「joon、ところで何着て行くの?」
とレイが振り返った。
「レイ、これでどうかな?」
穴あきTシャツに、パーカー、上着、ジーンズ。レイは、それじゃ、いつもと同じだよーとつぶやいた。しかもサングラス、マスク、長い髪は、ハンチングの中にしまいこんでパーカーのフードまでかぶっている。絶対怪しい人だよ。
「これだと絶対に僕だとわからないよ。」
「ねぇねぇ、マスコミを巻く前に警察が追いかけてくるよ。joon大丈夫?」
「僕 悪いことはしてないから警察は追いかけてこないよ。もし追いかけられたら、サングラスとマスクを取れば納得してくれるよ。」
「そうかな?それで何で行くの?」
「ママチャリ。」
「エーっ、本当に怪しい人になっちゃうよ。」
「でも、ママチャリのほうが動きやすいし、すぐ幼稚園の中に入れるし、大丈夫だよ。」
レイの言うことに耳を貸さないで、joonは10分前に幼稚園に着くように家を出た。マンションの入り口には、張り込みのマスコミが数人だったので裏口からママチャリで、joonは出発することができた。
joonの筋力でママチャリをこぐのだから絶対普通の人は追いついてこられない。しかも、怪しい人になっているので誰も追いかけてこない。
レイは、車で幼稚園に向かった。幼稚園の入り口は、保護者が数人。園児の祖父母が結構集まっていた。マスコミは見当たらない。
レイは、joon早く来てと祈っていた。
怪しい人はものすごい速さで園の入り口を通り過ぎ、玄関に自転車を置くとすぐ園の中に入っていった。
ひとまず、入場成功。
joonは、大勢の人の中にいるレイを見つけた。そしてそっとレイの手を探してつないだ。レイもjoonもドキドキである。
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