ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
B.S.J.
B.S.J.(https://club.brokore.com/bsj)
会員にならなくても、どなたでも、愛と笑いのある書き込みなら大歓迎!「はじめまして」の挨拶はいりません。 ずっと前からいたような顔をして スッ!と参加しちゃってくださいね
サークルオーナー: satovic | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 5773 | 開設:2004.08.05 | ランキング:4(69306)| 訪問者:4280313/9841100
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 374M/400M
メンバー Total :5773
Today : 0
書き込み Total : 12076
Today : 0
satovic劇場Annex
satovic劇場Annex
No 24 HIT数 1820
日付 2004/10/04 ハンドルネーム 最高尚宮
タイトル ボーダー! 第3話
本文 タイトル | ヤン室長へ Satovic 劇場からの御中元 第3話 | [219.207.144.77]
投稿者 | satovic 投稿日 | 2004/07/04 12:00:12 アクセス | 5272
内容 いい天気ですねー!もうすっかり夏休み!ってカンジの日曜日です。
このスレッドは ヤン室長に、ヨンジュンさんの 次回作の検討候補のシノプシスを
御中元がわりに送っちゃおう!という主旨で 書きはじめた創作ストーリーです。
第一話 No.28847 第二話 No,28647 から続いています。

 「俳優として よりチャレンジの多い作品をやりたい」

 「イメージを固定したくない、みんなを驚かせたい」

 「アジアを結ぶ役割を果たしたい」

という ヨンジュンさんの3つの注文にあわせた作品にすることを念頭におきました。
来日直後から発想はあったのですが、今日お届けする部分で勉強が足りないため、
私なりに いろんな方に取材させていただき、本も読みました。
それでも まだ当事者の方達からはお叱りがあるかもしれません。
言いにくいことがありましたら、どうぞその旨は ブロコリメールで
直接お知らせください。必ずお返事いたしますので.....

誰の心も傷つけることなく、楽しい作品になっているように....祈ります(^^;)
Love forever
Satovic


では第三話 開幕!

-------------------------------------------------------------------------
ペヨンジュン次回作候補? 日韓合作ドラマ「ボーダー!」  written by satovic

     主役:崔 永珍(チェ・ヨンジン).....ペ・ヨンジュン
     原作:シドニー ポラック監督 「トッツイー」
     翻案 / 脚本:satovic


第三話

次の日、撮影はアクションシーンにはつきものの 港の倉庫街だった。
休憩時間、台本片手に海をみつめていたヨンジンの脇に 優美子が腰をおろした。

 優美子:「きのうは ありがとう。手、大丈夫?これで冷やして.....」
 
      生卵を差し出す優美子の言葉は流暢な韓国語だった。
       韓国語には女性形と男性形の語尾の違いがない。
       これまで無口だったヨンジンも、安心して話すことができた。

ヨンジン:「在日.....同胞なんだね?」

 優美子:「ええ、3世よ。」

ヨンジン:「ウリマルがうまいんだね。韓国で勉強したの?」

 優美子:「ううん、いったことないわ。恐くって....」

ヨンジン:「恐い?どうして?」

 優美子:「入国審査でパスポート破かれたりしたら嫌だもの(笑)...」

ヨンジン:「そんなことって.......?」

 優美子:「そうよ、在日の女性が、韓国人なのに韓国語もしゃべれないのか?って
      パスポートをやぶられた事件が実際にあったわ......。
      私達って 日本人でもない、韓国人でもない...なにか...特別な感じよ」

ヨンジン:「3世は殆ど韓国語を話せないって聞いていたけど、優美子は特別?」

 優美子:「私、ハルモニに育ててもらったから....」

ヨンジン:「オンマは?」

 優美子:「いないの。」

ヨンジン:「ミアネ...」

 優美子:「ううん...別に...。私がまだ小さかった頃 日本人と結婚するって
      出ていったわ。帰化するって言ったらおばあちゃんが許さなくって...。
      ハハ...捨てられちゃった...私.....親がいるのに捨て子よ............
      あれ? 捨て子ってみんなそうね?捨てる親がいるから捨て子よね(笑)」

 ....さびしそうな横顔だった。いままでの脳天気さを装ったアイドルの顔でもなければ
 アクションができずにイライラする時のヒステリックな顔でもなかった。
 
 優美子:「でも いいの。ハルモニが、ヨンエヤー ヨンエヤーって そりゃあ
      可愛がってくれたから。ウリハルモニは とっても料理が上手いのよ!
      キムチも....チャプチェも...絶品よ!」

ヨンジン:「うらやましいなあ。こっちへ来てからロクなごはん食べてないよー(笑)
     今度たべさせてよ ヨンエ...。.ヨンエっ.....て名前なんだね?
      どうして本名を名乗らないの?」

   ..........................優美子の表情が急に変わった。

 優美子:「やめて!ヨンエなんて呼ばないで!絶対に!
     隠したくて隠しているわけじゃないわ!それでも本当のことを隠して
     生きていかなくちゃいけないつらさなんて あなたにはわからないわよ!」

 以前のヨンジンならわからなかったかもしれない。しかし今、
 男であるという ごく当たり前のことを隠さなくてはならない ヨンジンには 
 優美子のつらさがわかるような気がした。

ヨンジン:...............................
 優美子:「とにかく、このことは絶対に秘密よ! 絶対にヨンエなんて呼ばないで!
      私の26年をムダにしないでよ!アラッソ?」

 怒鳴って立ち去っていく優美子の後姿は、いつもの強気でわがままな女優に
 戻っていた。しかしヨンジンは それが彼女の精一杯の強がりだということに
 気付いてしまった。小さなハイヒールに足を押し込んで、女はみんなこんな風に
 生きているんだろうか.....海風にひらめく自分の長い髪が重く感じた。
 
ワイヤーの一件があってからは 優美子もアクションの稽古に残るようになった。
ビジネスライクなマギーは プロらしく、自分の出る場面が終わると
サッサと帰ってしまったが、ヨンジンは何度やってもできない優美子のために
遅くまで残って稽古をつけるようになった。2人だけなら韓国語で教えられる。
少しづつだが 回し蹴りも 空手の型もできるようになっていく優美子。
サンドバッグ代わりにされて キャアキャアと逃げ回るギボンには気の毒だったが
ヨンジンは優美子の進歩に目を細めた。それは 内気で、教えることに向かないから
と武道の道をあきらめていたヨンジンにとって自分の殻をひとつ壊した瞬間でもあった。
そのお礼に、と 優美子はヨンジンに日本語を教えた。少し漢字も読めるようになった
ヨンジンは 身のまわりにある日本語が読めるようになってきたことが嬉しくて仕方がない。
撮影所のロビーにあった自動販売機のポップを指でなぞりながら読み上げた....

ヨンジン:「ウオンギ.......はちゅ...らちゅ?」

  後ろで順番待ちをしていた女の子が 笑いながら甘い発音をなおしてくれた

   彩:「ゲンキ は.つ.ら.つ...よ」 

ヨンジン:「どんな意味?」

   彩:「センギバルラル!」 

ヨンジン:「ああ、そんなCMあったね!はちゅらちゅー!」

   彩:「はちゅらちゅー!」
      笑いながら 腰に手をあててドリンクを飲む自販機前の2人であった...
           ......(^^;).友情出演 上戸彩 sponcered by 大塚製薬...........

遅くまで二人で稽古する日が続くと、ドラマ収録の最中に 
中谷が嫌がらせをしてくるようになった。
ヨンジンが聞き取れないような日本語のセリフをアドリブでぶつけたり、
セクハラまがいのあの手この手で迫ってくる。しかし 武道の達人でもあり
男の気持ちのわかるヨンジンは 身体も言葉も たくみに堂々とかわしていく。
その賢く勇気のある行動は 中谷の横暴を許していた現場の女性達にも勇気を与え
優美子もまた、そんなヨンジンを見て自信を養っていった。

しだいにヨンジンをオンニとして頼りにしていく優美子。
そしてヨンジンもまた 女らしさの押し付けは 自分が当たり前だと思っていた
男らしさへのこだわりの裏面であることに気付きはじめた。
ふたりの間には友情が芽生え、優美子は韓国と日本というボーダーを、
ヨンジンは男らしさ、女らしさというとらわれを 次第に振り払っていく。

ドラマの地方ロケで旅館に泊まることになった。
浴衣に丹前姿にはなれても、絶対に大浴場にはいけないヨンジン。
部屋に残っていると 優美子がセリフあわせをしよう、と来てくれた。
自分を姉のように慕ってくれる優美子。しかし、ヨンジンのこころの中には
友情をこえる感情が育ちはじめていた。ヨンジンが中谷の役になると、
優美子は ヨンジンの腕の中に身をまかせるように寄り掛かってきた。
耳までドキドキするヨンジン。
あまりの鼓動にセリフがうまく出てこずに、胸がキュンとする。

笑いながら優美子はヨンジンの腕を自分の首にまきつけた。
優美子:「オンニといると安心する....。オンニが男だったらいいのにな....。」
                 
とヨンジンの腕の中で甘える優美子。のどから心臓がとびでそうなヨンジン!
このまま抱きしめてしまいたい....でも、男としての気持ちを出すわけにはいかない....!
シャンプーのいい香りのする優美子の頭が 自分の腕の中にあるというのに!
姉として彼女の体を抱きよせながらも せつない気持ちで見つめることしかできない
フルメイクばりばりの美しいヨンジンの顔が せつなさに歪む...

 優美子:「ねえ、オンニ...男って面倒くさいと思うことなーい? いっそのこと、
      何も面倒なことを言わずに、いきなり目の前にあらわれて 
      君しか見えない。僕のものになってくれってギュッとワイルドに
      抱き締めてくれたら その場でキスしちゃうのにねー!(笑)」

ヨンジン:「ハハ...ハハハハ....」    乾いた声でわらうしかないヨンジン。
                   その晩は一睡もせずに朝を迎えた。

彼女が絶対にOKする告白法を聞いたのだ。それをやらない馬鹿がどこにいるか?
カツラも メイクもすべてつけず、素のままの男に戻って優美子に好きだと言おう!
優美子はこの撮影にはいってから 近くの神社まで毎朝ジョギングに行くのを
日課にしていた。ヨンジンも久々に素にもどってジョギングウエアを着て
早朝の神社で優美子をまった。

一汗かいて、神社の手水鉢のところで水を飲む優美子。
背後から近付いたヨンジンは優美子の肩に手をかけ、ふりむかせざまに 言った!。

ヨンジン:「君しか見えない!僕だけを見て!僕のものになってくれ!」

一瞬の間があって....
..................次の瞬間 ヨンジンは頭からずぶぬれになっていた。

 優美子:「キャアー!助けてー!」

ひしゃくでヨンジンに手水鉢の水をかけながら優美子は神社の階段をかけおりていった。
明らかに変質者と間違われたのだ。
その日からこの地域には変質者が出没するということで、ロケが終わるまで、
ヨンジンにもSPがついた。思いきりデブで 役にたたなそうなSPを眺めながら、
ギボンはクックックと笑いをこらえることができない。

ギボン:「世の中には白と黒以外のものもあるってことを学んだわけね?
     プッ.......ククククッ!」

そんなヨンジンをやきもきしながら眺めていたのが 一緒に暮らしていたミソンだった。
ヨンジンが 
日本のマンションでひとりで暮らしをしていると 
ひとつのドアから女装のヨンジンと 男姿のヨンジンが出入りするため 
同棲しているように見えて具合が悪い。それをカモフラージュするために、
デハンエンタープライズの社長命令によって ひとつ屋根の下で 
ヨンジンとミソンとオカマのギボンとで 3人の奇妙な同居生活を送っていたのだった。
おカマのギボンのアドバイスを受けて 次第に女の気持ちがわかるようになっていく
ヨンジン。痛いほどけなげなミソンの気持ちに気付くものの、どうすることもできない。


ドラマの視聴率は好調に伸び、地方局へのキャンペーンもかねて 優美子の地元で
サイン会が行われることになった。地元では優美子のハルモニが 山程のごちそうを
作ってまっていてくれた。久々に家庭の味を満喫するヨンジン、ギボン、ミソンの3人。
典型的な全羅道の 繊細で優しいハルモニだったが、食後に 隠れて煙草を吸おうとした
(韓国では目上の人の前ではタバコは吸わない)ミソンとヨンジンに厳しい喝が飛んだ。

ハルモニ:「ミソヤー!ヨンジナ!若い女はタバコを吸ってはアンデ!
      年をとったら何をやってもかまやしないさ。      
      でもね、あんた達はこれから母親になるんだよ。それまでは自分の身体を
      汚しちゃだめだ。タバコは血を汚すからね。
      アンタの身体はアンタだけのものじゃないんだ
      そこが男と女の違いなんだよ。 
      だから今のアンタたちは タバコは吸ってはいけないよ...いいね?」

ヨンジンは素直にしたがった。それが今 女という皮を着ている自分の勤めだと思った。

ハルモニ:「でもね...そんな苦労をして産んで育ててみたって.....」

ハルモニは焼酎のグラスを手に遠い目をした。優美子の母親のことを思っているのは
誰の目にも明らかだった。
みなが寝静まってからでないと ヨンジンはカツラをはずせない。
ひとり縁側に出て月を眺めていると、優美子が白い封筒の束をもってきて隣に座った。

 優美子:「これね...全部オンマからの手紙なの。」

ヨンジン:「封も切ってないんだね...。まだ許してないの?」

 優美子:「違うの。ハルモニはね...字が読めないのよ。あの時代、故郷でも日本でも
      教育を受けることができなくて....。本当は読みたいんだと思う。だから
      こうして 綺麗なお菓子の缶にいれてとってあるのよ。でも一度も
      読んでくれって言われたことないわ...」

ヨンジン:「..............」

優美子:「御先祖様に申し訳がないと思っているのよ.... 帰化したら 御先祖様の
     チェサする人がいなくなる、姓を継ぐ人がいなくなるのが申し訳ないって...
.     だから、許したくても許せないんだろうと思うわ。オンマはね、この町が
     嫌いで出ていったのよ。在日の同胞ばかりが集まっているこの町から
     出たかったんだと思う。私だってそう思ったわ。日本には差別がない、
    と思っているでしょう?でもね、まだ無くなったわけじゃないのよ。
    オンニはいつか、どうして本名を名乗らないのか?って聞いたでしょう?
    私だって、昔は本名でアルバイトを捜したことがあったの。でも 全然
    だめだった。一ケ所も雇ってくれなかったわ。ところが、日本名にした途端、
     同じところにすぐ採用されたの。いじめられたりするよりも、相手にされて
     いなかった....ってことを思い知らされて、余計に辛かったわ....。
     この町の出身ってことだけで、そんな風に遠巻きにされたりすることが 
     まだ 残念だけど残っているのよ...。だから、芸能界にはいりたかった!
     芸能やスポーツの世界なら 実力本意の世界だものね!
     ...でも....結局......私は 中谷のオンナ になっちゃったわ....
     あんな嫌なやつって思うけど.....でも、私は今の地位を失いたくないの!
     またこの町へ戻ってきたくないの。だから、あいつの力が必要なのよ....」

ヨンジン:「優美子....。顔をあげて。
      ねえ、生まれたばかりで言葉のはなせる赤ちゃんがいる?
      芽が出たばかりで花の咲く種子はある?」

  優美子:「オンニ、いったい何の話し?」

ヨンジン:「優美子に必要なのは あいつじゃない。練習だよ。」

  優美子:「練習?」

ヨンジン:「そう、最初から回し蹴りはできなかったけど、少しづつ練習したら
      できたでしょう?それと同じだよ。自信がなければ 自信が出るまで
      練習すればいい。いつまでも彼に寄り掛かっているつもりなの?
      練習をすれば 彼がいなくても優美子をドラマに出したいっていうPDは
      たくさん出てくるはずだよ?彼から一人立ちする練習をすればいいだけ。
      韓国のね、山にいる 仙人みたいな師匠がよく言うんだ。
      できなかったら できるようになればいいだけだ。
      最初からできるやつはおらん。って(笑)」
                   やさしく微笑むヨンジン......

  優美子:「オンニ....!(後ろから抱き着いてくる優美子)
       ありがとう...私...オンニに出会ってから 随分変わったわ......
       強くなれた!(笑)
       実はね、オンニ...私、今 新しいPDの片岡さんに 
       おつきあいしようって言われているの....」

 ヨンジン:「カタ...オ...カ....?」

  優美子:「そう。彼が相手だったら 今、局で一番力をもっているPDさんだから、
       あいつも嫌がらせできないんじゃないかと思って....
       あ、でも...そんな政治的な意味だけじゃないのよ。
       彼って..... とっても優しくて....勇気があって........
     中谷のこともわかっているのに 私につきあわないか?って言ってくれたの。
     でも...彼って副総理の息子さんだから.....もしも結婚なんてことになったら...
     きっと国籍のことが問題になるんじゃないかって.....こわくて......
     足がすくんじゃっていたの.....オンニといると そういうこと、全部
     解決できそうな気がするわ!勇気が湧いてきちゃう。センギバルラル!ね?
     ねえ、オンニ、今日私と一緒のオフトンで寝ようよ!
     もっと話しを聞かせて?」

 ヨンジンが断ったことは言うまでもない。全員が寝静まった夜更け...鏡台の前にすわり
コールドクリームでゴシゴシ化粧を落としながら ヨンジンは鏡にむかってポツンとつぶやいた...

ヨンジン:「ヤー! チェ・ヨンジン! お前......一体ナニしてるんだ?.......」
       

              .....................3択の最終回へと つづく........


 
 
 

IMX