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B.S.J.
B.S.J.(https://club.brokore.com/bsj)
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サークルオーナー: satovic | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 5773 | 開設:2004.08.05 | ランキング:4(69306)| 訪問者:4634117/10194904
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satovic劇場Annex
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No 43 HIT数 5843
日付 2004/12/24 ハンドルネーム 最高尚宮
タイトル パイライト4 番外編Merry Christmas!
本文 「勘弁してくださいよー先輩。これじゃ休暇中のヨンジュンを探し出して 邪魔するための企画じゃないですか!私はイヤですよ!おります!」

歌島PDから渡された夕方ニュース向けの企画書のタイトルは「ヨン様をさがせ!007大作戦!」パラッと目を通した里子は すぐに その紙の束を投げ出した。

「まあ そう言うなよ里子。俺だって抵抗したんだよ こんなの芸能班にやらせろって。おれたち報道の仕事じゃないって。だけどさ、この間のパイライトのこともあって 上の方はみんなヨン様企画なら里子にやらせろってうるさいんだ。」

「そりゃあね ヨン様番になって四六時中くっついて歩けるならありがたいですけどね、この企画じゃあ休暇中の彼のプライバシーを暴くだけで 何の公共の利益にもならないじゃないですか。」

「わからんぞー里子。休暇じゃないかもしれないじゃないか? 第一 この間きたばっかりで なんでまた日本なんだよ? 休暇にいくなら アメリカの方が自由にできるし、孫さんとジックリ話したいなら 韓国にいた方がいいじゃないか? なのに なんで日本に来るんだ? おかしいと思えよ。ジャーナリストは先入観に惑わされちゃダメだ。基本を忘れるなー!まーず 疑え!」

「ああ、もう まーた基本ですか?はいはい。もし休暇じゃないとしたら どうしても日本でなくちゃいけない理由があったってことですよね?つまり、特定の「場所」に行くために来たのか もしくは 特定の「人」にあうために来たのか?....」

「場所だとすれば どうしてもいきたい場所か、いかなくちゃならない場所だってことだよな。でもなあ、行きたい場所ってのは この時期にわざわざ入国しなくてもお忍びでいけばいいわけだから...。そうなると 今いかなくちゃダメな場所ってことだな...うーん... 日本進出のためのオフイス探しとか そういう仕事上の場所かもしれないな。六本木ヒルズが気にいっちゃって あそこにBOFの東京オフイスを作ることにきめた、とかさ....」

「カッコイイー!ヒルズを背負ってたつヨンジュン。絵になるわー!でも家賃高そうー!(笑) 人だったらどうです?」

「普通の人なら 韓国へ呼べばいいわけだろう? それが ヨンジュンの方から日本へ出向いてきたわけだから よほどの大物か..... よほど年寄りかのどっちかだな ハハハ」

「大物ねえ....個人的にBigなスポンサーってことですかね....。企業がらみか....韓国系の資産家か...政治家か.....? でも ヨンジュンは充分にお金持ちなんだから 融資をしてもらう必要ないと思うんですけど...」

「孫さんが一緒ってことは IMXにその必要があるのかもしれないぞ。アウトソーシングせずに たった20人で10万件の注文をさばこうと無茶をしたのは 頼むだけの時間がなかったか?金がなかったか?のどっちかだろうな....。外国人だと銀行も渋いだろうしな....」

「でもIMXはBOFと資本関係があるわけじゃないんですよ。親子会社でも なんでもないんですから ヨンジュンがそのために出てくるのはオカシイ話じゃないですか?」

「そうだな....じゃ、日本人の恋人とか、絶世の美女がいて...ってのはどうだ?女優の菅野美穂ちゃんと銀座で食事をしてたとか週刊誌に書いてあったぞ?」

「あー もう先輩の推理は いっつもそこへ言っちゃうんですから!週刊誌の言っていることなんてアテになるわけないでしょう!そりゃ確かに菅野美穂ちゃんは チョンドヨンちゃんに似てるし ヨンジュンが気にいってるって噂ありますけど 彼女が出ている作品で 韓国で放映されているドラマや映画なんてないんじゃないですか?「大奥」?まさか「イグアナの娘」じゃないでしょう? 韓国の方が美人は多いし、第一 ヨンジュンの場合は 言葉も通じないのに恋愛になんてならないですよ!それよりも 福島に近くて仕事関係であいたい人がいるってのはどうです? たとえば....彼が尊敬する宮崎駿監督の長野の別荘にいくとか....タケシさんの軽井沢の別荘に招かれて映画談義とか....それなら福島からはいってきたのもわかりますよね?」

「うーん、だがなあ、あんまり福島って土地にこだわるこたあないぞ。福島なら都内から3時間でいっちまうから 成田とそれほど遜色ないんだよ。成田まで2時間で、中に入ってからも なんやかんやと時間がかかることを考えたら 福島空港は車とめてから10歩でカウンターの中まではいれるほどコンパクトだからさ、成田の代わりに使うにはいいチョイスだよ。だから あんまり東北や信越エリアにこだわる必要はないんだ」

「それじゃあ 都内に潜伏ってことも考えられるし、前回みたいに箱根のMさん家の別荘にいくとかも考えられるんですね? 」

「そういうことだ。都内で一番隠れやすいのは ニューオータニだろうな。あの事故のあとなんだから、誰もまたニューオータニとは思うまい?タワーの方なら目立たないしな。そしてコッソリ D社あたりと築地の料亭で一席....なーんてこともありそうだろ?」

「あ、お座敷ならまかせてください! 里奴の潜入取材ってのどうです?
 金じゃとらない左褄!ヨンのためなら頑張るワーン!」

 (里奴....ほりごたつで 和服のヨンジュンとさしつさされつ....ポワーン....)

「な、やってみたくなっただろ?この仕事?」

オモオモ! おもわず首を縦に振ってしまうところだった。

「いーえ、イヤです! 私は 絶対にJoonを売るようなことは出来ませんっ!」

大声をあげた里子の横へ キャスターのついたイスを滑らせて グーンと近付いてきた歌島は 周囲をチラッと見回して そっと耳うちした。「適当に受けとけ!お前がやらなきゃ 他のやつに渡さにゃならん。本気で寝ほり葉ほりやられるのと どっちがいい?」

里子は体を離して驚いて歌島を見た。つまり この仕事を他のデイレクターにまかせると本気でヨンジュンを探し出しかねないから 私が受けて適当にやっておけというのだ。

「温泉かもしれないしー グルメかもしれないしー 適当なところを見つけて な?里子、休暇がわりに遊んでこいよ。7分くらい埋めてくれればそれでいいからさ。とりあえずお前が受けてくれることが大切なんだよ 俺的には」

上からヤイヤイと言われている歌島の立場もわかったので 里子は恩返しのつもりで受けることにした。先週買った靴もまだまだ新品だし、本気でやらなくても7ー8分くらい ヨン様をキーワードに あちこちの小さな騒動をはさみこんで 彼が行きそうな観光地の画やグルメネタでもつないで それっぽい暇ネタにしておけばいいわけだ。ヨン様といれておけば数字はとれる。それでヨンジュンに害が及ばないように食い止められるなら これは受けるしかないだろう.....。



「あれ?お母さん 今日はヨン様公式ページじゃないの?めずらしいね」

受験を控えた長女の智恵が 風呂上がりの牛乳を片手に 私の背中ごしにパソコン画面を覗き込んで言った。

「日本地図なんか見て なにしてんの?旅行でもいくの?」

「うーん....それがね....こんどの特集でヨン様を捜せって言われちゃったのよ....」

「この間 松山の空港にたくさんファンが集まったけど待ちぼうけってニュースに出てたね。地元のラジオで流すくらいなんだから 本当にいたんじゃないの?」

「ああーん、もう そんな情報なら山ほどあるのよー。公式ボードで007情報撹乱作戦をやったら あんまりたくさんのニセヨンジュンさんがでてきちゃって どれが本当かわかんなくなっちゃって ミイラとりがミイラ状態よ。今日だって米子空港に50人くらい集まっちゃったらしいし。ソウルへの直行便のある地方空港なら どこでも可能性があるんだもの。捜せないわよー いやんなっちゃうわ....」

「アハハハ!おもしろいねー!作戦大成功じゃん!それにしてもヨン様 いったい何しに来たの?」

「あくまで個人的な旅行で 静かに日本を楽しませたいって公知はでてるのよー。でも歌島先輩は もっと裏があるかもしれないって言うんだけどね....」

「ママ、”信じるとは 信じられないものを信じること”でしょ?」

「あんたはドンヒョクかい?」

「そりゃ 毎日あれだけ DVD見せられれば イヤでも覚えますっての。」

「アハハハ!門前の小娘だわねー!アンタも立派にウリカジョクだわー」

「やめてよー気持ちワルー!あたしはね、被害者なんだから。
 いつもママからヨン ヨンって聞かされて 会ったことなくても兄貴みたいよ。
 なんでもわかっちゃうもんね! ママは自分の好きな人が行きたいところもわかんないわけ?」

「うーん...」

「ママが韓国へいったら まずどこへいきたかった?」

「そりゃあ、ヨンジュンさんのところだけど、まあ、彼はいないから...ロケ地ツアーかな...」

「じゃ、ヨンジュンさんも日本で自分の好きなものがあるところへ行くんじゃない?
 ジブリ美術館とか..宮崎アニメのロケ地ツアーとか。」

「アニメにロケ地はないでしょう?!」

「あるよ!」

「え?」

「千と千尋に出てくる銭湯は愛媛にあるんだよ。 道後温泉ってとこ」

「それ アンタのさっきいってた松山よ。あそこなら取材にいったことあるわ。近くに奥道後のゴルフコースもあるし...日曜日にハーフ回るくらいの時間はあるよね....うーん、そうだ!松山に来たかもってことで 奥道後の観光スポットでも紹介して お茶をにごそうかな.....」

「手抜きだー!この番組ー!視聴者センターに訴えてやるー!」

笑いながらゴクリとミルクを飲み干す智恵の横顔を見ていたら いつの間にか そのおもざしは少女から女性になりつつあるように里子には感じた。

「ねえ智恵、あんた学校で好きな人とかいないの?」

「ブハッ。やーだー!ママ突然そんなこと言うから牛乳こぼしちゃったジャーン!」

「ごめんごめん、あんまりアンタが大人みたいなこと言うからさ そろそろ好きな人でもできたんじゃないかなーって思ってさ」

「いないよー!そんなの。どうだっていいじゃん!だいたいね、私は好きな人ができてもママみたいに毎日毎日おいかけたりしないモン!ジッと見てるだけでもいいモーン!」

少し赤い顔をしながらコップの底に残ったミルクを飲み干す顔は 恋する乙女のものだった。

「ははあ、その顔は誰か い、る、ねー! 例のかっこいいサッカー部の子はどうなったのよ?明日そういえば最後の大会でしょ?応援にいかなくていいの?」

「うーるーさーいッ!いいの!ねえ、天気予報みせて!」

里子からマウスをひったくるようにして 智恵は明日の天気を調べはじめた。関東から東北にかけて雪の予報に 智恵は小さくガッツポーズをして 2階へ駆けあがってしまった。へんな子...サッカーの試合なのに雪で喜ぶなんて....アッ、そうか....降れば明日が初雪になる。智恵の気持ちがわかったような気がして 里子はほっこりした気持ちでマウスを握りなおした。さーて...どこへカメラを出そうか.....


「本当に来るんですかあ?こんなヘンピなところに...」

「一度来たんだから また来るかもしれなでしょ?福島空港って結構都内からの便がいいのよ」

里子はカメラマンの木村に歌島の説を受け売りした。もしも彼にあえたら...間違いなくスクープだ。松山、広島、も時間のいい便があったが 里子は狙いを福島に決めた。なぜなら....ここだけが雪のふる可能性があったから...。ゆうべ智恵が初雪予報を見ていた時に里子も決めたのだった。初雪の日にヨンジュンと同じスペースにいられたら これからもずっと会えそうな気がするではないか。帰国の様子をとるだけなら 彼に迷惑をかけることにはならないはずだ。アシアナ航空OZ155便 9:20分発ソウル行き。里子と木村は到着の乗客を出迎えにきた夫婦者を装って エントランスの前で待った。大きなカメラをもっていれば警戒される。木村の手にあるのはハンデイカムだ。

午前9時10分。最終の搭乗案内が流れ もうあきらめかけた時、大きな白いワゴン車が玄関に横付けされた。降りてきたのは...夢にまで見た ペヨンジュンだった。木村はあわててスイッチをいれて 気付かれないように腰の位置でカメラをまわしはじめた。里子は近付いて声をかけようと思ったが 彼の後ろから降りてきた女性を見て足がとまってしまった。彼にそっくりな目鼻だちのふくよかな女性は、週刊誌で見た彼のオモニムだった。楽し気なヨンジュンの笑顔。里子は声をかけるのをやめ、その場で2人がゲイトの中へ消えるのを見送った。

「やったぜ!大スクープ!とれましたよー!バッチリです!チェックしますね。」

木村の手の上の小さな画面の中では 旅行を手伝ってくれた日本在住の韓国の人々に世話になった礼をいいながら 一所懸命に手をふるヨンジュンとオモニムの姿があった。

「うおお!こりゃあ、局長賞ものだー!これってママヨン様ですよね?きっと。二重の大スクープだよ! ボーナスあがるぞー!」

嬉しそうに小おどりする木村の横で 里子は手を出した。

「OK! 原稿ちょうだい!」

里子は小さなテープを受け取ると 2人はすぐに東京へ戻るべく 空港ビル前の駐車場へむかった。

駐車場で 里子が目で探していたものは 2人の車の3台手前にあった。

「あっ!」

里子は大きく叫ぶと つまづいたふりをして 探し当てたその水たまりの中へテープを落として 踏んづけた。

「ああーーっ!」

木村があわてて拾い上げたが テープはすでにビショ濡れで使い物になる状態ではなかった。

「な、なんてことをー!!!スクープが!俺のボーナスがー!」

「ごっめーん!どうしよう!新しい靴だもんでつまずいちゃって.....。体制たてなおそうとしたらよろけて踏んじゃったのよー。せっかく木村君がとってくれたスクープだったのにー!ごめん、ほんっと申し訳ない。歌島さんには私から謝るわ。やっぱり...普段はきなれないヒールなんか履いちゃったもんだから、主婦探偵はダメね...。ホントにごめんなさい。」

ガックリと肩をおとしながら もう何にも言いたくない、とばかりにむくれた木村が運転席へすべりこみ エンジンをかけた。気の重いドライブになるな...と 里子も助手席のドアをあけた時、轟音とともに アシアナ航空の黄銅色の機体が目の前を横切って 西の空へと飛び立っていった。見上げる里子の顔にひとひらの冷たいものがあたった。初雪だった。

ヨンジュンシ...私からのソンムリエヨ!メリークリスマス!

ビショヌレになったテープを、ソッとタイヤの下へ投げ入れると里子はドアをしめ 木村のランクルは走り出した。夕方のニュースが待つ報道フロアへむけて。

          ------パイライト 番外編 完------
 
leaf877
編集次第では真意が伝わらないこともあると感じております。 2005/03/13 01:25
leaf877
最高尚宮様(笑)、番外編も面白いですね!素人なりに時間、字面の制限があるかぎり、編集作業があり、編集が雑が丁寧かの違いがあり、 2005/03/13 01:24
haru1
24日に読ませていただいていました。愛媛に住んでいます。楽しく読ませていただきました。千と千尋を見てみようと思いました。 2005/03/06 07:48
manyam
すっかり里子ファンになりました。次は何かな~。報道班じゃ、新作映画取材はダメ?そこを何とかお願いします! 2005/03/06 02:00
arumin
お母さんと一緒だと何処に行くんでしょうねー?仲が良さそうでいいですね。そんなにそっくりなの? 2005/03/04 21:33
shiosai
金じゃとらない左褄...ハゲシクカンドンしました。目にした瞬間妄想が高速増殖とまらない。あなたのリードで島田も揺れる♪ 2005/03/04 15:59
purinnssi
は~~~よかった~~。本当にそうだったら嬉しいのに。ありがとうです。 2005/03/04 01:18
arayo
幻の番外編、読めてうれしい!真相は「そんなことありません。また来ます。」を証明したかった王子のサプライズ? 2005/03/01 13:22
sahhpire
閉鎖中にパイライトを読んで、取り付かれてました。番外編にやっとたどり着けて色々あったあの日の事を思い出しました。 2005/02/27 20:58
yonglass
トテモ アイタカッタデス・・・番外編・・。やっと 出会えました。オモッ!junpeiさんがいらっしゃる! 2005/02/27 08:18
ym77hiko
大好きなパイライトシリーズ、きっかけをくれるウリ王子にも、虚を実に、実を虚にする?satovic様にも感謝です。 2005/02/27 02:10
レイラ
おお~!やっと読めました。極秘来日の真相やいかに!本当にオム二ムを連れて来ていたりして?! 2005/02/27 00:13
rsyat
やっと探し当てましたパイライト番外編。ステキです(*^o^*)。satovic様、広島でこっそり(ドアとドアの間で)お世話になった者です。 2005/02/26 15:07
ALBERTa
すごくステキなラスト・・・・クリスマスに読みたかったとです。それにしても、謎の多かった王子の極秘(?)来日・・・でしたね。 2005/02/26 06:37
ottaka
コレが !  あの24日付、幻の番外編!これを待っていました!出会えて、読めて、感動してます! 2005/02/25 18:41
junpei581
スーパーではぐれた子供ですら、なかなか見つけられないのに都合のいい私です。ジブリロケ地屋久島にまで思いを馳せてましたヨン。 2004/12/24 07:20
junpei581
おはようございます。クリスチャンの彼ですもの、今日帰国ですね。この10日間、なぜかバッタリ出会えるような気持ち味わいました。 2004/12/24 07:17
 
 

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