とうとう来てしまった2月14日
寂しいけれど・・・・・・ありがとうございました。
【空白の・・・】でヨン年半の私ですので 私らしく。
卒業制作 【空白の三年】その後
こちらでは 初めてUPさせていただきます。
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ジョアンがクスクス笑い始めた。
マサはミヨンと遊ぶ手を止め 笑い始めたジョアンを見上げた。
アルバムの整理をしていたジョアンの手には 古びた一枚の写真が有った。
「どうしたんだ? 何かおもしろい物でも見つけたのか?」
「ええ あなた。 これ覚えてる?」
ジョアンの差し出した写真には 部屋一杯に広げられたプレゼントの中、
困惑顔のイ・ミニョンが写っていた。
十代の終わり まだ健康だった頃の彼
黒い瞳の なぞめいた王子だった頃の彼が・・・・
「ああ まだ転校して間もない頃の・・・・
この後 プレゼントの返却で一週間くらい掛かったよな。」
「ええ 誰が広めたのか・・・・
ヴァレンタインのチョコレート合戦。
彼はいい標的だったわ。」
「そして君は 彼とつきあい始めたんだったっけ?」
「まあ! 古い話だわあなた。」
「ああ 古い話で良かった。
あの時の僕じゃ 彼に勝てなかったし・・・・」
「あら あなたは充分ステキだったわ。
ただかれには・・・・」
そう 彼には・・・・・
ジョアンは写真をもう一度見つめ 懐かしさを辿り始めました。
「ねえ 明日どうするの?」
「って、いきなり言ったて わかんないよ。 なに?」
「だから 明日よ あ・し・た 何の日かくらい 知ってるでしょう?」
「ん? しらない。」
「もう、やだ。 これだけ 周りが騒いでるのに ほんとに知らないの?」
「?????」
「バ・レ・ン・タ・イ・ン・デー・・・・知ってる?」
「聞いたことはある。」
「しんじらんない。 みんな 誰とどこにデートして 何をプレゼントするかで 大変なのに。
ミニョン? あんた いったい どこの星の 王子様なの?
仕方ない 私が 一緒にいてあげるわ 放課後ずっと。」
「いいけど なんで?」
「あんたを 守るためよ。 こんなんじゃ むちゃくちゃにされるわよ。
ああ それと 明日は 自転車で来るの やめなさいね、帰り 送るから。
わかった? へんじは? ん?」
「いいけど なんでだよ?」
不服そうにいう彼は来たばかりの転校生だった。
そしてその不服そうな顔は次の日 一変した。
ロッカーの扉が 閉まらない
閉まらない原因は・・・・・・・・・・・ものすごい数の 箱 袋 手紙 リボン りぼん リボン
彼はただぽかんと突っ立ているだけ。
「あ~あ やっぱり。 だから もっと早くに教えてやるべきだって言ったじゃない。」
「ここまでとは 思わなかったんだよ。 ジョアン ほら 袋。」
「はいはい。 ほら ミニョン これに入れなさい。
手紙は 包みから 外しちゃだめよ、返事書くのに困るから。」
マサの横で 山をかたづけていた私の視線の先にあった彼の・・・・
かわいらしい子犬が困惑したような、
固まっていた彼を連れ 多量のプレゼントを運んだっけ。
そして・・・・・・
懐かしい一幕。
黒い瞳のミニョン
私の王子様だった。
「ジョアン ミヨンがおねむだ。」
「ああっ はいはい。」
あの時 私の鞄の中には 小さなリボンのついた箱が有ったのよ イ・ミニョン。
今年のバレンタインは 彼は
大切な家族とどう過ごしているのだろう。
「ジョアン!」
「は~い。」
(初恋の 最愛の人と結ばれた彼。
お幸せにね イ・ミニョン・・・・・
わたしも・・・・・・)
ジョアンは ぐずり始めたミヨンを受け取った。
おねむになったミヨンは マサでは手に負えない。
ゆるゆるとあやしながら ジョアンはミヨンに軽く口づけた。
(あなたも ユジンさんのように強い人になってね 最愛の人を守れるように。)
「ジョアン 何を考えてるんだ?」
「ん~ そうね 彼のこと そして奥さまの事かしら。」
「・・・・君は 幸せだよね?」
マサの声に ジョアンは微笑みながら頷いた。
ミヨンを寝かしつけたベッドの上で ジョアンはマサに小さなキスを送った。
「今日 バレンタインデーよ あなた。」
「ん 判ってる。じゃあ 僕からも。」
マサからのバレンタインキッスを受け取りながら ジョアンは祈っていた。
いついつまでも幸せに・・・・
あなたは 愛されるために生まれてきたのだから。
そのために 多くの痛みを耐えてきたのだから・・・・
幸せに 私の大好きだった イ・ミニョン
あなたの上に 幸のおおからんことを・・・
2月14日の夜が 静かに更けていった。
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