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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141279/418690
開設サークル数: 1238
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Imagination
Cottage
Private
Congratulations
Gratitude
容量 : 39M/100M
メンバー Total :732
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書き込み Total : 898
Today : 0
Happy Birthday


こちらは1月から12月まで、それぞれの月生まれの方へ、お誕生日のお祝いとして創作したお話のお部屋です。
季節ごとのシンファミリーのお話やら、ソウルホテルへいらしたお客様のお話やら、なにやらいろんな色をした
ビー玉がころころあちこちに転がっているようなお部屋ですが、よろしければ、お付き合いくださいませ。
No 21 HIT数 985
日付 2009/03/07 ハンドルネーム Library Staff
タイトル 2007 12月生まれの人へ 「The lover of the heart」
本文

『 The lover of the heart 』




「い、いらっしゃいませ、ソ、ソウルホテルへ、よ、ようこそ・・・・(きゃーーー)」



Hello、Nice to meet you

お世話になります。

あ、どうか、そんなに構えないで、普通のゲストと同じに接してほしいな

ええ、しばらく滞在します。

映画のロケは、どれくらいかかるかまだわからないから、いろいろご迷惑をかけることになるかもしれませんが、どうぞ、よろしく

いつものスイート?

それはうれしいな

あの部屋は気に入ってるんだ。

ソウルの街が一望できて、とっても気持ちがいいんだ。

ありがとう、それじゃ・・・



ほんの少し上気したベルボーイを笑顔で送り出したら、ぐるりと部屋を見回してみる。


部屋中に飾られた真っ白な薔薇たち

冷蔵庫にはシャンペンと苺

テーブルの上には、僕の好みのフルーツの数々・・・

うん、契約書どおりだな

さすが、ソウルホテル・・・

そういえば・・・

久しぶりの韓国だな

そして、久しぶりのウルホテル・・・・


薔薇の馥郁とした香りに包まれながら、少しの間思い出に浸る

数年前、映画の撮影でこのホテルに滞在した。

短い期間だったけど、あの撮影はハードだったな。

でも、このホテルのおかげで随分とリラックスすることができた。

そう・・・あれ以来かな?


今回も仕事

韓国で撮影をすることになり、僕はここに宿泊を決めた。

ここなら集中できるし、セキュリティも万全だ。

数ヶ月の滞在になりそうだけど、ここソウルホテルなら快適に過ごせそうだ。


マネージャーが荷物の整理に来る前に、窓を開けてバルコニーに出てみる。

サングラスをはずして、眼下に広がる雄大な景色を眺めてみる。


ああ・・・・綺麗だな・・・・・

どこか懐かしいこの風景に異国の匂いが混じって、僕のノスタルジーを刺激する。


韓国が終わったら、次はどこだったかな・・・・

撮影を終えても、きっとプロモーションであちこちに行くんだろうな

いくつか映画祭にも出品予定だし・・・でも、身軽なプライベートもこんなときは便利だな。

世界中を飛び回っても、誰にも文句は言われない。


ふと、下を見ると、ホテルのゲートあたりに人垣ができている。


早いな・・・・
もう情報が伝わったのか・・・・

どこでどんな風に、判明するのか、わからないけど、今回の映画の撮影で、僕がソウルホテルに滞在することが、もう広まったらしい。

スタッフの誰かから情報が漏れたのか、映画関係者のリークか・・・・
それとも、ファンの勘だろうか・・・
ほかのゲストの邪魔にならなければ、いいけれど・・・


この光景を見るたび、僕は複雑な気持ちにゆれる

正直、嬉しい気持ちもある。

わざわざ僕を出迎えてくれたり、歓迎してくれる気持ちは本当にありがたい
その反面、僕のせいで誰かに迷惑をかけるのが、とても心苦しい・・・



 Welcome to Korea

 I love you


人垣に混じってファンの人たちの手作りのプラカードや垂れ幕が見える。

ありがとう、本当に嬉しいよ

でも、僕のために怪我をしないで・・・・

だんだんと増えてくる人影にそっと上から声をかける。

僕の声は届いたかな・・・・・

小さなため息が僕の口から零れ落ちた。



部屋に戻り、大きなソファーにどっしりと座り込んだ。



この仕事は好きさ

いろんな人生を生きるのは魅力的だし、やりがいもある

でも、ときに自分自身の人生がおろそかになってしまうこともしょうがないことなのかな・・・

孤高の栄光と華やかな孤独の中

時に透明なガラス張りの檻の中に、閉じ込められているような気分にもなる。

外からの視線は痛いほど感じるけれど、僕の声は届かない・・・


ふぅ・・・・・

大きなため息をひとつついて、僕はソファーから立ち上がった。

ちょっと疲れているのかな・・・

さすがに十数時間にも及ぶフライトはこたえたようだ

シャワーでも浴びて、この少しブルーな気分も洗い流してこよう・・・




気持ちいいバスローブに腕を通すと、やっと僕の元気も戻ってきた。

今夜は関係者とレセプション

主役の僕の元気がないと、みんなの士気に影響するからね

いつでも笑顔を絶やさずに・・・

それがスターの宿命さ・・・・


さてと・・・

僕はテーブルの上に置かれた大輪の薔薇をちょっとずらしてPCを立ち上げた。

Net surfingは僕の趣味さ

時には、ここが世界中のファンと集える唯一の場所になる。

公式HPを開いてみると僕の誕生日に関するお祝いのメッセージがたくさん書き込まれていた。


  Happy birthday!!!!
  
  お誕生日おめでとう!!!

  愛を込めてプレゼントを贈りました!どうか受け取ってーー♡♡
  
  素敵な一年になることを祈っていますーーXXXX



ありがとう、みんな・・・

そういえば、もうすぐ誕生日か・・・

12月は僕の誕生月だけど、毎年、クリスマスやカウントダウンのパーティ三昧の日々で、どれが、僕の誕生日のお祝いだったかよく覚えていない。

でも、この画面を見ていると、なんだかしみじみと喜びが湧いてきた。

そうだ・・・

僕はカタカタとキーボードを打ち始めた。



『ファンの皆様へ・・・

誕生日のお祝いのメッセージをありがとう

とっても嬉しいよ。

でも、ひとつ、みんなにお願いがあるんだ。

僕へのプレゼントは、気にしないで

みんなには、僕の作品を見てもらうだけで十分だから

それが、一番の僕へのプレゼントなんだ

だから・・・

もし、贈り物をしたいと思ったのなら、みんなの側にいる友人や家族に優しい笑顔と声を贈ってほしい。

とりわけ、今少し元気のない人や、悩んでいる人たちに、みんなの元気を分けてあげて欲しいんだ。

僕がいつも、みんなにそうしてもらっているように・・・

僕は、ファンの皆からたくさんの元気とエネルギーをもらっている。

今、こうしていられるのも、ファンのみんなのおかげなんだ。

だから、みんなの周りの人たちにも、その笑顔と元気を贈ってほしい。

そして何より、僕のファンには、そんな人でいて欲しいから・・・

どんなに高価なプレゼントを贈ってもらうより、僕はそのほうが嬉しいよ。

さあ、明日から、ここ韓国で撮影が始まる。

どんな映画になるか、楽しみに待っていて欲しい。

最後に・・・・

韓国に来たけれど、歓迎をありがとう。

でも、ホテルには集まらないでね。

誰かの迷惑になってもいけないし、僕のファンに怪我をして欲しくないか

ら・・・

皆の心の恋人より愛を込めて・・・・』



ピリオドを打ち終えると、僕は大きく伸びをした。

そうだ・・・・ちょっと散歩してこよう・・・


僕はサングラスをかけニット帽を目深にかぶると、そっと部屋を後にした。


誰にも気づかれずホテル内を散策する。

お忍びは大の得意さ。

ふと立ち止まると、「従業員入り口」の文字が・・・・

僕の悪戯心に火がついた。

ちょっとだけ、お邪魔します・・・・

こそこそと入り口を通り抜けると、バックヤードを歩き始める。

ふぅん・・・ここが厨房・・・・美味しそうな匂いが漂っている。

っと!!怒鳴り声も漂ってるみたいだ・・

そして、ここが酒倉庫か

きっと高価なワインやブランデーが保管してあるんだろうな

そういえば、そんな役をしたこともあったな・・・

鍵をこっそりはずして、盗み出す・・・・のは、映画の中の話

実際には、しっかり鍵がかかってるだろうし、保安かが駆けつけて、僕はすぐに御用だな

それで、ここがスタッフルーム・・・・

通り過ぎようとしたとき、中から大きな声が聞こえてきた。



「あーーー、もうーーーなんだか落ち着かないわーーー!!!」

「先輩・・・・落ち着いてください・・・」

「だって!!今、このホテルに、あの大スターが滞在してるのよ!!!」

「・・・そうですけど・・・落ち着いて仕事してください・・・」


僕のことかな・・・・ちょっと面映く感じて、僕は足を止めた。

ちらりと覗き込んでみる。

二人の女性支配人がいて、なんだか賑やかそうだ。


「何言ってるの!!ジニョンssiだってファンのくせに!!」

「わ、私は・・・そんな・・・」

「あーーら!知ってるわよ!ジニョンssiの机の引き出しの中には、写真が隠してあるってことを!!」

「ど、どうして、それを・・・」

「本当は、私みたいに写真立てにいれて、こうしてデスクの上に飾りたいんでしょう?」

「い・いえ・・・あの・・・その・・・」

「実は、隠れて飾ってるとか?家の写真立て、表向きは理事の写真かなんか、
いれて飾ってあるけど、実はもう一枚、重ねていれているんじゃなくて?
で、理事の出張中は、堂々と飾ってるとか?」




                                



「そんな!!そんなこと・・・な、ないです・・・」

「あーーら、本当かしら?まぁ、理事に見つかったら、いろいろ厄介だろうから、黙っていてあげるわ。
ジニョンssiも何かと大変だろうから。」

「・・・妙に優しくて気持ち悪いんですけど・・・」

「何ですって!!ま、まぁいいわ・・・周りの人に優しい言葉をかけてあげてっていう事だから・・・」

「なんのことですか?」

「これよ、これ」


賑やかな女性のほうが、PCを指差して、もう一人の女性に指し示した。

あれは・・・さっき僕が書き込んだメッセージ?

くすっと笑いが僕の頬に浮かんだ。

嬉しいな・・・・とっても・・・・

僕たちの立つ場所は遠くても、しっかりつながっていると実感できる瞬間だ。


「へぇ・・・・そういうことですか・・・」

「だから、ジニョンssiにも優しくしてあげる。」

「それは、どうも・・・・ふぅ・・・・」

「ちょっと、なんでため息をつくのよ!」



まだまだ続きそうな騒動を笑顔で後にして、僕はこの小さな冒険を終えた。

心には、ぽっと灯りがともった。

まるで、birthdayケーキの上に飾られた蝋燭の火のように温かな灯りだった。



部屋に戻って、もう一度、PCを覗き込んでみる。

この短い時間にも、もうこんなにたくさんの書き込みがある。


『メッセージをありがとうございます』

『言葉が心に沁み入りました。今日は家族に優しい言葉をかけます。』

『私も今日は、夫を笑顔で迎えます。』


嬉しいな・・・・あれ?

たくさんの書き込みに混じってこんな書き込みが・・・


『お誕生日おめでとうざいます。実は夫に内緒で家にこっそり写真を飾っています。堂々と飾れなくってごめんなさいm(__)m』


これは、もしかして、さっきの支配人?

くすっ・・・

書き込みにも、律儀な人柄が出ているな

どうか、謝らないで・・・

デスクの上には貴方の大切な人の写真を飾っておいて





                             




そう・・・・・皆には、目の前の家族や恋人を大切にして、いつも幸せでいて欲しい。

そして、僕のことは、心の片隅の写真立てにでもそっと飾っておいてくれたら、それで満足だ。

もっとも、埃がかぶらないように、つどつど気にして、中の写真もちゃんと入れ替えてね。



再び、PCに目をやると・・・


『12月生まれの運勢を書いておきまーーす♪♪』


へぇ・・・興味をそそられて、覗き込んだ。


『その場その場での状況判断に長けて、

行動力もあるクールな現実主義者です。

ただし、長期的なプランを立てるのは苦手。

計画的な行動よりも、持ち前の冷静な判断力を生かして動いたほうが成功します。』


ふぅん・・・・その方面はエージェントに任せておいたほうが無難なんだな
えっと・・・それから?


『40代になってから自分のお店や会社を始めると

大成功を収めることができる暗示があります。

若いときはそれまでの準備期間と考えて、

多くのことを学ぶべきです。』



実は僕の夢は、ほかにひとつある。

まだ秘密だけど・・・・

今は、スクリーンに写っているけれど、いつか、その裏側で映画を撮ってみたいんだ。

それで?


『恋愛関係は比較的地味ですが、観察力が優れて

いるため、見た目にとらわれることなく、

すばらしい異性を見つけることができます。

結婚してからは、かわいい子供にも恵まれ、

幸せな家庭を築けます。』


Lucky--!!

なんだか、とってもhappyな気分だ。

僕は窓を開けて、小さく、birthday songを歌った。


「♪happy birthday to you

happy birthday to me♪♪」


世界中の12月生まれの皆

僕の歌声は届いたかな?

12月生まれのみんな

happy birthday to you and  to  me

一緒に幸せになろうね








12月生まれの皆様、お誕生日おめでとうございます。

今月のお祝い画像(お題は『写真立てに飾るなら?)に答えてアップしてくださったものをモチーフに創作をさせていただきました。


ありがとうございました。


ささやかですがお祝いに代えて・・・
        
                             orionn222


 

 




(2007/12/19 Milky WayUP)

 
 
 

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