B.S.J.のみなさん、こんにちわっ♪
泣いちゃだめっ! 泣いちゃだめよっ! 今回、『太王四神記』の前半部を彩った多くの人物が、命を落とします。 そして、ついにタムトクが、自らが望む人生と、自らが背負った宿命の違いを飲み込み、チュシンの王として覚醒を果たします(涙)。
繰り返しますが、ネタばれがお嫌な方は、スルーしてくださいますようにっ♪
では、タムトク覚醒の運命の3日間、最終章――。参りますっ!
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2007年10月11日放送 『太王四神記』 第9話
大河ドラマ風のオープニグタイトル。ニューバージョン。約4分間のCM
前回のダイジェスト。物語の復習の後、「第9話」の文字。
火天会の八角形の部屋でヨン・ガリョと大長老が計略を練っている。「太子は、おそらく兵士を集め、父親を守るためにクンネ(国内)城に戻ってくるつもりでしょう。しかし、クンネ(国内)城にはもう、王様の味方をする方はいらっしゃいません」と語る大長老。そんな大長老にヨン・ガリョは、「あなたの望みは何なのです。一度もお聞きしたことがない」と訪ねるが、大長老は「高句麗に仕えることこそが、私の願いです。ホゲ様こそ、高句麗の王であり、チュシンの王でらっしゃいます。明日の朝には、高句麗に新しい王が誕生するでしょう」と答えるだけだ。そして、そんな2人のやりとりを扉の影でキハが立ち聞きしていることも大長老にはお見通しだ。
火天会の階段をサリャンが降りてきた。そして、火天会の兵士を引き連れたサリャンが、クンネ(国内)城に侵入する。ついに、火天会と手を結んだヨン・ガリョ、ヨン・ホゲ親子が、ヤン王との全面対決に踏み切ったのだ。カクダンたち、近衛兵が応戦するが、火天会の兵士たちは圧倒的な強さだ。
その頃、火天会に幽閉されていたキハは、タムトクとの約束どおり王様を守るため、王宮に向かう方法を考えているが、廊下にも庭にも見張りたちが立ちふさがり、抜け道が見つけられない。しかし、王宮に向かいたいという強い願いが、キハの不思議な力を呼び起こす。身体から不思議な赤い光を発したキハは、空中に浮遊し、見張りの兵士たちを投げ飛ばし、脱出に成功する。
王の居室に向かったカクダンは、「王様、(安全な場所へ)お連れします」と進言するが、ヤン王は動かない。
城内。圧倒的な強さで近衛兵たちを蹴散らし、火天会の兵士たちが王のいる宮中の奥へと迫っている。そこに火天会を抜け出してきたキハが到着。右手に持ったマントを左右に振ると、その不思議な力に、火天会の兵士たちは次々と倒れていく。それを見ているサリャンに、冷たい一瞥をくれただけで、キハは、カクダンに導かれ、ヤン王と共に太室に入っていく。入り口で立ち止まったカクダンは、「ここは太室です。王家以外の人間は入ることは出来ませんが、(キハには)神殿から許可が出たと聞いています。王様をお願いします」という言葉を残して、太室の重たい扉を閉める。
太室の外で、ケガをした左腕を押さえ、ホッと一息つくカクダン。
太室の中。ヤン王は、「お前のことは覚えているぞ。息子の古くからの友達だろう? いつの日だったか、私の体に入った毒を解毒し、助けてくれたことがあったな。今日も私を助けにきてくれたんだね」と微笑みながら語る。王の前に膝まづいたキハは、「そのために参りました。どうしても王様をお守りしたいのです。そして、城外へお連れします。太子がお待ちです。お会いくださいませ」と語る。「太子が私を連れて来いといったのか? 遠いところに逃げろと?」と聞くヤン王に、「いいえ、あの方のお考えではありません。奴ら(=陰謀を企む者たち)は太子だけでなく、王様の命までねらっております。ここにいらしてはいけません」とキハは続ける。
ヤン王は、「命乞いをするために遠くに逃げようと?」と質問を繰り返す。「そのようになさった方が良いと思います。こんな宮殿から遠く離れ、美しく生きられることを望みます」とキハが言うと、「遠く離れて、お前と一緒に美しく?」とヤン王はさらに問う。「もう、このクンネ(国内)城は、あまりにも汚れ(陰謀が渦巻いていて)、お2人(=ヤン王とタムトク)のいらっしゃるところではありません。私がお2人をお連れして遠くへ参ります」と語るキハ。
「私もそうできればいいと思う。仲のよいお前たち(=タムトクとキハ)は楽しそうだったし、それを見ていた私も楽しかった。かわいいお前たちに(王宮を)遠く離れて清く美しく生きろと、私もそう言ってやりたい」と話しながらもヤン王は王宮を離れる気はなさそうだ。キハはさまざまな言葉を尽くして、ヤン王を説得するが、王は、太室に置かれた“高句麗の始祖、東明城王(チュモ)大王剣”を手に取り、唐突に別の話を始める。
ヤン王 「見なさい。この剣はチュモ王のものだ。多くの歳月が過ぎていても剣の色はあせることなく、剣の光がこのように輝いているのは驚きではないか。あそこに土器が集められているだろう、あれはユリ王が、各地から集められたもので、ユハ夫人が大事にしておられたものだ。ここに持って来てくれ」とキハに命令をする。
キハが命じられたとおり、壁際にある土器を取ろうとヤン王の近くを離れた瞬間、ヤン王は、手にとったチュモ大王剣を自らの胸に突き刺す。それは、「自分が窮地にあると知れば、タムトクは必ずクンネ(国内)城に戻ってくる。しかし、城に戻れば、タムトクは必ず殺される。タムトクを城に戻さないためには、自らの命を絶つしかない」と考えたヤン王の究極の選択だった。あまりの事態に驚き、ヤン王に駆け寄るキハ。
息も絶え絶えのヤン王は、キハに「すまない、キハ(注:原文では【アガヤ】=【息子の嫁を呼ぶ時に使う言葉】だと公式HPにふみさんが書き込んでいました)。私の息子はチュシンの王になるために生まれた奴だ。(太子を王にするために)私もお前もその足を引っ張ってはいけない。タムトクは(特別な運命を持って生まれた人物であり、その運命から)逃れることはできないんだ。だから、お前(注:再び【アガヤ】=【息子の嫁を呼ぶ時に使う言葉】)も私も、タムトクの妨げになってはいけないのだ。すまない。すまない……」と、まるで自分の娘に語りかけるように語り続ける。その言葉にキハは泣き叫ぶしかない。そして、キハが、ヤン王の胸に刺さったチュモ大王剣を力いっぱい引き抜いた瞬間、太室の扉が開き、カクダンが入ってきた。
抱き起こしたカクダンの腕の中で、ヤン王は、「このチュモ大王剣を太子に(渡してくれ)。そして、太子に、私の恨みを晴らしたければ、この国の、そしてチュシンの王に必ずなれと伝えてくれ」という遺言を残し、息絶える。「陛下! 陛下!」と涙を流すカクダン。
キハが、チュモ大王剣を引き抜く瞬間を見たカクダンは、ヤン王を殺害したのはキハだと誤解し、奇声をあげてキハに切りかかる。しかし、不思議な力に守られたキハに、カクダンの刃は届かない。ヤン王の遺体の横に座り込んだキハに、「誰の仕業だ。ヨン・ガリョの命令か? 言え!」と叫びながら、再び襲いかかろうとするカクダン。しかし、その時、太室に入ってきた大長老の不思議な力で、刀が空中を飛び、カクダンは壁に串刺しにされる。
大長老は「行くべきところに行きなさい。キハ様のなさったことは正しい。難しいことをやり遂げられました」とキハを讃えるが、キハは、「私ではない。私がこのような……。私ではなかった!」と叫び声を上げる(注:この【私ではない】には、【ヤン王を殺したのは私ではない】という意味と【朱雀は私ではない】【タムトクの伴侶は私ではない】という2つの意味がある……と公式HPでふみさんが解説していました)。次の瞬間、太室にある朱雀の絵が赤い光に包まれ、気を失うキハ。火天会の一員でありながら、タムトクへの止められない愛に葛藤するキハが、その苦しみから逃れるのには、気を失うしか方法はなかっただろう。
大長老に抱きかかえられて、太室を去るキハ。そして、自力で肩に刺さった刀を引き抜いたカクダンは、床に崩れ落ち、絶叫する。城内では、目的を成し遂げた火天会の兵士たちが続々と引き上げていく。
城内。死体の散乱する城の庭を歩くスジニは、うめき声を上げる顔見知りの兵士に駆け寄り、「カムドンおじさん(注:コムル村出身者。宮殿の状況をヒョンゴに報告していた人物)。どうされたんですか?」とその兵士を抱き起こす。その時、カクダンの同僚である女性近衛兵により、スジニは首筋に刀を突きつけるが、誤解はすぐに解ける。そして、別の女性近衛兵に抱きかかえられるように外に出てきたカクダンにカムドンは、「陛下は? 陛下はどうされた?」とヤン王の安否を尋ねる。何も言わず、涙を流すカクダン。それだけで、スジニもカムドンも事態を把握したようだ。
カクダンは、スジニに向かい「太子様に王様の最期の言葉をお伝えしなければ。太子様はどちらにいらっしゃるのですか?」と問いかける。そこに現れたヒョンゴに、スジニは「太子にもう一度会わなければならない」と伝える。ヒョンゴは「スジニ、だめだ。濡れ衣を着せられ、結局は太子を守ることができなかったではないか」と止めようとするが、スジニは「じゃまをしないで。テジャ城に行かなければならない!」と宣言し、「早く行こう!」とカクダンを連れて太子の元へ向かおうとする。「チュシンの王になろうとする人(=ヨン・ホゲ)が高句麗の王(=ヤン王とタムトク)を殺そうとしているなんて、何ということだ!」と語りながら、ヒョンゴも「スジニや!」と彼女たちの後を追う。
チュモ大王剣を抱え、大長老に負わされた深手に息も絶え絶えのカクダンを馬車の荷台に乗せ、ヒョンゴとスジニがテジャ城に向かう。再び、御者台で、「チュシンの王になろうという人が……」と語るヒョンゴに、スジニは、「村長! 早く行ってください!」と声を荒げる。「あぁ、そうだな」と我にかえったヒョンゴは、ようやく馬にムチを入れる。
テジャ城の城門前。馬で駆け寄るタムトクと黒軍の一行。しかし、彼らが近づくと、城門の扉が閉められてしまう。「どういうことだ!」と叫ぶチャグンドル。「私は太子タムトクだ。門を開けろ!」と叫ぶタムトク。しかし、城門の見張り台に現われたテジャ城主は、「太子タムトク様とおっしゃったのですか? まずは、武器をお捨てください。横にいる兵士達にも武器を捨てるように仰ってください」と告げる。セドルは、「何を言う。私たちは高句麗の傭兵だ。死ぬことがあっても武器を捨てることなど出来ない。お前はいったいどこの人間だ!」と叫ぶが、城主は頑として譲る気配はない。
さらに同じ場所に現われたヨン・ガリョの側近は、「太子様、チョ・ジュドです。覚えてらっしゃいますか? 本日、この国の方々に神殿と3部族長達が署名した報告が行き渡ったと聞きました。誰であっても太子をとらえたものは武器を押収し、クンネ(国内)城の神殿に届けよと。この城主はその命令を受けているだけです。ご理解いただけますか?」とタムトクたちを突き放す。
2人の立つ見張り台に向けて、矢を放ち、城名が書かれた巨大な木の看板に刀を投げて突き刺し、「この弓は13歳の時に陛下からいただいたものだ。これでも私が怖いのか? 門を開けろ、テジャ城主」と叫ぶタムトク。チョ・ジュドが「これ以上、余計なお考えはなさいますな、太子様。城主を言いくるめて城門を開けさせたりすれば、後方に控えている謀反軍達が城を全滅させることになるでしょう」と叫ぶ。そして、角笛の合図と共に、城門に現われた兵士たちは、タムトク一行に向かって火のついた矢を番え、臨戦態勢に入る。
一方、テジャ城の正面に広がる森の中には、火天会の兵士たちを引き連れたヨン・ホゲの姿があった。タムトクを見つめ、「高句麗の王は私だ。決められた者(=チュシンの王になるべきタムトク)よりも、頭のよい人間が王になるべきだろう。もう、待てないから始めたのだ」と部下たちに聞かせるように静かに語ったヨン・ホゲは、タムトクに向けて矢を放つ。
その矢を避けて馬から転げ落ちるタムトク。それを合図にしたように、城門からも森の中からもタムトクたちをめがけて、雨あられのように矢が飛んでくる。しかし、雨のように降り注ぐ矢の中で、左肩に矢が突き刺さりながらも立ち上がったタムトクは、じっとヨン・ホゲの目を見つめる。
森の中。荷台にカクダンを乗せたヒョンゴとスジニの馬車がテジャ城に近づいている。「テジャ城だ」とカクダンに伝えるスジニ。ヒョンゴが馬車を止めたのを見て、「行かないのか?」と聞く。
別の森の中。太子を守るために城を出たコ・ウチュン将軍率いる騎馬隊が走っている。
肩に矢が刺さったまま、ヨン・ホゲに向かって歩みよるタムトク。馬に乗ったままタムトクに近づくヨン・ホゲ。「もうやめよう。私ひとりを殺して戻れ」というタムトクに、「もう遅い。私の顔を見てしまった以上、(口を)ふさがねば(=殺さなければ)ならない」と答えるヨン・ホゲ。タムトクが「ヨン家のホゲよ」と呼びかけると、ヨン・ホゲは「私の母上の敵、タムトク!」と声を荒げる。ヨン・ホゲが争いを止めないことを悟ったタムトクは、自ら左肩に刺さった矢を半分ほどに折り、「高句麗の勇者として自分の力で掛かって来い。どうした? 戦い方を知らないのか?」と、ヨン・ホゲと戦うことを決意する。
タムトクの言葉に、「フッ」と息をついたヨン・ホゲは剣を抜く。同時に、後ろに控える火天会の兵士たちが身構えるのを見たヨン・ホゲは、火天会の兵士たちが手出しすることを断り、ひとり、タムトクに向かっていく。次の瞬間、セドルから投げ渡された槍を手に取ったタムトクも、ひとり、ヨン・ホゲに向かっていく。男と男、1対1の戦いが始まった。
そこへヒョンゴとスジニ、カクダンを乗せた馬車が到着する。戦う2人から少し離れた場所に馬車を止め、対決を見守るヒョンゴ。スジニは「やめろ! やめろと言ったではないか!」とヨン・ホゲに向かって大声を出すが、その口はヒョンゴの手で覆われてしまう。その時、瀕死のカクダンは、一刻も早くヤン王の遺志を伝えるべく、ヒョンゴとスジニを降ろしたまま、御者台に移り、タムトクとヨン・ホゲが戦っている場所へと突き進んでいく。慌てて馬車に飛び乗るスジニ。
対決する2人に近づいた馬車。戦う2人の間に割って入ったスジニは、ヨン・ホゲの首元に矢を突きつけ、「毒矢だ」と言いながら、ヨン・ホゲの動きを制止する。王を守っているはずのカクダンがこの場にいることを怪しんだタムトクは、「なぜここにいるのだ?」とカクダンに問いかける。「王様の最期の言葉をお伝えするためです」とカクダン。「最期の?」と、父の死を知ったタムトクに、カクダンは「この大王剣を太子様に」とヤン王の血のついた大王剣を手渡す。
「太子様にチュシンの王になるように、と」と、続けるカクダンに、「私の父上がそうおっしゃったのか?」と聞くタムトク。「最後に王様は太室にいらっしゃいました。そこには神殿の神女見習いも一緒におりました。その神女見習いに殺されたのです。キハという名前の……王様を殺した奴をこの目ではっきりと見ました」と続けるカクダンの肩をつかみ、「嘘だ!」と叫ぶタムトク。
昨夜、互いの愛を確認したはずのキハが、自分の父を殺したという事実に耐えられないタムトクは、さらに、「今、申し上げたことは本当の……」と続けるカクダンを地面に突き飛ばし、「嘘を言うな! 誰がそのような嘘を!」と怒りと悲しみを爆発させる。横でその報告を聞いていたヨン・ホゲ、スジニも、キハがヤン王を殺したという事実に衝撃を受けている。
カクダンは「私はお伝えしました。確かにお聞きになられましたね?」と確認すると、王の遺志を太子に伝えるという最後の任務を終えたことに安心したように太子の目の前で息絶える。カクダンの名前を呼び、肩を揺するタムトク。その時、火天会の兵士たちがタムトクめがけて、一斉に矢を放って来た。太子を守ろうとタムトクに覆いかぶさるスジニ、盾を構えるタルグ、チャグンドル。しかし、彼らを庇うように盾の前に立っていたセドルの身体には次々に矢が突き刺さり、彼はその場に崩れ落ちる。
少し離れた場所でその光景を見ていたヒョンゴは、玄武の神物である杖を持つ手が震えている。そして火天会の兵士たちがタムトクに近づこうとしているのを見た時、ヒョンゴの杖から発せられたまばゆい光は、タムトク一行を神の光のドームで覆い尽くす。そして、時間が止まった――。
辺りのものが何も動かない中で、ヒョンゴだけがそのドームに向かって歩を進めている。そして、そのヒョンゴの脳裏には、コムル村の前の村長の残した伝説を語る声が蘇っていた――。
前村長の声 「チュシンの王は、心臓を焼き尽くすほどの大きな怒りを感じた時に目覚める(覚醒する)。時間が止まり、玄武の神物が光を発し、そしてその中で立ち上がる人こそがチュシンの王だ」
時間が止まった神の光のドームの中で、ゆっくりと立ち上がるタムトク。その光のドームの中へと踏み入ったヒョンゴは、「コムル村の村長のヒョンゴと申します。四神の1人、玄武の転生のヒョンゴです。これは玄武の神物の杖でございます。今、最初にチュシンの王にごあいさつを申し上げます」とタムトクの前に膝まづく。
夜が明けて。太子を捜すコ・ウチュン将軍率いる騎馬隊が原野を走っている。その横をヨン・ホゲに率いられた火天会の軍勢が反対方向に走っていく。すれ違う2つの騎馬隊。ヨン・ホゲが来た方向(テジャ城)にタムトクがいることを確信したように、その方向に全速力で向かうコ将軍。
テジャ城に到着したコ将軍。城の前の広場には昨夜の戦いで命を落とした、カクダン、カクダンの同僚の女性近衛兵士、黒軍のセドル、チャグンドルらの遺体が並べられている。その遺体の間に泣きながら座っている黒軍のタルグ。一番端のカクダンの遺体に無言で歩み寄ったコ将軍は、カクダンの遺体にタムトクが着ていた平民服の上着がかけられているのを確認する。
テジャ城主が「嘘を吹き込まれた」と、ヨン・ガリョの側近、チョ・ジュドを引き連れてコ将軍の前に現われる。「太子様はどちらに?」と訪ねるコ将軍に、座り込んでいたタルグが、「どなたかと、どこかに行かれました。誰にもわかりません」と泣きながら答える。テジャ城主はコ将軍に「嘘を吹き込まれたのだ。太子の前で門を閉めてしまった。天が定められたチュシンの王がいらっしゃったのに。私たちが待ち望んだチュシンの王が……」と地面を叩き、嘆き悲しんでいる。その地面には「チュシンの忠誠ある臣下たち、彼らの王を助けるために死す」と古代文字が残されている。そして、ヨン・ガリョの側近チョ・ジュドも自らの間違いに気づいたようだ。
王宮の太室。ヨン・ガリョが、昨夜のまま残されたヤン王の亡骸を確認して去って行く。
鍛冶屋。食事の用意をするパソンたち。チュムチが「姉さん。父さんを殺したヤツを捜しているんでしょう?」とパソンに問いかけている。その時、家の門が開き、昨日の脱獄の際に、サリャンに夫を殺された女が倒れこむ。駆け寄るパソンとチュムチ。
家の中に運び入れた女性にパソンがおかゆを食べさせようとしている。「食べなさい。食べて生きなきゃ。だんなの後を追う気かい? いい加減にしなさいよ。私は父親が死んだあともすぐにご飯を食べて元気をつけたもんだよ」と、パソンは女性を元気づけようとするが、彼女は涙を流すばかりで食事をすることができない。
火天会。火天会ではサリャンが巻物を大長老に渡し、さらなる策を練っているらしい。
ヨン・ガリョ邸。ヨン・ガリョの側近、チョ・ジュドがヨン・ガリョに報告している。「うちのホゲ様がチュシンの王のはずなのに。それなのにタムトクが光に包まれて……」と、熱を帯びて昨夜、自分が見てきたことを語り続けるチョ・ジュドを「言葉に気をつけろ!」と制するヨン・ガリョ。それでも「ものすごい神の光を見たんです!」と説明を止めないチョ・ジュドに、ヨン・ガリョは冷たい声で「クンネ(国内)城で余計なことをしゃべるな!」と厳しく言いつける。椅子に座り込み、黙るチョ・ジュド
火天会では、昨夜の報告を聞いた大長老が「四神のひとりが出てきたということか?」とサリャンに確認をしている。サリャンは「どうなさいますか? チュシンの王の可能性のある人物がもう一人いたのかもしれません……」と言葉を続ける。
神殿。大神官がヤン王に祈りを捧げている。
市中には、王様の死を知らせる使者が回っている。それを聞いた女たちは泣き叫び、男たちは、「タムトク様は、3部族の息子を拉致したって言うじゃないか?」「そんなに王になりたいのか?」「では、次の王はホゲ様か?」などと噂話をしている。
断崖沿いの山道を馬車で進むタムトクとヒョンゴ、スジニ。タムトクは顔を伏せ、物思いにふけっている。ふと、荷台に乗るスジニに目をやったタムトクは、スジニが上空に舞う青い鳥に目をやっているのに気づき、自身も上空を見上げる。
コムル村に到着した馬車。そのまま村の広場まで馬車で進むヒョンゴ。集まってきた白装束の村人がタムトクに向かって頭を下げる。「到着しました」とタムトクに声をかけたヒョンゴは、一足先に馬車を降り、「コムル村は神物を守り、チュシンの王が来られるのを待ち続けていました」と村の説明をする。動こうとしないタムトクに、荷台から起き上がったスジニが「着きましたよ。コムル村です。降りてください。みんな待っています」と声をかける。
スジニに促され、チュモ大王剣を手にしながら馬車から降りたタムトクは、ゆっくりと広場の中央に歩み出る。そして、ヒョンゴが「コムル村の村民が新しい王様、チュシンの王をお迎えします」と声をかけると、チュシンの王への正式な挨拶のため、村人が一斉に膝まづき、タムトクに頭を垂れる。
少年の頃から、タムトクは、決して王になることを望んでこなかった。しかし、彼に突きつけられた現実は、父の非業の死、愛する女性の裏切り、腹心の部下たちの死、そして、自分の前にかしずくコムル村の人々だった――。激動の2日間を過ごしたタムトクは、ゆっくりと村人を眺め渡した後、自らが背負った皮肉な運命を再確認するかのように、目に涙をためながら乾いた笑いを浮かべる。その切ない顔がアップになり……。
――東方神起の歌う『千年恋歌』に乗せた次回予告で第9話終了――。
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