B.S.J.のみなさん、こんにちわっ♪
【Happy Endバージョン】を翻訳&ノベライズ【前編】はいかがでしたでしょう? 撮影終了後のインタビューで、「最終回の登場シーンが5分の1ぐらいにカットされてしまい、残念だった」と語っていたユン・テヨン(ホゲ)さん。 ユン・テヨンさんの中では、ホゲの最期はこうなっているのかもしれませんね……。
では、引き続き、後半です。どうぞっ!
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アブランサ(阿弗蘭寺)。「誰も入らせるな! 誰にも邪魔させるな!」と大長老に命令された火天会の兵士たちが、寺院内の偵察に走り去る。寺院内の別の場所に何とか姿を隠したスジニは、アジグの姿を探し始める。
神壇樹。振り返ったキハの視界には、怯える子どもを連れた大長老の姿があった。「時間がありません。我々の最後の防衛線が破られました。ヤツらがやって来るでしょう」と話す大長老に、「その子は誰?」と問いかけるキハ。大長老から手を離されたアジグは走り去ろうとするが、大長老の身体から湧き上がった黒い煙がアジグを捕え、アジグは意識を失う。キハは意識を失った子どもを抱きかかえ、祭壇に歩み寄る。
同じように祭壇に歩み寄りながら、「ここに彼を連れてきてください。私たちには時間がありません」と話す大長老に、「答えなさい。この子は誰なの?」と問い返すキハ。「何を待っているのですか? 2000年間我々が待っていた時がやってきたというのに。その子をここに連れて来なさい!」と話す大長老に、再び「答えなさい!」と叫ぶキハ。
「しっかりしなさい。火の神女! もう、ヨン・ホゲはチュシンの王の心臓を持ってくることはできないでしょう。しかし、その子にも天孫の血が流れています」と話す大長老。「天孫の血……」とつぶやくキハ。大長老は短剣を子どもに向けて投げつける。キハは子どもを守ろうとするが、その瞬間、短剣はアジグの身体から出た不思議な力によって跳ね返される。
「見ましたか? 私にはその子を殺すことができません。その子は、父親から天の血を、母親から地上の血を受け継いでいる。ですから、キハ様が行なって(殺して)くださらないと!」と話す大長老。「この子は……」とつぶやくキハ。
キハに向かって歩み寄る大長老に、どこからか矢が突き刺さる。それはスジニの放った矢だった。スジニの矢を首と胸に受けながら、大長老はその1本を引き抜いて、地面に捨てる。大長老に次の矢をつがえながら、「その子を殺さないで!」と叫ぶスジニ。スジニを見るキハに、「その子があなたの息子よ。姉さん!」と叫ぶスジニ。「姉さん……?」と問い返すキハ。「その子を傷つけないで!」と叫ぶスジニ。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。タムトクはアブランサ(阿弗蘭寺)に到着するが、その進路を火天会の兵士たちに阻まれている。
神壇樹。スジニは大長老に矢を放つが、大長老はその矢を手でつかむと、「人間の寿命はとても短い」と言いながら、矢をスジニに投げ返す。その矢を肩に受け、仰向けに倒れるスジニ。キハはスジニの元に駆け寄ろうとするが、大長老がその進路に立ちふさがる。
「その子の血が天の力と対等に交換されることを知れば、その子もどんなに喜ぶだろうか。さぁ、キハ様。早く、その子の心臓を取り出すのです!」とキハに命令する大長老。「お前は母である私に、この子の心臓を取り出せと言うのか! お前は人間か?」と声を荒げるキハ。「私がそこ子どもなら、幸せだと感じるでしょう。自分自身を捧げることが!」と答える大長老。
次の瞬間、大長老は、黒い煙に姿を変えると、キハの体内に憑依する。意識を取り戻したスジニはその光景を見て驚愕する。キハはなんとか大長老から逃げようとするが、動くことができない。そして、キハが瞬きをすると、その目が変化する(大長老に憑依されている)。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。タムトクが火天会の兵士と戦っている。チュムチとチョロがその戦いを援護する。2人が火天会の兵士と戦っている間に、タムトクはアブランサの中に走りこむ。
神壇樹。祭壇の上に子どもを横たえたキハは、振り返ると、短剣を振り上げると子どもに振り下ろそうとする。その時、「何をしてるの?」と叫んだスジニが、短剣でキハに斬りかかる。キハは、かつて大長老が(洞窟の中で)そうしたように、短剣の刃の部分を片手でつかみ、折ってしまう。弾き飛ばされるスジニ。
子どもを前にして、キハの身体の中で、アジグの心臓を取り出そうとする大長老の意識と、それを止めようとするキハの意識が葛藤を続けている。再びスジニはキハを止めようとするが、大長老の意識に支配されたキハは、スジニを突き刺そうとする。その時、キハには、死の間際の母の、「キハや」という声が聞こえてくる。
瞬間、動きを止めたキハの手を逃れ、アジグに向かって走り出すスジニ。キハはスジニを追いかけようとするが、再び母の「この子はあなたの妹よ。あなたは妹を守らなければ。私は、あなたならきっとそうできると信じているわ」という声を思い出し、再び動けなくなる。
タムトクがアブランサ(阿弗蘭寺)の中を神壇樹に向けて走っている。
神壇樹。ようやくアジグのいる場所にたどり着くスジニ。しかし、キハの身体を借りた大長老は、凄まじい力でスジニを掴むと彼女を投げ飛ばそうとする。キハの身体の中で、猛然と戦うキハの意識と大長老の意識。喘ぎながら、「もうやめて!」と叫ぶキハ。しかし、彼女の意志とは裏腹に、刃は子どもの身体を傷つけてしまう。アジグの身体から血が流れ出るのを見た瞬間、キハは悲しみと怒りを爆発させる。憑依していた大長老はキハの身体から弾き飛ばされ、壁に身体を打ち付ける。絶叫するキハ。「お姉さん、ダメよ!」と叫ぶスジニ。
しかし、突如、黒雲に覆われた暗闇の中で、全身から炎のような光を立ち上らせ、キハは中空に浮かび、黒朱雀に化身する。大長老はその様子を見つめている。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口では、火天会の兵士との戦いの手を一瞬止めたチュムチとチョロが、突然、暗くなった空を見上げている。
神壇樹。アジグを抱いたスジニは、アブランサ(阿弗蘭寺)の出口に向かって走り出す。しかし祭壇の上には、少量ではあるが、アジグの血が滴り落ちていた。その時、キハの身体から突如、炎が立ち上り、辺りが燃え始める。そこに、ようやくたどり着いたタムトクは、スジニとアジグを守るように抱きかかえる。
驚きながらタムトクはキハを見上げるが、キハはすでに無意識だ。スジニと子どもを脇へ押しやったタムトクは、大長老と戦いを始める。刀を大長老に突き刺すタムトク。しかし、大長老は素手でその刃を防ぎ、刀は折れ、その折れた切っ先がタムトクの胸に当たる。
祭壇の上では、流れ出したアジグの血が、白虎の神物に到達する。その瞬間、輝きを増す白虎の神物。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。チュムチは突然戦いの手を休め、しばらく動くことができなくなる。その瞬間、火天会の兵士が刀でチュムチに斬りかかるが、その刀は折れてしまう。チュムチがその兵士を睨みつけただけで、不思議な力によって弾き飛ばされる火天会の兵士。
神壇樹。祭壇の上では、流れる血が青龍の神物に到達する。その瞬間輝きを増す青龍の神物。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。チョロが槍を一振りすると、火天会の兵士たちが木の葉のように吹き飛ばされる。
神壇樹。祭壇の上で、流れる血が玄武の神物に到達する。その瞬間、輝きを増す玄武の神物。タムトクは、自分が持っている天弓が光り輝き始めるのに気がついている。さらに血液は朱雀の神物に到達するが、朱雀の神物は光を発しない。
手の中に天弓を握り締めたタムトクは、大長老に向かって走り出す。大長老は防御の体制を取るが、天弓は大長老の心臓を通り抜ける。何が起こっているのか、理解できないまま胸から倒れ落ちる大長老。その身体から黒い煙が立ち昇るが、タムトクはもう一度、天弓で大長老を攻撃する。ぼろぼろに崩れて姿を消す大長老の身体。後には、彼の衣服だけが残されている。
キハを振り向いたタムトクは「キハや」と語りかける。しかし、キハは無意識のままだ。「もうやめろ」とタムトクは声をかけるが、キハは意識を取り戻さないまま、周囲に炎を巻き起こしている。キハに向けて手の中の天弓をつがえるタムトク。しかし、矢を放つことが出来ないタムトクは、やがて天弓を持った手を降ろしてしまう。
「手遅れになる前に、お姉さんを止めてください」と言うスジニを振り向いたタムトクは、「これが答え(結果)か? 2000年の時を経て、私は四神を探し出し、たくさんの人々の命を犠牲にして、自分がチュシンの王であることを証明した。それなのに、これが、私ができるすべてのことなのか? 私の子どもを産んでくれた女性を殺すことだけが」と語りかける。「世界中が火の海になってしまいます。彼女が罪を重ねる前に、彼女を止めてください。お願いします」と話すスジニ。
スジニに向かい、小さく微笑んだタムトクは、キハの方を向き直り、「罪か……。私もまた罪を犯した。私の罪はお前を信じなかったということだ。私は、これが人間の自然な姿だと天に告げなければならない。人間とは、過ちを犯した時には後悔し、知らないことがあれば学ぶものだと。そして今、わかったよ。私がすべきことが」と語りかけると、両手で天弓を2つに折り、それを投げ捨てる。
「キハや。まだわからないのか? 天は私たちに問うているのだ。お前たちは自ら力で生きていけるのか? それとも天に支配を委ねるのか(天の力に頼るのか)と」と話を続けるタムトク。その時、天弓は燃え尽き、消滅する。
その時、意識を取り戻したキハが、タムトクをみつめた。タムトクは、「天ではない。選択するのは人間だ」と話すが、その時、白虎の神物が破壊され、激痛を感じたタムトクがよろめく。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。チュムチが口から血を流し、倒れる。チョロが振り返るが、チュムチはほとんど動かない。
神壇樹。タムトクが、「チュシンの王の使命は、この問いに答えることだったのだ。それが使命だったのだ」と言った時、青龍の神物が破壊され、タムトクは倒れそうになる。タムトクと神物を交互に見るスジニは、神物が破壊される時、タムトクがその内部から傷ついていることに気づく。耳から血を流すタムトク。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。チョロは激しい痛みを覚え、動きを止める。火天会の兵士に攻撃され、腕をケガするチョロは、その手から槍を落としてしまう。
神壇樹。キハに向かい、「姉さん、もうやめて! 神物がすべて破壊されれば、王様も死んでしまうわ。お願い彼を逝かせないで!」と絶叫するスジニ。口から血を吐き出すタムトク。
タムトク 「これが私の答えだ。天の力を元の場所にお返しする。チュシンの王の力もお返ししよう。だから、お前はもう大丈夫だ。私はすでにその問いに答えたのだから」
その時、玄武の神物が破壊される。膝から崩れ落ちるタムトク。戦場の最前線の近くにいたヒョンゴは、意識が遠のいていく。
神壇樹。キハは絶望的なまなざしをスジニに向ける。スジニだけがキハの声を聞くことができるのだ。スジニの脳裏に「私の妹よ。お願い。私の炎を消して!」というキハの声が響く。「それが私の願いなの。私を助けて」と続けるキハ。
その時、朱雀の神物がまるで目覚めるように輝き始める。スジニの手の中に飛び込んできた朱雀の神物から、風が吹き始め、スジニは片手でその神物を握り締めると、ファヌンがセオに紅珠の使い方を教えた時のように、その手を自分の胸に当てる。スジニから発せられた光は、やがて炎を消していく。そして、その光はタムトクをも包み込み、瀕死の状態で苦しんでいたタムトクの傷を癒していく。
スジニの膝の上で眠るアジグを慈悲にあふれた視線で見つめるキハ。そのキハを見つめるタムトク。タムトクに微笑みかけるキハ。
その時、突然、炎がキハを包みこみ、彼女は消滅してしまう。炎が発する光の中に浮かび上がるタムトクの影。その強い光で目を覚ましたアジグは、タムトクを見つめる。スジニもタムトクを見つめる。そのスジニの手の中には、朱雀の神物が完全な形のまま残されていた。
ホワイトアウト(場面転換)。
アブランサ(阿弗蘭寺)の入り口。チョロもチュムチも、火天会の兵士たちも、みなが強い光を見上げて戦いを止める。そして、暗闇は去り、青空と太陽が姿を現わす。
戦場。ヒョンゴがコムル村の弟子たちと共に光を見上げる。
【幼いスジニに神話を聞かせていたヒョンゴの声でのナレーション】 高句麗の始祖チュモ王がこの国を建てた。その父は天帝、母はハベク(河伯)の娘だった。
クンネ(国内)城下の市場。多くの人々が行き交っている。歩いてきたチョロは、チュムチの姿をみかけると、小さく微笑み、脇の小道に身を隠す。チュムチが、ついさっき、チョロが立っていた場所で飛び上がる。チュムチはチョロに戦いを挑んでいるが、チョロに戦く気はないようだ。チュムチにカゴを放り投げるチョロ。そのカゴを受け取ったチュムチが辺りを見渡すと、すでにチョロの姿は消えている。
【ヒョンゴのナレーション】 高句麗第17代の国王の名は、「広開土境平安好太王(クァンゲトギョン ピョンアン ホデワン)」。名前の意味は、国土を広げ、平和を維持し、人々によって愛された王という言う意味だ。
クンネ(国内)城内の兵舎の一角。弓矢隊が集まり、机の周りで大騒ぎをしている。その中央では、2人の兵士が、どちらが酒が強いかの飲み比べをしている。大きな器で酒を飲む2人。周りにはすでに空になった器がいくつか転がっている。先に酒を飲み終え、空の器を見せたのはスジニだった。もう一方の兵士も飲み続けるが、やがてギブアップする。スジニの勝利に喜ぶ弓矢隊の部下たち。勝ち誇ったように、胸を叩くスジニ。
【ヒョンゴのナレーション】 太王はすばらしい統治者だった。戦うことよりも、統治することの方がどれほど素晴らしいか。その功績は巨石に刻まれている。彼の恩恵は天にまで届き、彼の力は4つの海にまで轟いた。人々はそれぞれの生まれた土地で働き、平和に暮らすことができた。国は富み、人々は幸せになり、土地は五穀豊饒に満たされた。
武術訓練場。タムトクの息子である若きジェリョン(アジグ)が刀を持ち、誰かと手合わせをしている(ソン・ジナさんの注釈:それは若きタムトクを演じたユン・スンホでもよいが、髪形は異なっている。10代のタムトクのような俳優)。
【ヒョンゴのナレーション】 タムトクが求めていたのは平和でした。彼は1世紀に渡り、平和が続くだろうと予測し、その後の平和も、それぞれの時代の人次第だと言った。
武術訓練場。ジェリョンと手合わせをしていたのはタムトクだった。微笑むタムトク。彼の横では年老いたコ・ウチュン将軍が2人を見つめている。ジェリョンが攻撃すると、タムトクは息子の腕を取り、彼を抱きしめる。彼がどれほど息子を愛しているのかがわかる光景。
【ヒョンゴのナレーション】 しかし、太王は彼が39歳になった時に亡くなった。彼の息子ジャンス太王は、さらに領土を広げ、約1世紀に渡り、平和を維持し続けました。
コムル村の図書館。コムル村の弟子たちが、彼らの記録と本を隠すために急いでいる。
【テロップ】 西暦668年。同盟を組んだ新羅と唐によって高句麗滅亡。
【ヒョンゴのナレーション】 2世紀に渡り平和が維持されました。
コムル村。コムル村の子弟たちが記録を運んでいるが、唐の兵士たちによって止められ、子弟たちはすべて唐の兵士に殺される。唐の兵士たちによって記録が燃やされていく。
【テロップ】 高句麗の歴史に関するすべての記録が唐の軍隊によって焼却される。
21世紀。インチョン(仁川)空港。人々が行き交う中、ヒョンゴと幼いスジニ(子役)が荷物を運んでいる。「じゃぁ、記念碑だけが物語を語り伝えてるってこと?」と聞くスジニに、「唐の軍隊が侵入した時、すべての高句麗の歴史資料は燃えてしまったのだ。何百という歴史記録が無くなったのだ」と答えるヒョンゴ。「あっ。あそこだわ」と叫ぶスジニの指差す先には、観光ガイドの説明を聞く人々の姿がある。
ガイド 「3日目にはジバン市に行く予定です。ジバン市は高句麗の3番目の都市でした。そして、広開土太王の記念碑がある都市です。その記念碑を訪問します」
ヒョンゴをつつきながら、「太王の記念碑って言ってるわ。さっき話してたものでしょ?」と聞くスジニ。「シー」と静かにするように注意するヒョンゴ。
ガイド 「その記念碑には触ることも、写真を撮ることもできません」
「どうしてダメなの?」と聞くスジニを、「静かにしろ! シー」と怒るヒョンゴ。
その周りを人々が歩いている。大きな荷物を運んで歩き去るのは、髪をカットしたチョロかもしれない。タクシーに乗り込もうとしている別の男性は、スーツを着たホゲに似ている。往来する大勢の人々。彼らの中に、四神の主の生まれ代わりが、そして、新しい太王がいるかもしれない――。
――【Happy Endバージョン】を翻訳&ノベライズ終了――。
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