、なんでも一人の女のために、キャリアも全財産も投げうって、韓江流通のキム・ボクマン会長と刺し違えたらしい。』

『例の事件か?それじゃ、あの事件の陰にはそんなロマンスがあったのか?』

『へぇ・・・あのシン・ドンヒョクが?想像しがたいな』

『まったくだ・・・・』



不思議そうな顔をしたまま、席を立っていったビジネスマン達を見ながら、あたしは微笑んだ。


そうそう・・・あたしもそうだったよ。


あの頃・・・・

詳しい事情はわからなかったけど、やれ買収だ、リストラだと、本当にホテル中が浮き足立っていたね。


まぁ、あたしらは、毎日毎日、花嫁さんを綺麗にお支度することで精一杯だったけど、それでもいろんな噂は耳にする。


忙しく働きながらも、なんだか落ち着かない日々をすごしていたねぇ・・・


それが、あれよあれよという間に、キム会長があんなことになって・・で、シン理事のおかげでホテルは救われた。


ちらほらとソ支配人とのロマンスも、聞いてはいたけど・・・
でも、結局シン理事はアメリカへ帰っていっちゃって・・

あたしは、てっきりソ支配人は、ハン社長とよりを戻したのかと思っていたよ。

だから、シン理事が戻ってきて、ソ支配人と結婚するって聞いたときには、やっぱり驚いたねぇ・・・


お二人の結婚式の当日・・・

あたしは、ソ支配人のお支度をしながらも、なんだかちょっと不安だったのも本当のところ・・・

あのシン理事で、本当にソ支配人は大丈夫なのかと気を揉んでいた。

ハン社長のほうがお似合いなんじゃないかってね・・・
でも、ソ支配人が、それはそれはお綺麗でねぇ・・・

お支度しながらもうっとりしたもんだよ

愛情ってものは、どんなお衣装や、お化粧もかなわないくらい、人を美しくするもんだってね。

そして、そのソ支配人を見たときのシン理事の顔ときたら・・・

憧れと切なさと痛いくらいの恋しさがこもった、これ以上ないってくらい愛に溢れた目をしていたね

あの表情を見て、あたしも安心したもんだよ。

ああ、このお二人は大丈夫だって・・・・

ソ支配人とシン理事・・・・
愛する人と見交わす瞳の輝き・・・
それにまさる宝石もドレスも、ないものねぇ・・・


さっきのビジネスマンたちにも見せてやりたかったね・・・・
あの日のお二人の姿を・・・


あたしは、ほぅ・・・とため息をついた。

あたしが今日までお支度をしてきた、たくさんの花嫁さんたち・・・

今頃みんな、お幸せかしらねぇ・・・

結婚式の日の気持ちを、忘れていないといいけれど・・・


あたしは、薄曇の6月の空を見上げて、想いを馳せた。


結婚もしないで今日まで来たあたしが言うのもなんだけど・・・・


一雨ごとに色を変えるあの紫陽花のように・・・

たとえ、人生の雨風にあっても、その時々に応じて、お二人の幸せの色ってものを見つけてくれていると嬉しいねぇ・・・


だって、どの花嫁さん達も、みんなそれぞれお綺麗だった・・・

100組のカップルがいると、幸せの色も100通り

競わず比べず、生きていってくれてるといいね・・・


そう微笑んだあたしの周りを、ほんの少し夏の匂いの混じった6月の風が爽やかに吹いていった。



さあて、そろそろ仕事に戻るとしましょうか・・・


ふと目をやったホテルの中庭では、ソ支配人が忙しく歩き回っている。


そういえば・・・・

昔、ソ支配人に言われたことがあったねぇ・・・

あれは、お式の後だったかね・・・

今日はありがとうございましたって、お礼を言うソ支配人にあたしはこう言った。


「こんな綺麗な花嫁さんを見られて、こちらこそありがとうございました。ここだけの話、あたしがお支度させていただいた花嫁さんの中で一番お綺麗でしたよ。」

「あら、またご自分の番が残ってますよ」

「あたしなんか!もうおばあちゃんですよ」


そうあたしが言うと、ソ支配人は花がほころびるように笑った。


「先のことは誰にもわかりませんよ。明日運命の人に出会うかもしれません。私みたいに・・・」


そう悪戯っぽく微笑んだソ支配人のお綺麗だったこと・・

今でも瞼の奥に焼きついてるね・・・



運命の人ねぇ・・・

確かに明日の事は誰にもわからないけれど・・・


そうそう、さっき若い子達が読んでいたあの雑誌

あそこにも書いてあった。

6月生まれの運勢ってやつ・・・


まぁ、あたしもせっかくJune brideの季節に生まれたわけだから・・・・


たしか、6月生まれは・・・


にぎやかなことが大好きで世話好きで人付き合いが上手。

でも、熱しやすく冷めやすい

自分のしたいことをテキパキと決断していくタイプ


だとか・・・


そうだねぇ・・・あたしだって、明日運命の人に出会わないとは限らない。

そうしたら、熱の冷めないうちにテキパキと決断することにしようかね。


あたしは、くすりと笑うと席を立った。

さあて、またお一人、お幸せな花嫁さんをお支度して送り出してくることにしましょうかね・・



あたしと同じ6月生まれの皆さん・・・happy birthday to you

素敵な1年を過ごしましょうね









6月生まれの皆様、お誕生日おめでとうございます。

今月のお祝い画像(お題は『ビジネスモードのドンヒョク)に答えてアップしてくださったものをモチーフに創作をさせていただきました。

ありがとうございました。
ささやかですがお祝いに代えて・・・
         
                             orionn222
            




(2007/06/18  Milky WayUP)

 
 
 

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