テサギファンのみなさん、アンニョンハセヨ~
第18話は如何でしたでしょうか? 地上波放送もスタートし世の中?テサギだらけ^^;(てなこと無いですネ)
今回も盛りだくさんでしたね。スジニの養女話、タムドクの高句麗統治の考え、キハとスジニの対峙、、、、原作もとても引き込まれました!
今回は比較というよりも下のサブタイトルの1つを全てアップしてしまいました@@@ タムドクとスジニ、フッケの描写も可笑しく、セリフなどの内容はドラマとほぼ同じでが、原作のスジニの描写はとても切ないのです!その切なさを感じ取って頂くには比較するよりも全文をお読み頂く方がエエかと^^:;
ではでは、いつものように直訳ですが;; どうじょう~ようぞう~
ドラマのタイトル:「2人の朱雀」 原作のタイトル:「スジニ、涙を隠して酒を飲む」 ーーーー全文アップ 「スジニ、朱雀の羽ばたきをする」
タムドクは宮殿の回廊に用意してある椅子に凭れ、今まさに沈もうとする夕日を眺めていた。大長老が消えて火天会の残党達を全滅させたが、やらねばならない仕事が減らなかった。いや、却って以前よりももっと難しい仕事が山のようにあった。先ず、ヨン・ガリョと重臣達の処理問題があった。むやみに許すとなると生死を共に乗り越えた重臣達の目もあったし、だからといって全部粛清できるものでもなかった。問題は単に国内だけにあるのではなかった。
高句麗の権力が掌握された(王権がまとまった)という噂が広がるとすぐに新羅と後燕の使者達が待っていましたとばかりに訪ねてきた。彼らが伝える(教えてくれる)知らせは複雑に絡まっている国際情勢だった。新羅の要求だけでもたやすいものではなかった。百済と伽耶を警戒できるように力を尽くして欲しいいうものだった。
事実、タムドクがソッキョンとクァンミを無事に手に入れて戻ることが出来たのはチュシンケマ隊の勇猛さと百済王室内の覇権争いの(葛藤)せいばかりではなかった。新羅が百済を側から継続的に威嚇したおかげもあった。百済はその為に大高句麗戦に国力の全部を傾けられなかった。しかし、新羅の使者がその見返りを欲しいというのも当然だった。(これらの説明はドラマでは新羅の使者が謁見する場面ですね) そして、何よりももっともむずかしい仕事、ホゲの問題が残っていた。
タムドクは暫くの間でも全ての問題から離れたかった。ただ、スジニと酒を飲み交わし、何の心配もなく馬に乗って駆けたかった。しかし、タムドクは王だった。世の中が混乱すればするほど民と臣下達は王だけを眺めていた。だから、どこにも逃げることが出来ないのだった。
回廊の階段を上ってくる足音が聞こえた。ひときわ大きな声が混じっているのを見ると彼らの内の1人はフッケに違いなかった。タムドクの予想どおり回廊に姿をみせたのはフッケとコ・ウチュンだった。 「陛下!」 フッケがタムドクを見るやいなや牛のように飛んできた。 「やっとご挨拶申します、陛下!」 タムドクは疲れを隠し笑った。 「ご苦労様でした、フッケコ部族長、信じて依頼しましたがこんなにも迅速に動かれるなんて信じられませんでした。」 フッケが腰に手をおいて気勢よく笑った。 「チョルロブではありませんか、チョルロブ、いえ、先ずこれから、、、ヨン・ガリョ、あいつが差し出した紋章です。」 タムドクはほろ苦い気持ちで紋章を受け取った。 「火天会の奴らが持ってあちこち横行していたものをそっと追いかけて持ち帰ってきました。」
コ・ウチュンはタムドクの顔色を伺って(話しに)割り込んだ。 「陛下、国務を横において何日かお休みになっては如何でしょうか?国内城に戻られて既に何日過ぎたでしょうか、寝室でお休みに成っておられないのではないですか」 タムドクが首を横に振った。 「それよりも急ぎの仕事があります。先ず、使臣達が持ってきた要求をどのように聞き入れてやるのか打ち合わせせねばならないし、、、、」 フッケは目端が利かず声を上げた。 「陛下、それよりも内患をまず処理せねばならないでしょう」 「内患、、、とは?」 「あの女のことです。神堂にいる女。火天会の手先だったとか。それなのに未だ神堂に居座りついていると、これって道理に合いますか?すぐに髪の毛をつかみ引っぱり出して罪を厳しく追及し、、、」 「言葉に気をつけて下さい。」
フッケはタムドクの顔が急に怒りが漂っていることを見てびくっとした。 「え?」 「天地神堂の大神官です。王である私でもむやみに対応できない人物なのです。大神官に罪を問うことができるのはただ1人、天だけです。フッケ将軍、部族長であるのにそれも知らないのですか」 フッケはタムドクの冷ややかな言葉に当惑し、これ以上キハの話しを口に出せなかった。コ・ウチュンは空咳をしてフッケに目配せした。フッケは何のことなのかと目を丸くしているだけだった。 「大変、ご苦労でした。この紋章は当分の間、私が持っています。」 タムドクは紋章をしまって回廊を降りて執務室に向かった。
フッケは自分が何か悪いことをしたのかが分からず、コ・ウチュンに助けを求めた。コ・ウチュンは声を落として説明し始めた。 「陛下とその女人の関係、、、、聞いたことはないですか?」 フッケはタムドクの幼少時代から今まで続くキハとの因縁について聞いた。一句一句が驚く話だったし、又一方では苛々する事情だった。コ・ウチュンが入り乱れた気持ちで話し終えるや、フッケは急に思いついた事があって胸をどんどんと叩いた。 「コウ将軍、それならこのフッケにお任せ下さい。」 コ・ウチュンが戸惑った。「いや、又何をしでかそうと」 「しでかすと?私はその間、見てきた勘があります。だから、、、、いや、あとの事は後ほどお話しましょう。先ず、探すべき人間がいます。」 (ドラマではヒョンゴが青龍の神器をしまう箱を探しているところでのフッケの様子ですね)
フッケは理由を知らないコ・ウチュンを背にして上がって来る時よりも更に急いで階段を下りていった。そして、宮殿内を隈無く探した。あまりにもせわしく騒ぐので従事と侍女達がひそひそ話していたが、フッケは気にしなかった。
やっとフッケは王の酒蔵付近で酒瓶を脇に抱えてふらついているスジニを見つけた。 「スジニ!」 スジニは大きな図体が目の前を遮って黙って盗んできた酒を反射的に隠した。 「いや、これは、この酒はですね、これは王の酒蔵のものではないので、、、、」 「お前は孤児だと?」 スジニはフッケの急な問いに目を丸くした。 「えっ?」 「私は全部、聞いた。お前は親の顔も知らない孤児だと」 スジニが瞬間、気分がうっとうしく、聞いたような聞いていない感じで答えた。 「、、、、、それが?」 「俺はどうだ?」 「、、、、何がです?」 「私がお前の父親としてどうかという話しだ。俺がチョルロブ族長だろう。俺には娘がもう居ない。息子が2人いたのが、長男はテジャ城の前で死んだし、次男はタルグだ。娘が一人いたが、嫁に行ったので心も虚ろだったところなので、お前のように溌剌とした娘が新たに出来ればとても嬉しい。それで、言うことなんだが、お前、私の娘にはならないか?」
スジニはやぶから棒にもほどがあると何も言えなかった。しかし、フッケはこの反応程度なら了承されたと思い、酒瓶だけをいじっているスジニを残してタムドクの執務室に駆けていった。本来、何か事が起きれば徹底的にやり通すのがフッケだった。スジニと一緒に行動を共にした間、利口でそして王に真心で仕えている事もけなげだったので、以前の情を忘れられずに悩んでいるという話しを聞いたので、この際に仲人を買って出ればまさに一挙両得であり、勇み足でもこの程度の引っかき回すことはあり得ると思った。
タムドクは転がりそうに執務室に駆け込んでくるフッケの言葉を聞いて耳を疑った。 「何ですと?」 タムドクが荒唐無稽な言葉に声を上げるや横で各国の情報を整理して文書を作っていたコムル人、3~4人が作業の手を止めた。 「わたくし、フッケ、未だはっきりと憶えております。先代王が仰ったお言葉を一時も忘れた事がないということをです。」 「何のお言葉ですか」 「私、部族長に王妃を出してほしいと頼まれたのでございます。という話しでございます。」 タムドクが椅子の上で疲労困憊の体をよじって訊ねた。 「それで?」 「陛下に仕える王妃様は我々部族、我々の家門からお出しすると、早くに先代王に約束したということなのです。」 タムドクが笑った。 「今、すぐに考えねばならない問題ではないではないですか?山積した問題だけでも、、、」 「陛下がどんなお方ですか。今後、東西南北万里を平定されるお体です。そうなれば国内城を空けられることも多くなり、その都度、山犬のような奴らが御前を虎視眈々と狙うはずです。これを防ぐためには強い王妃が必要なのです。権謀術数にとらわれず、その誰よりも陛下にお仕えする方ということです。国の母がいらっしゃるべきなのです。」 「ちょっと、待って下さい、フッケ部族長」
タムドクが言葉を逸らそうとしたが、フッケが頑としてきかなかった。 「私の娘でございます。どこの家の娘よりも心と意志が強いだけでなく、陛下に対する忠誠心で競うなら、わたしと五分五分でございます。その上、戦うことにも優れております。男数名なら指何本動かせば ひゅっと、、、、」 「部族長に嫁にいかなかった娘がいましたか?」 フッケが何を考えたのか、へらへら笑った。
「そのお言葉です。今晩、娘が一人又出来る予定です。そうでなくてもその為におそれ多いことですが、陛下が参席されるようにお願いに参りました。あの、どこで、、、チュンハ殿(漢字が春夏殿?)で大変こじんまりしますが、一席設けるつもりです。私が娘を迎える祝宴をです。ですから、ほんの少しでもお立ち寄り頂ければこのフッケ本当に一族の光栄と致します。はい、そうですとも。」 タムドクはフッケが異常に怪しいようすだったので手にしていた文書を置いて訊いた。 「今、冗談を言っているのではないでしょう?新しい養女を迎え入れる席だと?」 フッケが大きく頷いた。 「私がどうして王様に冗談を言いますか?はい、本当に大切なことです。ですから、、、お出でいただけますね?」 タムドクが受け入れた。行かないと言ったら何時までも居座ってしまうフッケなので、一層のこと聞いてやることが無難だと思った。 「そうします」 フッケはタムドクの許可を取るやいなや、クァンミ城の門を開けるときよりも一段と喜び慌ただしくどこかに消えていった。
侍従2人がうんうん言いながら酒樽を運ぶと見かねてチュムチが近づき一気に持ってテーブルの上に置いた。チュンハン殿にコ・ウチュンを筆頭にフッケが呼んだ数名の将軍が同席していた。もちろん、百済で死線を一緒にのり越えたチュシンケマ隊の将軍達だった。将軍達は既に酒を数杯酌み交わした後だったので、顔が赤くなりながら百済でのお互いの武勇伝を張り合った。ある人はフッケにお祝いの言葉と一緒に成功を祈る言葉をかけた。
チュムチは皿にぱしゃっと入れ酒を多めに入れて、スジニに近づいた。スジニは普段の腕白小僧のような服を全て脱ぎ、どこかの高位重臣の娘にも恥じない程の美しい身なりだった。生まれて初めて来てみた服が馴染んでいるのかどうか、その全ての祝いの言葉が自分に向けられていることに慣れていなかったのか、スジニは言葉数が少なく頭をさっと上げることも殆どなかった。
スジニはチュムチが手にした酒をみて心で味わって目をぎゅっと閉じて訊いた。 「どう?」 チュムチが答えた。 「何が」 「こんな服で良いかな?」 チュムチが酒を上げながら、スジニを上から下からじろじろ見た。 「それでも父親が出来る日だろう。もっと良い服だったら良かったのに」 チュムチがひいっと味わって言った。 「俺は女が着る服のことはよくわからないが、その程度ならどこに出しても見落とししないだろう」 「びっくりした?私もびっくりした。私がチョルロブ族長の娘になるじゃない。部族長の娘、そうなんだって?」 「そんなに嬉しいか?」 「フッケおじさんが言ったんだけど、チョルロブに行けば酒蔵がとても恐ろしいほど大きいらしい。数十本ではなく数百本を貯蔵しているらしい。あ、、、パソン姉さんがいれば一緒にお酒を飲めるのに、」
チュムチはスジニの楽しい気持ちを鼓舞させるために、何か一言、言ってやるべきだと思った。しかし、今までの人生、刀に血の臭いだけをつけて生きてきたチュムチなので、どんな言葉を掛けてやるべきなのか分からなかった。結局、チュムチはあれこれと視線を逸らしとぼけた。 「とにかく人を集めて置いて何時始めるのか、何かせねばいかんだろう」
スジニとチュムチの側を通りすぎた飴ウリが答えた。 「陛下が来られる待っているとのことです。実際、この程度は必要な一席でしょう、これは普通の祝杯ですか?チョルロブ族長の養女を迎えるのに、その養女は又誰だと?我らがコムル村長が陛下の先生、、、、、妹弟子(師妹)になるのではないですか」
知らせを聞いて大急ぎで走ってきたヒョンゴはチュンハ殿の門に立ち中の雰囲気を窺った。ちょうどスジニは背中を向けていたし、フッケは杯を又満たすために甕(かめ)の方にくるところだった。ヒョンゴはスジニの目に付かないように注意して素早くフッケの腕を掴んで引っ張った。フッケはヒョンゴを見て突かれるところがあったので、そんなに感情をむき出さずに後ろについた。
やがて人気のないところに到着するやいなやフッケがヒョンゴの手を振り払った。 「その順序を踏まずにことを進めたのは私の間違いだが、大の男をこんな薄暗いところまで来させ話しをするとは何ですか?私も気持ちが焦ってそうしたのです。先ず、先生に話して、又今まで育てたコムル村にも話しをして許可を貰ってせねばとおもったのですが、」 しかし、ヒョンゴはうんともすんとも言わず、暗い夜の空だけを見上げていた。 「何、気分を害されたのか?全て飛び越えて陛下だけにお伝えした事が?私が言っているではないか、気持ちが焦ってそうしたと、だから、心の広い先生が分かって下さると」 ヒョンゴは地面に穴があくほど大きくため息をついた。いつかは明らかにして知らせねばならない事だった。しかし、予想しなかった事件や戦いを口実にして出来るだけ後に延ばそうとした気持ちが有ったことも事実だ。そんな時にフッケが事を起こしたのは、有る意味かえって有り難いことだと思わねばならかった。
ヒョンゴが口を開いた。 「あの子がどんな子であるのご存じないでしょう?」 「あの子?誰?私の娘、スジニ?」 「どの家の娘だったのか聞いたことがないでしょう?」 フッケが首を傾げた。 「それは何の話しですか?スジニは自分の親がだれかも分からないと、それでは先生はご存じだったというこですか?」 「あの子、、、、スジニは、、、、、百済・へ氏家の娘です。」 ヒョンゴが力余って話し始めることにフッケは事の深刻さが理解出来なかった。
ヒョンゴはもう一度強調した。 「スジニがその家で発見された子供ということです」 「そうでしたか?へ氏家が高句麗と何か敵対関係にでなっているのですか」 ヒョンゴが苛々するのを抑えきれず、杖を砕けるぐらい握りしめた。 「チュシン王の光が出た日、朱雀の光が上がった家がそこなのです。我々、コムル村では急いで駆けつけました。しかし、その家は火天会の襲撃を受けて家族全員が皆殺されてしまい、朱雀の神器は見つけられませんでした。ですが、赤ん坊の泣き声が聞こえてくるではありませんか。行ってみると物置小屋の床の秘密らしき場所に、、、黒朱雀の影が黒く刻まれていたのです。」 「黒朱雀というのは、、、」
ヒョンゴは相手が先を知って気づいてくれることを望んだが、フッケは両耳を捻って塞いだ牛のようだった。 「ファヌン様の時代に雨師、雲師、風伯の方々が天から降りてこられたが、朱雀は大地の人間だったと言います。三神は火を取り込もうと仲違いしたが、ファヌン様は人間、つまり、ある女性があまりにも美しいと思われ、朱雀の力を再び、その女性に与えられたのです。ところがその女性はその力をきちんと治められず、世の中に朱雀を解き放ち、、、その結果全世界が火の海に成ってしまったと言うのです。」 フッケがあごひげを掻いて腕を組んだ。
「いや、だから、それが私の養女と何の関係があるのかというのです。私は陛下がその神堂の悪い女と分けた旧情をお忘れでないということなので、あ、それなら丁度スジニが陛下に情があり、陛下もスジニを可愛いと思われているようでしたし。ところが孤児だと、だが国の母になるには親のいない孤児を座らせることは出来ないのです。だから、新しい娘を作った後に陛下とスジニを成婚させるとしたのが全てです。ところが出し抜けに朱雀が何で、火の海が何で、一体何の話しなのか、、、、」
「私、部族長の意図を理解しないではないのです。又私の弟子をそのように思って下さり、単純に有り難いと思っております。しかし、伝説があり記録があります。又、チュシンの星がその伝説通り光り輝きました。ところがスジニが朱雀の力を持って生まれたので、、」 「私が世の中を火の海にするって」 ヒョンゴはスジニの声にびっくりして杖を震わせた。フッケはようやく言っている事を飲み込んだ。朱雀の主がチュシンの王と情を交わすと力を持て余してしまうということを。そして全ての世界を火が覆ってしまうということを。
スジニが叫んだ。「火天会のその女が朱雀じゃないの」 フッケは狼狽えてどうしてよいか分からなかった。しかし、ヒョンゴは落ち着いて毅然とした声で説明した。 「そうなることを望んでいた。お前ではないと信じたかった。そして、キハという女人が火の力をみたと言った時、この師匠の心は踊りたいくらい喜んだのだ。だが、、、、もし憶えているか分からないか、お前は小さい時に火をつけることが出来たのだ。」 スジニが答えた。 「私が憶えているのは火遊びを止められたという事だけです。それがこの為だったのですね?」 「そうだ」 スジニは震える声を無理矢理落ち着かせた。
「私が、、、その朱雀なのか何かなら、何がどうなるのです?」 「亡くなられた先代村長さまはお前に黒朱雀への変化の兆しが見えたら、手遅れになる前にお前を殺せと仰った。なくなられる直前まで何度も繰り返して頼まれたのだ。」 「、、、、その表示はどのように表れるのですか?」 ヒョンゴは倒れている杖を掴み取った。 「黒い朱雀の形象が表れると言った。」 「では、、、では、私ではないでしょう。そんな形象のようなもの、見たことがないです」 「私がみたのだ、いや、その時一緒にいたコムル村の兄弟達は皆見たのだ。百にひとつ、万にひとつでもお前が黒朱雀の力で世の中を滅ぼすために、陛下の妻になる様なことはあり得ない。何故なら、黒朱雀が力を現したのはファヌン様の愛を授かった後だったんだよ。だから、チュシンの王である陛下とお前が結ばれなければ、少なくとも世の中が火の海になることはないのだ。」
「それでは、、、」 スジニは厚い雲に遮られて霞んでいる半月をみて、ありったけの力で笑った。だが、心は泣いていたので横で見ていた2人の心も又同じだった。 「では、私は心配ないね、王様の愛のようなものを受けた事もないです。今後もそんなこともないだろうし」 スジニは外の渡り廊下の屋根と続いている柱が人間にでも成ったように凭れて言った。 「師匠、そして、フッケおじさん、もう何の話なのかよく分かりました。余計な夢は見ないはずですから、、、ですから、1人にさせて下さい。私をそのままにして行って下さい。今すぐにです。」
ヒョンゴとフッケはどちらともなく頷いた。ヒョンゴはへ氏宅から自分の手で育ててきたスジニの苦痛をとても見守ることができず、その場を去り、フッケは自分が設けた祝杯に集まった人たちに了解を得るためにチュンハ殿に向かった。 フッケは色々弁明を言いながら、客達を帰らせた。少し前までは興に乗っていた酒気はもうがらんとしたチュンハ殿をもっとみすぼらしく物寂しいものにしていた。フッケは少しぼっとして座って前後を見分けられない自分の性格のせいだと、横にある皿をもって酒かめに漬けた。 そして、ちょうど飲もうとしたときにタムドクが従事を連れてチュンハ殿にやってきた。
「部族長ー、どうなっているのです?時間になったと言われて、私があまりにも遅かったのでしょうか」 フッケがすぐに酒を置いて立ち上がった。 「あ~陛下、申し訳有りません。すぐに走ってお知らせしなければ成らなかったのに、私の胸が痛くて、、、そのまま、、、私が千回、万回、過ちと思いました。普通の家の婚姻の一席でもないし、一国の国母をお仕えする責任重大な事ですのに、生い立ちも分からない子をみだりに押しつけて、全て前後の見境もなくやってしまった私のせいです、陛下」
タムドクが後ろ手を組みチュンハ殿内を見渡して言った。 「私を招待する時だけをみても浮かれて、どうしてよいかも分からなかった方が突然、そのような考えに変わった、ということですか?」 フッケが額に冷や汗をかいた。 「そのまま、そのまま、小臣を罰して下さい。全部私の過ちです。罰を思う存分受けてちゃんとした格式を持った方をお探しします。王妃として品格と資質とその何か家柄と隅々まで、、、それが、、、」 「部族長、私、部族長の性格を知らないことはないですが、だから言ってここまで分別がない方ではないと思っています。一体、養女にしようと、王妃として推戴しようとしたのは誰ですか?
(2)へ続きます^^@
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