ムヒョクはきっとそう思ったから、私に全て手配させたのね。完全に、彼女の記憶から消えてしまうことが彼女のためだと思ったのよ・・・。だけど・・・私のところへ訪ねてきたとき、彼女に何も伝えないなんて出来なかった・・・・。私は、結果として二人の人の命を奪ったことになるのよね・・・・」 「いいえ、ジヨンさん。二人はジヨンさんに感謝していると思います。二人はいつまでも一緒なんですから・・・・。二人はやっと幸せになれたんです。僕は、二人のことを・・・特におじさんがどんな風にこの街で一人で生きてきたのかが知りたくて・・・それで、やっとここまでやってきたんです。」 ジヨンは、涙をぬぐうと 「そうね・・・じゃあ、行きましょう。ムヒョクが暮らした街を案内してあげるわ・・・」 ジヨンは、店を閉める準備をすると車のキーをとりカルチを促して外にでた。 そして、ジヨンは車で。ムヒョクが息づいていた街を案内した・・・・。 あそこで、韓国からのテレビ番組の撮影があったとか・・・・いつもここで、ムヒョクはナンパをしていたとか・・・。 二人でよく行った公園・・・ そして、遠い目をしていつも見つめていた海・・・。 「ムヒョクは・・・きっとここで故郷を見ていたのよ・・・」 ジヨンとカルチはムヒョクが一人でよく来ていた海が見える場所に立った。 「遠く・・・韓国を・・・私たちは韓国に捨てられた・・・そう思って生きてきたけど・・・ ムヒョクは心のどこかで・・・捨てられたんじゃない・・って信じたかったのね。そこに行けば、自分は一人じゃないって・・・きっと、そう言い聞かせて。ムヒョクは生きてきたのよ」 カルチは、ムヒョクの運命を・・・そして自分の母の運命を・・・・そして、ウンチェの運命を・・ ユンの運命を・・・オ・ドゥリの運命を・・ジヨンの運命を想った。 「僕は・・まだ、子供だったから。おじさんがどんな悲しみや苦しみを抱いていたのか・・・全ては理解できなかったけど・・・。僕にとって、おじさんが僕のおじさんでよかったと思っています。 そして、僕のこの体の中におじさんと同じ血が流れていることを誇りに思っています。僕は、おじさんの分まで生きていく。僕はおじさんの分まで誰かを愛したいと思っている。そして・・・おじさんの分まで・・・オドゥリママと母さんを大切にしていきたいと思っています・・・。」
その5に続く
|