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Happy Birthday |
こちらは1月から12月まで、それぞれの月生まれの方へ、お誕生日のお祝いとして創作したお話のお部屋です。
季節ごとのシンファミリーのお話やら、ソウルホテルへいらしたお客様のお話やら、なにやらいろんな色をした ビー玉がころころあちこちに転がっているようなお部屋ですが、よろしければ、お付き合いくださいませ。 |
No |
9 |
HIT数 |
991 |
日付 |
2009/03/05 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
2006 12月生まれの人へ 「キッチンカレンダー」 |
本文 |
街々を彩る煌めくイリュミネーション
楽しげな鈴の音が、ふわりと白い雪に乗って・・・・
ポインセチアの赤、柊の緑
大きなリボンがかかった様な、華やかな街路樹の向こうに光る冬の大三角
祈りを込めて見上げる空から天使が舞い降りる季節
そんな12月生まれの人へ・・・
『 キッチンカレンダー 』
「今年もあと僅かね・・・・」
小春日和のある日、ジニョンは、残り一枚になったカレンダーを眺めながら、ふぅ・・とため息をついた。
12月も半ば
泣いても笑っても、今年も残すところ、あと数週間だ。
コーヒーを片手に冬枯れの庭を眺めながら、ジニョンはちょっとセンチメンタルな気分になった。
とはいえ、ゆっくり感傷にひたっている暇もなさそうだ。
あと数週間とはいえ、キッチンのシンク前のタイルにかけられたカレンダーには、どの日も書き込みがされている。
“かれんピアノ教室クリスマス会”・・・・・確かプレゼント交換があったはず・・・
一緒に買いにいかなくちゃ
“ジェイ、個人懇談”・・・・ああ・・・・気が重いわ・・・
“ホテル忘年会”・・・・・あーーまた2次会はカラオケかしら・・・
“ドンヒョクssi出張”・・・・こんなぎりぎりまで出張があるのよね・・・
あちこちに書き込まれている家族の予定
ふふっ・・・
ジニョンは、ピンと指でカレンダーを弾きながら、苦笑した
これも、一つの家族の歴史と言えるかしら
随分・・・乱雑だけど・・・・・
来年のカレンダーはどれにしようかしら・・・
雑貨店の1角で、たくさんのカレンダーを目の前に、ジニョンはしばらく途方にくれていた。
きらきらとクリスマスの飾り付けがなされ、ツリーや天使、スノーボウルやサンタの人形、トナカイ、お星様・・・ と様々なクリスマス商品が所狭しと置かれている雑貨店は、大勢の買い物客で華やかな賑わいを見せていた。
ただそれだけで、なんだか浮き立つような気分にもなってくるが、クリスマスが終れば、今年もおしまいね・・・ というちょっと寂しい気持ちも混ざってくる。
っと・・・いけない
しみじみしている時間はないわ
早く買って帰らなくちゃ
今日は、これからジェイをサッカー教室まで送っていって、かれんに頼まれて
いた本を図書館に取りに行って・・・・
慌しい気持ちのまま、陳列されているカレンダーを幾つか手に取ってみる。
えっと・・・・
まずは・・・・かれんの部屋のカレンダーから・・・・
あの子の部屋は、simple is bestというか・・・殺風景というか・・・
もっと女の子らしく、フリルのレースのカーテンとかピンクの壁紙や可愛らしい小物とかあっていいのに・・・
それなのに、かれんの部屋は・・・・
飾り気のないストライプの壁紙に、これまた飾り気のないシンプルで堅牢な
机と椅子、きちんと整頓された大きな本棚にベッドカバーは大人びたアイボリーのペイズリー柄・・・・
はぁ・・・・
そうね・・・何か、ちょっと・・・・華やかな女の子らしいものがいいわね
えっと・・・・うーーん・・・キャラクター類はNGだし、ディズニー系も駄目そうね・・・
子犬?子猫?んーーーーー
あっ!これ!!
季節の花々をブーケにしたこのカレンダー
うん。とっても綺麗・・・・1月は薔薇に、チユーリップにレースフラワー
2月はスイトピーにがーベラにラナンキュラス
それに、ちょっとした小物も添えてあって・・・・この小さな熊も眠たそうな猫の置物も可愛らしいわ・・・
OK!かれんの来年のカレンダーはこれに決まり♪
ジニョンはぱちんと指を鳴らすと、1冊のカレンダーを腕に抱えた。 さて、次は、ジェイね
あの子は・・・・あーー、まずはあの子の部屋を大掃除しなくっちゃ・・・
でないと、カレンダーを掛けた所で、気付かないかもしれないわ。
きっと机の抽斗からは、くしゃくしゃになったテスト用紙やお知らせの手紙が山ほど出て来るんでしょうね・・・
はぁ・・・・
もしかして・・・・生き物は隠してないわよね?!
ベッドの下から、大きな蛙や団子虫がころころ出てきたら、どうしよう!!
ああ・・・・怖い!
と、とにかく、カレンダーよね
えっと・・・・
はぁ・・・何か格言集でも買ってやろうかしら!
“ローマは一日にしてならず”とか“行く言葉が美しければ、来る言葉も美しい”とか・・・
為になるような言葉が載っている物・・・
でも、こんな生優しいものじゃ、効果がないかしら
もっとストレートに“整理整頓”“早寝早起き”とか??
それとも・・・この「世界偉人カレンダー」は?
はぁ・・・とはいえ・・・
あれで優しいところもたくさんあるのよね・・・・
うーーん・・・・・
そうだ、これ
「動物カレンダー」
うふっ、可愛いーーーー
パンダの親子とかアザラシの親子とか・・・
よし!ジェイの来年のカレンダーはこれで決まり♪
ジニョンは、2冊目のカレンダーを腕に抱えた。
じゃ、次は、私たちの寝室に掛けるカレンダーね。
えっと・・・・・
あっ!!これ!!
あの「彼」の公式カレンダーじゃない!!
どれどれ・・・・・うわーーー素敵!!
ちょっと、どうしようーーーーー
か、買っちゃう??
でも・・・・
そうよね・・・まさか、寝室には掛けられないわよね。
ベッドの下やクローゼットの奥に隠しておくわけにもいかないし・・・
だって・・・・どうやったって、見つかるんだもの!
それなのに、何も言わないのよね。
見つけたくせに!
意味ありげな視線を送ってきたり、遠まわしに嫌味を言ってきたり・・・・
でも、さすがにベッドの下に隠していた時には、怒ったわね。
「僕達のベッドに、他人を持ち込むな!」って・・
持ち込んでないじゃない!下にあっただけよ!
とは、言えなかったけど・・・
そんなに怒るような事?
それに・・・怒るとドンヒョクssiは・・・・・
お陰で、次の日はどれだけ、気だるかったか!
そうよ!次の日だけじゃなかったわよ。
ジニョンの脳裏に、その間の出来事が鮮やかに描き出された。
薄闇の中に浮かび上がった逞しい背中
引き寄せられた腕の強さと、思いのほか繊細な指先・・・そして唇
滑るように這っていって、甘い吐息を熱い喘ぎに変えていったあの夜・・・・
でも・・・あそこまで、・・・なんていうか・・・は、激しくしなくっても・・・
私が何度・・・・・
ジニョンは、ふと我に返った。
・ ・・っと、それはいいから・・・・
軽く頭を振ってあの夜の秘め事を頭の中から追い出すと、ジニョンは一人で赤くなりながら、またカレンダーを探し始めた。
えっと・・・
あっ、「彼」の卓上カレンダーもあるじゃない!
これなら・・・・・
・・・・駄目よね。
でも、そうだ!ホテルのデスクの上に置くっていうのは??
いいかもしれない・・・・事もないわね・・・
でも・・・・
やっぱり・・・・だけど・・・・
ジニョンは、諦めきれず、何度も未練たっぷりに卓上カレンダーを手に取ったり、また戻したりを繰り返した。
その時、ジニョンに天啓がひらめいた。
そうだ!!
先輩にプレゼントしよう!
先輩もあの映画を見て、ファンになったって言ってたもの!
そうよ、その手があったじゃない!
「今年もお世話になりましたから」って言って、プレゼントすれば、先輩は喜んでデスクの上に飾ってくれるわよね。
これなら、とりあえず、毎日、「彼」に会えるじゃない!
ジニョンは、うきうきと卓上カレンダーを手に取ると、胸に抱きしめた。
でも・・・・・
まさか、先輩、家に持って帰ったりしませんよね・・・・
若干の不安を抱えながらも、ジニョンは3冊目のカレンダーを選び終えた。
さて・・・そうよ!
寝室のカレンダーよ。
えっと・・・・・世界遺産??でもないし・・・世界の絶景??も違うし・・・
風水??世界のお祭り??健康カレンダー??
うーーん・・・
あっ、これは??
ジニョンは、「空の写真館」と題された1冊のカレンダーを手に取った。
綺麗・・・・一口に空って言っても、こんなにたくさんの表情があるのね・・・
そうね・・・
私が寝室でカレンダーを眺める時、いつもドンヒョクssiを想っている時だもの
ね・・・たくさんの数字を睨みながら、あと何週間?あと何日?って・・・
あの日が来たらドンヒョクssiは行ってしまうのね・・
この日にやっと帰って来るのね・・・
って、そんな風に・・・
そんな時は、いつも寝室の出窓から空を眺めている。
この空は、ドンヒョクssiのいる所まで続いているのね・・・
そんな事を考えながら・・・・
それじゃ・・・これに決まり。
来年もたくさん空を眺める事になるのかしら・・・・
ジニョンは、ちょっと寂しい気持ちで4冊目のカレンダーを腕に抱えた。
あとは・・・・・
そうそう!
キッチンのカレンダー
実のところ、これが一番重要だったりして・・・
ジニョンは、くすっと微苦笑を零した。
スケジュール帖や携帯電話のカレンダー機能、PCやドンヒョクssiが使っているPDA予定を書き込むものはたくさんあるけれど・・・
結局のところ、キッチンに掛けられたカレンダーに、その都度、思いつくたびに書き込んだ予定を一番利用しているのかも・・・
その時、手元にあったペンで・・・いろんな色のボールペンだったり、そこらへんに転がっている鉛筆だったり、太いマジックだったり・・・
ちょっと乱暴な文字で書かれたそれぞれの予定
キッチンに立ち寄った際に、誰もがちらっと眺めている。
ふふっ・・・
随分アナログな一家ね・・・
微笑みながら、ぱらぱらといろんな種類のカレンダーをめくるジニョンの手がふと止まった。
「季節のsweetsカレンダー」
OK!これに決まり!
ジニョンは、色鮮やかなミモザケーキが表紙のカレンダーを手に取った。
来年の我が家のカレンダー購入
これにて、終了!
家に帰ると、ジニョンは、早速買ったばかりのキッチンカレンダーに印を付け始めた。
まずは・・・・私たちの結婚記念日 ピンクのハートのシールを貼って・・・
次は、ドンヒョクssiのお誕生日 ここにはプレゼントマークのシール
子供達の誕生日と、それから私のにも♪
えっと・・・お義父さんのお誕生日に、うちの両親に・・・・
ふと、ジニョンの手が止まった。
1月の中旬・・・・
ここには、「出張中」って文字が入るのね・・・
一通り、書き込みを終えたジニョンは、それぞれの部屋に、ぞれぞれのカレンダーを掛けた。
これには、ちょっとしたジニョンのこだわりがあった。
今年のカレンダーの横に、来年のカレンダーを掛ける。
壁には、2冊のカレンダーが並んだ。
あちこち擦れて残り一枚になった今年の横には、真新しい分厚い来年のカレンダー
まさに、行く年、来る年・・・・
ジニョンのこんな奇妙なこだわりに、実のところ、ドンヒョクは心の中で不思議な気持ちを持っているのかもしれない。
でも、毎年、何も言わず、並べられた2冊のカレンダーをちょっと笑って見ていた。
得意そうにその前に立つジニョンの肩を、優しく抱き寄せながら・・・・
その夜、ジニョンは美味しそうなsweetsの数々が載ったカレンダーをキッチンのタイルに掛けながら、そっと指でなぞってみた。
まだ何も書かれていないたくさんの日々・・・
きっと、すぐに、いろんな予定で埋まっていくだろうけど・・・・
できれば、楽しい事がたくさん書き込めればいいわね
どうか、「ジェイ、学校呼び出し」とかありませんように・・・
真新しい来年のカレンダーの横には、かなりくたびれてよれよれになった今 年のカレンダーがひらりと残りの一枚を揺らめかしている。
今年もいろんな事があったわね・・・
楽しい事も、悲しい事も・・・・
たくさん笑顔も、一粒の涙も・・・同じように乗せて時間は流れていくのね・・・
これまでの日々は、きっともう時間の向こう岸
思い煩ってもしょうがない。
そして、たくさんの新しい日々が私達を待っている。
きっとこれからここに書き込まれるたくさんの予定は、私たち家族の新しい絆となって、また1歩前に進ませてくれるはず。
私たち家族の手書きの歴史
また、始まるのね・・・
ジニョンは、心の奥で祈りながら、そっとカレンダーの表紙を捲り取った。 来年もいい年でありますように・・・
12月生まれの人へ・・・
お誕生日おめでとうございます。
ささやかですが、お祝いに代えさせてください。
orionn222
(2006/12/15 Milky WayUP)
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