つづきです~
*そして、切ない談徳とスジニの別れのシーンです。 ドラマでは鎧を着せるシーンでしたが、原作は鎧を脱がせるシーンに成っています。談徳のリーダーとしての苦悩も少し一緒に描写されていますので、ドラマと同じセリフですが割愛せずにアップしました。
「カムドン、入れ」談徳は鎧の重さを千鈞のように感じてカムドンを呼んだ。出陣の日は明日。しかし、殆ど眠ろうとしても眠れず、国務をみたうえに兵士達の側で一緒に出陣の準備を調べると、累積した疲労がとれなかった。
談徳が処理せねばならない一番大きな仕事が二つだった。契丹に出て殺戮を思うがままに行っているホゲ軍を整理し契丹の信頼(信任)を取り戻し商いの道を開き(商路)和平を固めることがその一つだった。もう一方の難題はキハの処理だったが、何の心境の変化があったのかキハは天地大神官の地位を捨て去っていったという報告があった。 (原語のハングルは地位という表現ではなく모도=ハングル読みはモド=母道=母としてすべきことを残して去ったという表現でした) ずっと気になる話だった。しかし、王の立場として見るなら、うまく行った言えるものだった。フッケとコ・ウチュンが何度も言っていたように大神官をそのままにはして置けないのだった。
「カムドン、何をしてる?」明日、出陣すれば次の夜までずっと進軍せねばならなかった。最大に急ぐ必要があった。ホゲ軍に追いつくことが一日でも遅くなれば、それだけ巻き添えを合う命が奪われてしまい、その恨みの怒りが深くなるだけだったからだ。 その事態を少しでも防ぐためには、少しの間でも眠っておかねばならなかった。それなのに鎧を脱ぐためにカムドンを何度も呼んだのだが返事がなかった。
「いや、何あいつ、、、」 「私がしても良いですか?」談徳が思いがけない声に振り返った。そして、目を疑った。フッケがスジニを養女にすると言って騒ぎを起こした日よりも、もっと美しく装いそのうえ髪まできちんと結んだスジニが立っていた。(原作のスジニは髪が長いんですね)談徳の目にスジニは草むらの中の花のように美しかった。しかし、心とは違って笑った。
「なんだ、おまえ」スジニが無愛想に訊いた。「何がです?」 「そんなもの、どこで拾って着たのか?」「あ、ほんとに、、、」スジニがすねて寝室の扉の外に出ていった。「どこに行くんだ、又。こちらへ来い」
スジニはおとなしく戻り、椅子に座っている談徳の背中の後ろに立ち、鎧を結んでいる紐をゆっくりほどいた。「ほどくのはちゃんと出来るだろう?前は結ぶ時に穴を一つ間違っただろう」スジニは口をぎゅっとつぐみ結び目をほどくところまで集中した。
「その後、どこを歩き回っていたのか?いつも後をついてきていた奴が見えなくて、気になっていたではないか」スジニは縦に結び目を全てほどいた後、脇を回し前で編まれている紐をほどくため両手を談徳の前に回した。紐を手探っていたスジニの手を談徳が掴んだ。「言えよ」「な、、にを?」「無口だとお前らしくない。何かしでかしたか?」
スジニは掴まれた手を無理矢理よじって抜いた。談徳はどうしてもおかしいと思いスジニの顔を見ようとしたが、スジニは目に溢れた涙を見せまいと、両腕に力をいれて談徳を後ろから抱いた。「おい」「少しだけ、、、このままにさせて下さい。ちょっと考えたいことがあるから、、、」
談徳はスジニの力があまりに強くなり黙っていた。そうしていると鎧の間に暖かいものが濡れてきたのを感じた。「お前、泣いているのか」スジニはしまったと思い、大きく退き頭を下げて涙を拭った。談徳が立ってスジニの顎に指先を当てた (ええっ;;)。
「顔を見せろ」スジニの顔は文字通り涙でぐちゃぐちゃだった。 「わたしがね、未だ酔いが残っているみたいです。今度の、今度の酒は飲むと涙が出て来るんですって(字幕は泣き上戸と上手く訳されてましたね)本当だった、、、」 スジニは喉がつまりちゃんと話し続けることが出来なかった。
「酒の匂い一つもしていないのに、何か、、、、」 スジニは涙を流したまま首飾りをほどきその先にぶら下げているものを談徳に差し出した。香水だった。 「返しに来ました。いつかお借りしたものです。返せと言われないので、匂いがよくてずっと持ち歩いていたんです。戦闘でも傷つけないよう気をつけてました。見て下さい。無傷でしょう?」
談徳は受け取らないでスジニの顔だけを見ていた。スジニは側にある机に香水を置いた。 「一度くらい言われて見たかったです。お前きれいだってね。だから、こんな服を着てきたんです。どうせなら今のこの姿で覚えていてほしいから、、、、」
スジニは袖で涙を拭いて談徳をみた。 「談徳様」 「、、、、おう」 「前にお話したことを覚えてますか?王様ということについて。どんな痛みでも一晩だけで癒える技(才能)を持たなければならないと。私のようには出来なくても、もう一度立ち上がって前進できるようにと考えて下さい。お分かりでしょう?」 「おまえ、一体、、、、」 談徳がスジニの肩に手を伸ばした。しかし、スジニは体をよじってすり抜けて直ぐに敷居を越えて戸を掴んだ。
「照れくさいので、これで失礼します」談徳はスジニの後ろについて戸を閉めようとする手を握った。 「覚えて欲しいって?ちゃんと話せ」 「酔っている奴の話なんて何てことないです。」
談徳はスジニの両腕を一つに寄せて顔を覗きながら言った。「おまえは元々、きれいだ。そんな服でなくてもきれいだ。」スジニの声が又震えた。しかし、さっきとは違う他の理由からだった。「あとになって、ずっとあとになっても撤回しないで下さい。」 「こんなこと一度しか言えない」スジニは目で泣いて、口で笑った。
「もう行きます。行かせて下さい。」談徳はその言葉で手を離した。 「酔いをすっきり覚まして遅れないように来るように。明日が出陣だと分かっているな?射手達はお前がいてこそ弓を撃つ興がわくらしい」 スジニは明日を約束をする談徳の言葉を背にして出ていった。
5歩ほど離れている場所に人の影があって見るとヒョンゴだった。ヒョンゴは素早く裾を引っ込めたが、スジニはその中にぴかっと光る刃をみた。スジニはうつむきながら静かに手を合わせ師匠に最後の挨拶をした。ヒョンゴも又同じく礼を受けた。 スジニは廊下に響かないように注意しながら、誰もついて来られない速い足取りで消えて行った。
ドラマではスジニがヒョンゴに最後に一度だけタム王に会わせて欲しいと頼んでいましたね。原作ではスジニはヒョンゴの許可無く談徳に会いにいったので、ヒョンゴが見張っていたのでしょうね、、、。
*他、キハと大長老のシーン、ホゲがキタイ村でプルドルを探すシーン、そして談徳がヒョンゴにスジニの事で責めるシーンなどは原作とほとんどセリフも同じでした。
*最後にドラマでは契丹への出陣の目的を説明していたと思います。少ない軍隊で向かう談徳の話でしたが、原作では5,500の軍隊を率いて契丹に出陣するとなっています。その描写のシーンです。(要約)
戦闘に直接参加する兵力は5,000、契丹に差し出す謝礼品、一次貿易に提示する貿易の品々を護衛する兵士が500ほどだった。談徳は今回の出陣の場合、兵士達の補給がきちんと出来るように特に強調した。前回の百済戦の時とは軍隊を起こした目的が全く違う事がその理由の一つだったし、何よりも和平を提示するために行くことにあり、高句麗が軍事力で進んでいることはもちろん、相当な富国であることを契丹に見せつけることが武器の脅威よりも数百倍の効果があるだろうと考えた為だ。
そして、出陣する5,500の兵士の前で談徳が兵士達を鼓舞するために言います。 「大高句麗の太王として、そなた達に命ずる。私が将軍と全兵士達に求める事が何であるのか既によく分かっているはずだ。チュシンケマ隊として私の側で駆けてきた者達はもちろんのこと、今回、新たに軍に合流した者達も十分に聞いている事だと思う。いや、そなた達も全員、すでにチュシンケマ隊だ。私はそなた達の命を預かるつもりはない。一緒に勝利して生きて戻ってこよう。これが命令だ。特に今回の契丹戦は敵を倒すことではなく全てがチュシンの兄弟として刻んで帰ってくることにその意味がある。だから不必要な時に敵の命を取ったり弱った者達を傷つける時には地位に関係なく軍律の最高刑を下すことになる。分かったか!」
談徳は査閲壇から降りて馬に乗った。軍の先頭に立つのは談徳、コ・ウチュンとフッケが左右を守った。ヒョンゴは王と第一団の間でコムル人数名と一緒に国内城を後にした チョロは少し離れて、太王軍の威容を少し眺めていたが、反対方向に馬の首を回した。
今回の原作本との比較、楽しんで頂けましたでしょうか?
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