ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
BYJ WORLD
BYJ WORLD(https://club.brokore.com/byjworld)
BYJ氏を愛し応援するファンサークルです^^
サークルオーナー: YUMI | サークルタイプ: メンバー制 | メンバー数: 19519 | 開設:2004.02.17 | ランキング:1(211088)| 訪問者:63053/3379527
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
お知らせ
BYJ掲示板
フォトアルバム
資料室
容量 : 39M/100M
メンバー Total :19519
Today : 0
書き込み Total : 16168
Today : 0
Dear BYJ
BAE YONGJOONさんに伝えたい・・・                                                              そんな想いを綴る公開掲示板です(非メンバー様も閲覧できます)
No 339 HIT数 2782
日付 2006/06/17 ハンドルネーム パウラ
タイトル 【創作】ドクターヨンジュン「ひたすらな道」~総集編~
本文






「ドクターヨンジュン」総集編

【 ひたすらな道 】 














手桶の水が、小さく揺れる。
手向けの花を胸に抱いて、坂道を登る。



木蓮の香りが、降ってくる。



御影石をひしゃくの水で洗い浄める。





おとうさん、おかあさん、

今日は理華子を連れてきました。
去年の秋に生まれた、あなたたちの孫です。


優は、、、天使になりました。
清人さんと一緒に、私たちを見守ってくれています。



この人は、井上勇、、、私の夫です。
清人さんと優を見送って、ひとりぼっちになった私に、手をさしのべてくれた人です。


この人に会わせてくれたのは、優でした、、、、、。














出会いは大学病院、
あなたは、重い心臓病を持って生まれてきた優の、主治医だった。

小児科病棟で、優につきそう毎日、、、
あなたは、優の腕に何度も注射針を刺しては、冷や汗を流していたっけ、、、。





星になった清人に逢えるところ、屋上だけが、私の居場所だった。

優が生死の境をさまよっていたときも、
重い後遺症が残ったことを知らされたときも、
病室では泣くことさえできなかったから。

















そのとき、エレベーターに乗る結希子の後ろ姿が一瞬見えた。

どこへ?

エレベーターは屋上で止まった、、、。

まさか、、、!

勇はとっさに階段に向かった。
次のエレベーターを待っていられない。
ICUのある3階から10階まで必死にかけ上がった、、、。



呼吸を整えてから、勇はそっと屋上のドアを開けた。
結希子の姿を見つけるより先に、嗚咽が耳に入ってきた。
苦しそうな、胸が締めつけられるような泣き声だった。
目に飛び込んできたのは、初めて見る結希子の泣く姿だった。

その瞬間、勇は射抜かれたようにその場から動けなくなってしまった、、、。
そして、その時やっと気がついた、悲しそうな結希子の姿を見るたびに胸が痛くなる理由に。

彼女を、愛し始めたことに、、、。


                     (第3話「手術、そして、、、」より)

















優と自分に起こった出来事を、ひとつひとつ受け止めて、
やっと、わずかな希望の緒を見いだした矢先、

優は、術前検査中に、、、あっけなく逝った。

たった10ヶ月だけ私のそばに舞い降りた天使は、天国に帰っていった。



ただひとつの支えだった優を、見送った夜、
思いがけない人、、、あなたが、私の前に現れた。

















やはり結希子は屋上にいた。
扉を開けた勇の眼に入ったのは、ひざを抱えて座り込む結希子の後ろ姿、、、
決して人前で見せようとしない泣く姿、、、肩をふるわせて、声を上げて泣いていた。

勇は一歩踏み出した。
「優くんのおかあさん、、、木村さん、、、」
その声に、結希子ははっとして振り返った。

見上げると、勇が立っていた。
思わず結希子が立ち上がる、、、。

勇は無言のまま結希子の方に歩み寄り、結希子の身体を抱き寄せた。
結希子はとまどい、身体をこわばらせる。

「井上先生、、、!はな、、、して、、、はなしてください、、、」
「きっとここだと思った、、、いつも、あなたは屋上で泣いていたから、、、」
「、、、!!」


なぜ、、、?そのことを知っているの、、、?


勇はいったん身体を離して、結希子の顔をじっと見つめた。
「もう、、、ひとりぼっちで泣かないで、、、。
 あなたの悲しみを、半分僕に分けてください、、、」
もういちど小柄な結希子の身体を強く抱きしめる。
勇のぬくもりが、結希子の身体と心を包み込んでゆく、、、。

結希子は目を閉じた。
それは懐かしい感覚、、、
夫の清人に抱きしめられたときの安心感、幸福感を思い起こさせた。

「泣きたいだけ泣いて、、、。僕がずっとこうしています、、、、、」

結希子の涙は止まらなかった、、、。
勇の胸の中で、幼子のように泣き続ける結希子、、、
勇は結希子の頭を、ずっとなでていた。

そう、ずっと前から、、、
病院の屋上で、結希子が泣く姿をただ見守るしかできなかったころから、、、
勇はこうしたかった。
結希子を胸に抱きしめたかった。
自分の気持ちを伝えたかった。


                        (第8話「勇の告白」より)

















島の小さな小学校に勤める私の前に、またあなたが現れた。
町立病院に赴任したお医者様として、、、。

息が詰まりそうな島での生活で、
あなたの存在が少しずつ大きくなっていったあのころ、、、

倒れた私に、手をさしのべてくれた。


あの夜、私は夢を見た。

















それは、初めて見る不思議な光景だった。
清人が優を抱っこして、2人とも楽しそうに笑っている。
優は鼻のチューブもはずして、キャッキャと声を上げて笑っていた。
不自由なはずの左手で、清人の眼鏡を触っている。

「待って、、、、、私も行く、、、!」

思わず近寄ろうとする結希子、、、
清人は嬉しそうに言った。

「結希子、、、優を産んでくれて、本当にありがとう!僕はもうひとりじゃないから大丈夫だよ」

「待って、私も行くから、、、3人で暮らそう、、、!」

清人は急にさびしそうな顔になった。

「それはできないよ、、、。君は、、、生きているんだから、、、」

「でも、さびしいのはいや、もうひとりぼっちはいや、、、!」

「ごめんよ、、、ずっと一緒にいて、幸せにするって約束したのに、、、守れなかった、、、」

「、、、あなた、、、、、」

「僕は優がいるから大丈夫、さびしくないよ。でも、君のことが心配だ。

 結希子、、、僕たちのことは気にしないで、これからは君の幸せを見つけて。

 僕の願いは、君が幸せになることだけだから」

そう言って、清人と優の姿がだんだん遠ざかっていく、、、。

「結希子を本当に愛してくれる人がきっといるよ。
 お願いだから、幸せに背を向けないで、、、」

「待って、、、待って、、、!」



目が覚めた。
どうやら少し眠っていたようだ。
時計を見ると、朝の6時過ぎだった。
座ったままの勇が、結希子のベッドに顔をうつぶせるようにして眠っていた。
勇の手は結希子の手を握っていた。
うなされている間じゅう、結希子の手を握ってくれていた温かい手は、、、勇だった。

そっと手をはずしてから、結希子は勇の寝顔をじっと見つめた。

優の主治医だった人、
優の出生届を出しに行ってくれた人、
優をいつも診てくれた人、
優の具合が悪くなると涙を流して心配してくれた人、
優の死を一緒に悲しんでくれた人、
取り繕うこともできない病院での自分と優を見て『愛している』と言ってくれた人、

そして、、、今、そばにいてくれる、ただひとりの人、、、


ためらいがちに手をのばして、結希子は眠っている勇の髪にそっと触れた。


私、、、この人が好き、、、、、

もう1度、、、幸せになれる?
幸せになる夢を見てもいい、、、、、?


                       (第16話「聖夜の夢」より)
















つのっていくあなたへの想いとは裏腹に、
清人と優への罪悪感が、私の心に垂れ込めていた。

あなたのいる世界と大きなへだたりを感じて、
自分の心のありかが見えなくなってしまった日々、、、

私の背中を押してくれたのは、あなたのお母さん、、、

あなたをお父さんに託してソウルに渡ったお母さんは、病床にあった。


お互い支え合える関係が持てる、、、そう信じて、
私は新しい指輪を受け取ることができた。

















夜中にふと目を覚ました結希子は、かたわらに誰かがいる気配に気づいた。
規則正しい寝息が耳元で聞こえてくる、、、。

これは、、、いつもの悲しい夢?目覚めると自分ひとりしかいない、、、、、

眼が慣れてくると、勇の寝顔が目の前にあった。
見慣れない、眼鏡を外した勇の顔、、、
そしてやっと、自分が勇のそばで眠っていたことを思い出した。

まだ夢を見ているような気がして、おそるおそる勇の顔に手をのばしてみる。

髪、、、ほほ、、、そして唇、、、夢じゃない、、、、、。
昨日、教会で結婚式を挙げたことも、初めて勇と愛し合ったことも、、、夢じゃなかった。

私たちは、夫婦になったんだ、、、



結希子は、勇の手をさがして、その大きな手を握ると、また眼を閉じた。

明日も、あさっても、ずっとずっと、、、
この幸せが、どうかこのままとどまっていてくれますように、、、。







その朝を、勇は一生忘れない。

ほの明るくなった部屋で目覚めた勇は、
かたわらに眠る結希子の寝顔をじっと見つめていた。
肩にかかる髪をゆるく三つ編みにして、すやすやと眠っている。
初めて会ったときと同じ姿だった。
あのときから2年半、、、
ずっと待ち続けていた人が、やっと本当に自分の元に来てくれた朝、、、

結希子の髪をそっと撫でながら考えた。

弟の創が生きていたら、自分は井上の家に来ることも医者になることもなかっただろう。
結希子が優を産んでいなかったら、2人が病院で出会うこともなかったはずだ。
全ての出来事が重なって、今、自分たちはここにいる、、、、、。


宝物を見つけた朝、、、

眠っている結希子のほほに、勇はそっと口づけをした。



ありがとう、結希子、、、僕のところに来てくれて、、、。


                          (第31話「誓い」より)


































離ればなれの結婚生活がスタートした。
お互いを大切に想う気持ちとは別のところで、どこかぎくしゃくする関係、、、

隠してたわけじゃない、
秘密にするつもりもないのに、

清人や優のことを、あなたの前で話すといけないような気がしただけなのに。


それがあなたの、そして私の心にささった大きなとげになった。

















勇には言ってなかった。
亡くなった清人の事故以来、どうしても高速道路を運転することができなくなったことを。

しばらくして勇は思い出した。
亡くなった結希子の夫が、冬の夕暮れ時、高速道路で事故にあったと聞いたことを。
台所に向かって、、、きれいになっているはずの流し台を、繰り返し拭いている結希子、、、
小さな背中が、泣いていた。
勇は、結希子を後ろからそっと抱きしめた。

「ごめん、、、送っていくよ」



前から気になっていた。
優と清人の写真を、結希子は目につかない所へしまったようで、
結婚以来、勇が目にすることはなくなった。

自分に気を遣っている、
かわいそうなことをしている、、、と、申し訳なく思う。

でも、心のどこかで、ほっとしている自分もいる。
毎日、あの2人の写真が自分たちを見つめていたら、、、冷静でいられるだろうか?

週末が来るたびに、逢えなかった時間を埋めるかのようにお互いを求めている。
自分がそうであるように、結希子の心を占めるのは自分だけだと思いたい。

きっと結希子はそのことに気がついている、
だから決して清人のことは口にしない。
優のことさえ、ほとんど話題にしなくなった。

僕は、結希子を苦しめてる、、、?


                    (第34話「週末だけの夫婦」より)
















私の中で脈打っている、新しいいのち、
あなたと私を結ぶ絆が、また強くなる。

どうかこの小さないのちを、
生まれる日まで無事に育てることができますように。

どうか

















安心したかのように眠っている結希子を見て、勇は胸が締め付けられた。
病院に連れてくる間も、結希子は勇をひと言も責めなかった。
ただ、声を出さずに泣いていた。
そして、お腹に手を添えて『ごめんなさい』と、自分の責任のように何度もつぶやいていた。

結希子は自分があんな不機嫌な態度をとったから無理して帰ってきたのだ、、、
自分のせいだ。

結婚して以来、平日は学校の仕事、週末は勇のところへ帰ってきて、
ゆっくりする間がなかった結希子、、、
いつも勇に気を遣って、『週末くらい、私が、、、』と言って、家事も全部してくれた。

勇は結希子と過ごせることに夢中になっていた、、、
あまり結希子の体調に気を遣うことがなかった自分に初めて気がついた。
律儀で我慢強い結希子が『今週は帰らない』と言った時点で、
かなり具合が悪いと想像できたはずなのに。


僕がもう少し気を配っていたら、、、医者のくせに、なんてバカなんだ、、、
もし、お腹の子に何かあったら、、、
もし、そのことで結希子が傷ついたら、、、
子どものことで結希子が涙を流すようなことは、もうあって欲しくない。
彼女は、優くんのときに、いやというほど苦しんできたのだから。


眠っている結希子の髪にそっと触れる。愛しい。
結希子のお腹に、自分の子どもがいる、、、
必死で、結希子のお腹にしがみついている、、、。

「この子を助けてください、、、」

自然とわき上がる思い、、、神に手を合わせたくなる。
きっと、自分の患者である子どもの親たちも、こうして祈っているのだ。

僕たち医者が、検査や手術、点滴や薬を用いるように、
親はただ「祈り」を武器に、子どもを守ろうとしている。

僕らの子どもは親孝行だね、、、。お腹にいるときから、親になる心構えを教えてくれる。

「絶対に、生まれておいで」

心の中でお腹の子に呼びかけた。


                      (第38話「いのちのめばえ」より)


















赤ちゃんが生まれたらもう1度会いにいこうね、

そう話していたのに、間に合わなかった。


ソウルのお母さんが、亡くなった。
最後に残してくれた言葉は、あなたの宝物になった。
















現在のことを母がもう何も理解できないことは、最初からわかっていた。
自分が母の子どもだと認識してもらえることは、おそらくないだろう。
せめて、この瞬間、自分の背中に母を感じること、その感触を母に感じてもらうこと、、、
たとえ覚えていてくれなくても、、、、、
それだけでも、していたい。

勇は、重くはない母の身体を背中に感じながら、
母を封印してきた時間の重さに耐えていた。

「、、、*****、、、」

背中で小さな声がした。

「えっ?」

勇は息をのんだ。
母が何か言った、、、。
勇は全身の神経を耳に集めて、次の言葉を待った。

「ポゴ、、、シ、、、ポッソヨ、、、」

韓国語だった。

「何?何て言ったの?もう1度言って、、、」

思わず勇は振り向いて、背中の母に言った。


しばらくの沈黙、、、時間が祈りとなる瞬間を、勇は初めて体験した。


「、、、ポゴ、、、シッポッソヨ、、、」

勇にその意味はわからなかったが、手帳に書き留めようと、
何度も何度も口にして繰り返す。



そして、母はまた、沈黙の人になった。


                      (第43話「たらちねの」より)
 

















見えない壁が私たちの間には、あった。

決して忘れられない清人と優の思い出が、何かの拍子に浮かんできて、
自分1人の胸に秘めておけなくなる瞬間がある。

悲しい夢を見たとき、
交通事故や救急車に出遭ったとき、

私の心は黒い雲に覆われて、自分ではどうにもできなくなる。

きっとこれからも、その度にあなたを傷つけてしまうのだろう、、、
それがつらかった。

目の前にいるあなたを、誰よりも大切にしたいのに。
あなたを愛している気持ちに嘘はないのに、、、。

















毛布にくるまった結希子は、勇に横抱きにされて家を出た。
勇の首に回した結希子の腕はずっと震えている。

救急車の赤色灯が結希子の眼に飛び込んできた。
反射的に眼を閉じて勇の胸に顔を伏せた。

動き出した救急車は、再びサイレンを鳴らし始めた。

結希子は耳を両手でふさぎ、眼をきつく閉じて、必死に耐えていた。
身体中が震えている。
清人が事故にあったあの日の記憶が、結希子の閉じた目の前に浮かんでくる。
恐怖が結希子を押しつぶしそうになる。

「大丈夫ですか?」

救急隊員の問いかけにも、結希子は返事できなかった。
勇が小声で事情と今の状況を説明した。
怖がる理由と、勇が医師だということを聞いて、隊員は少し安心したようだった。


「結希子、眼を開けて、僕の方を見て、、、」

耳元で勇の声がした。


しばらくするともう1度声が聞こえた。

「結希子、眼を開けて、、、。僕の顔、見たくないの?」

おそるおそる、目を開く、、、
優しくほほえむ勇の顔が、すぐそばにあった。

勇は愛しそうに結希子の髪を撫でた。
救急隊員が同乗していることなど忘れたかのように。

「僕が見える?大丈夫?」

結希子が小さくうなずくと、勇も嬉しそうにうなずいた。
そして、また耳元でささやいた。

「耳ふさがないで。僕の声を聞いて」


                  (第47話「生まれ出ずる瞬間(とき)」より)

















あなたといっしょなら、乗り越えられる。
絶対にできないと思っていたことでも、あなたがいてくれたから、できた。

そして

新しいいのちが、私たちの元に舞い降りた。

悲しい思い出のつまった大学病院は、喜びと祝福に包まれ、
幸せの記憶が、そっと塗り重ねられた。

















「宝物?」

結希子は、泣き顔のままで勇の目を見る。
勇は、結希子の顔を両手ではさむようにして、愛しそうに言った。

「そう、、、結希子は、僕の宝物だ。
 ずっとずっと待ち続けて、やっと僕のところに来てくれた、大切な宝物。
 宝物が産んでくれた子どもも、やっぱり宝物。
 赤ちゃんは僕と結希子の半分ずつを受け継いで生まれてきた、、、
 僕らが愛し合った証だよ」

「、、、、、」

結希子はそれきりしばらく何も言えなくなった。



「、、、******、、、」

「え?」

小さな声で結希子がつぶやいた。
聞き取れなかった勇が聞き直すと、結希子は絞り出すように小さな声でもう1度言った。



生きててよかった、、、



返す言葉のない勇は、結希子を抱く手に力をこめた。
涙を結希子に見られないように。


                      (第48話「いのち輝くとき」より)

















石にそっと、手を添える。

顔も覚えていない、父と母、
でも、確かに私に、そして理華子につながっている、いのちの系図




お父さん、お母さん、

何一つ、あなたたちとの思い出を持たない私ですが、
私をこの世に生み出してくれた、、、、、そのことに、心から感謝しています。

求めていた幸せは、
手にしたと思ったらすぐに指の間からこぼれ落ちていき、
私の心は何度も血の涙を流したけれど、

その全てがあったからこそ、今の私がいます。



ありがとう、、、



あなたたちが私を遺して逝ったことを、どんなに無念に思っていたか、、、。

遺されるつらさを遙かに超える、悲しみの深さを、
親になった今なら、理解できます。



私に注がれた愛情を、お返しすることはできないけれど、
その思いをつないでいくことはできるから、


どうか、見守ってください。











静寂を破るように、理華子の泣き声が響く。

「ほら、理華子もおじいちゃんおばあちゃんにご挨拶したいって」

勇が柔らかく、笑う。
慌てて理華子を受け取って、胸に抱いた。

その小さくふっくらとした指を口に持っていき、むさぶる。
お腹がすいたのだ。


「そろそろもどろうか」

「ええ」










見上げると、木蓮の花、、、
白く柔らかな曲線は、凛として天を目指す。


その香りにつつまれて、坂道を降りていく。








空の手桶に、カツンとひしゃくの柄が触れた。





























< 終 >















 
パウラ
私自身もこれを書きながらそう思いたかったのかもしれません。やっぱりpaulaの原点かしら、、、(〃▽〃) 2006/06/18 16:41
パウラ
過去旅だったドクター全話にレスを入れてくださったこと忘れられません。「生きることは素晴らしい」そうですね、、、 2006/06/18 16:40
パウラ
花いかだちゃんありがとう。初めましてのレス、ブロメから創作を読んでいただいて、、、 2006/06/18 16:39
花いかだ
生きることの素晴らしさは、幸せを掴んだ結希子を通してあらためて実感させていただきました。ありがとうございました。 2006/06/18 13:57
花いかだ
結希子が愛する人を亡くし、生きる支えを無くしてしまった時、じっと見守り側にいてくれた勇の深い愛、 2006/06/18 13:54
花いかだ
初めてパウラさんの作品に出会い、過去旅でしたが夢中で読ませていただいたのが昨日のようです。 2006/06/18 13:49
パウラ
こころ41さんありがとうございます。初めましてでしょうか?BGMでお化粧してみました。この作品のテーマ曲と思っています^^。 2006/06/18 11:26
パウラ
>灯火のような<・・ありがとう。そんな立派なものではないけれど、皆さんのお心により添えたら、書き手として嬉しいです・・・。 2006/06/18 11:25
パウラ
nippoちゃんこちらにもありがとう・・。つたないながらも一生懸命書き続けたあのころの自分をも思い出させてくれます。 2006/06/18 11:24
パウラ
今もこんな風に、総集編、番外編、、、皆さんに愛される2人になれたこと、嬉しい~(T_T) 2006/06/18 11:23
パウラ
かなちゃんこちらにもありがとう。皆さんをはらはらさせながら書き連ねていった日々、、、(^^ゞなつかしいね~、、、。 2006/06/18 11:22
パウラ
kazuneさんありがとう。JOONを想う気持ちから生まれた物語だから、、、彼への愛が基本です^^。読んでもらえて嬉しいです♪ 2006/06/18 11:21
パウラ
ゆっこさんありがとう。総集編を書く機会があったので、、墓参りのシーンの中で回想する形式で書いてみました^^。 2006/06/18 11:20
パウラ
幸せはインスタントには手に入らない、、、。みんなといろんなこと考えたり語り合ったり、私にとっても大切な作品です^^。 2006/06/18 11:19
パウラ
しばしば「待てなくて」結希子を追いつめたり傷つけたり、そのことで自分も傷ついたり、、、でも結局は「待つ」 2006/06/18 11:17
パウラ
dattoちゃんありがとう。総集編を書いてあらためて思ったことなんだけど、、、、この物語は、勇にとってはひたすら「待つ」物語なの。 2006/06/18 11:15
パウラ
そういう話が書きたいんだよね、やっぱり、、、、。う~んこの2人からは離れられないわ(〃▽〃) 2006/06/18 11:08
パウラ
manakoちゃんが書いてくれたように、勇が得たもの、結希子が得たもの、、、お互いがお互いを成長させられるような関係、、、 2006/06/18 11:07
パウラ
manakoちゃんこちらにもありがとう^^。よく考えたらここが本家?なのに総集編置いていなかったのよ。いい機会だからと思って。 2006/06/18 11:06
パウラ
mikeちゃんこっちにもありがとう。動画のように動く?嬉しいです~(〃▽〃)「四月の雪」で「ドクター」の映画作れるかも(笑) 2006/06/18 11:05
パウラ
tartaruちゃんこちらにもありがとう。>徳を積んだ<・・(〃▽〃)お経か聖書か?!いつも支えられていると感じます。ありがとう・・。 2006/06/18 11:04
こころ41
ピアノのBGMと重なって、静かで、切なく、愛おしい、奥ゆかしい、真実の愛を感じました。穏やかな空気がありますね!! 2006/06/17 23:58
nippo
命の重み、本当の幸せの意味、夫婦である事の意味… ずっと心を照らす灯火のような物語です。 ありがとう… 2006/06/17 23:28
nippo
何度読み返しても、心に新鮮に深い感動を与えてくれるこの作品。散りばめられた数々のことが、繋がってまた波のように感動が訪れます。 2006/06/17 23:24
はしかな
思いはあの日に戻って行く・・そんな感慨に浸っています。あの日の積み重ねがあったから、今が幸せだと心から信じられます^^。 2006/06/17 23:04
はしかな
勇と結希子・・二人が苦しみもがきながらも、お互いの絆で成長し強く生きていく姿を、懸命に見守っていた日々・・。 2006/06/17 23:02
kazune
優しさと愛に溢れた言葉たち・・・パウラさんの世界は温かい^^愛で人は強くなれますね。二人の幸せを願っています。 2006/06/17 22:54
ゆっこ
二人のその後ですね。暖かい家族を築いてきたのですね。これからもずっと幸せが続きますように。。。 2006/06/17 16:56
datto
創作の中に散りばめられた、パウラさんの真実の言葉に出会えた事・・・本当に幸せに思います。 2006/06/17 14:46
datto
勇と結希子の姿に、改めて命を授けてもらった事への感謝と、新たななる命を授かる幸せ実感しました。 2006/06/17 14:42
datto
二人の辿って来た道のりに、何度も胸が締め付けられ涙が止まりません。 2006/06/17 14:36
manako98
天の二人も結希子の幸せを心から祈っていると思います。久々にこの二人に浸りました~ 2006/06/17 09:17
manako98
勇は本当に大事な大事な宝物を見つけ、結希子は生きる喜びともう一度愛することを勇から受け取った・・・胸が熱くなります~ 2006/06/17 09:10
manako98
哀しみの淵から救ってくれる人との運命の出逢い・・・しっとりと二人の愛の軌跡を振り返りました~ 2006/06/17 09:09
mike86
この2人はもう私の中で動画のように動きます。何度も読み返した作品、またあらためて総集編で見るとフラッシュバックが…ありがと~ 2006/06/17 09:00
tarutaru
何度読めば、涙出なくなるんだろう。命の大切さ、心洗われる想い、この作品を読むたびに徳を積んだように感じます。ありがとう・・・ 2006/06/17 06:20
 
 

IMX