夢から覚めた今も

あの真夏のアリーナの　
夢のようなあの日から
一年が過ぎようとしている
けれど　私の心の中ではいまも
あの感動が息づく

スポットライトの降りた瞬間
思わず息を潜めてライトの照らす先を見つめた
そこに…
あなたが笑顔で　手を振ってたたずんでいた
その瞬間　会場が揺れるほどのどよめきが走った

嬉しそうに手を振りながら花道を歩く姿
私の場所から　その姿はは小さかったけれど、
大画面に映る笑顔がとてもまぶしかった

あなたの一言一言が　私達を感激で満たしてくれた
会場を見渡す眼差しに　限りない愛があふれていた
あの日　あの空間一杯に…
いいえ中継で繋がれた各地のサテライトにまで
あなたの愛とみんなの感激があふれた…

青い光が揺れる　あなたの一言一言に…
あなたの場所からあの光の海はどんな風に見えたのだろう
私の場所からもとても美しく心に残った…
夜空に輝く星よりも　美しく揺らめく青い光達
私も手にした青い光を思いっきり振り続けた
この光があなたの瞳に届くようにと…
そこにあるのは優しい想いと感謝の思い
何万もの想いがただ一点を見つめていた

最後にあなたが　あの白い階段を
一歩ずつ　ゆっくり登っていく
その一歩ずつに　みんなの思いが追いすがって
あなたが立ち止まって振り向いた瞬間
ため息があふれた…
立ち去りがたいあなたの思いが
遠い立ち姿からさえも　ひしひしと伝わってきた
そして、振り切るように背を向けて
あなたは振り向くこともなく
階段を駆け上り　そして袖に消えた
一瞬　後ろ姿に涙が重なった気がした…

もうあなたが　ステージに戻っては来ないと　
わかっていてもなお　すべての視線は
あなたの消えた処に釘付けのままで
会場一杯にふくれあがった思いが…
しずかにゆっくりとしぼんでいった…
夢の時間がおわった　瞬間だった

埼玉のあの日は　いつもネットでしか会えない「家族」たちと
たくさんの「初めまして」の挨拶を交わした
こんなに沢山の人と　しかも心の通った友達と
実際に逢うことができるなんて　夢のよう

そのとき　私はまだあなたの映画を見ていなかった
公開の日は沢山の「家族」と一緒に並んで
スクリーンのあなたを見つめ続けていた
一緒に行った友だけではなく
きっと映画館中が「家族」だったに違いない
映画が終わって　みんなでお茶を飲んで帰った
そこでの話題は　やっぱりあなたのことばかり

そしてまた　別の日にも
何人かの「家族」と一緒に　
予約席でスクリーンに見入っていた私
こんなにも沢山の友と
一緒に映画を見るなんて　はじめて…
しかも何度も…

この秋　私は新幹線に乗って
再び　映画の中のあなたに会いに行く
あなたをこよなく愛する「家族」といっしょに
そしてその場所にも「家族」が待っていてくれる

あなたのくれた絆は
日に日に　太く長く伸びていく
もしも宇宙から地上を見下ろしたら
あなたの紡いでゆく美しい軌跡が見える気がする

あの夏の日の夢の中で　感じた幸せな想い
あの日の夢から覚めたはずの今も
あなたの声も姿も　昨日のことのように思い出すことができる
そう、あの日の夢から一年たとうとする今も

そして、同じ処にとどまっていることを知らないあなたの中には
あの日のあなたは何処にもいない
その姿は　私達の心の中にいまも鮮やかに残っているけれど
新しいあなたの姿は　もうあの日は夢だと語っている
だから私達は旅に出る
あなたの折々の姿をとどめた作品の世界に
昨日も　今日も　そしてあしたも…